ゆ身売買 32KB
※独自設定垂れ流し。
※虐待成分無し。
※現代設定。
※設定文章が多くてごめん。
※会話文章が多くてごめん。ひらがなばかりはよみにくくてゆっくりできないね!
※前回れいむヘイトだったので、今回は優遇されてます。まりさは相変わらずヘイトしてます。
※正直、「
ふたば系ゆっくりいじめ 417 ゆっくりブリーダー」とネタがかぶっている上、あちらのほうが
出来がよくてヘコんでます。
※さらに「さよなら!ゆっくりまりさ!」とも一部ネタがかぶってます。あちらのほうが
秀(ry。
※餡子ンペ出展。テーマは『群れ(ミニ社会化)』なんですが…。ちょっとテーマと関連が
弱いかも…。
※じゃりあき様の「かわいい いもうと」からインスパイアされた部分があります。
じゃりあき様のれいむはかわいいよね!
コンクリートの道をゆっ、ゆっ、と飛び跳ねる物体。赤いリボンが特徴的なゆっくりれいむだ。
その後ろ、なにやら小型の生き物(?)がれいむについていっている。
赤いリボンと黒い帽子の2匹。同じくゆっくりれいむとゆっくりまりさ、どちらもまだ子ゆっくり
だ。
街中を飛び跳ねる親子。その向かった先には人間用のドアと、ゆっくりが押せるほど下に取り付け
られたブザーのスイッチがある。
親れいむがためらいもなくスイッチを押した。
「は~い。」
そしてドアから出てきたのはエプロン姿の女性。エプロンには「ゆっくりショップ ゆじま」
の刺繍がしてあった。
親れいむは出てきた女性に言う。
「おねえさん!うちのおちびちゃんを、ゆっくり買い取ってね!」
「ゆ身売買」
必殺引篭り人
ここはどこにでもあるような地方都市。このごくごくありきたりな街の特徴を探そうとするなら、
街ゆっくりと良好な関係を保っている、というところだろうか。
山や森が近くにあるこの街は、以前は野良ゆっくりに悩まされていた。花壇をあらす、学校に
進入する、ゴミをあさって散らかす、車の前に飛び出す。ありとあらゆる害がゆっくりに
よってもたらされ、街の人間を困らせていた。
ゆ害に怒った住人が強硬手段にでた町もある。しかしこの街の住人は、言葉をしゃべり、感情
を吐露するこの生き物(かどうかも怪しいのだが)に多少なりとも憐憫の情を持っていた。
さりとて某ゆっくりんぴーすのような、過激な保護まではする気はない。
駆除すること自体は賛成だがジェノサイドまで行くのは忍びない(し、後味が悪い)。
そういう、なんとも歯切れの悪い住人が大半だったのだ。
あれでゆっくりがもう少し物分りがよければ飼うのになぁ。そんな、神様でもさじを投げる
ような叶わぬ願いを抱く住人たち。
しかしそれをかなえようとする人間がいた。ゆっくりのせいで犬(ゆっくりを追いかけてしまい
一緒に散歩している人間を急に引っ張って危険)、猫(ゆっくりから攻撃を受けて怪我をしたり、
逆に狩ってきてしまったり)が売れなくなったペットショップの組合だ。
街の平和のため、そして最終的には売り上げアップのため、ペットショップ組合は立ち上がった。
要するに問題なのは人間の街に適応できないゆっくりなのだ。街での生き方、身の処し方を
わきまえているゆっくり達は野良とはいえ、街の人間からそれなりの対応をしてもらっていた。
つまり対処するのは以下のゆっくり。
(1)ゲス。窓を割って進入、お家宣言やら略奪をする。花壇に侵入するなど。
(2)バカ。堂々とゴミをあさる、何度教えても人間の街の掟を学ばない。
(3)注意散漫。子供がお菓子を食べているのを見て、道路を横断するようなゆっくり。
(4)自分勝手。赤ゆっくりはかわいいから、これを見せればなんでも許される、
自分はかわいそうだからなど論理破綻をおこしている。
これらを除けば、それなりにゆっくりと人間は共存できるのだ。まあ野良ではあるのだが。
地域猫の考えに多少近い存在にはなれる。
しかしこの (1)~(4)、矯正と教育でどうにかなるようなものではない。それは今まで学者
やら愛で or 虐待お兄さん達の努力の結果から判っている。
そこでペットショップ組合はより根本的な方法、つまり「淘汰による適応進化」を
実践することにした。
「いいかい?あと3回お日様がのぼったら、その日は絶対にお家から出ちゃダメだよ?
どんなことが聞こえても、絶対にお家からでちゃダメ。
出ると、ものすごくゆっくりできなくなっちゃうから。」
「ゆっ!れいむわかったよ!にんげんさんのいうこと、ちゃんときくよ!」
「まりさもわかったよ!」
口々にゆっくり達が答える。公園に集まった野良ゆっくり達に、組合のお兄さんが
注意を伝えている。
「じゃあ、ゆっくりフードをわけてあげるね。今言ったことは、ほかのゆっくりにも
教えてあげてね!」
「わかったよ、おにいさん!」
「まりさがちゃんとつたえるよ!」
「ちゃんとつたえるわ!べ、べつにおにいさんのおねがいだからじゃないわ!
