モンスターメーカー 闇の竜騎士
【もんすたーめーかー やみのりゅうきし】
概要
NECアベニューから
PCエンジンスーパーCD-ROM²向けに発売されたロールプレイングゲーム。
イラストレーター「九月姫」の代表作としても知られるカードゲーム「モンスタメーカー」シリーズのゲーム化作品の一つ。
同シリーズの舞台における最も古い時代を描いた作品。
フェルンドの村で拾われ育てられていた孤児の少女ライアは、ある日盗賊団の手引きをしたという濡れ衣から故郷を追われ、自身の出生の秘密を探す旅に出る。
システムはオーソドックスなパーティRPGを採用。シナリオが進むとタイトルにもあるようにモンスターを仲間にして使役したり、合体によって新しいモンスターを作成する事ができるようになる。
主人公はこの作品のために書き下ろした新キャラクターが作成され、当初は名前と性別の設定がない中性的キャラクターとされていたが後に変更され、ライアという名前と女性という設定に固定された。
開発中にはドラクエ方式のパーティキャラが並んで歩くフィールド画面も公開されていたが、製品版では主人公のみの表示になっている。
問題点
開発当初から期待作として同機種専門誌でインタビュー記事が大きく取り上げられ、前人気投票では一位を含む上位の常連をキープし続けていたものの開発は難航、発売延期によって前人気のランクイン期間ばかり記録更新する状況に専門誌からも危惧の声が呈される状況になっていた。
最終的に販売形態を当初の予定から前後編に分割するという形で前編の発売にこぎつけたものの、不具合を多発してしまい、後編「神々の方舟」の発売は実現されなかった。
このためシナリオは伏線を引っ張った思わせぶりな所で唐突に終了してしまい、クリア時に作成される引継ぎ用のセーブデータが日の目を見ないまま放置される事になってしまった。
多数のケースが存在するが、もっとも多い物として戦闘開始時に画面が暗転クラッシュしたり、敵選択のカーソルを動かすとゲームが停止する事が頻発する。
現在ではこの症例が発生する条件が解明されて概ね回避する攻略が可能にはなっているものの、特殊な知識がなければ高頻度で起こってしまう。
またソフトに「あるダンジョンをクリア前に入口から出る」とメモリ管理の問題から正常に進行できない旨の注意書きのメモが同梱されている。
前もって回避法が告知されてはいるものの、同ダンジョンは謎解きや攻略時間を含めて難易度もかなり高いため、拠点へ帰還できず一発クリアを要求される事で攻略の足枷になってしまっている。
エンカウント率は数十歩の歩数保証があるためそれほどではないものの、マップの広さや敵の能力の高さ、アニメーション演出が入る事により戦闘にかかる時間は長い。
逃走には敵を上回るステータスか、一品物の逃走率上昇魔法がないと能力の高い敵からは逃げられない。
戦力を維持するためには道中でも地道に敵を狩っていく事が望ましいものの、上記フリーズバグによって稼ぎが無駄になるリスクと背中合わせになってしまう。
キャラクターによって成長幅が設定されているが、必要経験値は通常のRPGと同じくレベルごとに大きく上がっていくため、低い成長を引いた場合に稼ぎによって取り返す事の労力が大きい。
またステータスの影響量も大きく、攻撃と防御双方に関わる「強さ」、魔法の威力と成否に関わる「魔力」が不足していると戦闘がなかなか終わらなくなってしまい、戦闘効率が悪くなる悪循環になりやすい。
店やセーブ施設に確認の選択肢がなく、ボタンを押した時点で決定となる。
レベルアップまでの必要経験値を確認できない。
仲間モンスターのステータス画面がない。リストで決定ボタンを押すと外すかどうかの選択のみ表示される。
合体はアイテム消費が必要にも関わらず合体結果表示がない。また合体結果は合体元と同じである事が多いなど、強化される合体が少ない。
任意で加入する仲間が僅かにいる他は基本的にパーティ固定。同シリーズでは人間キャラクターを任意編成できる作品が多い事からも、本作は自由度が低いほうになる。
傭兵と記載されているキャラは素の能力が高めな代わりに装備変更ができず、火力を大きく上げる手段が限られてしまう。
また仲間モンスターも戦闘に入らないと呼び出せない事や行動を指示できずランダムに行動するなど安定した運用が難しい仕様になっている。
仲間になるモンスターも見た目で判別できず、勧誘可能なモンスターがラストより数個手前のダンジョンで打ち止めになるなど、有用な物を知っていないと活用が難しい。
移動系の魔法がないため、拠点への帰還などは徒歩で戻る必要がある。
またシナリオが進むと前のマップへ戻れないため、有用な魔法などを買い逃してしまうと難易度に大きく影響する。
特に残念な要素として、人気キャラクターのディアーネが仲間になる所までストーリーが進まずにゲームが終了してしまう。
また本来ディアーネの装備品と思われる重装備系のアイテムが存在しているが、装備できるキャラクターが登場しない。
