新説ガンダムドルダ
第十一話 絶望の光
第十一話 絶望の光
「そうでしたか…」
ルナリアンは紅茶のカップを置くと、目を瞑る。
全ての真実を語り終えたクランは、ある意味清々しく思っていた。
全員静かに、ルナリアンの次の言葉を待つ。
「それで、あなた方はこれからどう動くおつもりなので?」
ゆっくりと目を開き、再び全てを見透かすような瞳で、クランを見つめる。
「少し、前置きが長くなりますが…私個人は、こう考えています」
クランが続ける。
「先日の私達の調査の一件、そして『半月崩落事変』。火星コロニー圏の人々が剣を手に取った。
地球圏の生まれである私は、火星圏コロニーでの人々の生活をこれまで目の当たりにしてきて、本当に心が痛くなりました。
何も知らずに、地球で幸せに暮らしていた自分を、恥ずかしくさえ思いました。
…ご存じの通りの、『舞姫の殺劇』で私は家族を失いました。…けれど今では、それで世界の声を耳にすることが出来たのだと思っています」
ルナリアンは目を細める。
「あなたはお強いのですね…『舞姫の殺劇』、あれは酷い事件でした…」
続けて下さい、ルナリアンが言う。
「世界の声を聞くことで、どうしようもない人のうねり、というものがあるのだと気付きました。地球圏の人々にも言い分がある、けれど火星圏の人々にも言い分がある。
どちらもそれぞれの正義の名の下に、今を生きています。
けれど、だからといってこれを武力で解決していい理由にはなりません」
ルナリアンは黙って聞いている。無言で続きを促す。
最早クランの瞳にあるのは、自らの過去の痛みだけではなかった。
痛みを乗り越えて、人と歩み寄る未来を信じること…それが、今を生きるクランに出来ること。
痛みを知り、儚さを知り、そして世界の声を耳にしたクランは、未来の為に戦うことを決意していた。
絶望がもたらす光を、育てていかなければならない、と。
ルナリアンは紅茶のカップを置くと、目を瞑る。
全ての真実を語り終えたクランは、ある意味清々しく思っていた。
全員静かに、ルナリアンの次の言葉を待つ。
「それで、あなた方はこれからどう動くおつもりなので?」
ゆっくりと目を開き、再び全てを見透かすような瞳で、クランを見つめる。
「少し、前置きが長くなりますが…私個人は、こう考えています」
クランが続ける。
「先日の私達の調査の一件、そして『半月崩落事変』。火星コロニー圏の人々が剣を手に取った。
地球圏の生まれである私は、火星圏コロニーでの人々の生活をこれまで目の当たりにしてきて、本当に心が痛くなりました。
何も知らずに、地球で幸せに暮らしていた自分を、恥ずかしくさえ思いました。
…ご存じの通りの、『舞姫の殺劇』で私は家族を失いました。…けれど今では、それで世界の声を耳にすることが出来たのだと思っています」
ルナリアンは目を細める。
「あなたはお強いのですね…『舞姫の殺劇』、あれは酷い事件でした…」
続けて下さい、ルナリアンが言う。
「世界の声を聞くことで、どうしようもない人のうねり、というものがあるのだと気付きました。地球圏の人々にも言い分がある、けれど火星圏の人々にも言い分がある。
どちらもそれぞれの正義の名の下に、今を生きています。
けれど、だからといってこれを武力で解決していい理由にはなりません」
ルナリアンは黙って聞いている。無言で続きを促す。
最早クランの瞳にあるのは、自らの過去の痛みだけではなかった。
痛みを乗り越えて、人と歩み寄る未来を信じること…それが、今を生きるクランに出来ること。
痛みを知り、儚さを知り、そして世界の声を耳にしたクランは、未来の為に戦うことを決意していた。
絶望がもたらす光を、育てていかなければならない、と。
「世の中には誰一人として潔白な人間などいない。それは自明です。
毎日こうすれば、ああすれば、のジレンマに板挟みになって、そういう歪みが重なって。
…世界の全てを救えない、そんなことはわかっています。
けれど、その歪みの原因を解決することで、信じる未来が訪れるというのなら私はそのすべてを解決していきたい、と考えています」
真剣な眼差しのクラン。
ギデオン、ヴァイスにミランダは目を丸くしている。
「…そうですか、あなたのお気持ちは良くわかりました。しかし、あと一つお伺いしてもよろしいでしょうか?」
ルナリアンはにこやかに微笑むと、続ける。
「あなたは、シンシアさんと、ガンダムドルダを通して、何を見つめていくおつもりなのですか?」
「……」
ルナリアンは、自分が本当に聞いておきたい問いは絶対に問うておかねばならないと、思っているようだ。
クランが口を開く。
「あの機体、ドルダが何処からもたらされたモノなのか…そしてこの世界に何をもたらすのかは、わかりません。
ただ、私は…詭弁ですが、シンシアとの触れ合いの中で、ドルダをあるべき道へと導かなければ、と考えています」
「あなたの導く先に、必ずしも正しい答えがあるとは、限りませんよ?」
「わかっています。けれど、あの娘が、ドルダと共にいた、シンシアが進むべき道を示してくれる、と信じています」
強い決意を灯した瞳は、ルナリアンの澄んだ瞳を真っ直ぐに捉える。
