930 名前:いけいけ僕らのオーライザー 1/4 :2009/05/03(日) 22:51:50 ID:???
その日刹那は1/100 00ライザーを買い、浮かれ気分で家路を急いでいた。
近道をしようと公園を通過する際、ふとベンチに目をやると見た顔が座っていた。
どうやら向こうもこちらに気付いたようで、声をかけてきた。
ルイス「刹那…君?」
刹那「…
ルイス・ハレヴィか。今日は沙慈は一緒じゃないのか?」
ルイス「う……知らない!あんな馬鹿!」
刹那「…穏やかじゃないな。いつもうちのガロードやシロー兄さんに負けないくらいベタベタしてたじゃないか」
ルイス「いいの!今はあんな奴…どうだって…」
刹那「しかしどうだっていいと言う顔には見えないな…俺でよければ話を聞くが」
ルイス「……ありがとう」
彼女が言うにはこういうことだった。
先日沙慈がMSの免許を取ったというので、彼の操縦で宇宙飛行に連れて行って欲しいとお願いしたのだ。
しかし彼はその申し出を頑なに拒んだ。理由を聞いたら「危険だから」の一点張りということらしい。
ルイス「言いたい事はわかるんだけどさ…」
刹那「それで言い合ってるうちに感極まって飛び出してきたというわけか」
ルイス「うん…ねえ?せっかく免許取ったんなら連れてってくれてもいいと思わない?」
刹那「あいつは宇宙で仕事をするために免許を取った。だから宇宙の怖さも知っている。
そして沙慈は君を…ルイス・ハレヴィの事を誰よりも大切に想っている。だから尚更だろう」
ルイス「それは…で、でもそんな事言ってたらどこにも行けないじゃない…私は沙慈とだったら…」
刹那「…そうか、わかった。沙慈は今どこにいるかわかるか?」
ルイス「え?…多分まだイアンさんのとこで整備のアルバイトしてると思うけど」
刹那「よし、今日は時間はいいのか?ちょっとこれを持って待っててくれ。
これは俺にとって大事なものだ、失くさないように頼む」
抱えていた00ライザーをルイスに預け、どこかへ走り去る刹那。
ルイス「ちょ、ちょっと待ってよ…って…何なのよ急に…」
~プトレマイオス 格納庫~
刹那「イアン、ちょっといいか?」
イアン「おお、刹那か。どうした?」
刹那「沙慈・クロスロードは来ているか?」
イアン「ああ、あいつか…今は医務室に行ってるぞ」
刹那「何かあったのか?」
イアン「それがな、どうも今日は様子がおかしい。
気が入っていないと言うか…さっきも階段を踏み外してな。
まあ、医者の先生に見てもらってるが大したことはないようだ。」
刹那「そうか、ちょっと行ってくる」
イアン「いや、待て待て。ぞろぞろ連れて来てるあの子らは何だ?」
刹那「そうだ大事な事を忘れていた。頼みがあったんだ。
今すぐオーライザーを大気圏突破と突入が出来るようにして欲しい」
イアン「…はあ?」
刹那「無茶は承知だ。だから助っ人を連れてきた。あいつらは子供に見えるが腕は確かだ。
俺は沙慈と話をしてこなくてはならない。借りは必ず返す、だからよろしく頼む」
イアン「お、おいちょっと…まったく、相変わらず強引な奴だな…うーーん、君達はいいのか?」
ガロード「へへ、任せてよ」
ジュドー「なんか刹那兄困ってたみたいだしね」
デュオ「どうせ暇だったし、それになんか面白そうだからな~」
キッド「普段お目にかかれない太陽炉とか触れると聞くとねぇ」
イアン「やれやれ…まあやるとなったら半端は無しだ。確かに面白そうだ。よしやるぞ野郎ども!」
ガロ・ジュド・デュオ・キッド「「「「ほいさ!」」」」
931 名前:いけいけ僕らのオーライザー 2/4 :2009/05/03(日) 22:55:14 ID:???
コンコン
刹那「沙慈、いるか?」
沙慈「あ、刹那…どうしたの?」
テクス「お、ガロードの兄か」
刹那「…医者と言うのはテクス先生だったのか」
テクス「ああ、オレオさんは休暇中でね、私が臨時で呼ばれたのさ」
刹那「そうか、感謝する。ところで沙慈、さっきルイス・ハレヴィに会った」
沙慈「え!?…そっか……ルイス何か言ってた?」
刹那「泣いていたぞ」
沙慈「そ、そう…と言うことは話は知ってる?」
刹那「ああ、大体はな。連れて行ってやればいいじゃないか」
沙慈「それは…でも…やっぱり宇宙は危ないよ。それも僕の操縦で行くなんて…何かあったら僕はルイスに…」
刹那「…沙慈、慎重なのはお前の良い所だ。だから俺は安心して背中を任せていた。
だが今は自信を持て。免許だって厳しいと噂の教官で一発で取ってきたのだろう?
