ファイナルファンタジーV
【ふぁいなるふぁんたじーふぁいぶ】
概要と特徴
スクウェアから
スーパーファミコンで発売されたロールプレイングゲーム。
外伝作品を除いてファイナルファンタジーシリーズの5作目に当たる。
シリーズ奇数番号の作品として定番ともなっていたジョブシステムを引き継いだ事に加えて、
キャラクターカスタマイズの新要素として、特技の付け外しが可能な「アビリティシステム」が採用された。
スーパーファミコンで発売された同シリーズ本編としては二作目に当たり、
前作の倍の容量に当たる16メガビットの大容量を採用した事で、
背景グラフィックの書き込みや、各キャラクターに対応したジョブのグラフィックが
実装されるなど、見た目にも分かりやすい華やかな画面に進化していた。
週刊少年ジャンプでスクープ扱いで特集を組まれるなどメディアでの扱いも大きく、
発売間隔が開きがちであったドラゴンクエストシリーズに対抗する
RPGシリーズの目玉ソフトとしても大きな注目を集めていた。
フィールドの雰囲気も歴代奇数作品に倣って明るい曲調になっているが、
世界の危機が進行すると共にフィールドの雰囲気や曲調に
変化が表れるという以降のシリーズで定番となる手法も取られている。
ゲームシステムとしては、キャラクターのレベルを上げる経験値の他に、
ジョブレベルを育成するための「アピリティポイント」が敵のグループ毎に設定され、
これを上げる事によって新しい「アビリティ」を習得する仕組みになっている。
覚えたアビリティは通常のジョブでは一つまでセットする事が可能であり、
計算上はジョブの数×アビリティの数だけのキャラクター性能の選択肢が発生する事になる。
ジョブは旅先で「クリスタルの欠片」を入手する事によって新たな物を習得する。
今作の説明書はジョブの一覧が掲載された大判の紙を折りたたんだ珍しい方式になっている。
アビリティポイントのみを持っている敵もいるため、経験値を最低限にしてプレイする低レベルやり込みも競われた。
また今作ではレベルによってステータスは上がらず、HPとダメージのレベル補正のみが上昇する方式になっている。
頻繁にジョブチェンジするシステムに伴い、装備を自動的に最強装備にするコマンドも加わった。
ただし数値しか見ないため、マイナス効果の装備も付けてしまう罠もある。
またアイテム所持数はついにゲーム中の全てのアイテムをカバーする255種全てを持てるようになり、
ジョブに合わせた装備も捨てたり預ける事なく全て持ち歩く事が可能になった。
一部のアビリティが非常に強力な事などから簡単すぎる作品扱いされる事も少なくないが、
レベル、金、HPなどの上昇ペースは意外と渋く、消耗品がシリーズでも高めに設定されている事や、
一発全滅があり得るような初見殺し攻撃を行なうボスもいるため、
攻略知識がない状態では必ずしも簡単という訳でもない。
またアビリティは戦闘中には付け替えられないため、
ボス戦は全般に直前でセーブポイントが設置されており、
一旦様子見をしてからアビリティを付け直すという展開になり易く、
初見でアドリブ突破する事に向いた仕様とは言いにくい。
FFシリーズは今作以降路線の転換が激しい激動期に突入し、
クリスタルを扱ったFFシリーズとしては今作が2D時代最後の物である事や
低レベルやり込みが盛んな事などから、ネット上では特に人気のある作品でもある。
一方で公式にはSFC発売当時に海外移植版が出ていなかったり、
リメイクも他のシリーズとの一括でしか出ていないなど、必ずしも特別扱いされていない面もある。
関連作品としては1994年に発売されたOVA版ファイナルファンタジーが本作の未来の話という設定になっている。
気になる点
- クリスタルの欠片でジョブを習得するシステム上、シナリオにおけるクリスタルを護る任務に全て失敗して砕けてしまう展開になってしまい、ワンパターンであると同時にネタバレにもなってしまっている。