絶望の光…クランの瞳に宿った光。
「…わかりました。ドルダとシンシアさんが実験対象にならないように、上層部の方には、私の方で対処しておきます」
「しかし、それではあなたが…」
ギデオンが口を挟む。
「私は、見てみたいのです。貴女が…クランさんが信じた未来を、私も見てみたい」
ルナリアンが静かに言う。
「それに、大丈夫ですよ。私には、ライセンスがありますので」
またしてもにっこり微笑えむ。
「さ、おかわりを。おつぎいたしますわ」
そう言うと、ルナリアンは席を立ち、一同に紅茶のお代わりを並々と注いでいった。
毎日こうすれば、ああすれば、のジレンマに板挟みになって、そういう歪みが重なって。
…世界の全てを救えない、そんなことはわかっています。
けれど、その歪みの原因を解決することで、信じる未来が訪れるというのなら私はそのすべてを解決していきたい、と考えています」
真剣な眼差しのクラン。
ギデオン、ヴァイスにミランダは目を丸くしている。
「…そうですか、あなたのお気持ちは良くわかりました。しかし、あと一つお伺いしてもよろしいでしょうか?」
ルナリアンはにこやかに微笑むと、続ける。
「あなたは、シンシアさんと、ガンダムドルダを通して、何を見つめていくおつもりなのですか?」
「……」
ルナリアンは、自分が本当に聞いておきたい問いは絶対に問うておかねばならないと、思っているようだ。
クランが口を開く。
「あの機体、ドルダが何処からもたらされたモノなのか…そしてこの世界に何をもたらすのかは、わかりません。
ただ、私は…詭弁ですが、シンシアとの触れ合いの中で、ドルダをあるべき道へと導かなければ、と考えています」
「あなたの導く先に、必ずしも正しい答えがあるとは、限りませんよ?」
「わかっています。けれど、あの娘が、ドルダと共にいた、シンシアが進むべき道を示してくれる、と信じています」
強い決意を灯した瞳は、ルナリアンの澄んだ瞳を真っ直ぐに捉える。
絶望の光…クランの瞳に宿った光。
「…わかりました。ドルダとシンシアさんが実験対象にならないように、上層部の方には、私の方で対処しておきます」
「しかし、それではあなたが…」
ギデオンが口を挟む。
「私は、見てみたいのです。貴女が…クランさんが信じた未来を、私も見てみたい」
ルナリアンが静かに言う。
「それに、大丈夫ですよ。私には、ライセンスがありますので」
またしてもにっこり微笑えむ。
「さ、おかわりを。おつぎいたしますわ」
そう言うと、ルナリアンは席を立ち、一同に紅茶のお代わりを並々と注いでいった。
包囲してビームライフルを放つローズ。
先行したマイケルとディランが、ビームサーベルによる接近戦を試みるものの、ドルチェの圧倒的なパワーの前に気圧されていたのだった。
「どう?気は済んだかしら?」
エリスが冷たく、高慢に言い放つ。
放たれたビームの全ては、ドルチェのシールドファンネルによって阻まれ、舞姫の身体に触れることすら叶わなかったのだった。
「…参ったね、どうも」
マイケルは舌を出し、ペロリと唇を舐める。
しかし、その口調とは裏腹に、相当焦っていた。
「ねえねえ、弱っちいんだからさ、早く帰りなよ。きっと、その方がいいわ」
エリスが拡声器を通してローズ全機に呼びかける。
「!女…!?」
ディランが呟きながら、ドルチェの隙をうかがう。
マイケルも、敵の酔狂な警告を耳にして何を思ったのか、エリスに言葉を返す。
「悪いけど、そういうわけにもいかないんだ。キミを連れ帰るか、破壊するか。それが僕達の仕事だからね。
それに、機体の性能差が必ずしも勝敗に繋がるとは限らないさ」
再びマイケルのローズがサーベルを抜き、ドルチェに立ち向かう。
「ダメよ、お兄さん。そんな仕事人間になったら。あなたの彼女、きっと泣いてるわ」
ドルチェはビームスコップを軽く振りまわし、いなすように受け止める。
両手を使いすべての力を込めたマイケル機の斬撃を、片手で軽く止めるドルチェ。
「ディラン!」
マイケルが叫ぶ。
「分かっている!」
ディラン機がビームサーベルを構え、マイケルの剣を受けている方と反対側に踊り出る。
「はああぁぁぁ!」
通常のローズよりも遥かに速い速度で、ビームサーベルでドルチェの脇腹を薙ぐようにして向かう。
「なんとかの一つ覚えってね!」
エリスは目にもとまらぬ速度で、左手でビームレイピアを抜刀すると、ディランの渾身の一撃を静かに受け止める。
「ターニャ!タオ、マオ!」
今度はディランが声を荒げると、三機のローズのライフルからは、カーボンネットが放たれる。
ドルチェを滷獲するつもりなのだろう。
「強引なトコは好きよ。誰かさんにも、見習って欲しいくらい」
エリスは動じることなく、落ち着き払った動作で、全力のディランとマイケルを軽く弾き飛ばすと、二刀流でカーボンネットを切り裂く。
「…!いつでも出来ましたよ…ってことかい?ソレ」
「そういうこと♪」
勢いを殺しつつ体勢を立て直すマイケルに、エリスが言う。
「マイケル、プラン移行を推奨する。密集隊形で取り囲むぞ」
「分かった、ディラン」
すると、五機のローズは陣形を組み、五角形の形になると、そのまま左右に動きつつ、ドルチェの方へと向かう。
