◆
それは、「ある色彩」としか呼びようのないものだった。
この地球上に、いや、天上にさえ存在しないであろう、「色彩」。
それはこの世界の外……異世界に広がる無限の深淵から投影された色彩……。
人の力ではどうすることもできないものがあるということを伝える、恐るべき使者(メッセンジャー)だったのだ。
───H・P・ラヴクラフト『異世界の色彩』
<中略>……しかしながら、この『鏡中異界』とも呼べる幻想は、古来より存在する『水中異界』と同根のものであると筆者は確信している。
かつて水中には竜宮などに象徴されるような異界があると信じられており、同時に姿を現す鏡としても水は使われてきたからである。
古代においての水盤占いに見られるように、水は最も原始的かつ美しい鏡の一つとして各種の神秘術にも用いられてきた。
童話にある肉をくわえた犬のように、古代人が見ずに映る光景を実在の別世界と捉えたとしても一体何の不思議があるだろうか?
───大迫英一郎『神隠し考』
◆
冥奥領域内の東京で、ある怪談が伝わっている。
どの町にも必ず一軒くらいはある、幽霊屋敷の物語だ。
特別製で、抜群に奇妙な物語。
中に入った人間が帰って来ず行方不明になる人食い屋敷。
警察も科学者の集団も民間の霊能力者も、こぞって解決に挑んで揃って飲み込まれた不祓案件。
この噂を聞きつけた者にとっては一笑に付す話だ。
神秘の粋が集い、過去に記される伝説の英傑が居並ぶ聖杯戦争の地にあって、噂話などと。
葬者にもなれない死者の間でのみ飛び交う流言飛語でしかない。仮に本物であったとて、何を恐れるものがあろう。
実際に幽霊屋敷が存在するのなら、それは間違いなくそこに根を張るサーヴァントの仕業だ。つまり倒すべき敵の1体に過ぎない。
住民の話題に登るほど痕跡を残しているのなら魔術の隠匿も知らぬ間抜けか、それとも余程の自信家か。
極めつけに、件の屋敷は住所まで割れている。愚者であれ豪傑であれ明らかな挑発行為だ。打って出るに他ない。
葬者は自慢の秘術とサーヴァントを伴って、まるで肝試しにでも向かうように悠々と門をくぐり、続々と奥地へと踏み込んで行った。
ここまではただの噂話。
怪談は、ここから始まる。
屋敷から生きて帰ってきた者は、誰もいなかった。
魔術師も、英霊も、皆一様に屋敷に喰われ、姿を消した。
結果のみを語れば、陣取った英霊に返り討ちにされた。それだけの話に思えるだろう。
この怪談の奇妙な部分は、噺の流布が止まらない事にある。
そもそもひとりも帰還者がいなければ噂が広まるわけがない。
葬者は架空の身内に詳細を伝えたりしないし、テレビで失踪を報道もされない。従って幽霊屋敷の情報が出回りはしない。
それでも怪談は伝わっている。確実に、ゆっくりと。
根を伸ばすように、街に侵食を始めている。
屋敷に注目せず視点を離すと、街には様々な怪談が氾濫しているのに気づく。
薄闇の夜で鞠をつき唄を諳んじる着物の童女。
急に人相が変わり全身が液状になって溶ける人間。
市区の管理する美術館から個人の画廊展まで、いつの間にか飾られる絵画や、個人的な蒐集家の下に届く、差出人不明の肖像画。
徒に恐怖を煽る以外に共通項のない怪談の数々。
しかしそれらの出処を辿る者は、全ての導線が一箇所に集束する事を知る。
豊島区沼半井町2-5-29。広大な敷地内に立つ、常に霧が出ている古びた屋敷に。
知らぬ間に、見えない誰かに手を引かれて連れてこられた。
門に立ち尽くした者はそう恐れ、逃れようとあらゆる手段を講じる。
だが遅い。物語は紐解かれた。掴んだ腕はどこまでも伸びてお前を離さない。
魔術での解呪。英霊の宝具による屋敷への攻撃。身の着以外を脱ぎ捨てて全力の遁走。
意味のない。効果がない。大火に如雨露で水をかけても火は消えず、あの絵の前に引きずり込む。
お前は私になり、衣装部屋にまた服が増える。
そうしてぎゃらぎゃらと笑って、外にいる奴らに聞かせてやるのだ。
犠牲者の哭き声を聞いた葬者は口々に叫ぶ、あの忌まわしき名を。
底なしの穴に続いているように人を呑み込む、門前に彫られた家の名を。
壊すべし。
あの家、壊すべし。
双亡亭、壊すべし!!
