気づけば机にうつ伏せて寝ていた。
???「萌緩~、やっと目覚めたぁ?」
萌緩「んん~…あたし寝てた?」
まだまだ眠たいけど頑張って起きる。
???「もう放課後だよ?さっさと帰ろ~よ」
重い目蓋を擦って帰宅の準備をする。今日はいつもより眠たい。何でかな?
第2話【全てを受け継いで】
いつもの帰り道をいつものメンバーで帰る。そんな生活には正直飽きた。家に帰ってもやることないし、かといって部活もやりたくない。まだ家に帰りたくないし…
萌緩「そうだぁ、今からさ遊ばない?あたし暇だから物凄く遊びたいよ~!ねっどっか行こうよ」
???「ごめん。あたしバイトあるから…」
萌緩「えー…わかったよ」
結局、家へ帰る事となった。友達とは別れて、一人で歩いている。やっぱり家に帰りたくないから、もう一回学校へ戻ろうとする。何故かはわからなかったが、学校へ行きたくなった。
数分掛けて正門前の道までたどり着いたが、一人の男子を見つける。あれは、同じクラスの古仲…くんだっけ?あんな所にバイク止めてなにしてんだろう。声を掛けようと思って近づこうとしたら、いきなりバイクが吹き飛んだ。
萌緩「わぁっ!」
かなりビックリした…バイクを見ると、ぼろぼろになっていて、古仲くんは校内へ向かって何か叫んだ後、走って行った。
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07/14 00:09 K002 [67]
なんとなく隠れてついて行くことにした。古仲くんが走って行った方を正門からそっと見てみる。
遠くだったから声は聞こえない。古仲くんは、西沢くんを支えて、自販機のある場所まで運んでるのがわかった。
萌緩(さっきのあれ、西沢くんが怪我した時の衝撃…?)
でも、あれだけの衝撃なら周りの人達が気がつくはず…何が起きたの?興味が沸いたあたしは、そのまま見ることに。
と、古仲くんが物凄い勢いでこっちへ向かってきた。西沢くんは陰から現れた女子とどこかへ行ってしまった。そして、古仲くんはあたしに気づかず、バイクを起こして、西沢くんを呼んでいた。西沢くんがいない事に気づくと、バイクを押して帰って行った。あたしは何故か話を掛けることが出来なかった。
萌緩(………なんか面白そう)
そう思ったあたしは、西沢くんと古仲くんのケータイ番号を手に入れて、何をしてたか聞こうと思い、急いで家に帰る。十数分かけて家へ戻り、自分の部屋へ走る。
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07/14 17:12 K002 [68]
萌緩「だからぁ、違うって…そういう意味じゃないよ。古仲くんの番号知らないの?」
別に古仲くんが好きだからって番号を聞いてる訳じゃない。気になるんだ。そう説明しても、
「それが好きってことじゃん?」
等と言われる。
萌緩「あたしはあんな小柄な体型の奴好きでもないし…なんか気になるの」
数分喋ったけど、番号は手に入れられなかった。次は…歩く情報局の川之内くんに聞いてみるか、っていうか最初から彼に掛けとけば良かった。
川之内「はい、何?」
萌緩「古仲くんの番号持ってる~?」
川之内「いきなりなに?持ってるけど」
よし!流石歩く情報局。登録しといて良かったぁ。役に立つときが来るとは思わなかったけどね…
萌緩「古仲くんに用があるから欲しいんだけどいい?」
川之内「わかった。教えるよ…お前もイレギュラーなんだし…」
萌緩「えっ?なんて?」
イレギュラー?なんだそりゃっと軽く流してようやく番号を手に入れた。
母「萌緩~、ちょっと話があるんだけどいい?」
せっかくいい気分だったのに、お母さんの一声で台無しになった。
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07/14 23:19 K002 [69]
母「聞いてるの萌緩」
どたどたと足音をたて、お母さんはあたしの部屋の前まで来た。部屋に入れてたまるもんか。あたしは、ドアに鍵を掛けた。
ドンドンと、ドアを叩かれる音…あたしはいつまでこの音を聞かなければならないの?この家…ホントに嫌だ。
萌緩「やめてよ!迷惑なの!なんでこういう事ばっかりするの?あたしが何かしたの?」
思わず叫んでしまった。
母「いいからドアを開けなさい!……お父さんにきつく言ってもらうからね!」