「狙い撃つぜ!…ってね」
ロングレンジビームライフルを取り出したエリスは、出力をマシンガンモードに調節し、ローズに照準を定める。
「来たよ!」
マイケルが言うと、襲い来るビームマシンガンの速射を、一斉に陣形を広げることで回避、次に縦列に並ぶ。
続くビームマシンガンの雨を、縦列から、マイケルを中心とし、逆の扇型になるよう横列に移動、一斉にビームライフルを放つ。
「なんとか至近距離まで近づいて、ライフルが放てればね…」
マイケルが言い、ライフルを撃つ。
「ちょこまかちょこまか…あぁ~もう!」
エリスが言うと、ライフルの出力を上げ、速射モードから通常のビームライフルモードに切り替える。
「…!やっとマシンガンのリズムを掴んだところで…!」
ターニャが舌打ちをする。
「けどね!もう覚えたよ、あんたのクセ!」
ターニャが言う。
「私のクセ、ね。可愛らしく髪をかきあげてしまうことかしら?」
エリスが再び笑うと、ロングレンジライフルからは、ビームマシンガンとビームライフルがランダムに放たれた。
「クッ…!」
ディランの目が鋭くなる。
「あんなこともできるのか…けどね!」
マイケルがスラスターをグン!と踏み込むと、一瞬のうちにドルチェの後方へと回り込む。
「これで、終わりさ!」
マイケルのローズが至近距離でビームライフルを構える。
「ところがぎっちょん!…ってね」
背部に搭載された、追尾型のビームファトランクスがマイケルを襲う。
「気をつけてね。追っかけてくる上、出力も結構キツイから!」
サーベルとライフルを構えた四機のローズを前に、ドルチェは機体を転身させる。
タオとマオの連携の取れたライフルの全てを紙一重で避け、ディランとターニャのサーベルを、武器を素早く持ち替えることで対応する。
「なかなかやるじゃん♪ここまで食らいついたのって、そうそういないよ」
実際、マイケル・ミッチェル隊のこの五人は、相当優秀なパイロットであった。
中でも、マイケルとディランは、ドル・デーパイロットの最終候補者だったのだ。
戦闘力も平均的なローズパイロットとは比べ物にならないほど高い。
「この…!バカにするんじゃないよ!」
ターニャがサーベルを持つ手に一層力を込める。
刹那、タオとマオが、ビームライフルを撃ちつつも、ビームサーベルそのものを投擲してきた。
「!」
エリスの目が見開かれる。しかしすぐに笑うと、目を細めて呟く。
「あら、大胆だこと…」
「クソッ!俺の出番って言いてえんだろ、どうせ」
「分かってるじゃない、デイヴ」
デイヴは理不尽な戦闘に巻き込まれた怒りから、今はエリスにではなくマイケル隊の面々に対して敵意を抱いていた。
それもそうだ。今のデイヴにとって、この五人はただのお邪魔な名無しパイロットにしか過ぎないのだから。
「そこを、どけェ!」
言うと、シールドファンネルが再び宙でシールドを形成し、不意をついたタオとマオのサーベルを弾き返す。
「「!」」
咄嗟に返されたサーベルを避け、体勢を立て直す二人。
線対称になるようにして、それぞれが、ディランとターニャの加勢に向かう。
四本の太刀を受けてもなお、超然としているドルチェ。
「…これはさすがにちょっと、キツイかもね」
舌舐めずりをしながら言うエリス。
と、そこに…
「僕を忘れて貰っては、困るな!」
ビームから逃げ切ったマイケルが、ドルチェにビームライフルを放つ。
「至近距離で放てば!へんなシールドも使えないだろ?」
マイケルの放ったライフルを食らうドルチェ。
「仕上げだ!ディラン!」
言うと、ディランのローズがビームサーベルをもう一本構え、ドルチェの顔面を穿とうと突きを繰り出す。
「はああぁぁぁ!」
鬼気迫るディランと、したり顔のマイケル。
「!」
驚愕に目を見開くエリス。
ガンダムドルチェは、五人の精鋭が駆るローズによって、今まさに天使の羽をもがれようとしていた。
先行したマイケルとディランが、ビームサーベルによる接近戦を試みるものの、ドルチェの圧倒的なパワーの前に気圧されていたのだった。
「どう?気は済んだかしら?」
エリスが冷たく、高慢に言い放つ。
放たれたビームの全ては、ドルチェのシールドファンネルによって阻まれ、舞姫の身体に触れることすら叶わなかったのだった。
「…参ったね、どうも」
マイケルは舌を出し、ペロリと唇を舐める。
しかし、その口調とは裏腹に、相当焦っていた。
「ねえねえ、弱っちいんだからさ、早く帰りなよ。きっと、その方がいいわ」
エリスが拡声器を通してローズ全機に呼びかける。
「!女…!?」
ディランが呟きながら、ドルチェの隙をうかがう。
マイケルも、敵の酔狂な警告を耳にして何を思ったのか、エリスに言葉を返す。
「悪いけど、そういうわけにもいかないんだ。キミを連れ帰るか、破壊するか。それが僕達の仕事だからね。
それに、機体の性能差が必ずしも勝敗に繋がるとは限らないさ」
再びマイケルのローズがサーベルを抜き、ドルチェに立ち向かう。
「ダメよ、お兄さん。そんな仕事人間になったら。あなたの彼女、きっと泣いてるわ」
ドルチェはビームスコップを軽く振りまわし、いなすように受け止める。
