営業スマイル - Todarodes pacificus

営業スマイル

●●（……もしかしたらって、
　　　思ったけど、このお店、
　　　入学式の朝の……ってことは……）
佐伯「いらっしゃいませ。
　　　喫茶珊瑚礁へようこそ。
●●「あ、やっぱり！
　　　佐伯くん！
佐伯「１名様でよろしいですか？
　　　お席へご案内いたします。
●●「あれ？
　　　佐伯くんでしょ？
佐伯「…………。
●●「ねぇ、
　　　佐伯くんだよね？
佐伯「ちょっと、ツラ貸し——
　　　いえ、よろしいですか？
●●「？

佐伯「なんで店に来た？
●●「わたし、今日からここで
　　　バイトすることになって……
佐伯「なんでよりによってウチなんだよ？
　　　バイト先なんていくらでもあるだろ？
●●「だって、わかんないよ！
　　　求人情報で応募したんだもん！
佐伯「帰れ。
●●「そんな！
？？？「こんにちは、
　　　アルバイトの方ですね？
●●「あ、はい！
　　　●●××です。
マスター「よろしくお願いします。
　　　この店のマスターです。
　　　あぁ、瑛の祖父でもあります。
●●「そうなんですか……
　　　じゃあ、わたし何て呼べば——
佐伯「店ではマスターって呼ぶんだ。
　　　公私混同はダメだ。
マスター「だ、そうです。
　　　じゃあ、
　　　マスターにしておきましょうか？
●●「はい、よろしくお願いします！
佐伯「よろしくない！
　　　帰れよ！
マスター「これ！
　　　女の子に何て口の利き方するんだ、
　　　お前は。
佐伯「だって、学校の奴なんだ！
　　　それにボンヤリだし……
　　　絶対、店のこと学校にバラしちゃうよ！
●●「わたし、バラしたりしないよ？
マスター「まあまあ、
　　　やれるところまでやってみるさ。
佐伯「無理。
　　　絶対バレる……。
●●「バレない！
マスター「いい加減にしなさい、二人とも。
　　　さあ、店に入った入った。
●●（よーし、がんばるぞっ！）

マスター「じゃあ、さっそくで悪いけど、
　　　瑛を手伝ってやってください。
●●「はい！
●●「佐伯くん、よろしくね！
佐伯「…………。
●●「あの……怒ってる？
佐伯「オーダーとるから、付いて来い。
●●「は、はい！

佐伯「お待たせいたしました。
　　　お決まりですか？
お客A「あのっ、このお店の
　　　オススメってなんですか？
佐伯「珊瑚礁ブレンドになります。
　　　コロンビアベースで少し酸味がある、
　　　マスター自慢のブレンドです。
お客B「あ、わたしそれ！
●●（佐伯くん別人みたい……。
　　　学校に居るときとも違って
　　　すごく大人っぽいし……。）
お客A「わたし酸味があるの苦手で……。
佐伯「それでは……
　　　ブラジルブレンドはいかがでしょう？
お客A「えっと、
　　　それってどんな……
佐伯「爽やかな口当たりで、きっと
　　　気に入っていただけると思います。
　　　僕がブレンドしました。
お客A「それ、お願いしますぅ

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佐伯「かしこまりました。
●●（お客さんにもモテモテ。
　　　カッコいいもんね……。）

佐伯「…………。
●●「すごいね、佐伯くん！
　　　バイトっていうよりプロって感じ。
　　　同い年とは思えないよ。
佐伯「オーダーお願いできますか？
●●「えっ！？
　　　あ、はい！
　　　え〜と、バニラアイスと……
佐伯「トレイ、ください。
●●「は、はい。
　　　どうぞ。
●●「あ。

●●「あ、痛っ！
佐伯「ボケッとすんな。
●●（うぅ、お盆で……。）

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