556 名前:
機動ライダーステイメン :2012/09/06(木) 20:30:32.97 ID:???
―優しさを忘れた現代、街行く人々は他人を思いやる心を失っていた。だが、そんな時代に生きる1人の若者がいた!―
コウ「俺は今日、格闘家の試合を見に来ている。目当てはこの人だ」
カンカンカン!!
実況「ドモン・カッシュ選手!KO勝ち!!強い!もはや何連勝かも忘れてしまいました!!」
コウ「ドモン・カッシュ。若くしてレジェンドの呼び声高い格闘家だ。
だが、俺は単純に彼のファンだから見に来たという訳じゃない。それ以上に……」
ドモンが勝利に沸くスタンドを眺める。そしてコウの姿を見ると、微笑んだ。
試合後…
ドモン「久しぶりだな、コウ」
コウ「お久しぶりです、ドモンさん」
ドモン「おいおい、そんな言い方されると困るな。昔みたいで良いんだよ、って、それも困るか」
コウ「あっ、ごめんなさい……」
ドモン「それにしても、やっと見つけられたよ。何回か見に来てたんだろう?」
コウ「いつも恥ずかしくて、目立たないところに座っていたから……」
ドモン「はは、お前らしいな」
コウ「(そう。彼は俺が幼い頃の、いわば『お兄ちゃん』だ。
引越しで離れてしまったが、あの強さと優しさは、今も俺の目標となっている)」
ドモン「そうだ。
せっかくだから、メルアドでも交換しないか?」
コウ「えっ!?携帯使えるんですか!?」
ドモン「言う様になったなあ、俺だっていつまでも機械オンチじゃないぞ」
コウ・ドモン「「ははははは……」」
557 名前:機動ライダーステイメン :2012/09/06(木) 20:31:38.78 ID:???
それから数日後
コウ「ドモンさん、こんな河原に呼び出して、頼みってなんですか?」
ドモン「コウ、俺を倒してほしい」
コウ「ドモンさんを!?そんな無茶な!」
ドモン「もちろん、生身と生身じゃ無理な事は分かっている。お前にもこの力を見つけたから、頼むんだ」
そう言うと、ドモンは黒い光に包まれる。そして。シャイニングっぽい姿に変身した。
コウ「ドモンさんも、機動ライダーだったんですか……!」
ドモン「機動ライダー、そう呼ぶのか。そう呼べたら良いけどな」
コウ「どういう事です?」
ドモン「気付いているだろう?俺の中の僅かな黒い光を……
いつからだろうか。俺は対等に戦える相手がいなくなった……そして……」
コウ「ライダーに変身出来る様になった……?」
ドモン「ああ。この姿は俺が育てた慢心の化け物だ。だから倒してくれないか!?」
コウの脳裏に、リョウの姿がよぎる
コウ「……分かりました。黒い光は化け物の証です。そして俺は、それを倒す使命を負っている……変身!!」
ベルト(CV:デュオ)「機動RIDER STAMEN Sortie!!」
コウが構えを取り、重い攻撃をドモンに浴びせる。
コウ「はあっ!」
ドモン「くっ……そうだ……この感覚だ……!」
ドモンは何度攻撃を受けても動じない。しかし、少しずつダメージは蓄積していった。
そして何度目かの攻撃で、遂に吹っ飛んでしまった!
ドモン「ぐわっ!」
コウ「どうですか、ドモンさん?」
ドモン「あ、ああ。良い具合だ。恐らくこれで俺の慢心も……」
だが、その言葉を聞いたコウの表情が急に険しくなる。そして、右足にオーラを溜め始める。
コウ「……」
ドモン「コ、コウ!もういいだろう!?」
コウ「いえ……まだです!俺は……あなたを倒します!!」
558 名前:機動ライダーステイメン :2012/09/06(木) 20:32:47.57 ID:???
ドモン「どういう事だ!?倒すって……本当に、殺すって意味じゃないんだぞ!」
コウ「ドモンさん、あなたはまだ自分が傷付かないと思っている。その心が、黒い光を育てたんですよ……
それを取り去って死ぬのなら、あなたの体こそが黒い光だ」
ドモン「しかし……」
コウ「僕は知っているんです。ドモンさんが圧倒的な強さでチャンピオンになってから、戦い方も、強さも急に変わった事……
テレビや雑誌にも出て、スターになりましたよね。
自分は誰もが待ち望んだ最強の存在だ、そういう心が慢心を産み、黒い光に変わっていった。
その光の鎧をまとって、あなたはまた強さと慢心を重ねていったと僕は思うんです」
ドモン「何が言いたいんだ!」
コウ「ドモンさん、まだ気付いていないんですか……!」
コウ「あなたの心にある黒い光は僅かなんかじゃない!!その輝きは、俺が倒してきた怪人達にも負けないくらいだ!