お母さんは諦めたようだ。こんな家庭環境がめちゃくちゃの家で育ったあたしは、すでに七回もの自殺未遂を起こしている。手首を四回、首筋辺りを一回、首吊りを二回、凄く痛かった。死にたいはずなのに死ねない…手首は腕時計やリストバンドで隠して、首筋は幼いときの傷と誤魔化していた。
萌緩(………)
急に眠気が襲ってきた。あたしはベッドに倒れるように身を投げた。そして、夢を見る。あたしの家族がまだ家族だった頃の夢…幼いあたしとお母さんとお父さん、双子の姉…菜緩。
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07/15 11:59 K002 [70]膝小
十年前、双子がいました。何をするにも二人で、とても仲良しでした。あたしはその双子の妹、名前は萌緩…姉は菜緩…あたし達は双海家で生まれた。当時、幼稚園児だったあたし達は、お母さんとお父さんの絵を描くことに。
菜緩「萌緩~、萌緩はお母さん描く~?それともお父さん?」
萌緩「菜緩は、どっち描くの?」
幼いあたし達は、意見を言い合って二人ともお母さんとお父さんを描いた。絵が上手だった菜緩。絵が下手だったあたし…比べられ始めたのが、この頃からだった。
あたしは自分の絵を見せるのが恥ずかしくて、なくしたと嘘を言って渡さなかった。頭を撫でられた菜緩は笑顔だった。
あたしはその夜悔しくて泣いた。自業自得なのに菜緩を憎んでいた。少しずつ距離を置くあたし。
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07/15 12:28 K002 [71]
いつの間にか仲良しの双子は、仲良しじゃなくなった。何をするにも一人で、とても孤独でした。
人付き合いが苦手なあたしは独りぼっち。優れていて誰からも慕われる姉。その時も悔しかった。何故自分は生まれてきたんだろう…幼いながらも疑問を持っていた。
菜緩「ね、ねぇ萌緩…遊ぼうよ…あたしね、和くん達と遊ぶんだ…だ、だから萌緩も…」
萌緩「良いよ。あたし、知らない人とは遊ばないから…お姉ちゃん行けば?」
菜緩「……なんで…お姉ちゃんて言わないって…言ったじゃん…な・ゆ・るって呼んでよ………」
萌緩「どうせ、自分にはたくさん友達がいるって自慢したいんでしょ!あたしの目の前でそういうことするんでしょ!」
あたしは菜緩を突き飛ばした。派手に転んだ菜緩。あたしは、我に返って謝ろうとしたが…
菜緩「もう良いよ!わかったよ!萌緩は一生誘わない!ずっと独りでいれば!」
涙声で言った後、菜緩は走って行った。あたしは顔を伏せて、泣いた。たくさん泣いた。本格的に独りになってしまったから…
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07/15 12:28 K002 [72]
その現場を目撃していたお母さんが慌ててやって来た。
母「萌緩!どうしたの?菜緩と喧嘩しちゃったの?」
あたしはすがり付くようにお母さんに抱きついた。お母さんは優しく頭を撫でてくれた。菜緩を憎んでいたが、その気持ちもすっかり無くなった。菜緩はきっと、いつも独りぼっちのあたしを心配で誘ったんじゃない。何故あたしが距離を置いているのか、気になっていたんだ。あたし達は同情なんてしないから、今まで仲良く出来たんだ。
お母さんとあたしは、買い物に出かけた。どうしたら菜緩と仲直りできるか二人で考えた。結論はケーキを作って菜緩に謝る、という子供のあたしが考えた内容にお母さんは笑顔で賛成してくれた。材料を買ってわくわくしながら家へ帰る。
ケーキ作りは大変だった。味付けを間違えたりして形や味は少し変だったけど精一杯作ったんだ。後は菜緩に謝って許してもらおう。早く帰って来ないかな、と待ち遠しく思った時、菜緩は帰って来た。
萌緩「あっ」
あたしは転ぶ勢いで玄関まで走った。菜緩は笑顔のあたしを見て、
菜緩「もゆ………お母さん、ただいま~」
そのまま台所に行った。
萌緩「………まだ大丈夫…ケーキ作ったんだから」
独り言を呟いてあたしも台所へ向かった。
菜緩「あ、お母さんケーキ作ったんだぁ!形変だけど美味しそうだね!」
萌緩「そ、それ…あたしが…作ったの…菜緩に…た、食べて欲しくて」
無視をしていた菜緩だが、その言葉に反応してくれた。