両手を使いすべての力を込めたマイケル機の斬撃を、片手で軽く止めるドルチェ。
「ディラン!」
マイケルが叫ぶ。
「分かっている!」
ディラン機がビームサーベルを構え、マイケルの剣を受けている方と反対側に踊り出る。
「はああぁぁぁ!」
通常のローズよりも遥かに速い速度で、ビームサーベルでドルチェの脇腹を薙ぐようにして向かう。
「なんとかの一つ覚えってね!」
エリスは目にもとまらぬ速度で、左手でビームレイピアを抜刀すると、ディランの渾身の一撃を静かに受け止める。
「ターニャ!タオ、マオ!」
今度はディランが声を荒げると、三機のローズのライフルからは、カーボンネットが放たれる。
ドルチェを滷獲するつもりなのだろう。
「強引なトコは好きよ。誰かさんにも、見習って欲しいくらい」
エリスは動じることなく、落ち着き払った動作で、全力のディランとマイケルを軽く弾き飛ばすと、二刀流でカーボンネットを切り裂く。
「…!いつでも出来ましたよ…ってことかい?ソレ」
「そういうこと♪」
勢いを殺しつつ体勢を立て直すマイケルに、エリスが言う。
「マイケル、プラン移行を推奨する。密集隊形で取り囲むぞ」
「分かった、ディラン」
すると、五機のローズは陣形を組み、五角形の形になると、そのまま左右に動きつつ、ドルチェの方へと向かう。
「狙い撃つぜ!…ってね」
ロングレンジビームライフルを取り出したエリスは、出力をマシンガンモードに調節し、ローズに照準を定める。
「来たよ!」
マイケルが言うと、襲い来るビームマシンガンの速射を、一斉に陣形を広げることで回避、次に縦列に並ぶ。
続くビームマシンガンの雨を、縦列から、マイケルを中心とし、逆の扇型になるよう横列に移動、一斉にビームライフルを放つ。
「なんとか至近距離まで近づいて、ライフルが放てればね…」
マイケルが言い、ライフルを撃つ。
「ちょこまかちょこまか…あぁ~もう!」
エリスが言うと、ライフルの出力を上げ、速射モードから通常のビームライフルモードに切り替える。
「…!やっとマシンガンのリズムを掴んだところで…!」
ターニャが舌打ちをする。
「けどね!もう覚えたよ、あんたのクセ!」
ターニャが言う。
「私のクセ、ね。可愛らしく髪をかきあげてしまうことかしら?」
エリスが再び笑うと、ロングレンジライフルからは、ビームマシンガンとビームライフルがランダムに放たれた。
「クッ…!」
ディランの目が鋭くなる。
「あんなこともできるのか…けどね!」
マイケルがスラスターをグン!と踏み込むと、一瞬のうちにドルチェの後方へと回り込む。
「これで、終わりさ!」
マイケルのローズが至近距離でビームライフルを構える。
「ところがぎっちょん!…ってね」
背部に搭載された、追尾型のビームファトランクスがマイケルを襲う。
「気をつけてね。追っかけてくる上、出力も結構キツイから!」
サーベルとライフルを構えた四機のローズを前に、ドルチェは機体を転身させる。
タオとマオの連携の取れたライフルの全てを紙一重で避け、ディランとターニャのサーベルを、武器を素早く持ち替えることで対応する。
「なかなかやるじゃん♪ここまで食らいついたのって、そうそういないよ」
実際、マイケル・ミッチェル隊のこの五人は、相当優秀なパイロットであった。
中でも、マイケルとディランは、ドル・デーパイロットの最終候補者だったのだ。
戦闘力も平均的なローズパイロットとは比べ物にならないほど高い。
「この…!バカにするんじゃないよ!」
ターニャがサーベルを持つ手に一層力を込める。
刹那、タオとマオが、ビームライフルを撃ちつつも、ビームサーベルそのものを投擲してきた。
「!」
エリスの目が見開かれる。しかしすぐに笑うと、目を細めて呟く。
「あら、大胆だこと…」
「クソッ!俺の出番って言いてえんだろ、どうせ」
「分かってるじゃない、デイヴ」
デイヴは理不尽な戦闘に巻き込まれた怒りから、今はエリスにではなくマイケル隊の面々に対して敵意を抱いていた。
それもそうだ。今のデイヴにとって、この五人はただのお邪魔な名無しパイロットにしか過ぎないのだから。
「そこを、どけェ!」
言うと、シールドファンネルが再び宙でシールドを形成し、不意をついたタオとマオのサーベルを弾き返す。
「「!」」
咄嗟に返されたサーベルを避け、体勢を立て直す二人。
線対称になるようにして、それぞれが、ディランとターニャの加勢に向かう。
四本の太刀を受けてもなお、超然としているドルチェ。
「…これはさすがにちょっと、キツイかもね」
舌舐めずりをしながら言うエリス。
と、そこに…
「僕を忘れて貰っては、困るな!」
ビームから逃げ切ったマイケルが、ドルチェにビームライフルを放つ。
「至近距離で放てば!へんなシールドも使えないだろ?」
マイケルの放ったライフルを食らうドルチェ。
「仕上げだ!ディラン!」
言うと、ディランのローズがビームサーベルをもう一本構え、ドルチェの顔面を穿とうと突きを繰り出す。
「はああぁぁぁ!」
鬼気迫るディランと、したり顔のマイケル。
「!」
驚愕に目を見開くエリス。
ガンダムドルチェは、五人の精鋭が駆るローズによって、今まさに天使の羽をもがれようとしていた。