ドモンさん、自分1人でその光を生み出したあなたはライダーなんかじゃない!
心を黒い光に売り渡した、俺が倒すべき立派な怪人だ!」
ドモン「違う!俺はまだ……」
コウ「心が人間なら、黒い光があろうと俺の攻撃では倒れない筈だ!」
ベルト「Maximum Brightness……」
ドモン「これが……本物のヒーローの光……!」
コウ「ドモンさん、俺は誓ったんです。誰が相手だろうと、俺のやるべき事を成し遂げるって!!」
ベルト「ZEPHYRANTHES!!」
そして、コウは必殺のドリルキック、ゼフィランサスをドモンに向けて放つ!!
それを食らう瞬間、ドモンの頭をよぎったものは……
ドモン「うおおおおっ!!」
コウ「貫けない……この光は!?」
ドモンの体を、金色のオーラが包む。そして、爆発が起き、コウは吹き飛ばされる!
その中心地には、金色のゴッドっぽい姿のライダーが立っていた!!
ドモン「コウ、確かにその通りだ……俺は自分の慢心や自尊心を甘やかし、育てていた……
強さと一緒に余計なものまで手に入れていたよ」
コウ「いらない物だけ捨てられるって、俺は信じていましたよ」
559 名前:機動ライダーステイメン :2012/09/06(木) 20:33:30.94 ID:???
2人のライダーの間に穏やかな時間が流れる。だが!
ドモン「まだだ!ここで勝負が終わっては、黒い光を完全に消し去る事はできない!」
コウ「ええ。覚えておけ!ニンジンと困った人が待つ限り、俺は勝負をやめたりしない!」
コウとドモンはそれぞれ、必殺技の構えを取る!
ドモン「俺のこの手が真っ赤に燃える!勝利を掴めと轟き叫ぶ!!」
ベルト「Over the Maximum Brightness……」
ドモン「爆熱!ゴッドォフィンガァァァァァァァァ!!」
ベルト「ZEPHYRANTHES FULL-VERNIAN!!」
金色のオーラと、朱色のオーラが激しくぶつかり合う!
ドモン「左手だああああ!!!」
コウ「俺だって片足だけじゃ……ない!!」
アッパー気味に放った左手のゴッドフィンガーと、回転しながらかかとで放つ左足のゼフィランサスが衝突する!
2つの色が混ざり合い、大爆発が起きた!!そして……
その数日後、空港にて……
コウ「本当に行くんですか?」
ドモン「ああ。俺はまだ未熟だ。自分に勝てない様では、相手と対峙する事なんて出来ないさ」
コウ「寂しくなりますね。俺自身にとっても、格闘界にとっても」
ドモン「俺はいつでもギアナ高地にいるし、また新たなスターが見つかるさ」
コウ「そうですね。ドモンさんが戻ってくるの、楽しみに待っています」
ドモン「ああ。俺も、平和な世界に戻ってくる事を楽しみにしているよ」
コウ「ええ、必ず」
ドモン「……時間だ。またな」
コウ「はい、またいつか会いましょう!」
コウの熱き想いが、闇の中から真の戦士を取り戻した!
戦士と戦士の約束に誓って!戦え、ステイメン!!
続く!!!
この放送は、スプーンから宇宙戦艦までのアナハイム・エレクトロニクスと、
ラー・カイラム、リリー・マルレーン、ご覧のスポンサーの提供でお送りしました。
560 名前:機動ライダーステイメン :2012/09/06(木) 20:34:36.68 ID:???
舞台裏
ドモン「ふう、スーツアクターは別に良いが、演技がな……」
アムロ「平均リテイク数28。アクションはノーミスだった事を考えると、明らかに多いな。
だが、
ガンダムファイトの宣伝とはいえよく頑張ったよ」
ドモン「そうだな。言い訳だけど、やはり俺は本業で魅せないと!」
ケーラ「それにしても、この最後ってどっちが勝ったのかしらね?」
アムロ「さあ。言わなくてもいいが2人で撮影前までに決めておけよ、ってコウとドモンには言ったんだけどな」
コウ「それは勿論あっちですよね、ドモン兄さん」
ドモン「ああ。勝ったのはあっちだな」
ケーラ「ちょっと、教えなさいよ!」
やいのやいの
ブライト「やれやれ、劇中通り『2人の秘密』という訳か」
おわり
最終更新:2015年01月29日 20:26