902 名前:僕らの節分戦争・弐 1/4 :2009/01/31(土) 09:24:33 ID:???
878の続きー。

ゼナ「という訳で、あの人は今、無制限一本勝負の百人抜きを絶賛開催中なの」
アル「………(唖然」
シュウト「………(呆然」
ゼナ「そうしたらね、ミネバちゃんも…」

ミネバ「ハマーン!」
ハマーン「はっ!」
ミネバ「私と、我が家のために、そこまでの荒行を課す父上に報いるには、どうすればいい!」
ハマーン「…ミネバ様のお心のままになさいませ」
ミネバ「うむ。 では、特訓だ! ハマーン、私を鍛えてくれ!」
ハマーン「御意!」

ゼナ「それで、特訓をするならギアナ高地だー!って、ガウで飛んで行っちゃったの」
 お陰でおばさん寂しいわ、などと涙をぬぐうゼナ。
アル「ミネバちゃん…」orz
シュウト「親子だ…」orz


アムロ「………」
ロラン「………」
 ちゃぶ台に突っ伏す良識派代表。
ドモン「うーむ、齢十にしてそこまでの覚悟を…天晴れ也!」
刹那「ミネバ・ザビはガンダムだ
 なにやら盛り上がる非常識代表。
ジュドー「ま、まぁ、ハマーン先生が一緒なら、そんなに無茶はやんないでしょ(汗」
カミーユ「だといいけどな。
     ハマーンは、生真面目が過ぎて暴走することがあるからなぁ…」
アル「ミネバちゃん、大丈夫かなぁ…」
アムロ「(計算中、計算中)…なんとかギリギリだな。 ガンイーグル!」
ガンイーグル「お呼びですか、マスター」
アムロ「念のため、ギアナ高地に向かってくれ。
    長距離用のF装備に増加タンクをフル搭載で、航続距離はなんとか足りるだろう。
    向こうでの補給はこちらで手配しておく」
ガンイーグル「アレ、スピード出ないからヤなんだけどなぁ。 んで、二人を連れ戻んですか?」
アムロ「…いや、とりあえずは監視だけでいい。
    二人に危険が及んだ時は、お前の判断に任せる」
ガンイーグル「了ー解」ピッ!

904 名前:僕らの節分戦争・弐 2/4 :2009/01/31(土) 09:26:10 ID:???
 次の日。
 ドタドタドタ…
アル「ミネバちゃんが見つかったって、ホント?」
ロラン「アル! ちゃんと嗽と手洗いしなさい!」
 急いで洗面所に駆け込み、おざなりに口をすすぎ、指先をちょっとぬらして終わらせるアル。
キラ「ガンイーグルが見つけたって。 近寄れないから映像だけね」
 茶の間に機器を持ち込み、キーボードを叩いていたキラが振り返る。
キラ「ほら、これ。 CG処理してあるけど」
 モニターの映像に、確かに小柄な人影と、紅毛長身の女性らしき人物が映っている。
キラ「拡大するね」
アル「ミネバちゃん!」
 そこには、ヘルメットを被り、背嚢を背負って走るミネバの姿があった。
 無論、人の手が入っていないギアナ高地であるだけに地面も平坦ではなく、
 程なく立ち木の根に足を取られて転倒する。
アル「あっ!」
 並走していたハマーンは、ミネバに駆け寄るが、手を貸そうとはしない。
 身振りでは大声で何かを言っているらしいが、音声が無いためその内容までは判らない。
 だが、程なくしてミネバは袖口で顔を拭うと立ち上がり、再び走り始めた。
ヒイロ「軍隊教練式だな」
刹那「ハマーンが指導教官か… できるのか?」
ジュドー「ハー○マン軍曹みたいなの? ミネバ様LOVE♪だからなぁ…」
カミーユ「いや、やるね。 ハマーンはやるとなったら徹底的にやるタイプだ」
シャア「ハマーンに活字にすら出来ないような言葉でなじられるのか…」ハァハァ
アル「み、皆いつの間に…」
ロラン「みんな嗽は済ませたんですか。 清潔にしない人はおやつ抜きですよ!
    それとシャアさんは教育的指導!」
キャプテン「了解。 最大出力で修正を行う」キャプテンパーンチ!
シャア「これが若さかっ!」
コマンダー「はいはい、帰りますよ社長」ズルズル