◆
ぎし、ぎし、と、音がする。
木造の、ろくに手入れもされていない古びた廊下。
暗がりにある床を軋ませて、足音を鳴らしている。
……いや。
鳴っているのは、足音だけではない。
詩が、聞こえる。
ひい ふう みの よ
天神サァマの境内よォりも
ひぃろぃお屋敷見ぃつけた 沼半井の大旦那
道楽者のぱあぷう絵描き
ねじれ くびれた<双亡亭>で じぶんもぺらぺら
いとまごい…
いつ むう なな や ここのつ
とお
謳うのは、20にも満たないような、肩口まで伸びた茶髪の少女だった。
大きな瞳は高校生らしき背丈より印象を幾分か幼く見せ、綺麗よりも可愛らしいと表現するのが似合う。
どこにでもいそうな一般人の装いをしながら、この『双亡亭』内を自由に歩き回っている。
犠牲者の怨念が土地を離れる事もできず染み付いて。
死霊でも英霊でもない、恐るべき侵略者が潜む、この双亡亭を。
恐怖の片鱗も見えない、邪気のない笑顔のままで、歌いながら、悠々と進んでいる。
「……やっぱり、いい詩だねえ」
足取りは一定。
呼吸も平常。
しきりに辺りを見回さず、行き先を逡巡せず、何も警戒していない。勝手知ったる他人の家とばかりの平常心。
それはどんな怪異よりも不条理で不合理な、狂った光景だ。
───
十叶詠子はあの世の中の地獄であっても、変わらない絶対の狂気によって隔絶されていた。
廊下に続く大扉を開いた途端、部屋に充満していた油の匂いが溢れ出した。
学校の体育館ほどの木造部屋には、立てかけられたり、描き上がって床に放られてるキャンバスの数々。
紙の中には、限りのない色彩。
誰かが抱える世界を、捉えて、切り分けられ、二次元状の枠にはめ込まれた小宇宙。
脳内に閃いた想像を忠実に、詳細に表出させる、そこは芸術家のアトリエだ。
「ただいま、泥努さん」
返事はない。
椅子に座ってキャンバスに向かい合う、上から下まで黒の男は、背後から声をかけられても振り返るどころか、作業を止めさえしない。
意図して無視しているわけではない。背後の詠子に気づかず、絵画に没頭しているだけだ。
一心不乱に筆先を動かし、長方形の白紙を色で染めている。
ただ黙々と、度を越した集中力で絵具を塗り重ねていく。
己の世界に没頭し埋没し、それ以外は邪魔だとばかりに排斥し、遮断する。
言葉でなく姿勢で意を表明する後ろ姿を、邪魔することも気分を害しもせず、詠子は優しく見守っている。
双亡亭の中では時間の軛も解かれている。
それからいったい、どれだけ経ったのか。数分かもしれないが、何時間も後になってからかもしれない。
永劫にして一瞬の時間を詠子はその場で待ち続けて、ようやく止まらぬ男の指が残像をなくした。
「……こんなところか」
顔を絵から離して、瑕疵がないかじっくりと検分し。
「出来たぞ……見るがいい」
いつからいたのかと聞きもせず、前置きを抜いて詠子の方を振り向いた。
遊びのない黒一色の服。細い体。短く刈った髪。
自身を絵のモデルにしても映えそうな整った顔立ちは年若いが、纏う雰囲気の暗さがひどく痩せ細って衰えた老人にも見える。
眼光は鋭いというよりも、激しい。
鮮やかに視線で射抜くのではなく、目についた何もかもを癇性で粉々に砕いてしまうような、激しい力の奔流がうねっている。
狂気。深淵の底。領域外の脅威を従える芸術家。
───
坂巻泥努は、フォーリナーのサーヴァントという影法師でさえなお、変わらず絵を描いていた。
「わぁ……すごいすごい! ほんとうに私の見た『物語』を描いてくれたんだね」
閲覧の許しを得た詠子は絵の前に立つ。
等間隔に円形になって置かれた8つのキャンバス、そこの中心で体を回しながら、踊るように絵を眺める。
桜の木の下でひとり佇む、臙脂色の着物の少女。
雨だれと水たまりの下でのみ映る、透明な犬。
熟した果実のように木の枝に垂れ下がる首吊り死体。
無限に続く鏡合わせの1枚にだけいる、壊れた笑顔の女子生徒。
目隠しをされたままで笑いながら手を伸ばしてくる、男の幼児。
掘り起こされた花壇から伸びている何本もの白い腕。
半開きのクローゼットから覗く、人のできそこないの人形。
月を映す水面の中心から生えた、巨大な異形。
写実的に描かれた、だが現実的ではないどこかズレた風景。
あり得ないものに確かな存在感を与える、卓越した技術。その齟齬が見る者に底しれない不快を催している。
言い知れない不穏を纏わす絵画の環と対照的に、詠子は喜びの色で顔を綻ばせた。
「それにこの絵にある『物語』の魂までも表現してくれている……。
