32 命、燃やして - 画像レスラー@ ウィキ(跡地)

第三十二話　命、燃やして

　勝負の内容は至ってシンプルである。
　坂本率いる五人と、沖田率いる五人の対決だ。
　坂本、たから、カズキ、ネロ、超太郎。
　沖田、ウルトラマンガイア、ウルトラマンゼロ、ロウキ、ブラックコンドル。
　それぞれ五人の準備が整った。

メロン「よーしミキシマックスだ！」

　メロンは手始めに龍馬とカズキにミキシマックスガンを向けるのだが、オーラを受け取ることが出来なかった。

坂本「な、何だ今の光！？」
カズキ「くっ、俺にはその資格がまだないって事か…！」
メロン「よーし次は沖田ｓ」
沖田「何だ？」ｷﾞﾛﾘ
メロン「ひぃ！　なななんでもないです！」
エヴァ「まずはこの戦いを乗り切ろう。冴木殿、皆。頼んだぞ」
たから「ええ、任せてちょうだいな」
沖田「体が軽い…これがあの女…じゃなかった、あの男の力なのか！」ﾋﾞｭﾝ!
ネロ「早い…でも！　ディープミ」
沖田「さっきの妖術か！　させるか！」ﾌﾞﾝ
ネロ「うわっ危ない！」
沖田「どけ！　坂本をかばうと言うのなら、女子供とて容赦はしないぞ！」
ネロ「だから言ったろ！　坂本さんをやらせる訳にはいかないんだよ！」
沖田「ならば、斬り捨てるまで！」
坂本「おっと！」

　坂本は二人の間に割って入り、その大きな腹の力で沖田を弾き飛ばした。

沖田「ぐぁあ！」
坂本「おめー確か病気じゃなかったか？　良くそれで動けるなぁ。寝てなくて大丈夫かよ」
沖田「貴様に心配される謂れはない！　刀を抜け！」
坂本「へっ。やーだよ！」
沖田「このっ…おちょくるじゃない！」
カズキ「クレイジーサンライト！」

　カズキの持つ槍“サンライトハート”から、強烈な山吹色の光が放出された。
　光は沖田の頭上で輝き、彼の視界を奪う。

沖田「くっ…何だこの光は！」
坂本「やるなぁ、カズキ！」
カズキ「坂本さんも！　剣を抜いて戦ってください！　北辰一刀流の免許皆伝でしょう！」
坂本「だから嫌だって」
沖田「なぜだ、坂本！」
坂本「おめーらはいずれこの国を背負って立つ力のある人間だ。だから俺っちはそんな奴を傷つけたくはねぇ。それに俺っちを殺そうっていうんなら、俺っちは真っ向からそれを受けとめて返すだけだ！」腹ﾊﾞｰﾝ
カズキ「な、なんて心の広い人だ…見た目がそのちょっとデｂ…ｹﾞﾌﾝ、ふくよかだからって正直見くびってた！」
沖田「くっ…問答無用！」ﾋｭﾝ
カズキ「うわっと！」ｶｷｨﾝ
ロウキ「そろそろ混ぜろよ」
沖田「これは俺と坂本龍馬の戦いだ！　手を出すな！」
たから「…！　坂本さん、耳を貸して」ﾋｿﾋｿ
坂本「うん…？　うん、なるほど！」
ネロ「よーし、それで行こう！」
坂本「おい、沖田総司！　俺っちと勝負しようぜ」
沖田「望むところだ！」
カズキ「坂本さん！　うわぁ！」
坂本「へへ、そう簡単には当たらないぜ！」
沖田「このっ…ちょこまかと！」
たから（思った通り、敵も味方も坂本さんと沖田さんに集中している）
ネロ「悪いけど、この勝負、初めから五人勝負だからね！　剣聖ランスロット、アームド！　ファイアトルネード！」

　ネロの放った螺旋の炎は、マリーヤ・ドメインのメンバーを全員吹き飛ばした。
　残ったのは沖田一人だけだったが、彼もまた坂本の巨腹攻撃によって弾き飛ばされてしまう。

鞠也「どうだ、少しは楽しめたか？」
沖田「貴様…！　俺を試したのか！」
鞠也「ふっ…じゃああばよ！」

　マシンデンバードにまたがり、去っていく鞠也。
　同時に沖田にかけられていた力の供給が切れ、彼はその場に膝をついた。
　力の反動なのかあるいは病気からなのか、絶え間ない咳を繰り返す。

ネロ「ちょっと、大丈夫かよ！」
坂本「沖田、体は大事にしろよ」
沖田「待てっ…ゴホッゴホッ」
坂本「横になって安静にしてろ。じゃあな、俺っちは行くところがあるんでな。カズキ、皆。楽しかったぜ」
沖田「ゴホッゴホッ…」
ネロ「大丈夫？」背中ｻｽｻｽ
沖田「…ありがとう。大分、楽になったよ…」
ネロ「あ、坂本龍馬が絡まないと普通なんだ」
沖田「あいつは…俺が斬ると決めたんだ…くっ、ゴホッ」
真紅「鞠也の野郎…一体何考えてやがんだ」
超太郎「案外何も考えてねぇんじゃね？」
エヴァ「確かに、今回ばかりは超太郎の言う通りかも知れんな」
超太郎「だろ？」
ネロ「総司…どうしてそこまでして坂本龍馬を斬ろうってのさ」
沖田「俺は…もう、長くは生きられない」
ネロ（それは、知ってる…なんて言えないなぁ）
沖田「坂本の企てが成功すれば、幕府は消滅してしまうだろう。幕府を守ることが、近藤さんと共に作り上げた我ら新撰組の使命。だから、俺はこの命尽きる前に…坂本龍馬を討つ！」
ネロ「…！」

