24 赤き来訪者 - 画像レスラー@ ウィキ(跡地)

第二十四話　赤き来訪者

　虹裏喫茶の取り壊しは、あんぱん娘が裏で手を回したおかげで延期となった。
　しかし政府の手によって封鎖されてしまい、今ではテラスであった場所に仮の休憩所を作るのが精一杯であった。

麦野「超太郎ォォォォ！」ﾄﾞｰﾝ！
超太郎「沈利ィィィィ！」ｶﾞｰﾝ！
真紅「…何やってんのアレ」
八重「エルドラドとの戦いに向けて二人で特訓中だそうです」
真紅「特訓？　あれが？」
カズキ「傍からむぎのんが一方的に超太郎をぼこってるようにしか見えないよね」
真紅「それで特訓になるのかよ」
ころね「なるんじゃないでしょうか。根拠はないですけど」
真紅「じゃあダメじゃねーか！」
麦野「ほら、立ちな超太郎」
超太郎「う、うう…俺の異次元・ザ・ハンドが…」
麦野「なっさけないわねー」
超太郎「折角化身アームド習得したってのに全然強くなった気がしない」
真紅「まだ慣れてねぇだけだ。その内強くなるさ」
超太郎「そんな無責任な！」
たから「泣き言を言う前に体を動かす」
超太郎「うう、皆冷たぇ」
たから「全く…」
？？？「いやー相変わらずだね、たからさん達」

　テラスへ、一人の少女がやってくる。
　赤いポニーテールが特徴的な少女、佐倉杏子だ。

たから「あら、杏子さん。　随分とお久しぶりね」
杏子「よっす、皆」
しゃも「あ、杏子なのー。元気してた？」
杏子「おお、しゃもさんも居たのか。元気だよ」
エヴァ（杏子もしゃもの事を知ってるようだな）
メロン（これもタイムパラッドクスの影響なんだろうね）
真紅「誰…？」
たから「そうだ、辛苦さんは知らなかったわね。彼女は佐倉杏子さん。かつて色々なんやかんやあってこの町を離れてたのよ」
真紅「端折り過ぎだー！　ま、いいや。俺は真紅。好きなように呼んでくれ」
杏子「あんたが辛苦さんかい。あんぱん娘さんから聞いてるよ」
エヴァ「あん大母上から？」
杏子「うん。たからさんや超太郎さがレスラーを消そうとする、未来からの侵略者と戦ってるって聞いてね。もしかしたら…と思ってこっちに戻ってきたんだ」
ネロ「？　何かあったの？」
杏子「…のぶさんが、居なくなった」
皆「！？」
真紅「のぶさん？」
夕映「秋月信彦さん。シャドームーンという改造人間です」
ころね「悪の組織によって改造されましたが、杏子さんや皆さんとの戦いで人間らしさを取り戻し、レスラーとして活動することになった人です。もっとも、組織が壊滅してしまったので元の体には戻れませんし、私のように現状維持のままと訳です」ﾌｰﾔﾚﾔﾚ
杏子「まぁそんな訳で、あんぱん娘さんから連絡を受けた時ピンと来てね。エルドラドってやつらにさらわれたんじゃないかと思って来てみたんだけど」
たから「今の所、彼とは会ってないわね」
杏子「そっか。のぶさんの事は心配だけど、今はそれよりも虹裏喫茶閉鎖の方を守るのが先決だ。のぶさんならきっとそう言う。たからさん、超太郎さ、皆。あたしも一緒に虹裏喫茶を守る手伝いをさせてほしい」
超太郎「もちろん、杏子なら大歓迎だぜ」
麦野「そうそう。よろしくね」
杏子「おぅ！」
蝙蝠（石）「それじゃーあんこが来たところで次の時空最強行こうか」
杏子「あんこってゆーな！」
たから「あら、私は『あんこ』で漢字変換してるけれど」
ネロ「僕も僕もー」
杏子「マジか」
ゴリ「あんこマジ可愛い」
剣八「良いじゃねぇか。愛称って大事だぜ」
杏子「え、そう？　なんか照れるね」
蝙蝠（石）「…お前らわざと無視してる？」
たから「はいはい、聞いてあげるから、早く続けなさいな」
蝙蝠（石）「釈然としねぇ…まぁいいや。３の力、「未来をも見通す状況推理能力で敵の急所を突く、正確無比のレスラー」は諸葛孔明！　４の力、「大国を治める力、強靭な行動力と実行力を持つ、鉄壁のレスラー」は劉玄徳だ」
イエロー「三国志ですね」
蝙蝠（石）「じゃあ今回のメンバー発表するぜ。大阪斗貴子さんカロメのサポーターズ、たから、真紅、エヴァ、ネロ、カズキ、夕映、ころね、まとい、しゃも、そして…杏子と超太郎。以上！」
超太郎（鉄壁のレスラー、か…）
麦野「超太郎、しっかり行ってくるのよ」
超太郎「お、おう」
メロン「ではターイムジャーンンプ！」

