志 学園演劇 - Todarodes pacificus

学園演劇

●●（う〜、緊張するなぁ……。
　　　間違えたらどうしよう。）
志波「●●。
●●「志波くん……。
志波「……顔色悪いな。
　　　大丈夫なのか？
●●「あはは……ちょっと、
　　　緊張しちゃって……。
　　　どうしよう……。
志波「……適度な緊張感は、場を引き締める。
　　　どうしよう、なんて思わなくていい。
志波「それに、舞台に立つのは
　　　おまえひとりじゃないだろ。
志波「……いいんだぞ。
　　　こういうときは、頼ってくれても。
●●「……うん。そうだよね。
　　　ありがとう、志波くん。
放送「これより、
　　　羽ヶ崎学園、学園演劇を
　　　開演いたします。
志波「……行くか。
●●「うん！

志波「諦めないでください、姫！
●●「わたくしはもうダメです。
　　　そなただけでも……！
志波「……いくらあなたの願いでも、
　　　それだけは聞けませぬ。
●●「されど……！
志波「姫。
志波「………………
●●（……あれ？
　　　ここ、こんなに間があったっけ？）
志波「………………姫。
●●「は、はい！
志波「……謀反の疑いをかけられ、
　　　出奔せざるを得なかったわたしを、
　　　あなたは気にかけてくださった。
志波「素性を隠し……浪人として
　　　うつうつと生きていたわたしに
　　　手を差し伸べたのは、あなたです。
志波「再び武士として……
　　　……侍として生きよ、と。
志波「あなたの言葉に、
　　　わたしがどれだけ救われたか
　　　分かっておられますか？
志波「……闇の中で諦めていたオレを
　　　救い出してくれて……。
　　　感謝してる……心の底から……。
●●（えっ？　どこのセリフ？
　　　それに、オレって……。）
志波「！
志波「……姫の御身は、わたしの身に
　　　代えてでもお守り致します。
志波「ここから逃げ果せましょう。
　　　……共に。
●●「……はい。
　　　わたくしも、諦めませぬ。
　　　そなたがいる限り……！
　　　・
　　　・
　　　・
●●（志波くん、練習のときより
　　　すごく真剣だったな……。
　　　ちょっとびっくり。）
●●「演劇で主役になれたし、
　　　いい思い出になったな……。