「わぁ~、さすが月支社。噂には聞いていましたけど、やっぱりすごいです!」
モモ・マレーンと謎の少女シンシアは、二人で仲良く月支社の内部を探検中だった。
「…よくわからないけど、私も初めて見るものばかり」
二人がいるのは月支社の医療部門研究室。
医療隊員であり、将来本格的に医療を志しているモモが、シンシアの手を引っ張って強引に連れてきたのだった。
研究室の中には入ることが出来ないので、ひょこっと頭を出し、外部のガラス張りから研究員の作業の様子を見ていたのだった。
「う~ん。医療部門は本社より、だいぶ進んでいますね…」
モモが唸る。シンシアは、「ほぇ~」と感心したように見つめている。
「早速メモメモ…」
モモは取り出した携帯端末に、今目にしている情報を書き込もうとしていた。
と、そこに。
「なんだ。どこのいたずら鼠かと思ったら、可愛いお客さんじゃないか」
研究員と思しき人物。白衣を身に纏っている。
ただ他の研究員と異なる特徴があるとすれば、彼女は白衣に帽子をかぶり、ポッキーと言う地球圏のお菓子を食べていたことだった。
「あ…す、すいませんでしたぁ!」
モモが急いで頭を下げる。
「いーのいーの。気にしなくても。…実は私もココで何やってるかよく分かってないんだ」
すると、研究員がポッキーをモモに差し出しながら、ニッコリと笑ってみせた。
「あ、ありがとうございます!」
ポッキーを受け取り、頭を下げるモモ。
対照的にシンシアは、もう既にポッキーを目にしてどうやって食べていいのか四苦八苦している。
「ああ、いいよ、もう。そんな」
「あ、あの…研究員の方ですよね!?ここで何の研究をやってるか見学させてください!」
再び深々と頭を下げる。
「そ。私は伊吹・アダルベルト。一応ココの研究員…なんだけど、最近ココに来たばっかで、よく分んなくてさ」
タハハ、と笑う伊吹。
「専門がコンピュータプログラミングなんだけど、ちょっとココでその力を貸してくれないか~なんて言われちゃって。
普段は学生やってるんだけど、ちょうど長期休暇中だしね。だから私、医療部門のことはよく分らないんだ」
すると、モモは何かに気づいたように、慌て出す。自己紹介をしていなかったのだ。
「あ…私、モモ・マレーンです!公社の第一次火星調査隊の、医療隊員です!」
「第一次火星調査隊!?凄いね、モモちゃん。ところで、そっちの娘は?」
聞かれてまたもや慌て出すモモ。シンシアはマイペースなのか、人見知りなのか、自己紹介をしようとはしなかった。
「シンシアちゃん。私の、友達です!」
「そっか、ヨロシクね。…あ、そうだ。今ちょうど私休憩中だからさ、談話室でお話しない?お菓子とか、ツマミながら」
お菓子、という言葉に反応を見せる二人。
「あはは。じゃ、行こう?」
シンシアとモモの二人は、伊吹に連れられて談話室へとその足を運んで行った。
モモ・マレーンと謎の少女シンシアは、二人で仲良く月支社の内部を探検中だった。
「…よくわからないけど、私も初めて見るものばかり」
二人がいるのは月支社の医療部門研究室。
医療隊員であり、将来本格的に医療を志しているモモが、シンシアの手を引っ張って強引に連れてきたのだった。
研究室の中には入ることが出来ないので、ひょこっと頭を出し、外部のガラス張りから研究員の作業の様子を見ていたのだった。
「う~ん。医療部門は本社より、だいぶ進んでいますね…」
モモが唸る。シンシアは、「ほぇ~」と感心したように見つめている。
「早速メモメモ…」
モモは取り出した携帯端末に、今目にしている情報を書き込もうとしていた。
と、そこに。
「なんだ。どこのいたずら鼠かと思ったら、可愛いお客さんじゃないか」
研究員と思しき人物。白衣を身に纏っている。
ただ他の研究員と異なる特徴があるとすれば、彼女は白衣に帽子をかぶり、ポッキーと言う地球圏のお菓子を食べていたことだった。
「あ…す、すいませんでしたぁ!」
モモが急いで頭を下げる。
「いーのいーの。気にしなくても。…実は私もココで何やってるかよく分かってないんだ」
すると、研究員がポッキーをモモに差し出しながら、ニッコリと笑ってみせた。
「あ、ありがとうございます!」
ポッキーを受け取り、頭を下げるモモ。
対照的にシンシアは、もう既にポッキーを目にしてどうやって食べていいのか四苦八苦している。
「ああ、いいよ、もう。そんな」
「あ、あの…研究員の方ですよね!?ここで何の研究をやってるか見学させてください!」
再び深々と頭を下げる。
「そ。私は伊吹・アダルベルト。一応ココの研究員…なんだけど、最近ココに来たばっかで、よく分んなくてさ」
タハハ、と笑う伊吹。
「専門がコンピュータプログラミングなんだけど、ちょっとココでその力を貸してくれないか~なんて言われちゃって。
普段は学生やってるんだけど、ちょうど長期休暇中だしね。だから私、医療部門のことはよく分らないんだ」
すると、モモは何かに気づいたように、慌て出す。自己紹介をしていなかったのだ。
「あ…私、モモ・マレーンです!公社の第一次火星調査隊の、医療隊員です!」
「第一次火星調査隊!?凄いね、モモちゃん。ところで、そっちの娘は?」
