53 名前:僕らの節分戦争・参 1/4 :2009/02/02(月) 19:17:15 ID:???
Part37
906の続きー
シュウト「ガロード兄さ~ん、このパイプ、70mmくらいの無い?」
ガロード「んー、ちょっと待て。 たしかこの辺で見たよーな気が…(ガサゴソ)
お、あったあった。 ホイ」
シュウト「サンキュー!」
カン!カン!カン!チュイーーーン…ゴリゴリゴリ…
ロラン「ガロード、シュウトを見ま…ここでしたか」
シュウト「あ、ロラン兄さん」
ロラン「何を作ってるのか知りませんけど、もう遅いですよ。 そろそろ寝なさい」
シュウト「はぁい」
ロラン「…なんだか、この頃お小言しか言ってないような気がします」
ガロード「大変だねぇ、ローラ母さん」ケケケ
ロラン「ガロードも、そろそろ中間テストじゃないんですか?」
ガロード「げ、薮蛇…」
ロラン「まぁ、シュウトを見ててくれてるのはありがたいですけど」ヒソヒソ
ガロード「う…そ、そんなんじゃねーよ」ボソボソ
ロラン「そうですか。 それではそういう事にしておいてあげましょう」ニコニコ
その頃。
くぅ~~~~…
プル「お腹すいた…」
プルツー「そうか」
いくつかの検査を翌日に控えたプルとプルツーは飲食を禁じられ、
食べ盛りのお腹が可愛らしい悲鳴を上げ続けていた。
プル「お腹すいたお腹すいたお腹すいたーーー!!」
プルツー「そーやって騒いでると、余計にお腹がすくぞ」
プル「う~~~~~~~~~」
プルツー「唸ってないで…さっさと…寝て…しまえ…そう…すれば………」スゥ…
プル「あーん、お腹がすいて寝てらんないよぅ!」ユサユサ
プルツー「うるさい」ボカッ!
プル「きゅぅ…」
プルツー「ZZZzzz…」
看護士A「七号病室の双子ちゃん、どうやら眠ったみたいです」
看護士B「そう。 検査のためとは言え、やはり子供に絶食は辛いわよねぇ」タメイキ
看護士A「とりあえず元気そうですけど…なんの為の検査入院なんでしょうね?」
看護士C「なんでもぉ、フラナガン先生の関係者らしいですよー」
看護士A「え…じゃあ、やっぱり昔、先生がいたいけな女の子にいろんなことやってたって噂…」
看護士C「え~~~? それはないですよー」
看護士B「はいはい、囀ってないで手を動かす!」
54 名前:僕らの節分戦争・参 2/4 :2009/02/02(月) 19:18:52 ID:???
ドカァッッ!!
ガトー「ぐはぁっ!!」
きりきりと複雑な螺旋回転で宙を舞った
アナベル・ガトーは、
轟音を立ててマットに叩きつけられ、さらに二度、三度と転がる。
ドスゥゥゥゥン…ズシャッ!ドタン…ゴロゴロ…
エンツォ「むう…ムンゾ真拳正当継承者であるガトーがまるで子供扱いとは…」
デラーズ「まさに鬼神よ!」
ドズル鬼「グゥオオオオオオオ!!!」
自らの流す血と、返り血により、
ドズル・ザビの全身は斑に染まっていた。
不眠不休、飲まず食わずの荒行は汗すら涸れ果て、肌の至る所に罅割れのような裂傷が浮かぶ。
かくして『魂の百番勝負!冬のぢ体大に漢たちの慟哭を見た!』は、
多くの者の予想を遥かに上回る形で達成された。
カリウス「主将! 気を確かに!」
ケリー「ガトー、しっかりしろ!」
じょぼぼぼぼぼ~~
アルマイト製の薬缶から『魔法の水』を注ぐケリー。
ガトー「ぐふっ! …す、すまん。 不覚を取った…」ムックリ
首とか足とかがありえない方向を向いていたガトーが、何事も無かったかのように起き上がる。
カリウス「何をおっしゃいます!」
ケリー「相手が悪すぎだ。 何も好き好んで百人目に志願しなくてもいいだろうに…」
ガトー「閣下のお覚悟に応えるには、こちらも死を賭して挑まねば失礼だろう…」
カリウス「主将…」
ケリー「ふっ…
ジオン体育大学のサムライは未だ健在だな」
エンツォ「ところでデラーズ殿…」
デラーズ「何か?」
エンツォ「あの閣下…いや、鬼めを、如何様にしてドズル閣下のご自宅へ移動させるのだ?」
デラーズ「ふっ…それに関しては抜かりは無い」ゴソゴソ
エンツォ「?」
懐を探っていたデラーズが腕を引き抜くと、そこには一房の…
ラカン「バナナ?」
ドズル鬼「ガル?」
デラーズ「ほーら、バナナだよ~。 とってもおいしいよー」
言いつつ右へ左へと振り、アピールするデラーズ。
ガトー「なるほど、その手が!」
ドズル鬼「グルル…」
デラーズ「むん!」ポーイ
ドズル鬼「グオオオオ」ドスドスドス…
ばたむ!
デラーズ「あのコンテナの中には麻酔ガスが満たしてある。
後は明日、節分の日にコンテナごと閣下のご自宅へ運べば、それで済む」
エンツォ「おお…」
ラカン「さすがはぢ体大屈指の知将、
エギーユ・デラーズ殿…」
デラーズ「ふっふっふ、事は二つ、三つ先を見据えて為すものなのだよ」
55 名前:僕らの節分戦争・参 3/4 :2009/02/02(月) 19:20:03 ID:???