あなたは他人の魂のカタチを理解し、絵というカタチで現実に映し出せるんだね。
だからあなたの描いた『自分の肖像画』を見た人は、自分でさえ気づかない自分の魂のカタチを見せられたのに耐えられず、自分の形を見失ってしまう……。
こんな風に人の心をカタチにできるだなんて、私には思いつかなかったなあ」
心からの賛辞を絵画と画家に送る。
詠子が起こした物語。『神降ろし』の為に用意した『異界』の奇譚。
本は閉じられ、今や詠子の記憶の中にしか残されていない物語を、泥努は『技術』で再現していた。
<侵略者>───万色に変わる異星の水で描かれた絵は平面の存在でありながら艶かしく、今にも飛び出してきそうな迫力がある。
本当に、飛び出して。
「『物語』にはそれを補完する『挿絵』がつきものだよね……それこそ絵本なんて、子どもの頃にみんなが読む、最初の『物語』だもの。
絵を描く事と物語を書くのは、それほど違いはないのかもね?」
「さし絵……だと?」
その時まで。
詠子の評価を能面の無表情で聞くだけだった泥努が、反応を示した。
「この私の「絵」が……他人の書いた話の「添えもの」だと抜かすのか……?」
露骨に、極めて強く、その一言に反応した。
「違うぞ。まったく違う。私の絵はそれのみで完成している。私の絵は常に主役なのだ。
断じて他人の創作の横に置かれ、三文小説に華を添えるものではないぞ……!」
自我が肥大化し、実像すら膨れ上がって見せるほどの激情。
遠き星の生命すら怯える男の癇癪を起こしてしまっても、詠子は流すように微笑む。
「うん、そうだね。あなたの絵は私の記憶から描かれたけど、間違いなくあなたの手で生まれたもの」
恐怖もなく、驕りもない。その怒りすら愛おしいと、万感をもって祝福するように。
「そんなあなたから見て、私はどんな『モチーフ』なのかな?
私の中の『物語』を聞かせて、絵画の題材にする……あなたの望みは、ちゃんと叶った?
あなたのいう大事なこと……「脳を揺らす」ことは、できたのかな?」
揶揄を含んだものでなく、子供心に浮かんだ疑問を投げかけるように詠子は問う。
期待に応えられたのかという不安は、含まない。詠子は望みに応えただけ。受け取った解答をどう受け止め、咀嚼するかは受け手に委ねられる。
だから、求められるのは泥努の答えのみ。
稀代の魔女、とうに肉体を失い都市伝説の流布を行き交う真性の異存在。
異界の申し子は何の因果か冥界に流れ着き、星を侵略する異星者を招いた芸術家を喚び出した。
英霊になっても泥努は変わらない。
絵を書く行為のみこそが泥努の目的であり、思考の表現でもある。
だから自身が最初に目にした、人間でありながら人間を隔絶したものに引かれ、芽生えた画想の製作に終始した。
行程を終えて、今、何を抱くのかと詰められた泥努は、
「お前は……モデルにはならん」
と、一気に顔から感情を消して言ったのだ。
「お前の「色」は強すぎるのだ。
黄みがかった象牙(アイボリー)でも青みのある月白(ムーンホワイト)でもない……。
白く、白く、いっそ透明に見えるほどの純白色(ピュアホワイト)。
そしてお前の「色」は、周りの全てをおのが色で支配して「塗り潰す」。
お前の隣に樹を描けば樹は『お前に掴まれた屍肉の柱』になり……窓の中にお前を描いても窓は『お前を口に収めた怪物』にしかならない……。
どんなモチーフも……どんな意図を込めて描いたところで、お前がそこに描かれているだけでお前に侵され、『お前の繪』になってしまう……」
周りにあるもの全てを漂白する、純粋にして絶対の白。
泥努は詠子の特質・異常性を正確に理解し、端的に評する。
「お前の色はお前ひとりで完成している。合う「補色」が存在しないのだ。
この世のどんなものより純粋であり、正しいが、それが逆に私の「脳」を揺らさない。私の認識においてお前は完全に「正しい」存在だからだ……凡人どもにとっては違うのだろうがな」
「ふうん」
その評価は、泥努にとって褒め言葉にあたるのだろうか。拒絶の言葉なのだろうか。
少なくともこの数日、情緒の揺れ幅が尋常でなく大きいこの芸術家にしては珍しく、詠子と話す時は落ち着いた態度の頻度が多いのは確かだった。
「私のことを狂ってるって言う人はたくさんいたけど……そういう言われ方は初めてだなぁ」
どちらとも取れない、事実のみを告げた評価に、詠子は興味深く頷いた。
「不思議だね。みんなは私のせいでみんなが狂うっていうけど、誰かが狂ったとして、それってその人の中に狂う資質があるってことでしょ?