聞かれてまたもや慌て出すモモ。シンシアはマイペースなのか、人見知りなのか、自己紹介をしようとはしなかった。
「シンシアちゃん。私の、友達です!」
「そっか、ヨロシクね。…あ、そうだ。今ちょうど私休憩中だからさ、談話室でお話しない?お菓子とか、ツマミながら」
お菓子、という言葉に反応を見せる二人。
「あはは。じゃ、行こう?」
シンシアとモモの二人は、伊吹に連れられて談話室へとその足を運んで行った。
「邪魔」
不意に、エリスがひどく冷たく言い放つと、ドルチェが四機のローズを吹っ飛ばす。
いや、力で押したというわけではない。それが出来るならとうにしている。
いくらドルチェといえど、四機のローズに両腕を塞がれたまま攻められてはたまったものではない。
何か、圧縮されたエネルギーのようなものがローズを吹っ飛ばしたのだった。
「くっ…ああああぁぁ!」
叫ぶターニャとディラン。
「ねぇ、ゴミの癖にさぁ?調子に乗らないでって、ワタシ言ったよね?」
不意に目にもとまらぬ速度で、ビームスコップとビームレイピアを抜刀し、マイケルのローズの両腕を切り裂く。
「!」
咄嗟に回避しようとしたマイケル。しかし、なす術もなく両腕を持っていかれた。
「Doll-ceシステム、解放。アンタらなんか、ワタシの奴隷にも相応しくないわ」
ドルチェの純白の機体が、より一層…いや、白銀に輝く。
「そうね…この世界から、消してあげよっか?」
嗜虐心を隠そうともしない表情で、少女は一切の武装をしまう。
「なん…だ!?」
マイケルが言い終わらないうちに、ドルチェの全身からビーム状の波動が放たれる。
「こ、これはッ!?くああああ!」
放たれた波動は、徐々にローズの装甲を削り取っていく。
「アッハハハハハ!苦しんで、死ね!」
輝きを失った瞳で、少女が冷たく笑う。
不意に、エリスがひどく冷たく言い放つと、ドルチェが四機のローズを吹っ飛ばす。
いや、力で押したというわけではない。それが出来るならとうにしている。
いくらドルチェといえど、四機のローズに両腕を塞がれたまま攻められてはたまったものではない。
何か、圧縮されたエネルギーのようなものがローズを吹っ飛ばしたのだった。
「くっ…ああああぁぁ!」
叫ぶターニャとディラン。
「ねぇ、ゴミの癖にさぁ?調子に乗らないでって、ワタシ言ったよね?」
不意に目にもとまらぬ速度で、ビームスコップとビームレイピアを抜刀し、マイケルのローズの両腕を切り裂く。
「!」
咄嗟に回避しようとしたマイケル。しかし、なす術もなく両腕を持っていかれた。
「Doll-ceシステム、解放。アンタらなんか、ワタシの奴隷にも相応しくないわ」
ドルチェの純白の機体が、より一層…いや、白銀に輝く。
「そうね…この世界から、消してあげよっか?」
嗜虐心を隠そうともしない表情で、少女は一切の武装をしまう。
「なん…だ!?」
マイケルが言い終わらないうちに、ドルチェの全身からビーム状の波動が放たれる。
「こ、これはッ!?くああああ!」
放たれた波動は、徐々にローズの装甲を削り取っていく。
「アッハハハハハ!苦しんで、死ね!」
輝きを失った瞳で、少女が冷たく笑う。
「クッ…!一時、撤退だ!!」
フラフラと逃げていく五機のローズ。
「ターニャ、テレウスに、連絡をッ…!」
ぐああああ!叫ぶマイケルの全身からも血が溢れ出す。パイロットスーツには亀裂が走る。
しかし、その美しい容姿とは裏腹に、それを黙って見逃す程、少女は甘くなかった。
冷たく輝きを失った瞳で、しかし激情をその心に秘めながら。
その可憐な唇からは、普段の彼女からは想像も出来ないような言葉を紡ぎ出す。
「…下等種が。見苦しいから、サッサと消えて」
ロングレンジビームライフルから放たれるは、特大のビームキャノン。
五機のローズは、絶望の光に飲み込まれていったのだった…
フラフラと逃げていく五機のローズ。
「ターニャ、テレウスに、連絡をッ…!」
ぐああああ!叫ぶマイケルの全身からも血が溢れ出す。パイロットスーツには亀裂が走る。
しかし、その美しい容姿とは裏腹に、それを黙って見逃す程、少女は甘くなかった。
冷たく輝きを失った瞳で、しかし激情をその心に秘めながら。
その可憐な唇からは、普段の彼女からは想像も出来ないような言葉を紡ぎ出す。
「…下等種が。見苦しいから、サッサと消えて」
ロングレンジビームライフルから放たれるは、特大のビームキャノン。
五機のローズは、絶望の光に飲み込まれていったのだった…
「!」
同時に目を見開くはエステル。座っていた椅子を蹴飛ばすようにして立ち上がる。
「今…」
冷や汗をかいている。呼吸も荒い。
「どうしたんじゃ、エステル」
粒子の研究を進めながらも、助手を気遣うティモール。
「いえ、なんでもありません。博士」
「…少し休憩にするといい。お前さんも疲れておるじゃろ」
「…ええ。すいません」
研究室を後にするエステル。
ティモールは顕微鏡を覗きながらも、片手をあげ、助手を見送った。
フラフラと、薄暗い廊下を歩くエステル。
(絶望の、光…)
唇を噛むと、そのまま廊下にうずくまる。
(まさか、あのチカラを…!?)
