Todarodes pacificus
濡れ衣
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gs23
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濡れ衣
●●(なんだろう……
人だかりができてるよ)
警官A「君たち、ちょっと!
●●「!?
琥一「あ?
警官A「君は桜井琥一君だろ?
桜井兄弟の、上の。
琥一「だったら、なんスか?
●●「ちょっと、琥一くん!
警官B「いやぁ、今そこで
ケンカがあってね?
余多門高校の生徒が、
重傷を負ったんだ。
琥一「!!
●●(余多門高校って、
いつも絡んでくる……)
警官B「悪いけど、ちょっと、
話を聞かせてもらえる?
●●「どうしてですか?
わたしたち、今、
通りかかっただけで——
警官A「君、この辺りで彼らと
ケンカしたことがあったろ?
付近の人が見てるんだよ。
確か、弟も——
琥一「俺です。
●●「!?
琥一くん!
琥一「俺がやりました。
警官B「署まで同行してもらう。
いいな?
琥一「はい。
●●「そんな……
警官A「この子は?
琥一「知りません。
警官A「そんなはずないだろ?
琥一「知りません。
警官B「まあ、
見たところまともな子だし、
今回はいいだろう。
●●「でも、違うんです!
わたしたち本当に——
警官B「話は彼から聞くから。
君は家に帰りなさい。
名前と連絡先をここに書いて。
・
・
・
警官A「緊急車両18号、
関係者と思われる少年を確保。
人だかりができてるよ)
警官A「君たち、ちょっと!
●●「!?
琥一「あ?
警官A「君は桜井琥一君だろ?
桜井兄弟の、上の。
琥一「だったら、なんスか?
●●「ちょっと、琥一くん!
警官B「いやぁ、今そこで
ケンカがあってね?
余多門高校の生徒が、
重傷を負ったんだ。
琥一「!!
●●(余多門高校って、
いつも絡んでくる……)
警官B「悪いけど、ちょっと、
話を聞かせてもらえる?
●●「どうしてですか?
わたしたち、今、
通りかかっただけで——
警官A「君、この辺りで彼らと
ケンカしたことがあったろ?
付近の人が見てるんだよ。
確か、弟も——
琥一「俺です。
●●「!?
琥一くん!
琥一「俺がやりました。
警官B「署まで同行してもらう。
いいな?
琥一「はい。
●●「そんな……
警官A「この子は?
琥一「知りません。
警官A「そんなはずないだろ?
琥一「知りません。
警官B「まあ、
見たところまともな子だし、
今回はいいだろう。
●●「でも、違うんです!
わたしたち本当に——
警官B「話は彼から聞くから。
君は家に帰りなさい。
名前と連絡先をここに書いて。
・
・
・
警官A「緊急車両18号、
関係者と思われる少年を確保。
画面タッチ
●●「琥一くんが、
行っちゃう……
琥一「琥一くん!!
琥一「…………
琥一「…………
画面タッチ
●●(そんな……)
・
・
・
●●(琥一くん……)
・
・
●●(琥一くん……)
●●(琥一くんきっと、
琉夏くんをかばって……)
●●(でも、琉夏くんが
そんなことするはずない。
連絡しなきゃ……)
琉夏「もしもし。
なに、どした?
●●「琉夏くん!
今、琥一くんが警察に——
・
・
・
琉夏「わかった……
すぐ行く。
今、どこ?
・
・
・
●●「琉夏くんが来てくれて、
よかった……
琉夏「お待たせ。
遅くまで付き合わせて
ゴメン。
●●「ううん。
どうだった?
琉夏「もう大丈夫。
結局、余多高同士の
ケンカだったらしい。
相手も捕まったって。
●●「そう……
じゃあ琥一くん、
すぐ家に帰れるよね?
琉夏「うん。
オヤジが迎えに来るって。
保護者が来るまで、
帰れないんだ。
●●「そうなんだ……
でも、誤解がとけて良かった。
琥一くん、どうして
あんなウソを——
琉夏「責めないでやって。
コウはさ、
俺をかばったんだ。
俺、信用ないから。
●●「琉夏くん……
琉夏「当然だ。
一歩間違えば、
俺がやってたんだ、
きっと……
●●「そんなことない。
2人とも、
もう前とは違うんだもん。
琉夏「ありがとう、信じてくれて……
兄弟でも
信じ合えないのにな。
●●「琥一くんは、
琉夏くんのことになると、
冷静じゃなくなっちゃう
んだよ……
琉夏「うん……
そうだな、
昔からそうだ……
琉夏「……帰ってきたらさ、
コウに優しくして
やってくれる?
●●「もちろん。
琉夏「アイツはさ、
バカで乱暴で、
自分の気持ちも
よくわからなくて、でも……
琉夏「いいヤツなんだ。
きっと、
誰かのためにしか
生きられない。
琉夏「そして、その誰かは、
もう、俺じゃない。
……俺たちはもう、
大人にならなきゃ。
●●「大人に……
琉夏「××ちゃん。
コウのこと、よろしくね。
●●「……うん。
琉夏「じゃあ……
さよなら。
●●(琉夏くん……)
琉夏くんをかばって……)
●●(でも、琉夏くんが
そんなことするはずない。
連絡しなきゃ……)
琉夏「もしもし。
なに、どした?
●●「琉夏くん!
今、琥一くんが警察に——
・
・
・
琉夏「わかった……
すぐ行く。
今、どこ?
・
・
・
●●「琉夏くんが来てくれて、
よかった……
琉夏「お待たせ。
遅くまで付き合わせて
ゴメン。
●●「ううん。
どうだった?
琉夏「もう大丈夫。
結局、余多高同士の
ケンカだったらしい。
相手も捕まったって。
●●「そう……
じゃあ琥一くん、
すぐ家に帰れるよね?
琉夏「うん。
オヤジが迎えに来るって。
保護者が来るまで、
帰れないんだ。
●●「そうなんだ……
でも、誤解がとけて良かった。
琥一くん、どうして
あんなウソを——
琉夏「責めないでやって。
コウはさ、
俺をかばったんだ。
俺、信用ないから。
●●「琉夏くん……
琉夏「当然だ。
一歩間違えば、
俺がやってたんだ、
きっと……
●●「そんなことない。
2人とも、
もう前とは違うんだもん。
琉夏「ありがとう、信じてくれて……
兄弟でも
信じ合えないのにな。
●●「琥一くんは、
琉夏くんのことになると、
冷静じゃなくなっちゃう
んだよ……
琉夏「うん……
そうだな、
昔からそうだ……
琉夏「……帰ってきたらさ、
コウに優しくして
やってくれる?
●●「もちろん。
琉夏「アイツはさ、
バカで乱暴で、
自分の気持ちも
よくわからなくて、でも……
琉夏「いいヤツなんだ。
きっと、
誰かのためにしか
生きられない。
琉夏「そして、その誰かは、
もう、俺じゃない。
……俺たちはもう、
大人にならなきゃ。
●●「大人に……
琉夏「××ちゃん。
コウのこと、よろしくね。
●●「……うん。
琉夏「じゃあ……
さよなら。
●●(琉夏くん……)