菜緩「……これ、萌緩が作ったの?…なんで…?」
萌緩「菜緩にね…謝りたかったの……ケーキ作ってね…菜緩に………食べさせて…謝りたかったの…」
泣かないと決めてたのについ泣いてしまった。菜緩は、優しく頭を撫でて…
菜緩「…このケーキ変な味するよ……萌緩は…ホントに不器用なんだから…今度はあたしも一緒に作らせてね……」
二人は再び仲良くなった。仲直りして次の日…菜緩は車に轢かれた。相手は轢き逃げで、すぐ捕まった。しかし、菜緩は搬送されて
二日目の朝…死んだ。一緒にケーキを作ることも出来ずに菜緩は死んでいった。まだまだ遊びたかったのに…話もしたかったのに…
そこで目が覚めた。ケータイを見ると二時間ぐらい寝ていた。目を擦ると涙が流れていた。あたしは深呼吸をして落ち着くと、古仲くんに電話を掛ける。
萌緩(そういえば菜緩の墓参り、ここ何年してないなー)
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07/15 13:09 K002 [74]
あれ?古仲くん寝てるのかな?あんまり長く掛けるのも迷惑だから切る。それにしても、菜緩の夢を見るなんて…会いたがってるのかな………いや、きっとあたしが無事でいるか気になってるんだ。菜緩は、そういう奴だから。
明後日は学校休みだから墓参りに行こうか…不意にお父さんの声が聞こえた気がした…
父「萌緩~、ドアを開けろ~…起きてるのはわかってんだぞ」
気のせいじゃなかった。
母「……………あの時……あの時、死んでいたのが…萌緩だったら良かったのに…」
萌緩「!?」
あたしは言葉を失った。またあの言葉が聞こえたから…お母さんは気づいていなかったかもしれないが、あたしは知っていた。菜緩が事故死してから何日かの夜、あたしは目が覚める。トイレに行こうと、廊下を歩いていたらお母さんの声が聞こえたのだ。
母「………う、う…なんで、な、んで菜…緩が………し、死んだの……」
お母さんも、寂しかったのかな?慰めよう。そう思って部屋に入ろうとしたら、
母「………あの時……あの時、死んでいたのが……萌緩だったら…良かったのに……」
手を止めて、あたしは…トイレへ歩く。そして、菜緩と喧嘩した時より泣いた。声を殺して、息が出来ないくらいに… 次の日の朝、お母さんは何事もなかったように、あたしに笑顔を向けた。やっぱり……まだ比べられていたんだ。死んでも、生きていても、菜緩と比べられていたんだ………それがわかった時、あたしは家族を家族と思わなくなっていく…
頭がどうにかしていたのだろう、いつの間にか外へ出ていたのだ。何をしたのかも覚えていない。あたしは霊に取り憑かれたように、学校の方へ歩いていた。
萌緩「………なんで…だろ…う」
学校に行けば、何かがあるようなそんな気がした。何の根拠も無いのに、そんな気がした。
学校に近づく度に嫌な予感がするようになってきた。もう戻れないような、不安が脳内を駆け巡る。………ついに到着した学校の正門。誰かいるようだ。なにやら話をしている。……あれは、古仲くんと西沢くんに………津田さん。そして、後ろには気味悪い姿形を動物みたいな生き物。古仲くん達は、その生き物に気づいたのか後ろを振り返り、西沢くんと津田さんが構えて、古仲くんはその場に立ち尽くしている。
西沢くんが、生き物の回り込む。生き物は西沢くんを無視するように物凄い勢いで古仲くんの方へ走り出す。古仲くんを押して、津田さんは高く飛んだ。
上手く回避し、生き物は制止する。次は、西沢くんが変な筒を使って生き物を挑発する。生き物はそれにつられたのか、狙いを西沢くんに換えたらしい。津田さんは空中で道具を取り出し、着地と同時に作業に掛かる。
だが、古仲くんの叫び声で立場が入れ替わる。西沢くんが挑発で引き寄せていた生き物が止まり、古仲くんの方を見た。そして、土を二蹴りすると同時に突進をする。それを見ていた津田さんは、作業を中断して古仲くん目掛けてダッシュをする。
古仲くんを押し飛ばした津田さんは、生き物に飛ばされた。まるで大型トラックに突き飛ばされたくらいの衝撃で吹き飛ぶ。
そこへ、西沢くんが槍で生き物の背中を突き刺すが、平気な顔をして振り返る。
あたしは、自分が平常心を保てていることに気づく。普通、この状況を見たら慌てるのが人間。なのにあたしは平気だった。
???[雪葉さん大丈夫かなぁ?ねぇ、あれってなんかの撮影?]
