ふたば系ゆっくりいじめ 933 まりしゃのおうち

まりしゃのおうち 4KB


小ネタ 虐待なし。短いです。

気配を感じて視線を下にやると、顔を出しているまりさと目があった。
「ゆゆっ! こ、ここはまりしゃのおうちなのじぇ! まりしゃのおうちなのじぇ!」
「いや、ここは一応私の家の庭なんだが……」
「ここはまりしゃのおうちなのじぇええええ!! ゆんやああああああ!!」
いきなり号泣だ。
「落ち着け、まりさ。別に怒っている訳ではないんだ。ただここは私の――」
「まりじゃのおうぢいいいいいいい!!」
目から口から泌尿器から、まりさは体中の穴という穴から液体を垂れ流している。
いったい何だと言うのか。
だいたい十日ほど前に掃除をした時には、庭にゆっくりなんていなかったはずだ。
――そういえばと、ふと思い出す。
それを聞き出すには、とりあえず宥めなくては。
「……ああ、わかった。ここはまりさのおうちだ」
「ゆっ! ここはまりしゃのおうちなのじぇ! ゆっくちしていっちぇにぇ! ゆっくち! ゆっくち!」
泣き止んだどころか、すでに笑顔になっている。
情けない事に、知らぬ間に家の敷地の一部を不法占拠されていたらしい。いや、私が認めたことで、すでに「不法」ではなくなったか。
思わず天を仰いだ。今夜の空は雲に覆われ、月も星も見えない。
私はその場に屈み、まりさの顔を覗き込んだ。
そしてさっき頭に浮かんだ事を尋ねてみる。
「なあ、まりさ。そこにある草花だが、おまえ食べたか?」
「むーしゃむーしゃしたのじぇ! なかなかおいちいくさしゃんだったのじぇ?」
やはり。
昨日、今日と、花壇に植えてある草花の損傷に気付いた。
虫食いにしてはあまりにも傷が派手すぎる。猫か何かが花壇を荒らしたのだと思っていたが、なるほどこいつの仕業だったか。
それにしては餡子の跡がなかったな、と思いながら、犯人を見て納得する。
このまりさはピンポン玉より少し大きいくらいの体躯だ。おそらく排泄される餡子の量も少ないので、私が気づかなかっただけだろう。
私は自分の迂闊さに苦笑した。
精魂込めて、とまではいかないが、それなりに手を入れてきた草花だったのだが――。
ところで、赤ゆっくり言葉も抜けていないようなまりさが、なぜこんな所に一匹でいるのだろうか。
親ゆっくりはどうしたのだろう。
それを聞いてみると、
「こうえんで『いっしぇーくじょ』があったのじぇ!」
という事だった。
そういえば回覧板に「加工所による公園内のゆっくり一斉駆除のお知らせ」があった。あれか。実施日は、つい三日前だったと思う。
「ゆっくちできにゃいにんげんしゃんが、たくしゃんやってきちぇ……ゆええええええええん!! まりしゃたちのおうちがああああああ!!」
また泣き出してしまった。顔面汁まみれだ。
どうにか事情を聞き出してみたところ――いい加減、私も暇人だ――まりさ一家の住んでいたダンボールはひっくり返され、その場で破壊されてしまったらしい。
さらに一家は公園から脱出する途中で離散。まりさは両親と離れ離れになってしまった。ちなみに姉妹はあっさり潰されたとか。
まりさはパニックに陥りながらも、こうなったら「いっこくいちじょーのあるじしゃんになるのじぇ!」とばかりに、新しいおうちを探したのだそうだ。
泣き虫のくせに骨のあるゆっくりだ。己を省みないこの無謀な行動力が、まりさ種の特性なのだろうか。
そして恐らく運もいい。加工所の一斉駆除から逃げきるなんて、そうそうできることではない。
両親もすでに生きてはいないだろう。
「なるほど。それで私の庭――ここを新しいおうちにしたんだね?」
「そ、そうなのじぇ! ゆっくちりきゃいできたかじぇ?」
「ああ、理解したよ。――ところでまりさ。そのおうちは快適かな? 狭くはない?」
「とってもゆっくちしたおうちなのじぇ! てんじょうしゃんはたかくて、まんまるないりぐちやおへやは、まりしゃにじゃすとふぃっとなのじぇ!」
「はは、そうか」
家の備品を褒められて悪い気はしない。
成体ゆっくりには入ることすらできないだろうが、ごく小さいまりさの体にはぴったりのサイズだったようだ。
「にんげんしゃん! まりしゃはもうおねむのじかんなのじぇ!」
「ああ、それはすまなかった」
言いながら、私は再び天を仰いだ。一面真っ黒だ。
まりさの言う『天井』が目に入った。
「にんげんしゃん! これからよろちくなのじぇ!」
「ん?」
『天井』を伝って、まりさ曰く『まん丸な入り口』――実際は『出口』なのだが、そこから顔を出しているまりさに視線を移す。
「まりしゃ、ごきんじょしゃんとはなかよくちたいのじぇ!」
「そうか」
「にんげんしゃん、またあしたなのじぇ! ゆっくちしていっちぇにぇ!」
「はいはい、ゆっくりゆっくり」
まりさは顔を引っ込めた。まだ7時過ぎだが、もう寝てしまうのだろうか。
口は悪いが性格はそうでもないらしい。かわいいものではないか。
それにしても。
「また明日、か――」
私は腰を上げた。
『おうち』の致命的な欠陥を、まりさに教えてやるつもりはない。そんな義理はないし、花壇のこともあるからだ。
即座に加工所に連絡しないだけありがたいと思ってもらいたい。
顔にぽつりと冷たいものが当たった。天気は予報通りになりそうだ
足元のまりさのおうち――雨どいの排水口を一瞥して、私は家に入った。


