教会裏で水やり - Todarodes pacificus

教会裏で水やり

●●（お喋りしてたら、
　　　帰りが遅くなっちゃった！
　　　早く帰ろ！）
　　　・
　　　・
　　　・
●●（あれ？
　　　教会の敷地に……）
●●（だれかいるみたい。
　　　あれは……）
●●「琥一くん！
琥一「！！
●●「どうしたの、
　　　こんなところで……
琥一「いや、俺はべつに……

画面タッチ

●●(じょうろ？）

●●「それ、じょうろだよね？
琥一「ああ、これな？
　　　これは、べつに……
　　　たまたまだ。
●●「そう……
　　　花壇の手入れとか？
琥一「いや、だから、
　　　たまたまだって言ってんだろ？
●●「…………

画面タッチ

琥一「チッ、メンドクセーな……

琥一「なんだよ、俺が花壇に
　　　水やっちゃいけねぇのか？
●●「ううん、
　　　そんなことないけど、
　　　ちょっと、意外かも。
琥一「ああ……
　　　それより、もう遅ぇぞ。
　　　帰るんだろ？
●●「うん。
　　　・
　　　・
　　　・
●●「…………
琥一「…………
●●「ねぇ？
　　　琥一くん、
　　　いつにもまして無口だね？
琥一「そんなことねぇだろ？
●●「……そうかな？
琥一「なぁ、あの教会……
　　　ガキの頃３人で、
　　　ときどき忍び込んだの、
　　　覚えてるか？
●●「うん。
　　　なんとなく、だけど。
　　　どうして？
琥一「なんとなく、な……
　　　いや、聞いただけだ。
　　　忘れろ。
●●（琥一くん、笑ってる？）
　　　・
　　　・
　　　・
●●「送ってくれてありがとう。
琥一「ああ。
●●「じゃあ——
琥一「俺は……
　　　ときどき思い出す。
　　　我ながら、
　　　女々しいけどな。
●●「琥一くん？
琥一「ハァ……
　　　なに言ってんだ、俺は。
　　　やっぱり忘れろ。
　　　じゃあよ。
●●（琥一くん……）

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