…理解できなかった
その時のお義母様が泣きそうな顔をしていたから理解が追い付かなかった
その時のお義母様が泣きそうな顔をしていたから理解が追い付かなかった
「え…あの…」
「正確には…ですね」
小鳥さんが続く
小鳥さんが続く
「先輩は亡くなった事になっています…ただ誰も確認はしていませんし…その…遺体も…」
「そう…ですか」
言葉が出なかったがツッコミはしたかった
だがこの2人がこんな悲痛な顔をしている時に「何で先輩なんですか?」なんて死んでも言えない
言葉が出なかったがツッコミはしたかった
だがこの2人がこんな悲痛な顔をしている時に「何で先輩なんですか?」なんて死んでも言えない
「それは…なんとなく」
しまった、声に出てた!
ああ空気読め私…からけそらきくうけ
苦笑いの2人、やだこれこんな空気私知らないこの酔っ払いめ
しまった、声に出てた!
ああ空気読め私…からけそらきくうけ
苦笑いの2人、やだこれこんな空気私知らないこの酔っ払いめ
「あの…すみませんでした」
「気にしなくていいよ…もう何年も前の話だしな」
嘘だッッッ!!
そんな事を言って繕ったってその顔を見れば…
そんな事を言って繕ったってその顔を見れば…
「先輩の話は…この辺にしましょう?…ちまさん」
「はい…」
結局、沈んだ空気はそのままに退散するしかなくなってしまう
『げれげれ』または『外道』という者が誰で何なのか、どうなったかはわからずじまいのまま…
『げれげれ』または『外道』という者が誰で何なのか、どうなったかはわからずじまいのまま…
「お休みなさい…」と出口まで見送ってくれたお義母様を背に、一つだけ今の空気を覆す起死回生の方法を思い付く
思い付いたならやるしかない、今やらずにいつやるんだ私
「お義母様」
「ん…?」
きゅぅ…
優しく抱き締めて頭を撫でる…あくまでも優しく
「また…来ますね」
「ん…」
その身体は、少し力を入れれば折れてしまいそうなほど細くて小さかった
「ツケ…ちゃんと払えよ?」
「出世払いでお願いします」
「出世払いでお願いします」
満面の笑み
「お前…」
時々しか見られない優しい笑顔に安堵する
小鳥さんは私達を眺めて微笑んでいた
自宅
私の家であり小鳥さんの家である
つまりマイホーム我が家で愛の巣甚だしい
つまりマイホーム我が家で愛の巣甚だしい
「小鳥さん」
玄関を潜るやいなや、目の前のマイハニーに声をかける
マイハニー…うん…マイハニーですよ間違いなく
マイハニー…うん…マイハニーですよ間違いなく
ハニ~ッ♪
「また…声に出てますよ…ちまさん」
うわぁどうなってるんだ私の口は!
いつからこんなゆるゆるになってしまったのか!
あ、耳まで赤い小鳥さん可愛い…
いつからこんなゆるゆるになってしまったのか!
あ、耳まで赤い小鳥さん可愛い…
「ちまさん?」
「は、はひっ」
声が裏返った
だって急に呼び掛けるんですもん小鳥さんったら
「は、はひっ」
声が裏返った
だって急に呼び掛けるんですもん小鳥さんったら
「ちまさん…私に…ボスのような顔を…させないでくださいね?」
「はい、しまつぇん」
…私の馬鹿野郎…肝心な時に噛んだよ
「はい、しまつぇん」
…私の馬鹿野郎…肝心な時に噛んだよ
「ふふっ…期待してますよ?」
「ええ…お任せ下さい」
小鳥さんの両手をぎゅっと握り、真剣な顔で誓う
今日の最後くらいかっこよく決めてみせますよ見てて下さい私の小鳥さん
今日の最後くらいかっこよく決めてみせますよ見てて下さい私の小鳥さん
「きゃならず」
………
ホー…ホー…
ホ ー ッ !! ホ ー ッ !!
…ざくっ
ホ ー ッ !!
寝床に入ってから気が付いたんですが
『魔王』さん倒しに行く話ってまだ生きてたんですね小鳥さん…ZZZzzz…
『魔王』さん倒しに行く話ってまだ生きてたんですね小鳥さん…ZZZzzz…