人の心の器が向こうを受け入れたから狂ったのか、受け入れられずに器が壊れて狂ったのか。どっちも本人が持ってた資質だもの。
どんな可能性も、できた以上は最初からその人の中にある。それに気づかないだけ。人は自分が見たいものしか見ようとしないもの。
なのに自分の中から出てきた結果を、自分のじゃないって否定する。生まれつき持ってるものをおかしいって言うの。
蛙が鳴くのを、誰も狂ってるなんて言わないのにねえ」
「ふん……凡愚共は常にそうだ。奴等は自分の理解を超えたものを目にした時、必死になって否定しにかかる。
脳に刺激を与えず惰眠を貪っている己の無知を認めず、常識だの知識のみをひけらかして蒙昧に悦に入る」
肯定する。
「だがな……それこそが芸術なのだ。
芸術は『きれいな絵』だの『胸の奥があったかくなる』だのを表したりしない。ぜんぶ嘘っぱちだ。
既存の価値観を破壊し、感情を刺激し、脳髄を揺さぶる事こそが芸術だ。体にいい事なのだ」
「それが、あなたにとっての『物語』なんだね……」
言って、詠子は改めて自分を取り囲む絵を見渡す。
泥努の作品。心血と情熱と真髄を込めて生まれた、詠子の中から生まれた子。
非常に珍しいことに。
ふたりの会話には、互いを理解し、通じ合えた同士の穏やかさがあった。
詠子は泥努の創作も、思想も、全てを認め称賛し、サーヴァントではなく。
泥努も詠子の行為も、思想も、忌避せず、マスターではなく鑑賞者のひとりと見做している。
他者がふたりを見て当たり前に感じる不快、畏怖。それを共に抱いてはいない。
かたや人の精神を色で視認し、過去の隅々まで理解する共感覚者。
かたや別の位相にいる異界の世界を認識しながら、現実で生き続ける絶対型異障親和型人格。
世界の視え方が他者と逸脱しているが故の、それは孤高の共感なのか。
「そういえば……何やらがやがやと外が騒がしかったが……あれはお前の仕業か?」
「ああ、あのお友達のこと? 『しの』さんが食べちゃった。
ごめんね? みんな面白い魂のカタチだから、泥努さんに会わせようとしたんだけど……願いの強さは、人魚姫が上だったみたい」
「ふん、あの絵のモデルか。多少は奇妙だったが、「色」は今まで見てきた連中と大差のない俗物だったぞ。
お前やあの水どもを見た私に、たかだか強い力を使う式神程度で興味が湧くものか。どうせ連れて来るのなら、より私のイメエジを刺激させるものにしろ」
「ふふ、それもそうだね」
ようやく、聖杯戦争らしい話題が交わされた。
それすらも独特の捉え方で、この狂人ふたりに、どこまで戦いの基礎について認識がなされているのかは不明だが。
「……詠子。お前が何をしようと私には興味がない。邪魔者がこの双亡亭に来るというのなら、しのとで好きに殺せばいい。
私はここで絵が描ければそれでいいのだ。冥界だ聖杯だ、そんなものはどうでもいい。私の脳には不要な知識だ。
だがな、それが私の創作に水を差すようであるならば……私の支持者であろうが、容赦はせんぞ」
「そんなことはしないよ。あなたも、あなたの絵も、私は好きだもの」
怖気を起こす殺気と、吐き気を催す慈愛が、ひとつの部屋で交差する。
混じり合わず、反発もせず、あるがままのままに螺旋を描く。
それこそは原初の恐怖。語られずとも生命の遺伝子に刻まれた、死の国の顕れ。
地獄という、星が安定するより以前にあった、あらゆる生命を許さぬ嵐。
「あなたの望みはきっと叶う……『しの』さんも、他の『葬者』さんも。
そのために、みんなはここにいるの。命のない世界で、新しい物語が生まれるために───」
聖杯など眼中になく、どこまでも戦争から遠ざかっている主従。
だがそんなものは関係ない。彼らがいる限り、何れかの葬者が聖杯を得る事はない。
人知れず、冥界の波に巻き込まれて消える。そんな淡い希望は脆く崩れ去る。
何故ならば、この屋敷の住所は豊島区沼半井町2-5-29。
聖杯戦争が行われる、東京を模した冥奥領域の内、もっとも中心部に近い位置。
聖杯を臨む限りは。
生還を望む限りは。
彼らは立ちはだかる壁となる。
対決は避け得ない。必ず、彼らの屋敷に自ら踏み入れなければならない時が来る。
異星の王と異界の魔女が支配する────この、<双亡亭>に。
故にこそ、壊すべし。
世界の最果てまで狂気という大海に呑まれ、あらゆる人と命が溺れ死ぬまで溢れ出すのを防ぐため声をあげ続ける。
────双亡亭を、壊すべしと。
◆
「ただいま、「しの」さん」
「……ああ。おかえり「詠子」」
大部屋から出た読子を迎えたのは、詠子よりも余程屋敷に馴染んだ、着物姿の童女だった。
生気のない顔、この世の生物を形だけ真似たような、幽霊屋敷には似合いの死人の表情。
それすらも、この狂人の隣にいては風景の一部に溶けてしまう程、気配を薄くしてしまうのだが。
「詠子……また外に出るのか?