　自らの命を掛けてまで使命を果たそうとする彼に、不思議とネロはある人物を思い出していた。
　彼女もまた、自ら愛するもののために命を掛けて作業に勤しんでいた。
　目の前の彼と、記憶の中の彼女。
　姿も性別も境遇も似ていないのに、不思議と重なって見えたのはやはりその燃える様な強い意志故か。

沖田「ではな…世話になった。それと、先程はすまなかった。ええっと…」
ネロ「！　ネロ、譲崎ネロ！」
沖田「そうか…譲崎、次は邪魔しないでくれよ…」
ネロ「総司…」

　ネロはかける言葉が見つからず、彼の背中をただ見送るしかできなかった。

坂本「…」
兵「…ん？　お、お前は坂本龍馬！」
坂本「いかにも」
兵「幕府転覆を狙う不届きものめ！　ここを二条城と知っての事か！」
坂本「重々承知！　この坂本、どうしても将軍徳川慶喜公にお伝えしたいことがあって参上した次第！」ﾄﾞｹﾞｻﾞｰ
兵「！？」
坂本「ほれ、この通り、俺っちは丸腰だ！」ﾊﾞｯ
兵「者どもであえー！」
坂本「俺っちはただ慶喜公と話したいだけなんだ！」
兵「ひっとらえよー！」
坂本「！？」

将軍徳川慶喜「…面を上げよ」
沖田「ははっ！」
将軍「そちを呼んだのは他でもない。新撰組で一番剣が立つと聞いたからだ」
沖田「ありがたきお言葉！」
将軍「そんなお前に、坂本龍馬を斬る機会を与えよう」
沖田「なんですと…？」
将軍「もうすぐ坂本がこちらに来る。奴は果敢にもここに飛び込んできた」
沖田「なんと…あいつめっ！」ｷﾞﾘｯ
将軍「ここを奴の墓場とせよ。坂本を倒したあかつきには、新撰組の方か改めよう」
沖田「ははー！」

カズキ「坂本さんが二条城に！？」
しゃも「そうみたいなの。なんだか城の付近が騒がしいので聞いてみたら、連行された言ってたのよ」
カズキ「助けに行かないと！　っていうか二条城ってどこだー！」
超太郎「助けに行くって…どうやってだよ」
真紅「うーん…そうだ、俺に良い考えがある」
杏子「その台詞じゃ嫌な予感しかしねぇ！」

坂本「この度のお目通り、まことにありがとうございます！」
将軍「ふん…苦しゅうない。して、何故ここに…」
坂本「日本を開かれた国にしていただきたいのです！」
将軍「何…？」
坂本「大政奉還です！」
将軍「…は？」
沖田（…！？）
坂本「鎖国を止め、世界に目を向けるのです。皆が平等になり、一つになる。そうすれば外国に負けない、強い国日本が出来上がるに違いありません」
将軍「何を世迷言を…所詮は田舎侍よの」ｽｯ
沖田「坂本龍馬、覚悟ー！」
坂本「お、おめぇは！」

　将軍の膝元から、中庭にいた坂本へ沖田が斬りかかろうとする。
　だがそこへ、突如空より走る列車が出現し、二人の間に入り込んだ。

その場の全員「なっ！？」
メロン「到ちゃーく！」
エヴァ「やれやれ。真紅も大胆な手を考える」
たから「大丈夫なのかしら、これ…」
カズキ「坂本さん！　大丈夫ですか！」
坂本「おお、おめぇらか…」
沖田「な、なんだお前達…なんだこれは！」
ネロ「総司！」
将軍「い、一体何が起こってるのだ…？」

　――ﾏｲﾝﾄﾞｺﾝﾄﾛｰﾙﾓｰﾄﾞ

将軍「…おお、近藤か」
近藤（鞠也）「俺に良い考えがあるぜ」
杏子「流行ってんの、あの鉤括弧」
まとい「私に聞かれましても…」
近藤（鞠也）「大政奉還をかけて、俺達新撰組とあいつらが勝負するというのはどうだ？」
将軍「勝てるのか？」
近藤（鞠也）「愚問だな」
将軍「良し…ではこの勝負、お前たちが勝ったら大政奉還を認めてやろう。負ければ坂本、お前の命をもらう」
坂本「おお！　ありがとうございます！」
たから「この勝負、負けられそうにないわね」
近藤（鞠也）「くくく…さぁ、勝負の時間だぁ！」
沖田「幕府は必ず守る…例えこの命、燃え尽きようとも！」
ネロ「総司…」

（続く）

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