青い髪の少女―蓬仙あおいは追われていた。
逃げる彼女を狙う追跡者の手にはチェーンソーが握られている。
「待ってくれ~」
「い、嫌っ!!来ないでよ!!」
髪は金髪で、目は糸のように細く、頭には魔女のような帽子を被っている。
チェーンソーを持った追跡者―SZ姉貴はあおいを視界に捉えると、一目散に駆けて行った。
あおいを無慈悲な鉄鋸の犠牲者にせんがために。
「ハハハハハハハ」
「嫌!イヤアアアア!!!」
SZ姉貴の接近に気が付いたあおいは当然即座に逃げ出した。
彼女の目的がなんなのかは明白であったからだ。
ブーンと耳障りな音をたてる物がなんであるかはすぐに分かった。
そして、それが自らの命を脅かすものであるということも。
どう見ても正気ではない。SZ姉貴は狂人の目をしていた。
捕まったら最後だ―そういう確信があおいにはあった。
「こうなると、イタズラ心に火が付くな」
「来ないで!来ないでえええええええ!!」
だが、無情にも二人の間の距離は縮まっていく。
近づいてくる追跡者を目にし、あおいの脳裏にはスプラッタな光景が描き出される。
チェーンソーによって四肢を斬り落とされ、血まみれになって死んでいく自分―
あおいは青ざめた。
支給品の中にはこの状況を打破できるものがあったかもしれないが、そんな事を考えられるような精神状態ではなかった。
「こんにちは」
「あ…い、いや…」
遂にSZ姉貴はあおいをチェーンソーが届く範囲内へと追い詰めた。
あおいは恐怖に慄き首を左右に振るが、最早止める者は何も無かった。
(昴治…!)
そして無情にもチェーンソーはあおい目掛けて振り下ろされた―
「―おや?」
だが、その刃があおいへと届くことは無かった。
SZ姉貴とあおいの間には、黒い鎧の戦士がいた。
その戦士は斧と弓が一体化したような武器でチェーンソーの刃を食い止めている。
SZ姉貴が上からグイと押しこんでみてもその刃は動く事は無く、完全に止まっていた。
「すぐにここを離れるぞ」
「えっ?」
黒い戦士は、チェーンソーを受け止めたままの体勢であおいへと首を向けるとそう言った。
あおいがその発言の真意を理解するより早く、彼女は黒い戦士の小脇に抱えられた。
SZ姉貴とあおいの両名があっと思う間もなく黒い戦士は駆け出し、次の瞬間にはその場から消え去っていた。
「あ~駄目っぽいですね~」
標的がいなくなった事を確認したSZ姉貴は不服そうであった。
追いかけるにしても到底追いつけるスピードではない。
あの青い髪の少女については諦めるしかないだろう。
だが、この場にはまだあと45名もの参加者がいるのだ。
気を取り直したSZ姉貴は次なる標的を探すため歩き出そうとした。
―その時であった。
「ん?」
何かが巻き上げられるような轟音がSZ姉貴の耳を劈いた。
振り返ってみるといつの間にかとてつもない暴風の渦が――
巨大な竜巻が、接近していた。
「お、おおお!」
気付いた時には時すでに遅く、SZ姉貴の身体は風に巻き上げられてしまっていた。
己の意志とは無関係にその身は空を舞い、体をズタズタに引き裂かんがばかりの風圧がSZ姉貴に襲い掛かる。
「ん~…そうだ!」
脱出方法を思案するSZ姉貴は、ハッと気が付いた。
自分の支給品にはミニ八卦炉があった事に。
「ようし!」
チェーンソーを手放し、素早くミニ八卦炉を構え、前へ突き出す。
そしてSZ姉貴はこの状況を打開しうるスペルカードの名を叫んだ。
「サイフマスタースパーク!」
色彩豊かな閃光がミニ八卦炉から放たれ、竜巻を真っ二つに引き裂いた。
この極太のレーザーの反動でSZ姉貴は竜巻から脱出してみせようとしているのだ。
だが、その閃光以上の速度で、何かがSZ姉貴へと迫って来る事に彼女は気が付いた。
「え?」
彼女が間の抜けた声を上げたのも無理はない。
何故なら'それ'はこの場にいる筈のないものだったからだ。
'それ'は―
鮫だった。
「ま、待ってくr」
―ガブッ
哀れ、SZ姉貴は頭から鮫に喰いつかれ、その短い生涯に幕を下ろすこととなった。
【SZ姉貴@霊夢と魔理沙のチョコレート☆ハート 死亡確認】
この、巨大竜巻に鮫が巻き上げられるという奇妙な現象は一体何なのであろう?
発生の原理は解明されていないが、アメリカではこの現象には名前が付けられていた。
シャークネード、と。
◇
「ねえ!待ってよ!」
シャークネード発生点から遠く離れた平地にあおいと一人の男がいた。
男は黒のコートに身を包み、髪を金色に染め上げている。
「助けてくれたことにお礼は言うわ。でもせめて名前ぐらい話してくれたっていいじゃない!」
男は答えようとはしなかった。
関りを持ちたくない、人を寄せ付けない、といった雰囲気をあおいは男から感じ取った。
『答えてやってもいいんじゃないか?』
と、男の右腕から声がした。
彼の手首にはブレスレットのようなものが付けられており、声の発生源もそこのようである。
「…鋼一」
男は愛想なくそう言った。
「白波鋼一だ」
この男こそが黒の戦士―魔弾闘士リュウジンオーの正体であった。
【一日目/深夜/D-3 森】
【蓬仙あおい@無限のリヴァイアス】
【状態】疲労(中)
【装備】なし
【所持品】基本支給品一式、ランダム支給品×3
【思考】
0:脱出したい。
1:昴治達と合流したい。
【備考】
※19話、こずえと決別後からの参戦です。
【白波鋼一@魔弾戦記リュウケンドー】
【状態】健康
【装備】ザンリュウジン@魔弾戦記リュウケンドー
【所持品】基本支給品一式、ランダム支給品×2
【思考】
0:殺し合いに乗るつもりはない。
1:ブラッディは倒す。
【備考】
※24話以降からの参戦です。
※D-4でシャークネードが発生しました
※二時間おきにシャークネードは移動します
最終更新:2018年08月09日 18:14