ごはんさんをもらったから、しょうがなくなのよ!?」
「みょんもみんなにおしらせしてくるんだみょん!」
お兄さんが袋をひっくり返してバラまいたフードを集めながら答える。
このような光景が、街のいたるところで見かけられた。
そして迎えた3日後。ゴミ収集車に掃除機をくっつけたような不恰好な車が何台も街を走る。
「あまあま~、あまあまだよ~!あまあま欲しいゆっくりは寄っといで~!」
大音量で、ゆっくりを確実に引き寄せる曲を流す。曲は野良ゆっくりれいむに歌って
もらっているので、とってもゆっくりした曲になっている。
「ゆゆゆっ!れいむのこえなのぜ!」
「あまあまがもらえるなんて、なんてとかいはなの!」
「わかるよー!きょうはかみさまがくれたたからもののいちにちなんだねー!」
「ゆー!やっとれいむのちからをみとめたんだね!まったくこのまちのにんげんはぐず
ばかりだね!」
都合のよいことを口走りながら車に寄ってくる野良ゆ達。しかし彼らの希望はあっという間に、
吸い込まれていった。
文字通り、体ごと一気に。
強力な吸引力が衰えることなく野良ゆ達を吸い込んでいく。
「な、なんなのぜぇぇぇ~!?」
「ご、ごんなのどがいばぁ~!!??」
「わがらないんだよ~!?」
「でいぶはじんぐるまぁああざぁぁ~!?」
どんどん吸い込んでいく。ゆっくりが絶対に逆らえない言葉の一つ、「あまあま」を使って
一網打尽である。
しかしゆっくりは絶滅しなかった。この大虐殺を生き延びたゆっくりもいるのである。
「お、おかあしゃん!?おしょとがきょわいよぉぉ!」
「れいむのおちびちゃん!ゆっくりしていってね!おうちのなかにいればゆっくりできるからね!」
「まりしゃもきょわいんだじぇぇぇ!?」
「おうちのなかにはこないって、にんげんさんがいってたんだぜ!おちびたちはまりさをしんじる
んだぜ!」
「そうだよ!おとうさんとおかあさんをしんじてね!」
「「ゆ、ゆっくりりかいしちゃよ(じぇ)!」」
人間の指示をしっかりと守っているゆっくり達はちゃんと生き延びたのである。
ゲス、バカ、自己中、注意散漫なゆっくり達はあっさりひっかかって虐殺されていく。
「ゆっ!おしょとからあみゃあみゃしゃんのこえがしゅりゅよ!」
「ありしゅ、あみゃあみゃしゃんほしいよ!」
「だめよおちびちゃん!おうちにいないゆっくりは、いなかものよ!」
「そうだよ!にんげんさんがおうちにいればあんぜんっておしえてくれたんだよ!
れいむとありすのおちびちゃんならりかいできるよね!」
「「しょんにゃのどうでみょいいでちょ!あみゃあみゃほしいよ!」」
「どぼじでぞんなごどいうのぉぉー!?」「
「どがいばじゃないわぁぁぁー!?」
「みょういいよ!れーみゅはあみゃあみゃもりゃいにいきゅよ!」
「ありしゅもときゃいはにもりゃってくりゅよ!」
「だ、だめよおちびちゃん!おそとはあぶないのよ!」
こうして赤ゆっくりを追いかけていった親2匹も、仲良く吸い込まれていった。
子供を監督できない、教えられないようなゆっくりも等しく虐殺である。
ペットショップ組合の説明はこうだ。
まずゲス等の矯正不能個体はすべて排除(虐殺)。これは街に被害を出すからしかたがない。
しかしそれ以外は残す。悪さをしていないのに殺すのはかわいそうだ。
それを何世代かに渡って続ける。ゆっくりは短命。特に街の野良は寿命は短い。せいぜい3年、
長くても5年である。世代交代はそれこそ1年もかからない。
こうして学習する、人間の掟には従うゆっくりだけを街ゆっくりとして残していく。
これを繰り返せばゆっくりは街に適応する(というか、適応しないゆっくりはすべて死ぬ)。
進化学でいう「淘汰圧」を人間が与えてやるのだ。これにより、進化という名の適応が
すすむ。街に害を与えないゆっくりだけが繁殖するのだ。
一度このようなゆっくりが繁殖すると、ゲス等の個体が出にくくなるのもうれしいところだ。
街に適応したゆっくり集団に対して、たとえば外部から別の個体が来たとしよう。
当然そいつは問題を起こす。するとゆっくり集団は街から攻撃される危険が高まると判断、
これを排除する。
集団内部から発生した異分子もこうやって排除される。
街の人間の中には排除に抵抗を示すものもいたのだが、最後には折れてこの計画を承認した。
道路に飛び出して、子供と勘違いしてハンドルを切ってしまった車が店に飛び込む事件も起き、
ゆ害が改めて問題になったことが最終的な理由だった。
こうして街のゆっくり達は、人間と共存できるものを除いてどんどんといなくなっていった。
そして数世代が過ぎる。
ペットショップ組合は次の手を打った。ただ売り上げアップを待つようでは
この生き馬の目を抜く世の中、生きていけない。街を救うという表向きの裏で、次の策を
進めていたのだ。転んでもタダで起きたら貧乏人。タダより高いものはないのだ。
街のためにお金をだした組合が、その投資を回収する手段。もちろんペットとして
ゆっくりを売るのだ。ただし、ただのゆっくりには興味ありません。
この中に「野良出身だけど物分りがよいゆっくり」がいたらペットショップに来なさい!
以上!
