ＩＣＵ - Todarodes pacificus

ICU

突然の訪問の続き
　　　・
　　　・
　　　・
●●「あれ？
　　　メールが届いてる。
●●「琥一くんからだ……
琥一「今、総合病院にいる。
　　　琉夏が単車で事故った。
●●「！！
琥一「まだ意識が戻らない。
琥一「来てくれると嬉しい。
　　　コウ
●●「そんな……
　　　琉夏くん！！
　　　・
　　　・
　　　・
●●「琥一くん！！
琥一「●●。
●●「……琉夏くんは？
琥一「そうか、あれから
　　　連絡してなかったな。
　　　俺、少し混乱して……
琥一「ＩＣＵから出てきて、
　　　まだ麻酔で寝てる。
琥一「骨折と裂傷で、
　　　体中ボロボロだけど、
　　　まずは命に別状ないらしい。
　　　奇跡的だそうだ。
●●「良かった……
琥一「ルカも俺も、
　　　丈夫なだけが取り柄だからな。
●●「兄弟だもんね。
琥一「ああ……
　　　そうだな。
●●「お父さんとお母さんは？
琥一「あぁ、親父は警察に行った。
　　　お袋は隣の部屋で休んでる。
　　　安心したんだろ、
　　　一晩中泣き通しだったから。
●●「そう……
　　　琥一くんも疲れたでしょ？
　　　少し、休んだ方がいいよ。
琥一「そうさせてもらう。
　　　まだ寝てるけど、
　　　顔、見せてやってくれ。
●●（ひどい怪我……
　　　大変だったんだな）
●●「琉夏くん！
琉夏「……ここ、どこ？
●●「気がついた？
　　　ここは、病院だよ？
琉夏「病院……
　　　あぁ、俺、バイクで……

画面タッチ

●●（琉夏くん、良かった……）

●●「……うん。
　　　今、琥一くんたち
　　　呼んでくるから——
琉夏「すごく寒かった……
　　　空が広くて……
●●「？
琉夏「星がきれいだった。
　　　もう、
　　　このままでいいと思った。
●●「そんな……
琉夏「家に、帰りたい。
●●「すぐ良くなるから、
　　　そうしたら、帰ろう？
琉夏「でも、僕の家は、もう無い。
　　　本当は、わかってたんだ……

画面タッチ

●●（琉夏くん、泣いてる……）

●●「……琉夏くん。

画面タッチ

琉夏「…………

琥一「悪かったな、
　　　わざわざ来てもらって。
●●「ううん。
　　　わたしも、安心したから。
琥一「なぁ、これからも時々、
　　　見舞いに
　　　来てやってくれるか？
●●「もちろん。
琥一「良かった。
　　　アイツには、
　　　オマエが必要なんだ。
琥一「きっと、
　　　俺や、親父やお袋よりも。
●●「琥一くん……

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