(了)


作:藪あき


いふ挿絵 byM1

いふ挿絵 byM1

以前書いたもの……



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感想

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  • まりちゃぁぁぁぁそこからでてぇぇぇぇぇ -- 2020-08-31 22:29:15
  • 今すぐそこから出ろおおおぉぉぉ・・水が -- 2018-08-27 22:40:54
  • 可愛い -- 2015-09-21 22:30:17
  • 今更コメする俺かっこ悪い
    面白いなぁ。楽しみ。想像が広がるぅー -- 2015-06-03 22:18:49
  • まりちゃのからだがとけりゅうう -- 2015-03-30 11:40:17
  • 蓋を閉めようぜ!! -- 2014-08-02 09:09:07
  • まりちゃぁぁぁぁぁ -- 2014-06-19 16:21:29
  • なぜこいつらは用水路とか排水口とかに住み着くのだ・・・自殺志願者なのか・・・? -- 2014-06-05 18:15:10
  • イイハナシダナー(´;∀;`)ザマァ -- 2014-03-21 02:25:48
  • あまあまと称してタバスコ体にかけてやろうか?一生ゆっくりできるぞ?
    -- 2014-02-17 16:58:13
  • ゆっくちちちゃけっきゃがこりぇぢゃよ!! -- 2014-01-05 01:12:16
  • まりちゃオワタwww
    \(^ο^)/ -- 2013-07-10 15:15:58
  • 雨もうふり始めてるしwwwまりちゃオワタwwww -- 2011-10-16 00:33:52
  • クズまりさが死にゆくのはいいねえ、ゆっくりできる -- 2010-12-18 21:09:41
  • 心温まる良い話じゃないか…
    ・えちょ 早く雨フレーw -- 2010-11-26 21:10:29
  • あめさんはやくふってね
    たくさんでいいよ! -- 2010-11-15 19:07:14
  • 水の通り道に住み着くのは確実な死亡フラグだな -- 2010-09-11 22:57:06
  • まりさ…末短くお幸せに… -- 2010-09-05 23:42:52
  • ゆっくりの分際でなに戯言ほざいてるんだか・・・まあすぐ死ぬか。ざまあ。 -- 2010-08-31 00:04:46
  • いかにもM1好みのオチだな -- 2010-08-27 17:40:09
最終更新:2010年03月05日 17:51
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