ではなく。
そういう付加価値のあるゆっくりが求められ始めたのだ。
ゆっくりがペットとして広まってから、しっかりした教育による高品質ゆっくりが市場に
あふれるようになった。これはこれで人気があるものの、人間満たされるとさらに欲が
出るもの。ちゃんとした敬語を使ったり、お家での作法をしっかり学んでいるようでは
もはやゆっくりではない、というわがままな意見が出てきた。
さりとて単なる野良では物分りが悪すぎる。ひとつ教えるのに一ヶ月などザラである。
それではペットたりえない。
ペットショップ組合は悩んだ。野良出身でありながら物分りがよい、覚えがよいゆっくり。
口調や仕草は野良、お家での作法はあまり知らない。でも人間が教えるとちゃんと覚える。
こんなゆっくりがいればいいのに。
そこで考えたのが先ほどの処置。ゲス等を減らし、街に適応できるゆっくりを増やす
計画だ。これにより野良っぽい飼いゆっくりをペットショップが生産するという手間は省けた。
街に行けばそんなゆっくりばかりなのだから。
次に組合は残ったゆっくり達に取引を持ちかけた。
「子ゆっくりを『巣立ち』させないか。」
「われわれがゆっくりさせてくれる飼い主さんを探してあげる。」
「街で野良生活をするよりも、ずーっと良い生活が子ゆっくりを待っている。」
「ただし、子ゆっくりは親がしっかり教育すること。飼い主さんのところで粗相をすれば
子ゆっくりはすごくゆっくりできなくなる。」
「教える内容は我々が親ゆっくりに伝える。忘れないよう、紙に書いたものもあげよう。」
「子ゆっくりの様子はいつでも教えてあげる。飼い主さんから写真をもらえるからね。
そして子ゆっくりが飼い主さんをゆっくりさせてあげられていれば、
子ゆっくりがゆっくりプレイスに行けたお祝いとして、フードを上げるよ。」
そう、悪魔のささやきを聞かせたのだ。
残った親ゆっくり達にバカはいなかった。だからこの提案が魅力的なものであることはすぐに
理解した。
いくらゲスを筆頭とした、街の害ゆがいなくなったとはいえ、依然として街はゆっくりが住むには
苦労の絶えないプレイスだ。
足りないゆっくり成分を求めて赤ゆっくりを増やそうとしても、食べ物がなかったり
お家が狭かったりと、どうしても無理が出てくる。子沢山はゆっくりできるが、街でやろうにも
増えすぎると自分の首を絞めてしまう。
正直、巣立ちさせるには子ゆっくりは幼い。まだ親ゆですら子離れができないくらいだ。
しかしこのまま野良生活で苦労させるよりも、子ゆっくりがゆっくりプレイスに行けたほうが
うれしい。
それにぶっちゃけ、食い扶持が減ることはありがたかった。食べ物が少ないなら、
食い扶持を減らせばいい。それだけ残った家族に食べ物がいきわたる。
子ゆと別れるのはつらいが、残された家族がおなかいっぱいご飯を食べられることも大切だ。
さらに飼い主さんを満足させられたなら、ペットショップからご飯がもらえるらしい。
子ゆっくりはプレイスでゆっくりし、残された家族もご飯がもらえてゆっくりできる。
少し寂しくはあるが、両者とも幸せになるのなら万々歳だ。
街の野良ゆっくり達は、ペットショップの提案に乗った。
その日から、親ゆっくり達の勉強が始まった。各ペットショップに集まり講習を受け、
教育内容の書かれた紙をお家に持って帰って子ゆっくり達に教え込んだ。
子ゆっくりは突然降って沸いた教育に、ゆっくりできないと泣き出すものが続出したが、
親ゆっくりに説き伏せられてしぶしぶ従っていった。
そしてはじめての試験日。親ゆっくり達は子ゆっくりを連れ、ペットショップに集まった。
「おねーしゃん!れいみゅあみゃあみゃしゃんがたべちゃいよ!」
「あまあまはまた今度ね。」
「ゆーん…、わかっちゃよ…。でも、こんどはちょうだいにぇ!」
「はいはい。じゃあご飯ね。どうぞ。」
「ゆわーい!むーちゃ、むーちゃ、ごっくん!ち、ちちちあわちぇぇー!」
「まあ、ごっくんしてきれいにたべるのね。」
「おかーしゃんにおちえてもらっちゃの!たべものしゃん、たいしぇつだきゃら、
こぼしゃないようにって!」
「えらいわね。」
「ゆーん!おかーしゃんはゆっくちしちぇるゆっくちだもん!あちゃりまえだよ!」
そばでハラハラとしながら見ていた母れいむも、スムーズにすすむ試験にすこし安心して
きたようだ。
この子れいむはもちろん合格。野良出身である口調、仕草をしており、また失敗はあるものの
聞き分けよく注意を聞いて直していくという、まさにペットショップ組合が望んだとおりの
ゆっくりだった。
母れいむは最後に子れいむを揉み上げでひっしと抱きしめると、「にんげんさんをゆっくり
させていってね!」と別れの言葉を伝えた。
ペットショップからお祝い金としてゆっくりフード(ゆっくりでも開けやすいパッケージ)
をもらうと、街中のお家へ帰っていく。
