某工業大学のディック・ルムンバ教授に来客があった。
ルムンバ「おお、君か。ささ、入りたまえ」
アムロ「ご無沙汰しています、ルムンバ先生」
アムロは工業大学に在籍していた頃、人工頭脳工学(サイバネティクス)の
研究をしているルムンバ教授に師事していた。
アムロに教えることはほとんどなかった教授は言うが、
アムロの方は恩師だと言って今でも訪ねてくる。
アムロ「先日はアルが先生の研究室にお邪魔したそうで。ご迷惑ではありませんでしたか」
ルムンバ「いやいや、こういう仕事をしているとあの年代の子供達と触れ合う機会はないからね。
いい経験をさせてもらったよ」
アルは同級生のドロシー、チェイ、テルコットと一緒に子供向けの新聞の一日記者として取材に来たことがあった。
(こんな感じ→ttp://www.mainichi.co.jp/edu/maisho/anohito/2002/0907.html)
もっともアルは人工知能についてマニアックな質問ばかり繰り返し、
悪ガキのチェイは騒ぎ、肥満児テルコットは精密機械の並ぶ部屋でお菓子を食い散らかし、
子供向け新聞の趣旨に合う仕事をしたのはドロシーだけだった。
ルムンバ「アル君は好奇心があって結構だよ。将来が楽しみというものではないかね」
アムロ「アルは知識が偏り過ぎてるんですよ、僕みたいな兄弟にばかり囲まれてるから」
そう言いつつも、アムロは息子をほめられた父親のような照れくさそうな表情を浮かべた。
実際、アルとアムロの年齢差を考えれば親子のようなものだ。
世間話が終わると、ルムンバ教授とアムロは人工知能について話し合い始めた。
片や学会の第一人者、片や人工知能搭載の知育ロボットで成功した理系ビジネスマン。
話し合っている内容は部外者には非常に難解なので省く。
この話の途中で外から、「期限のレポートを持って来ました」と女子学生の声がしたが、二人とも話に夢中で、
教授は「そこに置いてくれ給え」と反射的に返しただけだったし、アムロも振り向かなかった。
レポートを提出に来た学生の
チェーン・アギは来客がいるのに気づいたが、
彼女はルムンバ教授の研究室の所属ではなかったので、来客について詮索しようとせずそのまま帰って行った。
ルムンバ「ふう。ここらで一服しよう。ところで
アムロ君、マッケンジー君はどうしているかね?」
アムロ「ええ、元気にやってますよ。我が社の開発部門で一番優秀な新人ですね。
クリスチーナにはハロの人工知能の教育をやってもらっていますが、
彼女の育てたバージョンからハロが「優しくなった」とユーザーの声がたくさん届いています。
男がやるのと女がやるのとじゃ、人工知能の性質にも違いが出るんですかね?」
ルムンバ「いや、それともマッケンジー君自身の資質ではないかな?」
アムロ「かも知れません。近所に住んでるんで、プライベートでアル達がよく世話になっています」
ルムンバ「しかし興味深い話じゃないか。人工知能に対する「親」の教育効果か。
いずれ論文でも書いて発表してもらいたいね。
こんなことなら中退する彼女の推薦文を書かずに研究室に残せば良かったよ。惜しいことをした」
(特にオチもないままで完)
「
新卒社員チェーン・アギ」の設定を借りて書いてみました。
ディック・ルムンバ教授は、ポケ戦でアレックス開発の関係者として登場した車椅子に乗った黒人の学者からです。
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アムロ・レイ ディック・ルムンバ
最終更新:2017年07月05日 08:53