説明書に載っているアイテムや魔法の多くが未登場か敵専用。例えば「気絶(戦闘不能)」を戦闘中に回復させるアイテムや魔法は本編中で手に入らない。
長所
グラフィックと音楽は美しく映像面の演出は非常によくできている。戦闘には全てアニメーションと背景が付き、原作の雰囲気を損ねない明るく鮮やかなタッチで描かれている。
会話は多くのシーンでベテラン声優による音声が収録され、音楽はほぼ全ての場面でCD音源による幻想的で美しい曲が奏でられるなど、いくつかの機種で展開されているモンスターメーカーシリーズで演出面に最もリソースを充てられているいる豪華な作りである事は間違いがない。
特にオープニングデモで流れるアニメーションと音楽は名作のそれにしか見えない風格があり、諸所の事情から完結できなかった事が非常に惜しまれる内容になっている。
アイテムはアイコン付きで視認性や装備画面のレスポンスも良く新装備に更新する視覚的な楽しさは高い。
消費アイテムはFFシリーズのように無制限に持てる訳ではないものの、攻略に過不足ない個数をキャラクターの区別なく所持できる。
未完成に終わってしまったため未回収の伏線を多く残してしまったものの、種族間抗争を描いた設定のシリアスさや、先の気になる伏線の貼り方で映像音楽の演出と合わせて神秘性を感じさせる世界観を描いている。
一部の伏線は作中で回収されないものの、モンスターメーカー舞台の基礎設定にリンクしている物がある。
シナリオの進行がはっきりしているため、同シリーズの中では次の行き先が分からないといった状況は起こりにくい。
難易度自体はかなり高いものの、それを突破するための強力な戦法がいくつかある。
代表的な物は敵の行動を封じてしまう凍結や電撃魔法があり、魔力が上回ればボスにも効いてしまうため、成長が上手くいけば一気に難易度が下がる。
他に壊れ性能のアイテムとして、一定確率で敵を永続マヒにする追加効果がボスにも効いてしまう「炎の杖」、一品物ながら全ての敵に効く可能性があり、効くまで消費しない即死アイテムの「暗殺針」などがある。
戦闘時間の長さに相殺されてしまっているが、画面切り替えのロード自体は背景やアニメーションが付いているCD-ROM²用作品としては短め。
シナリオ後半の気球が登場するシーンで、一画面ほど西に移動して戦闘して気球に戻ると形がバグり、乗ると本来戻れない序盤マップに戻る。
これを利用する事で後半加入した仲間への魔法買い直しやイベント繰り返しによる一部の仲間増殖、後半のモンスターを序盤の祭壇で合体する事で未発売の後編に出現予定だったと思われる本編未登場の高レベルモンスターを作れるなどの戦力補充や通常プレイで到達できないやりこみ要素が楽しめる。
感想
発売経緯やゲーム内容共に問題が山積しているため闇の深いゲームとして有名になってしまっている作品。
予備知識のないプレイでは敵の強さやフリーズバグでまともに進行する事も困難が予想される。
ただ仕様や攻略を理解してプレイすると演出や音楽の素晴らしさに加え、極まった攻略ややり込みの要素もあるため、他にない魅力がある作品でもある。
攻略サイト「ミスターXの野望」管理人や
ニコニコ動画にクリア実況動画を上げている投稿者は今作について問題点を認めつつも比較的肯定的な評価をしている。
事実誤認による批判について
一部サイトで本作のキャラクター設定が原作カードゲーム版モンスターメーカーと異なる事を批判として挙げている物が存在しているが、元々このシリーズは「スターシステム」と一般に呼ばれるキャラクターと設定を固定しない方式で展開しているため、これはシリーズの共通仕様であり本作側の問題ではない。
ゲームカタログでは「パッソの塔」というダンジョンで攻略に必ず必須となる「壁の死角にある隠し階段」をノーヒントで理不尽な仕掛けなどと中傷していたが、これは完全なデマであり、実際には隣の見えている階段に入った位置から隠し階段の位置を推測できる「隠し階段の出口にあたる階段」が視認できる。
なお攻略に必須ではないアイテム部屋に繋がっているノーヒントの隠し階段は存在している。
- シナリオ後半に、町から出たら謎の真っ白いもふもふした狼みたいなのがいて、
話しかけられるかといってみたらストーリー序盤に戻されたの謎すぎた
同じ流れで同じ仲間が二人目加入するけどグラフィックなしだったの覚えてる
裏技のところに似たようなのあるけど気球って書かれてたり細部が違うから、その裏技がバグったのか?
それとも未解明の裏技だったのか -- ( ) 2024-12-31 09:52:20
- ・気球を出した状態で、特定の場所(森等)で戦闘すると、気球が白いコボルトに変わったり、他のバグ画像に代わるんだよ。
変わった状態で接触すると、他の場所に飛ばされる。
コボルトに触ると序盤に戻るよ、多分、デバッグをそのまま残してあるんだろう。 -- (名無しさん) 2025-04-17 13:29:34
最終更新:2022年08月18日 22:36