おかしい、何かが変だ。
悩み多き青年、コウ・ウラキは今日も悩んでいた。
しかし今日は「MGシリーズを全て集めるにはあとこれだけの資金が・・・・・」とか
「俺にも(まともな)彼女が欲しい」とか「もう少し兄弟達にまともになって欲しい」などといった何時もの悩みではなかった。
何故か縁の多い変な女性(ニナ、シーマ、ドロシー等)に追い回される可能性が低く、
兄弟達のゴタゴタに巻き込まれる心配の無い、コウの心のオアシス、アルビオン大学が変なのだ。
コウはラグビー部に所属している、全国でも有名な強豪でその分、練習は厳しい。
普段ならちょっとしたミスや遅刻に対しても罵声は勿論、竹刀が飛ぶことすらある。
しかし数日前から何故かそのしごきが無くなってしまったのだ。
それが部員全員というのならまだ理解できる、しかし明らかにコウだけが特別扱いされているのだ。
(まぁモンシア先輩やバニング監督と言った扱いの変わらない人も一部いたが)
お陰で同じラグビー部の一年からは白い目で見られているし・・・・・・・
それだけならまだ良い、しかし講師の態度も明らかに数日前とは豹変している。
コウは自分の興味のある、工学系、特にMS系の講義の受講態度はとても良く、
テストもトップクラスを常にキープしているが、外国語など、自分の興味無い分野は
お世辞にも良い学生とは言い難い、よって講師にどやされるなど
日常茶飯事なのだが・・・・・
それがパタッとやんでしまったのだ、コウの態度はまるで改まっていないにも関らずである。
「なぁ、
キースはどう思う?」
コウは兄弟達に相談すると何を起こすかわからないので、一番の親友、
チャック・キースに相談してみた。
「そうだなぁ・・・・お前のところの兄弟はVIPと付き合いあるのが多いし、
お前にゴマすって覚えを良くしてもらおう、なんて可能性は?」
「それは違うと思うな、だってここ数日でいきなり豹変したんだぜ?」
「そっか」
「それに・・・・・僕に対してゴマをすってるというより腫れ物を障るような扱いのような気がするんだ」
「確かに、ゴマするんなら積極的に近寄るよな、けど離れたがってるって感じだし」
しばし悩んでいた二人だったが答えが出る筈も無い。
「まぁ悩んでてもしょうがないさ、そろそろ講堂に行こうぜ」
「人事だからって・・・・・でも確かにもう直ぐ時間だな。新理事長の挨拶だっけ?」
「そう、何でも財界の有名人で、かなりの金を使ったらしいぜ」
「何でわざわざ大学の理事長なんかに・・・・・・」
「さぁ?金は得たから社会的地位でも欲しくなったんじゃねーの?」
「では本日よりこの大学の理事長に就任された
シーマ・ガラハウ氏に就任のご挨拶を・・・・・」
その日の新理事長のお披露目は滞りなく行われたそうな。
「お前が原因かぁぁぁぁぁ!!」と学生の一人が叫んで、
新理事長お付きの黒服の男たちに取り押さえられ連れて行かれた以外は。
389 名前:通常の名無しさんの3倍投稿日:03/05/02 12:38 ID:???
おかしい、何かが変だ。
悩み多き青年、コウ・ウラキは今日も悩んでいた。
しかし今日は「
ガンプラコンテストに出す改造のアイディアが浮かばない・・・・」とか
「俺は何時までチェリーと言われるんだろう」とか
「アルは何で
ガンダムを好きにならないんだ」などといった何時もの悩みではなかった。
講師達の態度が変化したことにも大分なれ、
理事長・シーマ&黒服部隊の執拗なモーション&追跡にもなれてきて、
問題が無くなった(?)かと思われた大学生活にまたしても異変が起こったのだ。
前回態度が豹変したのは講師が殆どだった(クラブの先輩など、一部学生が含まれていたが)
しかし今回は学生が中心でしかも前回のように腫れ物を触るような態度ではなく、
何か不穏な視線を、簡単に言えば殺気を感じるのだ。
「なぁ、
キースはどう思う?」
殺気なんて物が絡むと、前よりもっと兄弟達が何を起こすかわからないので、
やっぱりここは一番の親友、
チャック・キースに相談してみた。
「すまないけどコウ、今回は俺は何も言えないんだ」
「何だって!?ということは原因は知ってるんだな!?」
「俺は口止めをされているし、奴らを敵に回したくない、だからすまいない・・・・・・
だけど少し忠告させてくれ」
「・・・・・何だ?」
「奴らは既に学生の6割以上を取り込んでいる、誰も味方だとは思うな。
そして常に警戒を怠るなよ、何をするかわからない、恐ろしい奴らだ・・・・・・・」
390 名前:通常の名無しさんの3倍投稿日:03/05/02 12:39 ID:???
キースの言う「奴ら」の正体が掴めないまま三日が過ぎた。
学生の6割以上・・・・・・この
キースの言葉が正しいとするなら大学の半分以上が敵になったことになる。
しかしわからないのは敵の目的だ、コウはアルビオン大学でもどちらかというと有名人だが、
他の兄弟のように抱かれたい女でトップになったり、VIPと深い付き合いがあったり、そういった特別なことは何も無い。
ラグビー部では期待の新人ではあるがまだ一年、
練習試合で実験的にスタメンになることはあってもレギュラーにすらなっていない。
(だけど6割ともなれば何か強烈な理由があるはずだ・・・・・・・)
ガラに合わず考え込んでいたのが拙かったのだろうか?気付いた時には既に遅かった。
(!?囲まれている!?この駆動音はおそらくGM系・・・・・それもGMカスタムとGMキャノン!!
これは・・・・・・大学の教習用MSか!!?しかも予備のザク改やドムトローベンまで!)
『コウ・ウラキ!!お前は既に完全に包囲されている!!
生身の人間にこのMSの大隊から逃れる術は
無い!!
しかもMSだけでなく、その周りは武装した歩兵で囲まれている、大人しく投降しろ!!』
「くっ・・・・・お前達は何だ!!何故
こんなことをする!!」
『ふっふっふ・・・・自分を殺す者の正体ぐらいは知っておきたいか・・・・・・
ならば心して聞くが良い!!』
391 名前:通常の名無しさんの3倍投稿日:03/05/02 12:40 ID:???
『コウ・ウラキ、ならびにアルビオン大学の学生に告ぐ。我々はシーマ様親衛隊!
シーマ様を崇拝し、愛するものである。
コウはシーマ様親衛隊の最大の禁忌であるシーマ様の独占を、
兄弟の軍事力を行使してささやかなるその鉄則を破り取ろうとしている。
栄光あるシーマ様親衛隊の法を守らねば我らシーマ様の奴隷に永遠に光がもたらされる事はない。
愛の業火に焼かれていった同胞達の気高き魂を我が魂として、
今ここに改めて私はコウ・ウラキに対し、宣戦を布告するものである!』
その日、アルビオン大学は一人の青年の指パッチンと呼びかけ一つで何故か現われた
GP-03デンドロビウムとMS大隊の戦闘の炎に包まれた。
世に言う『人の屑』事件である。
この事件に対する理事長のお言葉。
「魅力があり過ぎるってのも罪だねぇ・・・・・あたしはそりゃ、恋の相手としちゃ難しいかもしれないよ?
奴隷根性ってのはどんな男も大なり小な(以下自主規制)
最終更新:2018年11月12日 15:42