我々の体質は理解しているはず……。外の空気の中では、お前を襲う外敵への防衛行動も取れない。
双亡亭の中でなら安全だ。お前にとっては、だが……」
マスターの安全など意に介さぬサーヴァントの代弁者として、しのの諫言もむべなるかな。
召喚されてこの方、詠子は双亡亭の中に留まったためしがない。
朝に出て夜に帰り、深夜に抜け出して夜明け前には戻って来る。
それこそ学校に通い、終業後に夜遊びに繰り出すのと変わりない感覚で、気軽に聖杯戦争の場を巡っているのだ。
「優しいねえしのさんは。それも「みんな」の言葉?」
「無論だ。お前は葬者……泥努の要だ。お前に死なれては我々も消えてしまう……」
しのの言うように、双亡亭は万全鉄壁、難攻不落の城。
館の材質の全てはしのであり、しのが館である体内も同然。
籠もってさえいれば身の安全が保証される、安眠の揺り籠なのだ。館の主に認められたマスターのみに限った話だが。
「「敵」の情報を集めて双亡亭に招き寄せ、奴らの体を奪い防衛力を増強する……。
その意図は理解するが、本来はそれすら不要なのだぞ。
泥努が絵を描き上げさえすれば「条件」は整う。われわれの目的は達成されるのだ……」
「うーん……でも、それだと駄目なんだなあ」
「……何がだ?」
「それじゃあ『物語』にならないもの」
待ちに徹すれば勝てる。と、そう明瞭に言ったはずだったが。
返ってきたのは意味の分からない答えだった。
「それじゃあね、あなたの願いって叶わないと思うの。
あなたも泥努さんも、自分の魂のカタチが強すぎて本当の望みを隠しちゃってる。
外の世界に出るのがあなたの願い。自由だけど狭い水の中で、不自由ばかりだけど広い大地にあなたは憧れた。
素敵な歌声を捨ててでも、地面に立てる両足を求めた。
それがあなたの物語。悲しくて報われない、けれどとっても美しい恋のお話……。
アンデルセンの童話なんだけど、あなたにぴったりだと思わない?」
穏やかで、優しい、怖気を誘う無邪気さで。
「あなたは──────『人魚姫』」
謳う。
「『八百比丘尼』」
奏でる。
「そして『竜宮城』。
このみっつがあなたと、彼に必要な物語」
喋る度、言葉が音になって出る度に、廊下の気温が一段と下がっていく。
ここではない何処かから奇怪なるものを呼び寄せる、魔法の呪文のように。
双亡亭はしのの体。材質も大気にも彼女と同じ成分で構成されている。
そんな、何もかも異常な空間においてさえ、なお一層と異常な空気に変質させていく。
「私は『魔女』だからね。黒いローブも、空飛ぶ箒も、猫の使い魔もいないけど、それでも魔女だから、あなたには魔法をあげるの。
効き目は抜群だけど、その代わりにあなたのもっとも大切なものを失ってしまう───魔女の薬と、玉手箱を」
「……」
詠子の言葉が、しのには何ひとつ理解が及ばなかった。
数多の人間、霊能力者を取り込んできて、そしてこの冥界では魔術師をも自らの一部と成り代わってきた異星体が、ひとりの少女の底を読み切れていない。
無垢な微笑みを向けてくる『魔女』に、言語化を絶する感情が湧き上がってくるのだけが分かる。
そもそもが、このマスターについて分かる事が、あまりにも少ない。
同じ星の人間でありながら、しの達の地球侵略を容認し、後押しすらしている。
五頭応尽と同じ破壊思想の持ち主でもない。泥努のように、ひとつの活動に取り憑かれた一貫性も見れない。
十叶読子という個体の精神構造は、あまりにも不可解すぎた。
諦めはしない。諦められるはずがない。
ここまで来たのだ。ここまで、やって来たのだ。
<侵略者>の名代の疑似人格<しの>は、同胞と統合された思考を延々と回す。
泥努も、そして詠子も、聖杯の獲得に意欲が見られない。
頼れるものは誰もいない。己がやらねばならないのだ。
サーヴァントなる、集合無意識に記録された死者の再現体だとしても。
その一体である泥努に使われる、道具(スキル)としての矮小な存在で召喚されたとしても。
己の望みは変わらない。一切の変化の余地もない。
「生存せよ」。原始の体細胞でも持つ単純明快な、生命の本能。
天之川銀河から2000万光年先にある銀河群で寿命を迎える星を捨て、新天地を探しての旅路の果てに遂に見つけた青の惑星。
一度目は泥努という、天文学的確率の狂気の男の精神力によって屈服を強いられた。
二度目は雌伏を越えて反逆を成し母星との門を繋ぐも、現地の人間の総力によって食い止められた。
そして三度目。あり得ぬはずだった、千載一遇の蘇生の機会。
次こそは失敗しない。今度こそは仕損じるわけにはいかない。
