ル 初詣 好 - Todarodes pacificus

初詣（好き以上）

誘う

●●（電話中か……）
●●（あれ？）
琉夏「明けましておめでとう。
●●「あ、琉夏くん。
　　　あけましておめでとう！
　　　今、そっちにかけたんだよ？
琉夏「ホント？
　　　じゃあ、俺の方が
　　　ちょっと早かった。
●●「ふふっ。
　　　ね、一緒に初詣に行かない？
琉夏「あ、
　　　俺が言おうと思ったのに。
　　　晴れ着きてくれる？
●●「晴れ着か、どうしよう……
琉夏「じゃあ、
　　　会ってからのお楽しみ。
　　　そっち、迎えに行くから。
●●「うん、分かった。
●●（さて、
　　　なにを着ていこうかな……）

誘われる

琉夏「ハッピーニューイヤー！
●●「あ、琉夏くん。
　　　あけましておめでとう！
　　　お正月から元気だね？
琉夏「まあね。
　　　起きる自信無かったから、
　　　徹夜。
　　　なんでか？
●●「どうして？
琉夏「初詣に誘うため。
　　　一緒に行こう？

『ごめん、ちょっと……』

琉夏「そっか……
●●「うん……ごめんね。
琉夏「ハァ……
　　　正月から計算が狂った。
●●「計算？
琉夏「こっちのこと。
　　　仕方ないからコウでも
　　　叩き起こそう。
　　　晴れ着と偉い違いだけど……
●●（せっかく誘ってくれたのに、
　　　悪いことしちゃったかな……）

『うん、行く！』

琉夏「よし。
　　　じゃ、すぐ迎えに行く。
　　　あ……
●●「？
琉夏「やっぱ、
　　　ゆっくり迎えに行く。
　　　支度とか、あるでしょ？
●●「うん、ありがとう。
琉夏「うん。
　　　スゲェあるよな、支度。
　　　正月だもんな、うん。
　　　そんじゃ、後で！
●●（期待されてる気がする……
　　　さて、何を着ていこうかな）

琉夏「あけおめ！
　　　待たせた？
●●「ううん。ちょうど良かったよ。
　　　あけましておめでとう。

---

琉夏「…………
●●「琉夏くん？
琉夏「スゲェ、いい……
●●「本当？
　　　良かった。
琉夏「あのさ、こう……
　　　手を前で揃えて、
　　　首をちょっとこう、傾げて？
●●「えぇと……
　　　こんな感じ？
琉夏「それだ……
　　　ヤバい、ギュってしたい。
●●「もう……
　　　初詣、行かないの？
琉夏「忘れてた。
●●（良かった、
　　　喜んでくれてるみたい）

---

琉夏「よし、じゃあ行こう。
　　　神様に
　　　ハッピーニューイヤーだ。

琉夏「スゲェ人。
●●「うん、すごいね……
琉夏「××ちゃん、
　　　迷子になるよ？
●●「うん、気をつけなきゃね。
琉夏「ダメ。
　　　ぜんぜんダメ、それじゃ。
●●「？
琉夏「手、繋ごう？
●●「そっか……
　　　うん、そうだね？
琉夏「やっぱり、
　　　腕も組んだ方がいい。
●●「うん、そ、そうかも……
琉夏「いや、いっそのこと
　　　抱っこしちゃった方がいい。
●●「うん——ん！？
琉夏「惜しかった。
　　　はい、腕まわして？
●●（ちょっと、
　　　恥ずかしいかも……）

●●「ふぅ……
　　　お賽銭箱の前、
　　　すごかったね？
琉夏「すごかった。
　　　オマエ、あんまり大胆に
　　　くっつくんだもん……
　　　焦っちゃった。
●●「それは、
　　　人に押されたから！！
琉夏「また人のせいにして。
●●「違うってば！
琉夏「ん？
　　　あ、おみくじ。

おみくじ

『混んでるからやめとこう』

琉夏「あれ？
　　　引けばいいのに。
　　　また人混みだから、
　　　くっつくチャンスだよ？
●●「もう！
琉夏「怒っちゃった。
　　　……乙女ゴコロ？

『おみくじ引いてみようよ』

琉夏「いいよ。
　　　で、その後、
　　　たこ焼き食って甘酒飲む。
●●「琉夏くんの目的は
　　　そっちだもんね？
琉夏「まあね。
　　　ほら、引いて。
●●（よ〜し！）