操縦経験だって十分だ。トランザムのスピードにだって対応出来ていたじゃないか」
沙慈「それは…そうかもしれないけど…」
テクス「…ふむ、詳しいことは知らないが今日の沙慈君の注意力不足の原因はそこにあるようだな」
沙慈「あ、はい…お恥ずかしい事で、すみません」
テクス「それはいいんだ。まあ、僭越ながら人生の先輩として一言言わせてもらうとだな…
以前ガロードにも言った事があるんだが、大切に思うのと、大切にするというのは
似ているようで違うんだ。こと、女性に関してはな。
彼女は、君と一緒に宇宙へ行きたがっているわけだな?」
沙慈「はい」
テクス「ならば連れて行ってやるのもいいだろう。危険があるなら守ってやればいい。
それもまた大切に思えばこそだ。刹那君、彼の腕に問題はないのだろう?」
刹那「もちろんだ。そうでなければ俺は勧めたりはしない」
テクス「そういうことだ。もし彼女が一人で宇宙へ出ようとしていたら君は心配でたまらないだろう?
今の彼女も恐らく同じような気持ちではないのかな?」
沙慈「そうですね…そうですよね…ありがとうございます」
刹那「さすがテクス先生だ。あなたはドクターガンダムだ」
テクス「ふふ…最高の褒め言葉と受け取っておくよ」
刹那「さあ沙慈、会いに行こう。ルイス・ハレヴィに」
沙慈「…ああ!」
イアン「おー、沙慈君、もう足はいいのか?」
沙慈「あ、はい!すみませんイアンさん!少し離れます。すぐに戻りますので!」
イアン「ああ、気にするな。どうせ今日は急ぎの仕事はなかったんだ
それに理由はこの子達から聞いたよ。こっちは任せてとっとと行ってこい」
沙慈「は、はい!ありがとうございます!」
刹那「イアン達はお前のオーライザーの改造中だ。大気圏突破できるようにしてくれと頼んでおいた」
沙慈「ははは…何から何までごめんよ」
932 名前:いけいけ僕らのオーライザー 3/4 :2009/05/03(日) 22:56:38 ID:???
ジュドー「お、ガロード兄、そのサイコフレームどうしたのよ?」
ガロード「へへへ、うちの倉庫に転がってたの持ってきたんだよ。
埃かぶってたしどうせバレないって。これも付けようぜ」
デュオ「あ~、何かあったとき助けになるかもしれないな」
キッド「お、じゃあ俺もフロスト兄弟からもらった中古のアトミックシザーズを」
デュオ「いやいや、さすがにそれは」
ガロード「戦争しに行くわけじゃないしな」
ジュドー「じゃあキャラがくれたマザーファンネルもいらない?」
キッド「どこにつけるんだよそんなもん」
ジュドー「いや、巨大ハサミよりマシだろう」
デュオ「ちぇっ、俺も何か持ってくりゃよかったな」
ガロード「まあまあ、魔改造しに来たんじゃないんだし、いいじゃないの」
デュオ「ところでさ、サイコフレームって具体的にどういう効果があんの?」
ガロード「いや、実は俺もよく知らないんだよな…まあ付いてて害はないんじゃない?」
ジュドー「そうそう、気持ちが大事ってね」
イアン「おーい!
