732 名前:ガンダムさんちの師走の景色・前1/3 :2010/12/09(木) 13:34:59 ID:???
 ガタン…ゴトン…バタッ!
アル「うわっ!」
シュウト「何か倒れ…ハクシュン!」
キャプテン「大丈夫か、シュウト」
アル「ケホッ!ケホッ! うわ…埃が…」
キャプテン「ノーマルスーツのヘルメット着装を推奨する。
      この物置の環境が人間の体に何らかの疾病を発生させる確率37.43%だ」

ソシエ「ロラーン、何やってんの?」
ロラン「あれ、ソシエお嬢様…これは、夏布団の綿を洗濯してるんです。
    お嬢様こそ急にお見えになるなんて、どうなさったんです?」ゴウンゴウン…
ソシエ「何よ、私が遊びに来ちゃ悪いって言うの?」
ロラン「そうは言ってませんよ。 でも、お迎えするにも準備と言う物が…」
キエル「そんな気遣いは無用ですよロラン。 押しかけてるのはこちらなのですから」
ロラン「キエルお嬢様まで! す、すぐにお茶の用意を…」
キエル「気遣いは無用と言った筈です。 それより、この機械の方が興味深いわ」
ロラン「え、これですか?」
ソシエ「そうよね。 お布団の洗濯なんてどうやるの?」
ロラン「えっと、正確に言うと、これは布団の綿を洗濯する機械なんです。
    シュウトとガロードが作ったもので…えっと、こうやって布団表を外して」
 糸きり鋏を使い、布団の糸を外すロラン。
ロラン「中の綿をここに入れるんです」ドサドサ
キエル「ですが、洗濯機にしては…その…」
ソシエ「そうよね。 なんでこんなに大きいの?」
ロラン「それは…僕も良くわからないんですけど…」
 ゴウンゴウンゴウン…
 ギュイーーーーーーン
 ガッシャンコガッシャンコガッシャンコ…
 ゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴン…
キエル「とても洗濯機の音とは思えませんわね…」
ロラン「ええ、まあ…これはちょっと特別で…」
 ぶしゅーーーーーー…
ソシエ「あ、なんか出てきた」
キエル「まあ! 御覧なさいソシエさん! 真っ白でとっても綺麗…」
ロラン「えっと、洗濯、漂白、殺菌に乾燥、打ち直しまでやってくれるんです。
    このサイズで全自動って、使ってる僕にも信じられないんですけど」
ソシエ「普通の洗濯物ってできないの?」
ロラン「ダメです。 以前、コウ兄さんが勝手にこれでTシャツを洗濯したんですけど…
    それはそれは見るも無残なことに…」ウウッ…
キエル「まぁ…それはお気の毒なこと…」


733 名前:ガンダムさんちの師走の景色・前2/3 :2010/12/09(木) 13:36:12 ID:???
アル?「ロラン兄さーん」シュコー
シュウト?「雪の用意できた?」コーホー
キエル「きゃっ!」
ソシエ「え?アルとシュウト?」
ロラン「なんですか二人とも! 埃まみれじゃないですか!」
アル「だって…」シュコー
シュウト「物置の中が埃だらけだったんだもん」コーホー
ロラン「だってじゃありません。 お客様の前ですよ!」
アル「え?」シュコー
 キュッキュッ…
シュウト「あ、キエルさんとソシエさん。 こんにちはー」コーホー
アル「こんにちはー」シュコー
キエル「はい、こんにちは」ニッコリ
ソシエ「相変わらず元気そうね、あんたたち」
アル&シュウト「「えへへー」」シュコーホー
ロラン「とりあえずシャワーを浴びて着替えてきなさい。
    雪の用意はその間に終わりますよ」
アル「やったー」シュコー
シュウト「はーーーい!」コーホー
 やはり埃にまみれたダンボールを抱え、母屋へ走る二人。

 ずしん!
ソシエ「今度は何!?」
ロラン「シン!」
シン「あれ? ハイムさんとこのお嬢さんたちじゃん。 いらっしゃい」
 デスティニーに乗るシンが、コクピットから身を乗り出して言う。
 デンドロビウム、ビグ・ラングは別格としても、ガンダム家所有MSの中では重量級の機体である。
 当然、その足音も迫力がある。
ウッソ「シン兄さん! 畑の方は踏まないでくださいよ!」
シン「わかってるって!」
母屋のクリス「こぉら! 濡れたままの裸で走らない!」
母屋のアル「うわっ!クリス!」
母屋のシュウト「ごめんなさーーい!」
キエル「なんだか今日は、いつにもまして賑やかですのね」
ロラン「ええ、まあ…」
ソシエ「そういえばさっき、雪がどうとか言ってなかった?」
ロラン「これの事ですよ」
キエル「お布団の綿?」
ソシエ「あ、ひょっとして…」


734 名前:ガンダムさんちの師走の景色・前3/3 :2010/12/09(木) 13:38:02 ID:???
アル「シン兄さーん、もうちょっと右ー」
シュウト「こっちはもう少し上ー」
シン「いっぺんに言うな! お前ら落とさないように操作するのって面倒なんだぞ!」
ソシエ「ロラーン!こっちももう少し前ー!」
ロラン「はい、ソシエお嬢様」
 アルとシュウト、そしてソシエの三人はデスティニーと∀の手に乗り、
 漂白された綿をもみの木の枝に飾りつけてゆく。
 解した綿を、木綿の糸で縛りつけたり、やはり木綿の糸で織られた網をかけて固定する。
キエル「立派なもみの木ですね」
セレーネ「兄さんが生まれた時に、父が植えたんだそうよ。
     さすがに樹齢30年超えるとなるとパないわよねぇ」
アムロ「俺はまだ20代だっつっとろーが」ギリギリギリギリ
セレーネ「のおおおおおぅ! ギブギブ!」パムパムパム
キエル「そうですか…この木はご兄弟と一緒に育ってきたんですね…」
 焦がれた物を見るような目で、キエルはその、
 寄り添うMSたちよりもまだ高いもみの木の梢を見上げる。
 その眼前を、ガロードとジュドーが長いチューブの束を引きずって
 もみの木の根元へ向かう。
アムロ「落ちるなよ」
ガロード「あいよー」
 応えたガロードは輪にした束に腕を通して担ぎ、
ガロード「よっ!」
 一声上げて枝に飛びつくと、そのまま体を持ち上げてスルスルと登り始めた。
キエル「まあ!」
セレーネ「あの子見てると、人間って元はサルだったんだなーって思うわー」
ガロード「聞こえてんぞセレーネ姉!」ガサッ!

ロザミィ「じんぐーべーじんぐーべーすっずがーなるー♪」
プル「きょおわーたのっしいーくっりっすーますー♪」
マリーダ「へいっ♪」
 脚立に登り、朗らかに歌いながらオーナメントを取り付けてゆく少女?たち。
カミーユ「………」
プルツー「はしゃぎすぎて落ちるなよ!」
 やれやれ、と今にも零しそうな表情で脚立を支える二人。
 その傍らではイーノとモンドがプラスチックのケースを楽しそうに弄っている。

 クリスマスを目前に、ガンダム家では庭のもみの木の飾り付けに大賑わいであった。


後編につづく

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最終更新:2014年12月15日 21:19