琉夏「琉夏くんは何だった？
琉夏「わーお。
●●「？
琉夏「へへっ、大吉。
●●「すごい！！
　　　よかったね！
琉夏「そんなに？
　　　じゃあ、あげよっか？
●●「ふふっ、ありがとう。
　　　でも、それは
　　　琉夏くんの占いだから。
琉夏「そっか。
　　　じゃあ、大事にしよ。

１年生

琉夏「ふぅ……
　　　詣でた詣でた。
　　　初詣ってさ、これでお終い？
●●「うん、そうだよ。
　　　だいたいこんな感じ。
琉夏「そっか、なるほどね。
●●「ご感想は？
琉夏「そうだな、まず……
　　　寒い。
●●「ふふっ、
　　　寒がりだもんね。
　　　それから？
琉夏「それから、
　　　たこ焼きの味がした。
　　　帰ろ、送ってく。
　　　・
　　　・
　　　・
●●「ありがとう。
　　　寒いの嫌いなのに、
　　　ごめんね？
琉夏「ぜんぜん？
　　　寒いけどうれしかった。
　　　寒うれしかった。
●●「……？
琉夏「デート初めじゃん。
　　　だから。
●●「うん……
　　　じゃあ良かった。
琉夏「俺も。
　　　今年も一年、
　　　お世話になります。
●●「こちらこそ。
　　　じゃあね。
琉夏「うん……バイバイ。
琉夏「寒っ！
●●（今年も一年、
　　　良い年でありますように……）

２年生

琉夏「よし、甘酒も飲んだし、
　　　たこ焼きも食ったし……
　　　こんなもんかな。
●●「琉夏くんの初詣は、
　　　食べ物とセットなんだね……
　　　ちゃんとお祈りもした？
琉夏「したよ。
　　　お賽銭ちょっとだから、
　　　ちょっとだけど。
●●「そんなの関係無いんだよ？
琉夏「そうなの？
　　　太っ腹だな神様……
　　　寒っ！
　　　送ってく、行こう。
　　　・
　　　・
　　　・
琉夏「到着。
●●「うん、
　　　送ってくれてありがとう。
琉夏「なんの。
　　　今年もデート初め
　　　しちゃったしね。
●●「うん、しちゃったね。
琉夏「来年もしよっか？
●●「もう、来年の話？
琉夏「ダメ？
●●「ダメじゃないけど。
琉夏「じゃあ、今年もずっと
　　　一緒にいよう。
　　　それならいい？
●●「琉夏くん……
　　　うん。
琉夏「よかった。
　　　今年もお世話になります。
　　　そんじゃ、ね。
●●（今年も
　　　いい年になりそう……）

３年生

●●「もう高校生活も
　　　終わっちゃうんだね……
琉夏「あれ、どした？
●●「ちょっと寂しいなって……
　　　琉夏くんは？
琉夏「俺は幸せだったよ。
●●「ずいぶん、
　　　はっきりしてるんだね？
　　　どうして？
琉夏「ずっとオマエが居てくれた。
　　　世界一幸せな高校生活と
　　　替えてやるって言われても
　　　取り替えない。
●●（琉夏くん……）
　　　・
　　　・
　　　・
琉夏「到着。
●●「うん。
　　　送ってくれてありがとう。
琉夏「××ちゃん。
●●「なに？
琉夏「俺、オマエの側にいて、
　　　良かったのかな？
●●「……どうして？
琉夏「わからない。
　　　いつも、不安なんだ。
　　　誰かが不幸せなのは、
　　　俺のせいじゃないかって。
●●「そんなこと無い。
　　　琉夏くんのせいじゃない。
　　　わたしも不幸せじゃないよ？
琉夏「……ありがとう。
　　　ごめん、
　　　ちょっとメソメソした。
　　　お腹減ってるからだな。
●●「じゃあ、
　　　お雑煮食べていきなよ？
琉夏「やった。
　　　今年もお世話になります。

---