ジュドー君にガロード君!GNドライブ持ってくるから手伝ってくれー!」
ガロ・ジュド「「あいさー!」」
~公園~
刹那「待たせたな…ルイス・ハレヴィ。00ライザーも無事みたいだな」
ルイス「あ、おっそーーーーーい!いつまで待たせるのよ…って、沙慈…!?」
沙慈「ハァハァ…刹那走るの速すぎ…や、やぁ、ルイス…」
ルイス「………」
沙慈「さっきはごめん」
ルイス「いやその…私も…」
沙慈「僕が間違ってた。ルイスの事は本当に大事に思ってる。
でも…だからってかごの鳥にするような事じゃダメだよね」
ルイス「沙慈……」
沙慈「でさ、今イアンさん達が僕のオーライザーを宇宙まで行けるよう改造してくれてるんだ。
あ、あの…一緒に来てくれるかな?MSでもなけりゃ、つたない操縦だろうけどさ」
ルイス「……もちろんよ…この馬鹿!」
イアン「おー、戻ったか」
沙慈「はい、ご迷惑おかけしました…って、これは!?」
イアン「どうだ?ツインドライブ仕様で大気圏離脱が可能、バリュートシステムで突入も出来る。
オマケでサイコフレーム搭載だ。万一アクシズが突っ込んできたって大丈夫な代物だぞ…多分だけどな」
沙慈「こんな…こんなにすごい物を僕のために…」
イアン「ああ、礼ならそっちのガキ共に言え。いやぁ、こいつら大したもんだ。
短時間でこれだけの事が出来たのもこいつらのおかげだ」
沙慈「ほんと…本当にありがとう」
ガロード「いやー、刹那兄の友達だろ。なら気にすんなって!」
ジュドー「そうそう、ここで恩売っときゃ後々…ね?」
ルイス「あはは、いい弟さん達だね。それに刹那君…なんか変わったね」
刹那「何がだ?? 俺はいつも通りだぞ」
ルイス「ううん、何となくね…ありがとう」
イアン「よし、沙慈君。簡単な説明をしよう、こっちへ来るんだ」
933 名前:いけいけ僕らのオーライザー 4/4 :2009/05/03(日) 22:58:27 ID:???
イアン「この通り基本操作は今までと変わらん。違うのは
大気圏突入時のバリュートだな。これをこうして…」
沙慈「…なるほど、操作自体は単純ですね」
イアン「おう、重要なのはタイミングだな。まあ落ち着いてナビゲーション通りにやればいい。
あとは今回の一番重要なポイントが…このボタンを…ぽちっとな」
ガチャガチャガチャンバタン
イアン(どうだ?タンデムシートが一瞬で無駄に広いフラットなスペースに早変わりだ。どう使うかは…
まあ、使い道は一つしかないわな?夢中になって太陽に突っ込んだりするんじゃねーぞ)ニヤニヤ
沙慈(えええ!?は、ははは……ありがとうございます)
イアン「よーしまあ説明はこんなもんでいいだろ。お嬢ちゃんも準備いいのか?」
ルイス「はーい!いつでもー!」
イアン「じゃあこっちも準備するか。出力上がってるからな、気をつけろよ。
それからいきなり宇宙へは向かうな。少しそこらで慣らしとけ」
沙慈「はい!色々ありがとうございました」
イアン「よし、GNドライブのマッチングも問題なしだ。刹那、進路は?」
刹那「こっちも問題ない。射出角度もOKだ」
イアン「よーし、気が済んだらさっさと帰ってこいよ!GNドライブだけは元に戻しとかんと眼鏡がうるさいからな」
沙慈「はい!それではオーライザー、沙慈・クロスロードと」
ルイス「ルイス・ハレヴィ」
沙慈・ルイス「「発進します!」」
ボヒュンッ!
沙慈「え?ちょっ!!…こ、このパワー…は…あああぁぁぁぁぁ!?」
ルイス「きゃああああああぁぁぁぁ!」
デュオ「すっげぇ加速…もう見えなくなっちまった」
キッド「ありゃもう支援機の動きじゃないよなぁ」
イアン「さすがにツインドライブだな。機体が
ガンダムより軽い分素晴らしいスピードだ」
刹那「…大丈夫なのか?あの加速は」
イアン「なあに、あいつも筋は悪くない。じきに慣れるだろ。それに大気圏離脱するにはあれくらい必要なんだよ」
ネーナ「せっちゃあああああん!聞いてたよお!あんなスィーツ女達のために頑張るよりネーナといいことしよーー!」
刹那「な…歪みか!? 刹那・F・セイエイ、これより1/100 00ライザーを護衛する任務に移る!」
キッド「おー逃げた逃げた。しかしスローネドライも負けじと速いな」
デュオ「今度はあの兄さんにハイパージャマーつけてやるかぁ」
ガロード「刹那兄もさあ、人の事にはやけに気回るのになぁ」
ジュドー「ああ、自分の事にはからっきしだもんな」
イアン「さてと、手伝ってくれた坊主共に飯でも奢ってやるかぁ。何でも好きなの食わせてやるぞ!」
ガロード「やりぃ!」
ジュドー「さすがおっちゃん!太っ腹!」
キッド「ラーメン食いたい!」
デュオ「俺も俺も!」
イアン「おう!安上がりでいい子達だ!」
ティエリア「だ…誰だ…ヴァーチェのGNドライブを持ち出したのは……万死に値する!」
アレルヤ「はは…僕のキュリオスのも無くなってるよ…まあいいよね…ハレルヤ…」
最終更新:2013年11月27日 22:25