鞠也「…動いたか。さぁ今度こそ倒してやるぜ」

　鞠也はルートクラフト・マシンデンバードに乗り、エルドラドのビルの屋上から飛び立った。

　西暦207年、後漢
　荊州・隆中の外れ

メロン「到着即メロンスイッチ！」ﾎﾟﾁｯ
杏子「おお、すげぇそれっぽい服装！　で、孔明と劉玄徳はどこにいるんだ？」
たから「史実通りなら、劉玄徳が孔明に会いに行く途中のはずよ」
真紅「なんでこんな林の中に止めたんだよメロン」
メロン「だってしょうがないじゃよ！　迷彩は見えなくするだけで消える訳じゃないし！」
ネロ「いや、今更それを言っても」
　ｳﾝｼｮ…ｳﾝｼｮ…
エヴァ「む。林の向こうに誰かの声がするぞ」
夕映「行ってみるです」

　林の向こうに、髭を生やした一人の男が何かを力強く押している姿が目に入った。
　たから達は林を抜け、彼の前へと出る。
　男性が押していたのはなんと荷車に乗った巨大な大砲であった。

？？？「危ない！」
夕映「ひぃ！？」
まとい「敵ですか？」ｽｯ
？？？「はっはっは。冗談だ！　吃驚したか？」
ころね「冗談は髭だけにしてください」
？？？「かっこいいだろう！」ｷﾞｬｷｨ
ころね「ださいです」
？？？「はっはっは。ちょうど良い所に来た。この大砲がぬかるみにはまって抜けれなくなったんだが、ちょと手伝ってくれんか？」
カズキ「そんな事でしたら、お安いご用ですすよ」
エヴァ「それにしても大きな大砲だな。こんなもの、何に使うんだ？」
？？？「これか？　亀を捕まえるのよ」
ネロ「亀？」ｱｵｶﾞﾒ
杏子「亀？」ﾃﾞｯｶｲｶﾒ
？？？「はっはっは。冗談だ、そんな大きな亀いる訳ないだろ！」
杏子「ダイムｇ」
？？？「本当は龍を捕まえるのよ」
大阪「またまた～冗談が上手いおじさんやなぁ～」
？？？「いや、本当だ。この大砲の中にはでっかい網が入ってて、それで龍を捕まえるのよ」
たから「荒唐無稽とはこの事ね」
？？？「よーし、行くぞー！」
ネロ「この人、人の話聞いてないよ！？」

　カズキが荷車を引き、超太郎と青年が後ろから押す。
　しかし大の男三人がかりでも荷車はびくともしなかった。

たから「今更言うのも何だけれども、一度下げたらどうかしら。はまっているのは前の車輪だけのようだから」
？？？「ん？　いや、このまま押し出す。押し出すと決めたら押し出すんだ！」
超太郎「一度決めたら曲げない、か」
まとい「いえ曲げないとか、曲げるとかの次元ではないような気がするんですが」
？？？「そーれ行くぞー！」

　三人に加え、杏子、ころねも加えた五人がかりでようやく抜け出すことに成功する。

？？？「やったー！」
カズキ「…手伝っておいてなんだけど、この人が劉玄徳の事知ってるとはとても思えないよね」
カロメ「良いじゃないですかっ、人助け出来て」
？？？「ん？　何だお前たち、劉玄徳を探しているのか？」
真紅「まぁな。一応聞くけど、あんた劉玄徳がどこにいるか知ってるのか？」
劉備「劉玄徳は、儂だが？」
皆「な、なんだってー！？」

（続く）

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