聖杯。冥界。英霊。人理。サーヴァント。クラス。スキル。宝具。マスター。葬者。領域。
流れ込む未知の知識を貪欲に吸収する。またしても泥努に仕える環境、人間に使われる屈辱も飲み下して耐える。
今の今まで死んでいたという事実すらも、生きている現在が遥かに勝る。
何せ勝利の条件が非常に緩い。たかだが一月もない時間。たかだが数十人の敵を蹴散らすだけ。
天敵の水を取り入れた数百の敵達との辛苦の戦歴からすれば、瞬き程度の労力でしかない。
唯一の、最大の懸念。
『双亡亭を破壊する』宝具は、泥努の記憶ごと封印した。
サーヴァントは全盛期の姿で召喚される……付与された知識を駆使しての、召喚直前への割り込み。
己が敗北するより前の、『双亡亭で絵を描き続けている泥努』こそを全盛期だと定義させた。
英霊にも聖杯にも無関心な泥努よりも先に、サーヴァントのシステムの把握に努めた成果が、泥努を出し抜く機会を生んだ。
これにより召喚直後の自死を封じるだけでなく、泥努からしのの反逆の記憶を奪う副次的な効果も得られた。
そしてそこのアドヴァンテージの取得には、詠子の存在も含まれている。
令呪。これこそは制御不能の泥努を逆に従えさせる妙手。
絵に集中し切っている泥努は聖杯戦争の情報を完全に締め出している。つまり、令呪の存在を知らない。
詠子を己の同胞に取り込ませるか、懐柔して使わせるかだけで、最も忌々しい障害を解消できるのだ。
詠子にはまだ一滴分の水しか取り込ませてはいない。
葬者と英霊、即ち詠子と泥努とを繋いでいる『契約による通路』を、自身にも繋ぐための信号だ。
精神支配、肉体制御が出来るようになるには、量が足りない。
大きな動きをこちらが見せれば如何に泥努でも異変に勘付く。
事は密やかに細やかに。外の人間にしたように、些細な思考を誘導するだけで今は十分だ。
惜しむらくは肝心要の葬者である詠子が、奔放にも毎日双亡亭の外を出歩く事だ。
冥界とはいえ外気まで再現された街にいては、水を大量に投入する隙すら作れない。
よもやこちらの思惑に気づいていて、取り込まれないよう常に外出してるのではと疑いもしたが、体内の水はそのような思考はないと回答している。
僅かな不安要素を残しながらも、着々と作戦は進行している。
あと少し、あと少しの辛抱だ。葬者を喰らい、英霊を殺し、この死の国で自分達は生を取り戻す。
それさえ乗り越えれば───乗り越えられれば──────
「大丈夫だよ」
無い筈の心臓が掴まれて縮み上がり、細胞が凍結した。
数億年もの間思考を止めずにいた生命体の、自覚しない隙間に何の抵抗もなく入った言葉。
「人間はね、とても優しい生き物なんだよ。
星の外から来た、世界を沈めてしまう生き物だって大丈夫。
泥努さんも、あなた達も、みんな、人はきっと受け入れてくれるよ……」
疑いのない、全霊の人間讃歌。
星をも呑み込む、人間への無限大の期待。
詠子の言葉は全て、嘘偽りのない本心からのもの。
人の心を信じ、可能性を信じ、あらゆる事を受け入れられると期待している。人を善いものだと感じる、善性だ。
だが嘘も邪気もない世界とは、現在の宇宙においては狂気に他ならず。
本物の狂気は、人も、理も、何もかもを『捻じ曲げる』。
異星さえも。
しのは何を返せばいいのか分からず黙り込み、詠子もそれ以上を紡がず、一本道の廊下を進む。
詠子の顔を見ずに済み、言葉を聞かずに済んだことにしのは安堵したのに、しのも総体も自覚しなかった。
【CLASS】
フォーリナー
【ステータス】
筋力B 耐久EX 敏捷E 魔力C++ 幸運E 宝具B
【属性】
中立・中庸
【クラススキル】
領域外の生命:EX
外なる宇宙、虚空からの降臨者。
邪神を支配し、その権能の片鱗を身に宿して揮うもの。
神性:C
外宇宙に潜む高次生命体の先駆となり、強い神性を帯びた。
計り知れぬ脅威を、
坂巻泥努はその身一つで封じ込めている。その代償は、代償は……何一つ、ない。
狂気:A
不安と恐怖。調和と摂理からの逸脱。
周囲精神の世界観にまで影響を及ぼす異質な思考。
【保有スキル】
鋼鉄の決意(芸術):A+++
人の感情を色彩で読み取る共感覚と、惑星一個分の精神侵略者を独力でねじ伏せ、逆に支配した異常な精神力が合わさってスキルとなったもの。
普段は芸術活動に没頭して他に見向きもしないが、妨げになる存在がいた場合、その精神が具現化したかの如く過剰な威力の攻撃を加える。
絵画技術も含まれ、空間に満ちた「人の心に働く粒子」を筆先に定着させて、平面に定着させる技術を習得してる。