エステルは天を仰ぐようにして、縋るような目つきで、暗い天井を見つめ続けた。
同時に目を見開くはエステル。座っていた椅子を蹴飛ばすようにして立ち上がる。
「今…」
冷や汗をかいている。呼吸も荒い。
「どうしたんじゃ、エステル」
粒子の研究を進めながらも、助手を気遣うティモール。
「いえ、なんでもありません。博士」
「…少し休憩にするといい。お前さんも疲れておるじゃろ」
「…ええ。すいません」
研究室を後にするエステル。
ティモールは顕微鏡を覗きながらも、片手をあげ、助手を見送った。
フラフラと、薄暗い廊下を歩くエステル。
(絶望の、光…)
唇を噛むと、そのまま廊下にうずくまる。
(まさか、あのチカラを…!?)
エステルは天を仰ぐようにして、縋るような目つきで、暗い天井を見つめ続けた。
「…結局、なんだったんだろな。あの人は」
ルナリアンとの会談を終え、会議室を後にする一同。
歩きながら、ヴァイスがそう呟いた。
「なんだった、というと?」
答えるのはミランダ。
「いや、なんつーか…不思議な雰囲気だったよな。何でもかんでもお見通し、みたいなさ」
「まあ、それはそうですけど」
「オマケにコイツがとんでもないコト言い出したのにはビビったけどな」
ヴァイスは、自らの前を歩くクランの方を顎で指す。
「…ええ」
頷きながら、寂しそうにクランを見つめるミランダ。
(夢物語だわ、クランさん…)
俯きながら、その足を進める。
(けれど、私も…私も、彼女と同じ世界が見たい…)
絶望の光…ミランダの瞳に宿った光。
「…どうかしたのか?」
「いえ、大丈夫です」
ミランダ・ウォンは、第一次調査隊の一員として、自らに何が出来るのかを今一度自らの心に問い、決意を新たにしたのだった。
ルナリアンとの会談を終え、会議室を後にする一同。
歩きながら、ヴァイスがそう呟いた。
「なんだった、というと?」
答えるのはミランダ。
「いや、なんつーか…不思議な雰囲気だったよな。何でもかんでもお見通し、みたいなさ」
「まあ、それはそうですけど」
「オマケにコイツがとんでもないコト言い出したのにはビビったけどな」
ヴァイスは、自らの前を歩くクランの方を顎で指す。
「…ええ」
頷きながら、寂しそうにクランを見つめるミランダ。
(夢物語だわ、クランさん…)
俯きながら、その足を進める。
(けれど、私も…私も、彼女と同じ世界が見たい…)
絶望の光…ミランダの瞳に宿った光。
「…どうかしたのか?」
「いえ、大丈夫です」
ミランダ・ウォンは、第一次調査隊の一員として、自らに何が出来るのかを今一度自らの心に問い、決意を新たにしたのだった。
伊吹・アダルベルトとのささやかなお茶会が終わり、クラン達と合流すべくモモとシンシアは会議室へと足を運ぶ。
ドアを開きかけると、そこで会議はもう行われてはおらず、ルナリアンが何者かと回線で話をしていたのだった。
(なんだか、まずいです…)
咄嗟に隠れてしまうモモとシンシア。
ルナリアンはにこやかに話をしていた。
「…ええ。彼らの個人データは、後日お送りいたしますわ。それで、そちらの方は…」
頷きながら相手の話に耳を傾けるルナリアンを見て、モモは怪しく思う。
(個人データの転送って…!やっぱり、あの人は怪しいです!)