- レベルでステータスが上がらないため成長の実感が薄い。レベル補正に関しても初心者の館でも明確な説明はなく、速さに関しては補正も掛からないためレベルによって一切上がらない事になる。
- 同時期のFF作品の傾向でもあるが、操作できないイベントが前作に増して長くなっている。特にボタンで送れない動作が長くなり、OPデモに関してはBGMと同期する演出が加わった事と引き換えに、シリーズで初めて、終わるまで一切操作の効かないシーンとなった。
- バトルスピードの設定におかしな所がある。今作ではゲージが増える速度ではなく、ゲージが溜まってコマンド入力する際に時間進行が一時停止する時間をバトルスピードによって設定する。基本的に遅いほうが入力猶予が増えて有利な反面、ボスの行動待ちなどで操作をしたくない場合もいちいち時間が止まってしまい、狙ったタイミングで止めたり解除する事ができない。また一時停止中のスリップダメージにバグがあり、スリップダメージ中にコマンド入力の時間停止が発生すると、なぜかその間スリップダメージは停止せず、しかも通常よりはるかに高速でHPが削られてしまう。
- シリーズで初めて、パーティキャラクターの名前を自分で決められなくなった。設定可能なのは主人公のバッツのみ。
- 通常戦闘BGMが聴く機会の多い曲にも関わらずループが短く、展開に乏しい。
- 敵を倒したエフェクト中にカーソルが合ってしまう。この敵を狙うと次の対象がランダムになるため、ダメージ半減になる後列の敵も狙ってしまう。
- たまたま落ちた先が目的地だった、というような強引な展開がしばしば見られる。
- 敵の特技が激増した一方で、その大半が文字だけの演出になってしまい、グラフィックを売りにしていたシリーズとしては後退している部分がある。
- 大容量を活かして主要キャラ×全てのジョブのグラフィックが用意された一方で、移動時や戦闘不能のグラフィックはその膨大な種類に対応できず、共通ですっぴんの物になっている。特に後者はやられた途端点滅してジョブの衣装が解除されるため違和感が大きい。
- 魔導士を育てる意味が薄い。魔法レベルは他ジョブにアビリティセットした場合に使える魔法が増える効果であるため、本職にジョブチェンジすればまったく育ててなくても全ての魔法が使えてしまう。
- アビリティポイント取得が全体に渋く設定されていながら、ラストダンジョンで突然インフレして容易に全ジョブマスターできてしまうため、それまでの育成の個性が反映されなくなってしまう。
- 物理攻撃のデメリットが大きい。前作までの複数回ヒットが無くなったため、倍撃系のアビリティを併用しないと火力が伸びず、人数やジョブに合わせた数の武器が必要になり、後列で威力低下の影響を受け、基本的に単体しか攻撃できず、必中でもなく、物理が通りにくい敵もいるため、一部ボス戦を除くと、一つ購入するだけで全員が使え、アビリティ枠を使わない強化手段があり、必中で全体攻撃も可能な魔法を撃っていたほうが有利な事が多い。
- せっかくじっくり育成をできそうなシステムを採用しながら、主要ジョブを習得した所でシナリオが後戻りのできない新たなフィールドに進んでしまうなど、自由に行き来できない一方通行な展開が多い。
- アビリティの組み合わせが多彩なように見えて、強力な物は単に単独で強い物や弱点を付いた物、倍撃系の重ね合わせなどあまりシステムと関係ない物が多い。後年のFFに見られるようなカウンターと回復を組み合わせると言った戦法も今作では取れない。
- アビリティの性能差が激しく、役に立たない物や機能の重複している物がある。全ジョブマスターすると習得アビリティ数がちょうど100になるが、数合わせに思われる物もある。またジョブチェンジの度に100の中から目的のアビリティを選び直す作業が発生してしまう。
- ATBゲージの伸び方がフレームやドット単位ではなく、カクカクしている。
最終更新:2022年08月21日 20:09