「殺し合いなんて…私、どうすればいいんだろう…」
天海春香は身動きが取れないでいた。
親友を失い、相棒も奪われた。
今の自分に出来る事など無いように思えた。
だからこうして一箇所でただジッとしている。
他の参加者が襲ってくる等と考える心の余裕もなかった。
「雪歩ちゃん…」
春香はかつての親友の姿を脳裏に思い浮かべる。
彼女はiDOLと呼ばれる隕石除去人型重機を操る「アイドルマスター」であった。
その母体となる国際組織「モンデンキント」で苦楽を共にした仲間、萩原雪歩―――しかし、彼女の正体は敵対組織「トゥリアビータ」のスパイであった。
彼女もこの場に呼び出されているはずであるが、何をしているのだろうか。
もし、再び会ってしまったらどんな言葉をかければいいのか。どんな言葉を投げかけられるのか。
考えると、怖かった。
「あの、大丈夫ですか?」
考えていたら、声をかけられた。
「私、ファイナ・S・篠崎。あなたは?」
視線を挙げるとそこには自分と同じぐらいの年齢の少女の姿があった。
「あ、天海、天海春香です」
◇
ファイナは相葉昴治という少年と蓬仙あおいという少女を探していると言った。
友達なのか、と春香が聞くと少し間を置いてから肯定の言葉が返ってきた。
「そっか。ファイナちゃんも友達、呼ばれてるんだね…」
「天海さんも知り合いが呼ばれているの?」
「うん…」
春香は名簿に載っている見知った名前を挙げていく。
水瀬伊織、菊地真、如月千早、萩原雪歩の四名がそれだ。
「千早さんと真ちゃんには気を付けた方がいいと思う。それから…雪歩ちゃんにも…」
危険人物として名を挙げながら、しかし親しみを込めたような呼び方をする春香にファイナは訝しんだ。
「友達、だったのね…」
「うん…」
見透かされた、と春香は直感した。
事の経緯を果たして初対面のこの少女に話すべきだろうか。
言えば自分は楽になるかもしれないが、そんな事を聞かされてもファイナは困るだけではないだろうか。
そう悩む春香だったが、先に口を開いたのはファイナの方であった。
「過去を忘れることはできない。過去は自らの手で断ち切るしかない」
「えっ…?」
「聖母アルネの教えよ」
「それって、どういう…」
「私が帰依してる宗教の戒律。天海さん。口を出すようで悪いけど、もし貴方が友人との過去に縛られているというのなら…」
そこまで言ってファイナは口を噤んだ。
何者かが接近してきている事に気が付いたからである。
ファイナが向ける視線の先には、額には「凶」の文字が刻まれ、ドジョウ髭を生やし、全身は黒い肌の筋肉質の大男がいた。
春香も同じ方向を見て、この異様な風貌の男の姿を認識した。
「あの…」
「早速二人か。俺の名は拉麵男・懢蝱。恨みは無いがバトル・ロワイアルの円滑な進行のために死んでもらうぜ」
春香はその男に声をかけた事をすぐに後悔した。
この男は殺し合いに乗っている。
しかもこのガタイである。武器など使わなくても女子高生二人を縊り殺す事など造作もなく行えるであろう。
「天海さん!逃げましょう!」
「う、うん!」
ファイナの判断は早かった。
春香もそれに同調し、すぐに反対の方角へと駆けだした。
「逃がすものか!」
すぐに二人を追おうとする懢蝱だったが、その追跡は突然眼前を走った閃光によって阻まれた。
「そうはさせねぇぞ!ニセモノ野郎!」
「私たちが相手よ!」
懢蝱が振り向くとそこには掌をこちらに向ける女と、甕を背負った辮髪の男がいた。
女の名はエイプリル・ウェクスラー。鮫退治の英雄フィン・シェパードの妻であり、死の淵からサイボーグ手術によって甦った女である。