ペットショップの窓から、子れいむは寂しさを感じさせつつも、巣立ちへの期待をにじませた
まなざしでそれを見ていた。
「ゆっ!しゃっしゃとまりしゃしゃまにあみゃあみゃだしゅんだじぇ!」
「こら、人間にむかってそういう口の聞き方をしちゃだめだろ。」
「にゃにいっちぇるんだじぇ!?くしょどりぇいはしちゃがうしきゃのうがにゃいんだきゃら、
もんきゅをいわじゅにまりしゃしゃまに『ほーし』しゅりゅんだじぇ!」
「…失格!」
「ゆがーん!お、おちび!なんで教えたとおりに言わないんだぜ!?」
もちろん一夜漬けでは受からない。親まりさはいまだに文句を言う子ゆっくりを帽子にのせる
と、ずーりずーりと帰っていった。
「うちには子まりさがいるんだけど、仲良くお友達になれるかな?」
と言って写真を見せると、
「むほぉぉぉ!?まりしゃはちいしゃいわにぇぇぇー!だいじょーぶよ!ありしゅがときゃいは
なあいしかちゃをれくちゃーしちぇあげりゅわー!」
あっという間にレイパー誕生。
「退場っ!」
「ち、ちびちゃんん!?どうしてれいぱーになっちゃうのぉぉ!?」
親ありすの願いもむなしくレイパー化する子ありす。これも排除される。
「ちぇんのおちびちゃんはゆうしゅうなんだねー。わかるよー。」
「じゃあ計算問題を答えてみて。1+1=…?」
「うるしゃいんだねー。おにいしゃんはばきゃなんだねー。ちぇんがしょんにゃみょんだい
こちゃえるみゃでもにゃいんだねー。」
「そうなんだよー。おにいさん、さっさとじぶんがばかだってきづいてねー。」
「ゲスと認定。排除します。」
ゲスはもとより排除の対象。その日から、このちぇん親子は街の中で見かけなくなった。
どこへ行ったかは誰にもわかない。
悲喜こもごも、初めての巣立ち試験はなかなかに大騒動だったが、人間もゆっくりも徐々に
この状況に慣れていった。
ペットショップに陳列された野良出身の子ゆっくりは飛ぶように売れた。自分でしつけをしたい
(でも覚えが悪いのはイヤ。手軽に教え込む達成感を味わいたいの☆)という
(若干ワガママな)客は、実は多かったのだ。
ペットショップ組合の目論見はスマッシュヒットだった。人間がゆっくりを教育するのは難しい。
結局のところ体罰やらお仕置きやらでゆっくりさせない、という方法になるし、なにより
手間がかかり過ぎる。人件費としつけの成功率を勘案すると、赤字になることもしばしばだ。
だから親ゆっくりに教えさせる。親ゆは子ゆのために必死になって教えるから成功率もわりと良い。
人間の手間は講習会と試験だけで人件費も抑えられる。
なにより一度に大量の子ゆっくりを教え込めるのが大きい。人間がやったら何人必要か
わからない作業も、個々の家庭でやれば並列作業で効率が良い。
手間と人件費を抑え、質の高い子ゆっくりだけ売り出し、ダメな個体は親ゆっくりにつき返す。
ペットショップの収益率は飛躍的に高まった。
では子ゆっくりはどうなったのか。
買われて行った子ゆっくりは、慣れない人間との生活にはじめはゆっくりできずにいたが、
元々物覚えの良い個体として選別されたゆっくりである。飼い主さんに教えられ、覚え、
そしてだんだんとゆっくりできるようになっていった。
飼い主さんも覚えのよい子ゆっくりへ教えることに達成感を覚え、お互いにゆっくりとした
生活ができるようになった。
今日も母れいむがペットショップへ来た。
「おねーさん、こんにちは!おちびちゃんたちのようすをゆっくりおしえてね!」
「まあ、れいむ。こんにちは。れいむのおちびちゃんたち、飼い主さんのところでとっても
ゆっくりできてるわよ。飼い主さん達も、おちびちゃんがとってもいい子ですごくゆっくり
できるってほめてたわ。」
そういって、飼い主からもらった写真やビデオを母れいむに見せた。
子ゆっくりはれいむ、ありす、れいむの3種。どの子も楽しそうに歌い、お兄さんに抱きあげられ、
元気に遊び、おいしそうな山盛りのご飯をむしゃむしゃしていた。
「ゆゆーん!れいむのおちびちゃんたち、とってもゆっくりしてるよぉ!」
「うちのショップじゃ、れいむの子が一番評価が高いわ。だから、今日は特別にご飯に
ケーキをつけてあげる。」
「ゆゆんっ!れいむうれしいよ!つぎにしけんをうけるおちびちゃんも、とってもいいこだよ!
つぎもゆっくりおねがいするよ!」
「期待してるわ。じゃ、はいこれ。」
ゆっくりフードとケーキの箱を受け取り、母れいむは意気揚々とお家へ帰って言った。
「おかあしゃん!ゆっくちおかえりー!」
「おちびちゃん、ゆっくりただいま!きょうはとくべつにけーきさんをもらったよ!」
「ゆわーい!けーきしゃんはゆっくちできりゅからだいしゅきー!」
店の裏口で待っていた子れいむがぴょんぴょんとうれしそうに飛び跳ねる。
これも教育の一環。街の歩き方、そしてお店の前でちゃんと待つ忍耐力を教える訓練だ。
母れいむは頭はあまりよくなかったが、教育者としてはなかなかの腕前だった。
