482 名前:参加してみた・前編 1/5 :2009/06/05(金) 06:16:20 ID:???
ティファ「フリーマーケット、ですか?」
ソーマ「そうだ。 行ったことはあるか?」
フェルト「……」
ティファ「ええ、まぁ…」
 ガンダム家のお宝発掘隊、ガロード&ジュドーは仲間たちと共に、
 売り手、買い手の両方でフリマに参加することは多かった。
 勢い、ティファも何度か付き合ったこともある。
ソーマ「そうか…」タスカッタ…
ティファ「あの、それが?」
ソーマ「ああ、すまん。 実は…」
 と、ソーマの語るところによれば南口商店街の商工会が主催するフリマに
 空きスペースが出来てしまい、商工会長直々に参加を依頼されたのだという。
ソーマ「中佐はお優しい方だから、大恩のある商工会長に頼まれては否とは言えなくて…
    だが、出店するにしても、何の店をどう出せばいいのか…」
 途方に暮れる一方で、スミルノフ本人は地域住人との交流を楽しみにしている節もあるらしい。
 代わりの出店者を探して、と言う考えは無いだろう。
フェルト「それで、私も相談を受けたんだけど…その…」
 皆まで問うまい。
 視線を交わして頷きあうティファとソーマ。

 という訳で。
ガロード「ま、基本は不用品を持ち寄って販売、ってのが多いよな」
 ケータイで召喚されるガロード。
ガロード「家電とか、家具とか、一番多いのは服だな。
     出店常連の人は、職場や学校なんかで店に出すモンを集めて出てるらしいぜ?
     俺とかジュドーなんかはジャンクパーツとか、リサイクル品とかがメインだけど」
ソーマ「家電…家具…」
 眉間にくっきりと縦皺を刻んでうなるソーマ。
 元特殊部隊の軍人で構成される荒熊従業員には、
 インテリアやオーディオに給料を費やす者は少ない。
 そして、衣類はほとんどが現役時代に支給されたものか、
 必要だから買い求めた日用品ばかりである。
 最大の使い道であろう食費も、三食賄い付きという、ある意味究極の環境であった。
 おかげで結構な薄給にもかかわらず、小金が貯まって使い道に悩んでいるらしい。

ソーマ「不用品…強いて言うなら、銃器?」
ガロード「フリマで売ったら犯罪だかんなーw」


483 名前:参加してみた・前編 2/5 :2009/06/05(金) 06:17:22 ID:???
ロックオン「んで? どうなったんだ? 結局」
フェルト「ぬいぐるみを作ろうって…」チョキチョキ
刹那「………」チョキチョキ
クリス「あ!」ジャキン!
ロックオン「ぬいぐるみ…って、あの、熊とか猫とかの?」
フェルト「うん。 ガロードのお兄さんが、型紙貸してくれて…」チクチク
刹那「………」チクチク
クリス「痛っ!」
ロックオン「なんでもアリだな、この兄弟は…いやまったく」
アレルヤ「それで刹那も手伝ってるの?」
刹那「ガンダムだ」チクチク
ロックオン「またエクシアかよ…」ガクッ
アレルヤ「いやでも、布と綿でここまで再現するのはすごいと思うよ(苦笑」
ロックオン「こいつのガンダム馬鹿は筋金入りだからな」
刹那「ふっ…(照」チクチク
ロックオン「言っとくが、褒めてねぇからな」

ティエリア「そして、君は何をやっているのだ。 クリスティナ・シェラ」
クリス「え? あたしもお手伝、いたっ!」
アレルヤ「………」
ティエリア「………」
ロックオン「…血まみれのぬいぐるみなんか作るなよ? お子ちゃまが泣くぜ?」
クリス「ひ~ん(涙」
リヒティ「はい、絆創膏っス」

 ぴぴぴっ♪
ロックオン「ん?」
フェルト「あ、私だ…メール…ソーマさん?」
 件名:お返し
フェルト「???」

 ジョッキン!
スメラギ「あらぁ?」ヒック
ティエリア「あなたはまず、酔いを醒ましたまえ、スメラギ・李・ノリエガ!」


484 名前:参加してみた・前編 3/5 :2009/06/05(金) 06:18:33 ID:???
 そして当日。
ノベンタ「荒熊さん、今日は急なお願いなのにすみませんでしたなぁ」
スミルノフ「いえいえ、ウチもこちらに腰をすえて日が浅いですから。
      こういった行事で地域の方々と交流できるのは、
      かえって有難いくらいです」
ノベンタ「はっはっは、そう言って頂けるなら何よりですな」

フェルト「………」
ソーマ「こ、これ…は?」
 割り当てられたスペースで二人を出迎えたのは、座高1mは優に超える巨大熊であった。
 ふわふわしたパイル地の毛皮に、つぶらな瞳が愛らしいが、
 隣にちょこんと座るティファよりも一回りは大きい。
ガロード「いやぁ…話を聞いたクリス姉がはりきっちゃって…
     売れ残ったら、ちゃんと引き取らせるからさ」
ティファ「看板代わりにはなると思うの…」
ソーマ「むぅ…仕上げも見事だし…むしろ私が…」ハッ!
 聞かなかったふりをする一同。
ソーマ「くっ…不覚っ!」(////)
ガロード「ほらほら、開場まで時間あんまないぜ。 早いとこ準備済ませないと」
フェルト「うん」
ソーマ「む…そうだな」
 ビニールシートの上に、大小さまざまなぬいぐるみを並べる乙女たち。
 時折ガロードが経験者として口を挟みつつ、
 準備が終わったのは開場までもう間も無くという頃合だった。
ジュドー「お、やってるね」
ガロード「おう」
フェルト「コンニチハ…」
ソーマ「……」ペコリ
ジュドー「どもども」
ビーチャ「やあやあ、ビーチャ・オーレグです!」
モンド「俺、モンド・アガケ! よろしく!」
ビーチャ「困ったことがあったら何でも言ってくれよな!
     俺たち、こう見えてもちょっとしたカオだだだだだ!」
エル「美人と見たらすーぐ鼻の下伸ばすんだから…
   ほら、ウチらも遊びに来たんじゃないんだよ」
モンド「ちょ、エル、耳は…」
ビーチャ「千切れる千切れる!」