精神汚染、芸術審美スキルも内包しているが、独特すぎる審美眼と複雑怪奇にねじくれ曲がった精神のため、他人と会話が通じず、自分の芸術も理解されない。絵も売れない。
黒き水の星:EX
太陽系から2000万光年先にある星から飛来した災厄。あらゆる色彩に変わる水。
地球では<侵略者><奴ら>と呼ばれるのみで、彼らも自身も固有の名称で語る事はない。
その正体は個体の概念がなく種族全ての意志が統一・共有されている、総体は惑星ひとつ分もある液状生命体。
流体であるため姿を自在に変えられ、巨大な生物の群れを形成する、生物の体内に侵入し細胞と精神構造をくまなく把握し肉体を乗っ取る、傷を癒やし老いることのない不死の妙薬に用いたりと変幻自在。
窒素のない空間───主に水中───で爆発的に増殖する性質があり、逆に窒素がある地球の大気では一秒と持たず体が崩壊するため、生存圏は極めて限定されている。
窒素以外の弱点として、電撃や炎など熱波を伴う攻撃にも液体が蒸発してしまう。
既に滅びに瀕している母星を捨て、新天地を求める旅の先で漂流した一部が地球に到達し侵略を開始するが───第一発見者がよりにもよって
坂巻泥努であったのが運の尽き。
一千兆分の一の確率で引き当てた最悪の男の精神力で、乗っ取るつもりが逆に支配され、泥努の描く「絵の具」として酷使される存在になってしまった。
以後便宜上の交渉窓口として、「しの」という童女の姿をした疑似人格の形を取っている。
泥努自身は肉体的にはただの人間だったが、黒い水を取り込んだ事で超人的な耐久力、不死性を獲得。
外的手段で水を全て抜き取られても、半身が砕けようが死なないほど生物的に逸脱した存在になっている。
貴方の為の自画像:B
泥努が<侵略者>の体で描いた肖像画。レンジ1、最大補足1人。
対象の自画像を間近で見た者を絵の中に引きずり込み、記憶にある「最大の苦痛」を伴うトラウマを悪意的に誇張して再現。
精神を破壊して体内に入り、肉体を完全に支配してしまう。
成り代わられた人物は<侵略者>の一部であり、記憶や人格を残す個体もいるがあくまで模倣されたものでしかない。
通常は単調な動きしかしないゾンビに近いが、人格を保持した個体は知識に基づいた独自の行動が可能。
さらに肉体は本人のままであるので、身につけた技術や異能・霊能力を自在に行使できる。
【宝具】
『双亡亭』
ランク:EX 種別:結界宝具 レンジ:1~100 最大捕捉:500人
侵入した警察、霊能力者を幾人も飲み込んできた不祓案件の幽霊屋敷。
その実態は<侵略者>が融合した地球侵略の橋頭堡。
坂巻泥努にとっての竜宮城。
正確に双亡亭といえる(泥努が設計した)のは中心にある母屋であり、あとは用意した資材に<侵略者>が混じって半ば自動的に増築された。
外装内装共に泥努の造った「亡び」のイメエジの具現、「良い絵を描くための脳を揺さぶる」ために、建築様式、部屋、間取り、調度品が法則性なく無秩序に入り乱れている。
敷地内は<侵略者>の体内に等しく、なおかつその支配者の泥努の精神を表した空間は、心象世界の具現化……魔術の最奥、固有結界と同様の分類と見做された。
窒素濃度を薄くし、酸素濃度を濃くする事で<侵略者>の活動を容易にする等、環境を自由に変化。時間と空間すら歪んでいる。
過去に囚われた犠牲者……一般人、警官、霊能力者、帝国軍人、母星で相対した同種の力をもらった人間の子供……がひしめき、侵入者を抹殺、同族化してくる。
サーヴァントの括りにあるとはいえ、根本的に幽霊とは異なる存在であり、対霊に特化しすぎた攻撃は大きく効果を減じてしまう。
召喚直後から現在まで、豊島区沼半井町2-5-29にそのまま実体化している。
完全に土地に根付いてしまっており、宝具を解除する事ができないが、魔力消費もごく軽微に留まっている状態。
既に数人の葬者の魔術師を<成り代わり>に変え、手駒を増やしている。
『黒水星来たるべし』
ランク:B 種別:対衆、対星宝具 レンジ:測定不能(地球全域に相当) 最大捕捉:測定不能(地球全生命に相当)
<侵略者>は、自分の体を平面に広げる事で、同種間でも空間転移の門を開く事ができる。(この他、双亡亭を爆破された粉塵でも同様の効果を発揮)
これを利用して全ての同胞を母星から地球に連れて行くのが彼らの本体の目的だが、泥努にその権限を奪われ、門となる体で描いた絵も「人の心に働く粒子」で定着され繋がらなくなってしまった。
この宝具はその封を解禁し、泥努の描いた絵全てから本体の水を出す召喚宝具。
