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空憂 愛のキャラクター説明3

老人

 愛の曾祖父を名乗る男。
 自分の手駒となる人間(自動人形)をノーコストで作成する能力を持つ。作成できる人数は1回につき一人。能力を行使できる回数は自分の年齢と同じ数まで。この回数は生涯回復することは無く、駒が仮に殺されて消滅しても、新たに作成することもできない。(~1歳までで1回。1歳を過ぎた瞬間から、2歳までで2回。1歳までの段階ですでに能力を使い切っていた場合は、+1されてまた1回だけ使えるようになる)
 基本的に、彼が作り出す手駒は、ほとんどが黒のサングラスに黒いスーツを身に着けている。なぜ、そのような姿で統一させているのかは不明。単に老人の趣味であると思われる。
 黒服らの性格や行動は、老人にとって至極、都合のいいように作られている。そのため、誰もが同じような性格や行動を取り、老人のためなら仲間や自分の死さえも厭わない。
 彼らは基本的には普通の人間と、何ら変わらない生体をしている。

 彼らは老人が死亡しても本来なら存在し続けるが、老人が赤ん坊にまで還元されてしまったために、老人の作り出した彼らも共に消滅してしまうことになった。

水橋瑞穂

 老人が愛を監視し、利用するために用いた駒(自動人形)。
 老人が最初に作り出した自動人形でもあり、老人曰く特別製。何度か回収しては、そのプログラムを書き換えている。

 水橋瑞穂へとプログラムが書き変わる前は、亜貴の妹(有為)として、亜貴の両親の元に送り込まれていた。(彼女は主に老人にとって不要な人間を監視し、隙あらば殺すために利用されていた。そのため、これ以前は、老人にとって敵対している個人や組織の要人に対して、彼女は送りこまれている)
 亜貴の両親は、老人にとって不要なモノと判断された。そのため、彼女は事故に見せかけて亜貴の両親を抹殺する。老人の命令により、亜貴を監視するために、そのまま潜伏を続けた。後に、肉体関係を結ぶ。
 その後、彼女は愛を出産するが、老人は亜貴を不要と判断。結果、亜貴をその手にかけて殺した。

 水橋瑞穂となった後は、老人の命令通り、愛の居場所となるべく振舞う。結果、愛は彼女に対して依存するようになった。
 愛の能力が推測され、それにより、老人が愛に利用価値があると判断した段階で、老人に対して自壊プログラムを自ら請う。時間とともに衰弱していく過程を愛に見せることで、愛に能力を使わせようと図った。

 老人が赤ん坊にまで還元されたとき、他の自動人形が消滅したのに対し、彼女は老人がはじめて作り出した最初の自動人形であったために一人だけ生き残ることができた。


 彼女は、老人が魔人として覚醒した際に、理想の女性として作り出されている。後に老人は彼女を妻として子まで孕ませる。
 そのため、愛にとって彼女は親友であると同時に、母であり、曾祖母でもある。


  • To be concluded -

嘘 -lie-


 私の手は血に塗れている。

「お前は、ワシの言うことさえ聞いていれば良い」

 あの人は私にそう言い続けた。
 弟たちも同様に、あの人の言葉に従った。
 喜怒哀楽。
 全てが紛い物な気がする。喜怒哀楽、それは私にとって、他者を欺くためのツールに過ぎないと思う。

 私はプログラムに過ぎない。
 そうするようにあの人にプログラムされたから、そうなるように私は計算して動しているに過ぎない。

「愛してる」

 私は亜貴をこの手にかけた。
 その時の私は、以前の私と、全く違うプログラムで動いていた。それでも、私が自身の手で、自分を愛してくれた人を殺したという事実は変わらない。
 そして、今も、私は愛する人を欺いている。

「愛ちゃん、おはよう」

 水橋瑞穂として、私はのうのうと生きていた。

 全てが私の思い通りに事が進む。
 私は愛の父親を殺した、そして、その亡骸を愛が発見するよう仕向け、愛の心にトラウマを刻みこもうとした。
 私の企み通りに、愛はそのトラウマに屈した。