懢蝱の行く手を阻んだ閃光の正体は彼女が発射したレーザービームであった。
そして男の名は流星拳砲岩。超人拳法に勝るとも言われる散弾流星脚の使い手である。
「そりゃあーっ!!散弾流星脚ー!!」
「魔鎡狗颶礌甒(マジックグラブ)ー!!」
蹴り砕かれた甕が流星となって懢蝱に降り注ぐ。
だが懢蝱は慌てることなく、手形が張り付けられた颶礌甒を構えた。
「無数蛇腹手楯(むすうじゃばらしゅたて)ー――!!」
「ゲッ!か…かわしやがった…!!」
手形の中に仕込まれた蛇腹が伸び、懢蝱は手形で甕の破片を叩き落としていった。
技を破られ動揺する砲岩の隙を懢蝱は見逃さなかった。
「斬人饠血刀(ざんにんラケット)!!」
背中に備えた巨大なバドミントンのラケットのような形状の武器を懢蝱は構えた。
「地獄兜拷髏殿崩し(じごくところてんくずし)ー――!!」
「ウギャアラーメンマーン!!」
「ほ、砲岩!」
振り下ろされたラケットのガットにより、砲岩の体はところてんの様に切断されてしまった。
「やったわね!よくも砲岩を!」
「次はお前か」
ラケットの脅威を認識したエイプリルは、左腕に備え付けられたライトセーバーを起動し、懢蝱に対し構えをとった。
今、サイボーグVSクローン人間の異種格闘技戦が始まろうとしている。
【流星拳砲岩@闘将!!拉麺男 死亡確認】
【一日目/深夜/C-4 市街地】
【拉麵男・懢蝱@闘将!!拉麺男】
【状態】健康
【装備】魔鎡狗颶礌甒@闘将!!拉麺男、斬人饠血刀@闘将!!拉麺男
【所持品】基本支給品一式、ランダム支給品×3
【思考】
0:玉王様の命によりバトルロワイアルを円滑に進める。
1:目の前の女を倒す。
2:拉麺男はいずれ倒す。
【備考】
※単行本10巻、拉麺男との和解前からの参戦です。
※主催者により送り込まれたジョーカーです。
【エイプリル・ウェクスラー@シャークネードシリーズ】
【状態】健康、バッテリー残量90/100%
【装備】ライトセーバー@シャークネードシリーズ
【所持品】基本支給品一式、ランダム支給品×3
【思考】
0:主催者を倒す。
1:懢蝱を止めて砲岩の仇をとる。
2:フィンと合流したい。
【備考】
※4でサイボーグ化してからの参戦です。
◇
「う、うええぇぇぇ…」
「天海さん、大丈夫?」
懢蝱からなんとか逃げおおせた春香とファイナの二人は警察署に来ていた。
だが、逃げる最中に後ろを振り返ってしまった春香は砲岩の末路を見てしまい、その光景が脳裏に焼き付いてしまった。
あまりの惨憺たる有様に、春香はここに呼ばれる前に食べていた昼食を戻してしまった。
「う、うお、おぅええええぇぇぇぇぇぇ」
ファイナに背中を摩られながら、天海春香は盛大に嘔吐した。
【一日目/深夜/C-3 あけぼの署】
【天海春香@アイドルマスターXENOGLOSSIA】
【状態】健康、情緒不安定
【装備】なし
【所持品】基本支給品一式、ランダム支給品×3
【思考】
0:どうすればいいんだろう…
1:雪歩ちゃんには会いたくない
【備考】
※20話の引きこもってる状態からの参戦です。
【ファイナ・S・篠崎@無限のリヴァイアス】
【状態】健康
【装備】なし
【所持品】基本支給品一式、ランダム支給品×3
【思考】
0:聖母アルネの教えに沿って動く
1:昴治に会いたい
2:あおいを『過去』にする
【備考】
※21話以降からの参戦です。
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最終更新:2018年08月13日 14:37