街の害ゆ駆除の直前、れいぱーありすにすっきりさせられてしまい、母れいむは4匹の赤ゆっくりを
にんっしんっしてしまった。途方にくれた母れいむは、それでも赤ゆっくりを大切にしようと
決めた。れいぱーは許せないが、赤ゆっくりに罪はないからだ。
ほかの野良ゆっくりになんとか協力してもらい、4匹ともを産み落とした母れいむは、
すぐにペットショップの提案に乗った。それしか赤ゆっくり達を育てる方法がなかったからだ。
赤ゆっくりは上かられいむ、ありす×2、そしてれいむの4匹。
姉れいむの教育は本当に大変だった。試験に落ちること3回。そのたびにペットショップから
指導を受けて教育を続けた。幼いゆっくりを4匹も抱えての教育は苦難の連続ではあったが、
姉れいむはお姉さんとしての自覚が強かったため、なんとかペットショップ入りすることが
できた。
そして姉れいむは飼い主さんに買われていった。さびしくもあったが、なによりご飯を
ペットショップからもらえるようになったのは本当にありがたかった。
母れいむは続けて2匹の子ありすの教育にも取り掛かった。姉れいむへの教育を元に、
今度はより野良らしく、しかし物分り良く育てていく母れいむ。
苦労は実を結ぶ。2匹の子ありすはすぐに飼い主さんを見つけた。しかも妹のほうの
ありすはなんと芸能界デビューまで果たす。ゆっくりユニット(略して『ゆニット』)
の『Be For Yu!』のメインダンサーとしてデビューしたのだ。
「ゆー!おかあしゃんみて!おねえちゃん、しゅごくゆっくちしちぇるよ!」
ペットショップに置かれたテレビに、Be For Yu! が映し出された。妹ありすが見事なダンス
を決めている。両脇にはれいむとみょん。この3匹が Be For Yu! だ。バックダンサーは
4匹のちぇん達。
妹ありすは母れいむのお歌じょうずを受け継ぎ、歌唱力が抜群だった。それもゆっくりが
好む歌ではなく、人間が聞いてゆっくりできる歌だ。
「ゆーん!おねえちゃん、とっちぇもときゃいはだね!」
「そうだね。おねえちゃんはとってもとかいはだね。おちびちゃんもはやくおねえちゃん
みたいに、いいかいぬしさんにであえるようがんばろうね!」
「……ゆー、しょうだね…。」
なぜか子れいむは落ち込んでいる。
「どうしたの?しけんさんがこわいの?おちびちゃんはとってもききわけがいいから、
しけんさんはごうかくまちがいなしだよ!」
「ちぎゃうの。れいみゅ、おかあしゃんとはにゃれたくにゃいよ…。」
「おちびちゃん…。おかあさんもおちびちゃんとわかれたくないよ。でも、いっしょうのら
ですごすのは、とってもたいへんなことだよ。」
「ゆー…。」
それは子れいむにもわかっていた。いままでどれだけ辛い思いをしてきたか。
食べ物は満足にむしゃむしゃできない。猫や犬に追いかけられたことはしょっちゅうだ。
寒い日には餡子の芯まで冷え切ってしまった。風が吹いてホコリをかけられたり、
太陽に焼かれたり、雨に溶けてしまいそうになった。
飼い主さんのもとでなら、そんなことはおきない。それはわかっていた。
それでも子れいむは母れいむと別れたくなかった。
「おちびちゃん、よくきいてね?ゆっくりはいつか『すだち』をするんだよ。
それはしぜんなことだよ。…たしかにおちびちゃんはまだちいさいよ。
でも、まちではすだちはちいさいときにするものなんだよ!ゆっくりりかいしてね!」
「ゆー…、ゆっくち、りかいしゅりゅよ…。」
突然、暖かいものに子れいむは包まれた。母れいむのもみ上げがぎゅっと子れいむを抱きしめた
のだ。
「おかあさんのためにも、おちびちゃん、どうかかいぬしさんとゆっくりしてね。
おちびちゃんがかいぬしさんとゆっくりすると、おかあさんもゆっくりできるんだよ。」
「…ゆっ。わかっちゃよ。れいみゅわかっちゃよ!しけんさん、がんばりゅよ!」
「よくいえたねおちびちゃん!それでこそれいむのおちびちゃんだよ!」
2匹は元気を取り戻し、意気揚々と巣に戻っていった。
さて、ここで子ゆっくりへの教育内容を見てみよう。もちろん難しいことはゆっくりには理解
できない。しかし「野良だけど物分りがいい」という条件を満たすだけなら、
実は4つのことを教えれば可能なのだ。
(1)人間はゆっくりの見えないところでちゃんと静かにゆっくりしている。
(2)人間はとても力が強い。れみりゃやふらんより強い。
(3)だからゆっくりは人間をイラつかせてはいけない。人間が教えてくれることは素直に覚えること。
(4)人間をゆっくりさせるとご飯がもらえる。それはゆっくりにとっても人間にとっても幸せ。
基本、ゆっくりは人間を「すごくゆっくりしていないもの」とみなしている。それが教育の邪魔
になるのだ。人間がゆっくりを教育するときに一番問題になるのがこの思い込みで、これがある