ざっくざっくざっく…
ミネバ「ハッ、ハッ、ハッ…」
密林の中を、ミネバは歩く。
時計を確認し、定期的にGPSで位置を確認しながら、ただ、歩く。
ガンイーグル「密林の中を100Km行軍って、小学生にやらせる訓練じゃないだろ…」
ハマーン「ミネバ様ならやり遂げられる。 でなくては、何のための特訓か」
表情は涼しげだが、握り締めたこぶしから滴る血を見て、
何も言えなくなるガンイーグル。
ハマーン「時に、ガンイーグルと言ったか?」
ガンイーグル「あ、ああ…」
ハマーン「お前もキャプテンのようなセンサーを搭載しているのか?」
ガンイーグル「ああ、そりゃあ… まぁ、キャプテンさんほどの精度は無いけどよ…」
ハマーン「では、ミネバ様に害を及ぼす可能性のある獣の位置を教えろ」
ガンイーグル「教えろって…何するつもり?」
ハマーン「知れたこと… ミネバ様に仇為さんとするものは、私が排除する」ゴキッ!
全身から、青白い炎が吹き上がる…そんなビジョンに、
思わずセルフチェックを走らせてしまうガンイーグル。
ガンイーグル「………帰ったらマスターに整備してもらおう」
かくして。
大人の手のひらほどもある巨大な蜘蛛に泣き出してしまったり。
野生の子猿と心を触れ合うちょっとハートウォームな出会いと別れがあったり。
ハマーンが人知れず体長2mを超えるジャガーとナイフ一丁で格闘になったり。
謎の異文明の遺跡を発見した挙句、そこのガーディアンに追われてみたり。
休眠状態の
デビルガンダムJr.に出会ってしまったりとさまざまな冒険を経て。
ハマーン「ミネバ様!」
ミネバ「…ハマーン?
ハマーン・カーン!」
ほぼ一週間をかけて、ミネバはハマーンとの合流地点へとたどり着いた。
ハマーン「ミネバ様!」
ミネバ「ハマーン!」ダッ!
疲労のために麻痺し、言うことを聞かない足を無理やり動かし、ミネバは走った。
ハマーンも迎えようと走り出そうとするが…思い直して足を止める。
彼女の立つ位置こそが、ちょうど出発地点から100Kmなのである。
ガンイーグル「誰かが見てる訳でも無いだろーに」←見付らないように離れてる
56 名前:僕らの節分戦争・参 4/4 :2009/02/02(月) 19:20:58 ID:???
べしゃっ!
ガンイーグル「あ、こけた」
ミネバ「…っ!」ガバッ!
それでも立ち上がり、両手を広げて待つハマーンの胸に飛び込む。
ミネバ「ハマーン! ハマーン! 会いたかった、会いたかったぞ!!」
ハマーン「ミネバ様…良くぞ…良くぞ成し遂げられました。
このハマーン・カーン、今日ほどミネバ様にお仕えして嬉しかったことはございません」
言葉こそ畏まってはいるが…力の限りミネバの小さい体を抱きしめ、
感涙に震える声で言うようでは、隠したつもりの親愛はだだ漏れである。
ガンイーグル「(録画、録画。 マイクしかけといてよかったぜ…)」
ミネバ「ハマーン、そろそろ、その、放してくれ。 …臭うのではないか?」
何しろ一週間以上、風呂はおろか、シャワーすら浴びれなかったのである。
ハマーン「も、申し訳ございません。 直ちに湯浴みを!」
同年代の子供に比べてもやや小柄とは言え、10歳の少女を軽々と抱き上げるハマーン。
向かう先には、遠目ではまったく判らなかったが、ウッドパターンの
偽装網を被せられたガウ(要人輸送用の旅客仕様)があった。
乗員A「ミネバ様?」
乗員B「ミネバ様が御着きだぞ!!」
口々に主の名を唱えながら集まる乗員たち。
ミネバ「皆…心配をかけたな」
ハマーン「ええい、ミネバ様はお疲れだ! 後にせんか!」
わらわらと集まる彼らを蹴散らし、高級ホテルの一室を思わせるキャビンに駆け込む。
むろんバスルームも完備で、さすがに地上のホテルほどでは無いにせよ、
それでも二人がゆっくり入れる余裕はあった。
ミネバ「ようやく文明人に返れた気がするな」
パジャマに着替え、キングサイズのベッドに腰掛けたミネバが言う。
ハマーン「今日はゆっくりとお休みください。
ミネバ様が目を覚まされる頃には、磐梯市に到着しておりましょう」
ミネバ「そうか… ようやく母上にお会いできるのだな。
心配…されているだろうか…」
ハマーン「当然でございます。 しばらくは放していただけないことをお覚悟なさいませ」
ミネバ「うむ。 まぁ…しかたがないな」
少し、嬉しそうに言うミネバ。
大人びているとは言っても、やはりまだ10歳なのである。
ハマーン「(やはり母君が恋しいのですね。 申し訳ございません、ミネバ様…)」
ミネバ「ハマーン、今日は一緒に寝よう!」
ハマーン「はっ? え、その…はっ、ご一緒させていただきます」
最終更新:2013年10月11日 21:29