後ろから声が聞こえた。ゆっくり振り向くと、それは桑坂佐奈、佐奈ちゃんの声だった。
萌緩[佐奈ちゃん…何してるの?]
自転車に乗っている佐奈ちゃん。何かの買い物だろうか。かごには袋が入っている。
佐奈[ああビデオ借りたの。ドラマとかぁ、アニメとかぁ…明後日休みじゃん…で、雪葉さん達何してるんだろうね?古仲くんに関してはパジャマだし]
映画感覚で津田さん達のやり取りを見ている佐奈ちゃん。相変わらずの性格だなぁ。
萌緩[佐奈ちゃん…あれが演技か何かに見えるぅ?あんなバカでかい生き物と戦ってるけど、演技には見えないよ?]
佐奈[えっ?西沢くんが槍を振り回してるだけでしょ?バカでかい生き物どこにいるの?]
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07/17 21:50 K002 [78]
最初、冗談で言ってるのかと思った。だけど、佐奈ちゃんは冗談を言っているような顔には見えない。もう一度校庭を確認する。やっぱり、西沢くんは生き物と戦ってる。でも佐奈ちゃんには見えない。どういう事だろう…数分後、古仲くんは津田さんを起こすと、肩で支えてその場から逃げる。
佐奈「ねぇ…萌緩ちゃん。雪葉さん、何もない所でぶっ飛んだよね?あれ、凄い演技だと思ってたんだけどさ、なんでお腹から血がたくさん流れてるの?」
あたしは、あまり視力が悪いせいか、見ることができなかったが、確かに赤いのは見える。
萌緩「……救急車呼んだほうが良くない?」
ケータイを取り出すが、不思議な事に圏外になっていた。あたしのケータイは別に壊れていない。なのに、圏外だ。
佐奈「…あれ?圏外だ」
佐奈ちゃんのケータイも圏外らしい。
西沢「ぐっ……」
不意に、鈍い音と共に西沢くんの声が聞こえた。どうやら、怪我をしたみたいだ。左手を押さえている。
生き物は、その様子を確認して土を蹴る。ヤバい!直感でそう思った。
佐奈「ちょっと…萌緩ちゃん!」
呼び止められたが、あたしは止まらず、佐奈ちゃんの自転車を借りて生き物へ突っ込む。
萌緩「こっち見ろぉ!生き物!?すり身にしてやるぞオラァー!」
ペダルを全開でこぎ、生き物目掛けて体当たりをかます。佐奈ちゃんの自転車だけど。
佐奈「それ私の自転車ー!」
佐奈ちゃんもビデオの袋を片手に追いかけてきた。
西沢「!?」
唖然の西沢くん。
萌緩「喰らえー!スーパーウルトラマーケティングフェスティバルマックスセレクションアクティブスペイン代表アタック!!!!!」
ガッシャーン!と、音をあげて自転車が生き物の顔面に激突。
西沢「!!?」
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07/18 04:18 K002 [79]
佐奈「…えっ!?私の自転車が…えっ?自転車えっ?壊れえっ?」
パニックの佐奈ちゃん。地面に叩きつけられるあたし。中学の時、柔道してたから受け身は大丈………ゴキッ!!?えっ?