 そして、私はずるい。
 あの人が亡くなった今も、私はあの人が与えてくれた、この環境に甘えている。


    ◇


 誰もいない家。
 私は無言のまま自分の部屋に入った。薄暗い部屋の中、ベッドの上に転がる。
 そのまま目を閉じる。

 ケータイが震える。ポケットから取り出して、受信元を確認する。愛からだった。いつものようにメールを返し、また目を閉じた。
 あの人が潜伏のために私に与えてくれた資金は潤沢だった。あの人がいなくなった今も、私は生活していくことに不自由は無い。このまま、何事も無かったかのように、嘘を本当にするのは簡単だった。
 しかし、私は今も愛を監視している。愛の持ち物には、今も、盗聴器を仕掛けられていた。私は今も、それで愛の動向を探っている。

 目を開く。
 私は起き上がり、身支度を整える。愛が動き出した。

 こんなことをしていても、何の意味も無いということは分かっている。
 けれど、あの人がいなくなって、私の心は空っぽになった。私は、あの人に与えられた"私"を演じ続けなければ、どうにかなってしまいそうなほどに、気がまいっていた。

 あの人を殺した日から、愛は変わった。愛の側にはニジュと名乗る、正体不明の少年がつき従うようになった。
 それと同時期に、愛は夜な夜な学校へと出かけるようになっていた。

 私はいつものように先回りして学校へと向かう。作っておいた合鍵を用いて、屋上に行き、そこから学校を見下ろした。
 愛の姿をそこで発見する。愛のすぐ側には、影のように黒い姿の少年がいた。何か会話しているように見える。

(あれはニジュとは違うのか?)

 愛の傍らに付き従う、その黒い影のような少年。
 あの日以来、ニジュと共に現れたもう一つの病魔。
 その雰囲気は、愛らしい容姿のニジュとは対照的に、どことなく怪しさを漂わせている。

(愛の能力は病魔を顕現させるだけの能力だったはず)

 あのとき、あの人との間で、一体何があったのだろうか。今となれば、愛や病魔たちに直接聞く以外に、それについて知る手段は無い。

 私はじっと愛の行動を見守る。
 愛は、クラスメイトを二、三人ほど、学校に呼び出しているようだった。
 愛は、彼らにヒーリングをするときと同様に、腕を彼らの中に刺し入れていた。
 はじめて、見たときは、何をしているのか理解できなかったが、今はなんとなくだが推理できる。
 愛は、あの手で、人の生命力を奪っている。
 私は、愛の能力の対象となったクラスメイトをしばらくの間観察して回った。
 現在の愛の能力を受けると、対象はしばらくの間、その姿を消す。原理は不明だが、対象はその後、何事もなかったかのように、再び姿を現す。
 姿を現したはじめの方こそ、彼らの身体には何の異変もなかった。だが、それから、二日と経たないうちに、彼らは突如として苦しみだし、その後急死している。

(あの人も、あんな風に殺されたのだろうか)

 そんな考えが、ふと頭の中によぎった。
 その瞬間、どろどろとした気持ちの悪い感情が、自分の中から止め処なくあふれ出し巻いて行くのを感じた。

(そうか)

 私はそのときになって、ようやく自分の気持ちが理解できた。
 これは復讐なんだ。
 これは私からあの人を奪った愛への復讐だ。私は、愛を許さない。
 愛が本当にあの人を殺してしまっていたのなら、私があの人の仇を取る。
 きっと、弟たちも、あの人も私にそれを望むだろうから。


  ◇


「おはよう、愛ちゃん」
 私は愛に対して、いつものように振舞う。
「あ、おはよう」
 愛はどことなく眠そうにしている。
「眠そうだけど、大丈夫?」
「ううん、ちょっと厳しいかもォ……」
「ちゃんと寝たほうがいいよ」
「うん」
 私は、絶対に許さない。



  • Lie -