せいでゆっくりへ教えることの大半が無駄になる。「ゆっくりしていないもの」が自分に教える
ことなど何もない、と心の底で思っているからだ(これは無意識にそう考えているのでゲスとは
違う。意識レベルで当然と認識するとゲスとなる)。
まずはこれが間違いだと教えるのが最初の一歩。
次の一歩は人間がとても強いということを教える。これで力関係を理解し、無駄な増長を抑える。
さらに人間をゆっくりさせるには、イライラさせないことがもっとも重要だ。イライラするのは
思い通りにならないとき。だから、人間に言われたことは基本、すべて素直に受け入れること。
ここまでくればもうゴールも同然だ。あとは人間をゆっくりさせるのが自分の仕事だと覚えれば
完璧である。
人間がこれを教えようとすれば、(1) に引っかかって大半が脱落する。結局、暴力と恐怖で教え込む
ことになる。人間が何を求めているのか、自分達に言い聞かせていることの後ろにある、本当の目的が
何か、それを類推できるちょっとゆっくりらしからぬゆっくりだけが、人間の教育についてこれる
ゆっくりなのだ。これでは大量生産はできない。
しかしこれをゆっくり、しかも親が教えればどうなるか。親ゆっくりは子ゆっくりからすれば
とてもゆっくりしている存在だ。だから素直に教えに従い、教育がとてもスムーズに進む。
子ゆっくりにとっても楽しく勉強ができて一石二鳥なのだ。
「ゆっ!おちび!それじゃきょうのおべんきょうをはじめるのぜ!」
「…ゆー、まりしゃ、もうべんきょうしゃんいやなのじぇ…。」
「そんなことじゃしけんさんにごうかくできないんだぜ!ほら、これをよむんだぜ!」
「ゆー…、いち、にんげんはゆっくちのみえにゃいところで…。」
「こんなにちゃんとおべんきょうさせてるのに、なんでなんどもおちるんだぜ…。まりさはひげきの
ひろいんさんなんだぜ…。」
これは、悪い例。ただ子ゆっくりに文章を丸暗記させただけでは教育の効果は出ない。この親まりさ
は子ゆっくりが試験に落ちるたび、ペットショップの店員からそのことを指導されているにも
かかわらず、手のかからないこの方法ばかりを採る。典型的なダメ親ゆだ。
しかしこういう質の悪い親の餡子を受け継いだ子ゆがペットショップに入ったら大変だ。
店員は厳格に試験を行うことでそれを防ぐ。これは街のバカを減らす(試験に受からないので結局
エサももらえない。よって餓死の可能性が高まる)効用も期待できる。
「むきゅ!おちびちゃんはちゃんとりかいしているようね!」
「むきゅんっ!もちろんよ。ぱちぇはおかあしゃんのぱちぇだもの!ちゃんとりきゃいできりゅわ!」
こちらはちゃんと教えることができたようだ。ぱちゅりー種ともなると文章を読むだけで、だいたい
伝えられる。試験に受かるのもぱちゅりー種が非常に多い。
これは、ぱちゅりー種が街での主流種となることを後押ししているので、バカを減らす効用が
またもや期待できるのだ。
「さあ、おちびちゃん!きょうもとかいはにおべんきょうをはじめましょうね。」
「おかあしゃん!ありしゅ、にんげんしゃんがれみりゃよりちゅよいなんてしんじりゃれにゃいよ!」
「ふふっ、まだちいさいおちびちゃんはしらないかもね。でもありすはちゃんとみたわ。
れみりゃをかたてであしらえるのがにんげんさんなのよ!ゆっくりとかいはにりかいしてね!」
「ゆっ!そうにゃの!?ゆっくちりかいしゅりゅわ!」
「ゆふふ…。おちびちゃんはとかいはさんね!」
こちらも成功例。ありす種は知能が高いので試験合格率も高いが、『とかいは』という謎の判断基準
により頑なに信じないこともあり、ややムラがあるのが弱点だ。
では先ほどのれいむ親子はというと…。
「じゃあきょうもおべんきょうをはじめるよ!」
「ゆっくちおねぎゃいしましゅ!」
不幸中の幸いか、れいぱーありすはよほど頭脳派だったようだ。その資質が存分に発揮されている。
「きょうはにんげんさんをゆっくりさせるほうほうだよ!まず、にんげんさんがおちびちゃんに
なにかしてほしいことをいうよ!そうしたらどうする?」
「ゆっくちできにゃいことだったらむちしゅりゅよ!」
「ゆっ!だめだよおちびちゃん!それはにんげんさんがとってもゆっくりできなくなっちゃうよ!
おちびちゃんはほかのゆっくりをゆっくりさせない、ひどいゆっくりなの?」
「ゆゆゆっ!?しょんにゃこちょにゃいよ!れいみゅはゆっくちをゆっくちしゃしぇらりぇりゅよ!」
「そうだね、おちびちゃんはゆっくりをゆっくりさせられるよね。
このまえおしえたように、にんげんさんはゆっくりにみえないところでひとりゆっくりするのが
すきなんだよ。だから、にんげんさんをゆっくりさせないのは、ゆっくりをゆっくりさせない
ことだよ!」
「ゆー?れいみゅ、わりゅいこちょをしちゃの…?」
「おちびちゃんがにんげんさんのいうことをちゃんとまもれば、にんげんさんはゆっくりできるよ!