アル「………」
シュウト「………」


905 名前:僕らの節分戦争・弐 3/4 :2009/01/31(土) 09:27:59 ID:???
アル「アムロ兄さん、いいかな?」
アムロ「アル? なんだ、珍しいなこんな時間に…いいぞ、入って来い」
 小さい頃からずっと使っているという机に向かっていたアムロは、
 キーボードを打っていた手を止めて振り返った。
 襖を開いたアルはおっかなびっくり長兄の部屋に踏み込む。
 書籍やプリントアウトした書類、記録メディアの収められたファイル、
 ハロやキャプテン達のパーツ、etc.etc.…几帳面にきちんと片付けられてはいるが、
 いかんせん物の絶対量が多すぎる。
 セレーネの部屋のように『足の踏み場も無い』状態ではないが、
 押入れ前の布団を敷くスペースを除けば、『足の踏み場“しか”』無い。
アムロ「コーヒー…は、この時間はまずいか。
    たしかこの辺にケーラからもらったココアが…」
 ファイルの山から魔法のようにポットとマグカップ、ココアのパッケージを取り出すアムロ。
 ハロ型クッション(クリス謹製。直径約1mのビーズクッション)をアルに薦め、
 慣れた手つきでココアを入れる。
アムロ「それで、どうした?」
 水を向けるが、急かすでも無くのんびりココアを味わうアムロ。
 やがて、マグカップを抱えたまま、言葉を探すように逡巡していたアルが、
 搾り出すようにして言葉を紡ぐ。
アル「僕も…修行とか、したほうがいいのかな…」
アムロ「ふむ…」
アル「ミネバちゃんもあんなに頑張ってるのに…ウチで僕だけぜんぜん普通で…」
 実の所、学校での成績ならばアル自身も充分に優秀なのである。
 だが、すぐ上には『スペシャル』と呼ばれ、小学校にすら数々の伝説を残すウッソや、
 すぐ下にはその『伝説を継ぐ男子』としてこちらも武勇伝には事欠かないシュウトの存在が、
 『ごく普通の優等生』アルフレッド・イズルハの名を凡百の児童の中に埋もれさせていた。
アムロ「ましてや年下の女の子の頑張りを見せられては、じっとしていられない、か」
 言って、くつくつと笑い始めるアムロ。
アル「アムロ兄さん?」
アムロ「ん? ああ、お前もそんなことを言うようになったんだと思ってな」
アル「えっ?」
アムロ「ウチの兄弟は、みんな大なり小なり、どっかはみ出してるからな。
    つい己と…自分と比較して、これでいいのか悩む時期があるんだよ」
アル「みんな、って…兄さんたち、みんな!?」
アムロ「そうだ。 セレーネからウッソまで。
    …もちろん、俺だって例外じゃないさ」


906 名前:僕らの節分戦争・弐 4/4 :2009/01/31(土) 09:29:04 ID:???
アル「………」アングリ
 いつも堂々としていて、何でもできるこの兄が、自分と同じ悩みを抱いていたとは
 かけらも思っていなかったアルは両目と口を●にしてしまう。
アムロ「そんなに意外だったか? まあこれは俺たちだけじゃない。
    誰だっていつかは通る道さ。 シュウトも、ミネバちゃんもな。 ココア、冷めるぞ」
アル「あ…うん…」ズズ…
アムロ「さて、爺臭い話は置くとして、だ。 修行の事だが…」
アル「ん」
アムロ「もちろんやらないよりはやったほうがいいだろう。 ただ…」
アル「ただ?」
アムロ「まだ体が出来てないアルには、あんな修行は厳禁だ。
    あれじゃあ強くなる前に体を壊しかねん」
アル「え…でも、ミネバちゃんは…」
アムロ「あれはなぁ… ミネバちゃんはああ見えて、ドズル先生の娘だからなぁ…」
アル「う」
アムロ「それに、強くなる方法は、修行だけじゃないんだ。 バーニィを思い出してみろ」
アル「バーニィ?」
アムロ「バーニィのザクとガンダムじゃ基本性能が違いすぎる。
    じゃあ、どうする? 修行したってザクの性能は上がらない。
    バーニィはどうしてた?」
アル「………」
 幾度と無くガンダムに挑み続けるバーニィは、一度として同じ戦い方をしていない。
 ダミーを、地形を、環境を使い、ありとあらゆる物を利用して、その性能差を埋めようとしていた。
アムロ「あれも、強さだ。
    観察し、思考し、作戦を立て、決してあきらめない。
    特別なことじゃない。 それだけでも、あんなに強くなれるんだ」
アル「兄さん…」
アムロ「アルが俺たちと同じになる必要なんてどこにも無い。
    お前は、お前が成りたいと思ったお前になればいい。
    そのために修行が必要なら、俺たちが手を貸そう。
    だが、まだ焦る必要は無いんだ。 お前にはまだ時間はいっぱいある」クシャクシャ
アル「うん」
 肯いたものの、アル自身にはアムロの話をすべて理解できたとは思えなかった。
 だが、この日のアムロの声と、大きな手と、ココアの甘さと温かさは、
 決して忘れることはないだろう。
 理由は無いが、それはアルの確信だった。


907 名前:僕らの節分戦争・弐 :2009/01/31(土) 09:31:22 ID:???
に続く。

アテにしてた休みがつぶれそーだ。orz
間に合うのか、俺…

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最終更新:2013年10月11日 21:10