惑星を覆う量の鉄砲水というだけでも脅威だが、真に恐るべきは窒素のない空間で増殖するその特性。
仮に地上の海に一滴でも到達すればその時点で手がつけられない大繁殖を遂げ、人類滅亡が確定する。
門になる巨大な絵を描いて泥努が許可さえすれば容易に使用可能な宝具であるが……その「泥努がよしとする」事こそが一番の難関。
我を忘れるほどの憤死しかねない怒りを抱かない限り、自身が満足する集大成の絵画が完成するまで絶対に妥協しない芸術家の偏屈こそ、宝具発動の最大の欠点であるといえよう。
泥努が死亡した場合、絵の封が自動的に解かれ水が溢れてしまう、自爆宝具の側面も持つ。
『双亡亭壊す可し』
ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:─ 最大捕捉:双亡亭
一人で屋敷の奥に籠もって延々と絵を描いた男は悟る。
「絵描きは…どんなにこの世が煩くても…竜宮城に行ってはならないのだと……」
絵のモデルにした女、その弟、旧友の軍人、売れない画家との交流、勝負、その結論。
効果は双亡亭の消滅。即ち泥努と<侵略者>の消滅。
消滅の直前の記憶を持っている泥努は、召喚されれば即座にこの宝具を使用し双亡亭を破棄する。
これを泥努の支配の外から未然に防ぐため、<侵略者>は召喚に先んじて泥努の全盛期を「双亡亭で絵を描いた時期」に設定。
本編軸の記憶と共に、この宝具を封印させた。
【weapon】
侵略者の水で作られた生物郡、成り代わられた犠牲者。
水中での活動に適した形に合わせた、水中生物の姿を取る事が多い。
泥努は侵略者を上回る精神力、発想力によって、より高度で複雑な攻撃手段を構築可能。
成り代わりも、泥努の一筆を書かれた個体は能力が向上し、双亡亭内での活動時間も増加する。
【人物背景】
売れない画家。
【サーヴァントとしての願い】
泥努:絵を書く。
<侵略者>:生きる。
【マスターへの態度】
泥努:応尽の代わりの小間使い。絵にも自分にも文句を言わず賛美してくれるので態度は抑えめ。
見える「色」は強烈過ぎるので、モデルには向かない。
<侵略者>:泥努の支配を解く鍵。一気に支配しようとすると泥努に勘づかれるため、少しずつ誘導していく。令呪を手に入れてしまえばこっちのものよ!
詠子の中の<侵略者>:てぃきゅりいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい
【マスターとしての願い】
不明。
【能力・技能】
生存率が千億分の一の『絶対型』異障親和型人格障害といわれる霊感持ちで、規格外の霊視能力を持っている。
絶対的な異物感と超常姓から常人は本能的な恐怖を覚え、彼女の言葉はそれが全て真実であるかのような錯覚を抱かせる。
本作での魔術は思い込みや深層心理を利用したものが主であり、その意味で魔女の言葉は呪文にも等しい。
人の「魂のカタチ」を読み、ほとんどはそれに倣った読み方で他人を呼ぶ。その人の経験が生んだ魂の歪み、本質を掴む一種の真名看破。
異界との異常な親和性でむこうの存在と意思疎通を果たしており(少なくとも本人はそう思い、それらはその通りに動いてくれる)、
彼らに干渉する形で様々な怪異を起こし、関わった人間を破滅させる。
肉体的には普通といったが、頸動脈をナイフで裂かれてもしばらく動いたり、血を飲んだ者に自身の霊感と同調させたり「できそこない」の形が崩れるのを留めたりと、体質的にはほとんど【異界】側に置き換わってると思しい。
【怪異】【異界】とは文字通り人間の世界とは異質かつ高次元な存在。
こちらから認識されず、逆に干渉もされない、目的も思考もあるかも定かではないが、向こうは常に現世の人間との接触を図っている。
そのために怪異は人間に自分を認識されるため、【怪談】や【都市伝説】といった【物語】を媒介とし、それを見知った人間を因に現世に進出する。
「等数学の数式は意味を介さない者にとってはただの記号の羅列に過ぎないが、公式を知っている者はそこから意味を見出すことができる」という理屈で作中では説明されている。
【人物背景】
魔女。
【方針】
まずはしのさんが自由になれる「物語」を作りたい。
泥努さんも、もっと色んな人とお話してみたらいいのになあ。
【サーヴァントへの態度】
泥努:泥努さん。怪異をねじ伏せる魂の力と強い願いに好感を抱いている。
<侵略者>:「人魚姫」「八百比丘尼」「人魚姫」。「しの」さんと呼び、宇宙からの「ともだち」として好感を抱いている。
最終更新:2024年05月23日 22:32