『退化未来のフォークロア』では、神道日本の関東、横浜圏を主な舞台とする。
なお、各都市は原則として《××圏》と表記される(例:東京圏)。
これは旧来の行政区分が成立しなくなり、また、未踏領域を切り拓くことによって拡大することが理由だ。
都市は人類の生存圏であり、勢力圏である。そのため《××圏》と称されるようになったのだ。
横浜圏はかつての横浜市を中心とした人類の生存圏であり、貿易を中心に栄えている都市だ。
人口はおよそ26万人。これには他国からの長期滞在者も含まれている。
対外貿易の拠点であり、船舶による国内輸送の拠点でもある。
その性質上、他国の者も多く居住しており、町並みはやや無国籍風の趣となっている。
都市は貿易を要にした商業が盛んだが、漁業も盛んである。反面、農業は下火になっている。
食糧自給率という面で見れば、穀物や肉は外部からの輸入に頼っているのが現状だ。
住居の様式は洋風が中心だが、海に近い地域ほど潮風に耐えるべく、石造りであることが多い。
沿岸部では大半がレンガ造りであり、その風景だけでちょっとした観光地にもなっている。
また住居に限らず、ほぼ全ての建造物には鳥居型の表札が掲げられている。
これは地域の祭神に氏子登録をしている証であり、神道日本の全土で共通するものだ。
信仰という集合意識を神社で魔術として転用し、地脈経由で各建造物に耐火や耐震の加護を与えている。
また、都市の各所には道祖神の祠(多くは地蔵)が設けられている。
これに捧げ物をすることで、氏子登録されている建造物への道案内を受けることができる。
捧げ物は菓子や花で、案内は地蔵に憑依している人工精霊による音声案内で行われる。
横浜圏の港は軍艦諸島とも呼ばれており、先端時代に建造された軍艦を繋ぎ合わせた巨大な浮島である。
退化時代においては沿岸部の安全確保も容易ではなく、軍艦を並べて浮島とすることで、港を確保したのだ。
以来、補修や増改築を繰り返しながら、軍艦諸島は今日でも横浜圏の港として機能している。
現在では軍艦としての機能は完全に失われており、自力で航行することは不可能になっている。
甲板には建造物が立ち並び、主に倉庫や事務所として使用されている。
艦内は港湾労働者の住居として改装されており、快適とは言えないが、多くの人々が暮らしている。
最終更新:2013年05月03日 10:23