萌緩「きっくぅー!!!」
涙目で周りを見たら、生き物は消えていた。良かったー。ホントに良かったー。なんか右肘痛いけど…ちょっ…かなり痛いけど。
西沢「だ、大丈夫か!?」
唖然としていた西沢くんだったが、すぐに正気に戻り、あたし達の下へ向かってくる。
萌緩「う、うん…ちょっと怪我したかな……」
右肘をさすって立ち上がる。
佐奈「私の自転車ー!」
自転車に抱きつき、涙の溜まった顔で泣いている佐奈ちゃん。
西沢「って、なんでこの空間に来れたんだ?………まさか、お前ら服脱いでみろ!!」
萌緩「は!?」
佐奈「あ゛?」
セクハラ発言をする西沢くん。体の心配してくれてるのだろうか…でも脱げってそりゃないよ。
西沢「良いから脱げ!早く!」
萌緩「………」
佐奈「………」
いや、寒いし、理由わからないし、意味わかりませんし、脱ぐ必要ないし…
西沢「……あっ!明日、川橋達が確かめるから…その時な」
自分の言ってる事に気がついたのか、顔を反らして言って、槍を杖がわりにして古仲くんが逃げた方へ歩いて行った。
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07/18 04:36 K002 [80]
西沢「あ、そうだ」
立ち止まって、喋った。
萌緩「な、なに?」
佐奈「…自転車」
西沢「お前ら今日は遅いからもう帰れ!最近は物騒な事件が多いからな…」
萌緩「えっ…うん、わかった…じゃあね」
あたしも腕を早く治療したいのでそう答える。
佐奈「…自転車」
佐奈ちゃんはそれしか喋らなくなった。悪いことしたな…佐奈を立ち上がらせて、
萌緩「佐奈ちゃん…ゴメンね…」
魂の抜けた佐奈ちゃんに謝る。やっと、現実世界に戻ってきたのか、
佐奈「うん帰る…」
自転車を起こして、引きずりだす佐奈ちゃん。
佐奈「鉄屑に還る…」
萌緩「………」
弁償しないと…今思ったらけっこう高そうなこの自転車…跡形無いけど…弁償…出来るかな?
西沢「…やっと…追い払うことができたか…」
隣ではあたかも一人で倒したような表情をした西沢くんが、誇らしげにして歩いて(足を引きずって)行った。
萌緩「………」
見なかった事にしよう。
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07/18 04:56 K002 [81]
佐奈ちゃんととぼとぼ歩いて正門に着く。そういえば、津田さん大丈夫だったのかな?一応、様子だけでも見に行こうかな…よし、行ってみよう。
萌緩「…佐奈ちゃん、先帰ってて!」
佐奈「うん…じゃあね萌緩ちゃん」
凄い可哀想だな…流石に本人の目の前で自転車を壊したのはやり過ぎた…でも、そうしないと西沢くんは危なかった。今の状況は自分を正当化しないと罪悪感の重みで死にそうだ。
こそこそと西沢くんの後をつけて、木の影に隠れて見た………古仲くんが泣いてる…その横には津田さんがぴくりとも動かず、横たわったまま…そして、西沢くんが喋っている。
その内容は残酷だった。信じられない内容にも関わらず、あたしはそれを信じた。信じるしかなかった。津田さんが少しずつ、消えていくのがわかる。古仲くんは津田さんの上着を取ると抱きしめて泣いていた。
津田さんの声が脳内に響いた。
津田(ん…あなたは私の代わり…になれる。あなたは肉眼で魔物を見ることができる…それは、この先、役に立つ……から)
あたしはたくさんの涙が溢れた。そして、決心する。
萌緩(うん………あたしさ、ずっと疑問だったんだ…自分が何の為に生まれてきたのか…何となくわかった気がする…津田さん、後は任せてね…)
あたしは津田さんの代わりになって、皆を助けたい。ゆっくりこの場から離れて、家へ帰る。これから何が起きようと、あたしは生きる。菜緩と津田さんの分まで…絶対に生きてみせる…
最終更新:2010年07月21日 00:33