だから、にんげんさんのおしえてくれたことはすなおにおぼえようね!」
「ゆー!ゆっくちりきゃいしちゃよ!」
これが理想的な形。おおよそ人間には理解不能の論理だが、要は比喩である。ゆっくりに対して
同じことをやったらゆっくりできない、と(同一単語を連発していて人間には気分が悪いが)
教え込むのが一番理解が早い。
この点で、れいむは教えるのが非常にうまかった。れいぱーに襲われ、周りの助けをなんとか借りよう
と努力してきたことで、相手の立場を類推する機会が多かったせいかもしれない。
「うん、合格よ。さすがれいむね!」
「おかあしゃん!れいみゅやっちゃよ!しけんしゃんにごうかくしちゃよ!」
「すごいね!さすがれいむのおちびちゃんだよ!」
今日は試験日。子れいむは当然のように試験に一発合格した。
「それじゃ、子れいむはペットショップにお泊りね。」
これは新しい環境に慣れる練習、と親ゆっくりには説明しているが、演技上手のゲスを見抜くための
措置だ。お泊りまで行ってしまうと安心しきって、ほとんどのゲスは本性を現すからである。
親れいむはあらためて子れいむを両方のもみ上げでぎゅっと抱きしめた。
「おちびちゃん、よくがんばったね!れいむうれしいよ!」
「…おきゃーしゃん…。ぐしゅっ。」
子れいむは涙声だ。いくら優秀でも、巣立ちするには幼い。
「あんしんして、おちびちゃん!おちびちゃんがかいぬしさんのいうことをちゃんときけば、
かいぬしさんはゆっくりできるよ!おちびちゃんとかいぬしさんがゆっくりすると、
れいむもゆっくりできるからね!それをわすれないでね!」
「ぐすっ、…わかっちぇるよ!れいみゅ、がんばりゅ!」
「それじゃあね、おちびちゃん。」
しかしそれを言い終わるのを待たず、突然ペットショップに轟音が走った。
「!?れいむはここにいて!ここなら安全だから!」
店員のお姉さんが部屋から駆け出した。
店の裏口は積み上げたダンボールが散らかるひどい有様だった。裏口のドアが吹き飛ばされず、
ひしゃげているだけのところを見ると、そこまで大きな爆発ではなかったようだが。
「ゆーっ!さっさとでてきてね!」
表でなにやら騒いでいるゆっくりがいるようだ。お姉さんは急いで壊れたドアを開けようと奮闘
しはじめる。奥からあわてて飛び出してきた店長が、惨状を見て一瞬固まったものの、お姉さんの
姿を見るとドアの撤去を手伝ってくれた。
「ゆっ!おそいよおねえさん!まりさはまちくたびれたよ!」
裏口前、そこにはドスまりさがぷんぷんと怒りながらいた。
「まりさ、これはなんのつもり?」
ドスとはビックリしたが、お姉さんは強気だ。すでに店長が加工所に連絡を入れに戻っている。
少し時間を稼げばすぐに対処できるようになる。
「まりさはおこってるんだよ!さっさとみんなをかいほうしてね!」
「??何の話をしているの?詳しく教えて頂戴。」
「ゆー!とぼけるき!?ぺっとしょっぷさんがまちのゆっくりたちをだましてかこうじょに
うりとばしているのはわかってるんだよ!」
「えっ!?私たちが?加工所に?違うわ!全然違うわ!」
お姉さんは驚いて口調がちょっと変になっていた。
「うそはいけないよ、おねえさん!ひがいゆっくりのしょうげんもあるんだよ!」
「本当よ!私たちは街ゆっくり達が素敵な飼い主さんと出会うお手伝いをしてるのよ!
その証拠に、お店の中から悲鳴は聞こえてこないでしょ?」
「…ゆっ、そういえばぜんぜんさけびごえとかきこえないよ?どうなって…、ゆん…、ゆん…。
そういうことなんだね?」
ドスまりさはなんだかボソボソとした声にうなづいている。
「ゆーっ!やっぱりうそをついてるんだね!かいぬしさんとかいってだましてるから、ひめいは
でないんだよ!」
「嘘じゃないわ!ほら、この写真を見て。巣立ちした子たちよ!」
お姉さんがドスまりさに写真を見せた。ドスは混乱している。
「ゆゆゆっ!?やっぱりおかしいよ…。このこたちはすごくゆっくりしてるよ!どういうことなの!?」
ドスは上目遣いで怒っている。どうやら帽子の中にいるらしい。
再びボソボソとした声がドスまりさに何やら吹き込む。
「…ゆっ!そういうことなんだね!あれは『ごーせーしゃしん』っていうんだね!」
何をどう合成するのかわかってはいないようだが、それでもドスまりさは納得したようだ。
どうもややオツムの足りないドスらしい。
「もうだまされないよ!おねえさん、まりさのどすすぱーくでゆっくりしてね!」
ドスまりさは頬に隠していたスパークきのこを一気に噛み砕く!
さすがに危険を感じ、お姉さんは店の中へ避難しようとした。
そのとき、店から何かが飛び出した!
「ゆーっ!!まって、どす!」
あの教え上手のれいむだった。
「おみせのなかにはおちびちゃんがたくさんいるんだよ!おみせをこうげきしたら、おちびちゃん
たちがゆっくりできないよ!」
ゆっくりできない、それはゆっくりにとって最大の抑止力。
ドスまりさは口の中に溜まっていたスパークを飲み込んだ。
「れいむ、そこをどいてね!そのおねえさんはうそをついてるよ!どすであるまりさにはわかるよ!」
「うそなんかついてないよ!れいむのおちびちゃんたちはみんなかいぬしさんとゆっくりしてるよ!」
いつの間にか、ドスまりさの周りには多くの街ゆっくりが集まっていた。
「どす!おみせをこうげきしないで!ありすのとかいはなおちびちゃんをいじめるなんていなかもの
のすることよ!」
「わかってねー、どす!ちぇんのおちびちゃんはすだちのさいちゅうだよー。こうげきされたら
ゆっくりすだちできないんだねー。」
「どす!まりさのおちびちゃんにけがをさせたらゆるさないんだぜ!」
口々にドスまりさを非難する。やや?とはいえ、さすがにドスまりさも何かがおかしいと気づき始めて
いた。
「…どういうことなの?まりさにゆっくりせつめいしてね!」
ドスまりさが帽子を振る。べちっ、と地面に落ちたのは、まりさとれいむの番。
「いぢゃい!なにずるんだぜどず!」
「でいぶをじめんざんにおどずなんでゆっぐりじでないどずはじね!」
…まごう事なきゲスの番だった。
「あ、こいつらは山から下りてきたって言うゲスね!」
お姉さんには見覚えがあった。その汚れて、少し破けた帽子とリボンが目印だ。