ええ、ええ。相槌が聴こえる。
「了解いたしましたわ。それでは、良い夢を。ジム」
気になる回線の相手。それは、先日フィリア・シュード達と出会っていた、ジャイアントマンこと、ジム・ストライカーであった。
不意に、シンシアがひょこっと顔を覗かせてしまう。
(!ああ、もうお終いです…)
何がお終いかはモモのみぞ知る所ではあるが、とにかくその時彼女はそう思った。
「あら?あなた達は…」
「あの…会議の方は、もう終わったのですか?」
シンシアが尋ねる。
「ええ。もう終わりましたよ。あなたのお姉さんなら、一階のレセプションホールにいらっしゃると思いますわ」
にこやかに答えるルナリアン。
「ありがとうございます、早速行ってみま…」
「あ、あの…なんだかすいませんでした!モモ達、別に盗み聞きとか、そんなつもりじゃ…」
お礼を言うシンシアを阻み、またもやモモが頭を下げる。
ルナリアンは目を丸くすると、再び微笑えむ。
「…いえ、構いませんわ。取るに足らない会話ですもの。それより、お連れの方々がきっとお待ちしていますわ」
モモは再び自らの顔が赤くなるのを感じた。
「し、失礼します!」
「ええ。また、お会いできるといいですわね」
足早に去っていくモモとシンシアを見送り、ルナリアンは静かに呟いたのだった。
ドアを開きかけると、そこで会議はもう行われてはおらず、ルナリアンが何者かと回線で話をしていたのだった。
(なんだか、まずいです…)
咄嗟に隠れてしまうモモとシンシア。
ルナリアンはにこやかに話をしていた。
「…ええ。彼らの個人データは、後日お送りいたしますわ。それで、そちらの方は…」
頷きながら相手の話に耳を傾けるルナリアンを見て、モモは怪しく思う。
(個人データの転送って…!やっぱり、あの人は怪しいです!)
ええ、ええ。相槌が聴こえる。
「了解いたしましたわ。それでは、良い夢を。ジム」
気になる回線の相手。それは、先日フィリア・シュード達と出会っていた、ジャイアントマンこと、ジム・ストライカーであった。
不意に、シンシアがひょこっと顔を覗かせてしまう。
(!ああ、もうお終いです…)
何がお終いかはモモのみぞ知る所ではあるが、とにかくその時彼女はそう思った。
「あら?あなた達は…」
「あの…会議の方は、もう終わったのですか?」
シンシアが尋ねる。
「ええ。もう終わりましたよ。あなたのお姉さんなら、一階のレセプションホールにいらっしゃると思いますわ」
にこやかに答えるルナリアン。
「ありがとうございます、早速行ってみま…」
「あ、あの…なんだかすいませんでした!モモ達、別に盗み聞きとか、そんなつもりじゃ…」
お礼を言うシンシアを阻み、またもやモモが頭を下げる。
ルナリアンは目を丸くすると、再び微笑えむ。
「…いえ、構いませんわ。取るに足らない会話ですもの。それより、お連れの方々がきっとお待ちしていますわ」
モモは再び自らの顔が赤くなるのを感じた。
「し、失礼します!」
「ええ。また、お会いできるといいですわね」
足早に去っていくモモとシンシアを見送り、ルナリアンは静かに呟いたのだった。
「指定ポイントに到着。月地区標準時刻一四○○を以て、任務を開始する。マルス ムスペルヘイム、目標を溶解する」
そう言ってアレスが手に持つビームバズーカの銃口を向けたのは、コロニー軍ルナリアン駐屯部隊の基地。
そして重厚なフォルムを持つ機体…マルス ムスペルヘイムの横には、宗谷陽光の駆るドル・デーの姿があった。
「ローズ部隊は二手に分かれ、片方はルナリアンへと向かえ。ドルダをおびき出すのだ!もう片方はここで、まず駐留軍を叩く!」
陽光が言うと同時に、十機程のローズが、二手に分かれていく。
「うわああああ、敵襲ー!」
マルスの銃口から放たれたビームバズーカの、絶望の光が、駐留軍基地を蹂躙していく。
「おのれ、火星義勇軍か…!出撃出来るMSは全機、直ちに出撃せよ!」
駐屯基地の司令官が命令を下すと同時に、二十機ほどのグワッシュ・ドグッシュの混成部隊、ガーランド十機が一斉に出撃する。
「ここまで来たら、もう戻れぬのだよ…」
陽光は、紅き戦神を駆る少年が心を痛めてやしないかと心配しつつ、そして、自らを鼓舞する為に呟き、静かにビーム刀を抜いたのだった。
「ドル・デー!敵部隊を一掃する!」
絶望の光…陽光の瞳に宿った光。
陽光の描くビーム刀の軌跡が、その光を強く強く、映し出した。
そう言ってアレスが手に持つビームバズーカの銃口を向けたのは、コロニー軍ルナリアン駐屯部隊の基地。
そして重厚なフォルムを持つ機体…マルス ムスペルヘイムの横には、宗谷陽光の駆るドル・デーの姿があった。
「ローズ部隊は二手に分かれ、片方はルナリアンへと向かえ。ドルダをおびき出すのだ!もう片方はここで、まず駐留軍を叩く!」
陽光が言うと同時に、十機程のローズが、二手に分かれていく。
「うわああああ、敵襲ー!」
マルスの銃口から放たれたビームバズーカの、絶望の光が、駐留軍基地を蹂躙していく。
「おのれ、火星義勇軍か…!出撃出来るMSは全機、直ちに出撃せよ!」
駐屯基地の司令官が命令を下すと同時に、二十機ほどのグワッシュ・ドグッシュの混成部隊、ガーランド十機が一斉に出撃する。
「ここまで来たら、もう戻れぬのだよ…」
陽光は、紅き戦神を駆る少年が心を痛めてやしないかと心配しつつ、そして、自らを鼓舞する為に呟き、静かにビーム刀を抜いたのだった。
「ドル・デー!敵部隊を一掃する!」
絶望の光…陽光の瞳に宿った光。
陽光の描くビーム刀の軌跡が、その光を強く強く、映し出した。
十一話 終 十二話に続く