485 名前:参加してみた・前編 4/5 :2009/06/05(金) 06:20:10 ID:???
ジュドー「まったくあいつら…(苦笑) えーっと…ここだと、ガロードの方が近いな」
フェルト「えっ?」
ガロード「そうだな。 俺、あそこのスペースだから。
     ビーチャじゃないけど、なんか困ったことがあったらいつでもいってくれよな」
 そう言ってガロードが指差すのは洗濯機や冷蔵庫が並ぶ、
 ちょっとした家電売り場のようなスペースだった。
ソーマ「あれは?」
ガロード「ん? 俺のスペースだけど?」
フェルト「あの冷蔵庫も?」
ガロード「そ、俺の商品。 不法投棄されてたのを拾ってきて、直したんだ。
     この時期引越しが多いからさ。 けっこういい値で売れるんだぜ?」
ソーマ「リサイクル品ではなくて、レストア品と言う事か…」
ジュドー「良くやるよな。 金になるものはほかにもいっぱいあるってのに」
ガロード「いーんだよ! 俺のはお前と違って半分趣味みたいなモンなんだから!
     ほら、ルーがこっち睨んでるぜ」
ジュドー「おっと。 俺も耳引っ張られないうちに退散するか」
 にぎにぎと手を振って、仲間たちと合流するジュドー。
ソーマ「…彼らは何を扱ってるんだ?」
ガロード「んー、だいたいジャンクのMSから引っぺがしたパーツとかかな。
     今回はコクピットの内装が目玉だって言ってたけど」
ソーマ「ふむ…私のタオツーに使えるものはあるのかな?」
ガロード「タオツー? って人革のティエレン? 渋いの乗ってるなー」
 MY融合炉非搭載型のMSはそれぞれにメリットもあるが、
 結局はコストや整備性、出力との兼ね合いでマイナーに終わる傾向がある。
 その中でもティエレンは堅牢な作りと整備性の高さで、
 傍流ながら息の長いシリーズとして親しまれていた。
 タオツーはそんなティエレンの久々なメジャーチェンジと言うことで耳目を集めたが、
 生産台数がまだ少ないこともあって、MSのメッカとも呼ばれる磐梯市でも、
 実働してる機体はほとんど見られなかった。
ガロード「ここに持ち込めるのはそんなに大きなものじゃないけどな。
     気になるんなら休憩時間にでも覗いてみれば?」
ソーマ「うむ、そうしよう」
フェルト「(ロックオンのお土産にできるもの、何かあるかな…)」
ノベンタ『あー、あー、テステス。 おほん!
     えー、本日は晴天に恵まれ(ry』
ガロード「お、開場みたいだぜ。 んじゃ、俺も自分の店に行くから」
ソーマ「む…そうか、ありがとう」
ガロード「へっへっへ、大変なのはこれからだぜ。 がんばれよ!」
ティファ「ガロード、私は…」
ガロード「こっち手伝うんだろ? 判ってるって」
 ばちん!と音がしそうなウィンクを飛ばすガロード。


486 名前:参加してみた・前編 5/5 :2009/06/05(金) 06:22:21 ID:???
ソーマ「気持ちのいい少年だな」
ティファ「えっ…」
ソーマ「ああ言うのを、“いい男”と言うのだろうか」
ティファ「えっと、その…」(////)
ソーマ「はっ! あ、ああ、すまん。 貴方を困らせるつもりはなかったんだが」
 ピン!
フェルト「好きな人が、できた…とか?」
ソーマ「!!」ギックゥゥ
ティファ「えっ!?」
ソーマ「ななななななな、何のことだ! そんな、私は、決して…
    あんな軟弱者など…」ボソボソ
ティファ「でも、気になってる?」
ソーマ「………そう、なのだろうか?」
フェルト「軟弱…スミルノフさんじゃ、ないですね…」
 ある意味、「軟弱」と言う言葉の対極に位置する「漢」である。
ソーマ「ああああ当たり前だ! 私は中佐を尊敬しているが…
    …その、やはり、社会一般に言われる恋愛感情とは、違う。
    …気が、する」モジモジ
ティファ「店長さんは、お父さんなんですね」
ソーマ「……ウン。 時々思う。 中佐が、私の本当の父だったらと。
    ………私には、許されない想いと、判ってはいるのだが」

 思わず、耳をダンボにする周辺スペース売り子や客の女性たち。
ミレイナ「なんだか、恋の匂いがするですぅ!」クンクン


セルゲイ「…ち、近寄れん」
ガロード「あははははー(汗」



後編につづく。
猿回避のため、後編はもう少ししてから投下します。

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最終更新:2013年12月25日 21:30