山から下りてきて、街ゆっくりから『巣立ち』について聞いたという番。「えさがもらえる」という
都合のよいところだけを覚えたらしく、ペットショップにきていきなり
「おちびちゃんをみてゆっくりしてね(するんだぜ)!それとさっさとごはんをよこしてね(すんだぜ)!」
とわけのわからないことをいっていた番だった。
ゲスということで加工所に引き渡そうとしたのだが、詰め込んだポリバケツを職員がひっくり
返してしまい逃げ出していたのだ。
「どうしてまりさにうそをついたの!ゆっくりせつめいしてね!」
「ごのばばあがまりざにごばんをよござながっだんだぜ!ごいづはげずなのぜ!」
「ぞうだよ!でいぶをげずよばわりずるばばあだよ!ゆっぐりどずがぜいざいじでね!」
追い詰められたせいなのか、はたまた落ちたときよほどいたかったのか、2匹はダミ声でドスまりさ
に訴える。
もちろんドスは取り合わないが。
「げすはおまえたちだよ!まちのゆっくりたちみんながしょうにんだよ!」
ドスまりさのゆっくりさせない迫力、そして街ゆっくり達の包囲。2匹はおそろしーしーをもらして
涙を流している。
「はーい、そこまでー!ゲスはこちらで処分します。いいですよね、まりさ?」
お姉さんが割って入った。
「…おねえさん、ごめんなさい。まりさがおみせさんをこわしちゃって。」
「いいのよ。わかってもらえれば。」
「おわびにこのげすたちはすきにしてね。できたらかこうじょにおくってね!」
「「がごうじょはい゛や゛ぁぁぁ!」」
「そうさせてもらうわね。」
お姉さんは崩れたダンボールの中から透明箱を2個取り出すと、手際よくゲスを詰め込んだ。
店の修理費には程遠いが、その足しにはなってもらうつもりだった。
「…それじゃ、まりさはやまにかえるね。」
「まりさ、ゆっくり気をつけて帰るのよ。」
「ゆっ…、おねえさんありがとう…。ゆっくりかえるよ。」
ドスまりさは落ち込んだ様子で山へと戻っていった。
騒動もあったが、1週間後には裏口も直り、いつもの日常が戻ってきた。
街ゆっくり達は今日も子ゆっくり教育に励んでいる。
街の人々は物分りのよい子ゆっくりをペットにして満足する。
子ゆっくりは飼い主さんの下でゆっくりと人間社会を学び、飼い主さんを喜ばせ、そして自分も
ゆっくりできていた。
街とゆっくりが、ゆるやかにかみ合い、ゆっくりとした時間をまわしていく。
そんなゆっくりした環境のうわさは、いまや山に住む野生ゆっくり達にも伝わっているようだ。
ペットショップの裏口には、そんなうわさを聞いた野性ゆっくりが時々、子ゆっくりや
自分(!)を売り込みにくるようになった。
ほら、今日もまた裏口のベルを鳴らすゆっくりが来た。
最近、山は不作でエサ欲しさに自分を売り込みにくるようなのが多いのよね、と
お姉さんは愚痴を言いながら裏口を開けた。
そこにいたのは…。
「ゆっ!まりさはどすまりさだよ!おねえさん、どすをゆっくり買い取ってね!」
・ゆっくりユニット(略してゆニット)って、ただ「ゆニット」言いたいだけちゃうん?
→…、ごべんなざぁぁぁい!
・ありすの見事なダンスって想像つかないんだけど?
→MSX 版ディスクステーションの魔導音頭みたいなものだと思ってください。
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm1377973
作者は本当は PSG 版の曲が好きです。どうでもいいですかそうですか。
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このSSへの感想
※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね!
- ↓6 もしドスを殺してそのドスの群れが攻めてきたらどうするんだよー
わかれよー -- 2013-09-19 23:56:33
- ゆっくりにたいしてなんだからそんなこまかいところまでといつめなくてもいいよー?
わかってねー? -- 2012-07-26 13:44:57
- ↓4 れいむいかのちのうなんだねーわかるよー -- 2011-07-06 22:12:38
- ↓3 ドスって言っても山暮らしなんだろうから、町のルールを知らないのも当たり前だろ
そこにいかにも人間に危害を加えられた風体で来られれば、口車に乗せられるのも想像に難くないだろ
それに弁償とか言ってるけど、山暮らしのドスに、そんな経済力あんのかよ?www -- 2011-06-16 23:32:01
- ドスはオークションかなにかでかければかなり高値つくんじゃないかな
繁殖で増やすこともできない突然変異のみだし
野生のドスは能力、性格含めて捕獲や飼育に困難があるかと
自身を売った固体なら飼育してもむやみに暴れる危険性も少ないだろうしね
-- 2011-04-29 16:07:03
- ↓↓それは違うと思います
なぜなら、ドスは比較的頭が良いので同じ過ちを犯しませんが、
そこでドスをころしたら他の群れのゲスやそのドスの子供が今回
のように攻めて来るかもしれないのです
だから逃せばそれが抑止力になって野生のゆっくりによる
被害が減るから逃がしたんだと思います -- 2011-01-05 23:51:28
- ゲスに簡単に騙されて人間に戦いを挑み
実際にドアまで破壊した
危険極まりないドスは野放しなんだ・・・
しかも店長の了解もなし勝手にドスを許すお姉さんってw
店長より偉いの?wお姉さんが弁償するの?w
このお姉さんを筆頭にこの町の人間は
ゆっくり並みの知能しかないんだろうね -- 2010-11-09 19:54:01
- どすを買い取る奴はいるのか…?
それにしても住みやすそうな町だ ゆっくりも人間も損をしない素晴らしい街だ -- 2010-10-15 00:07:02
- きっと不作で群の皆を生かすための食料が欲しかったんじゃないか…?
おちわろたけどwww -- 2010-10-10 21:35:48
- 落ちワロタwww -- 2010-08-02 18:26:18
- 最後のドス子供じゃなくて自分を売り込むんかwww -- 2010-07-13 23:03:20
最終更新:2009年11月03日 17:12