817 名前:プロジェクトV 前編1/4 :2012/02/14(火) 07:25:59.02 ID:???
ざわざわ…
場所は、それなりの規模を持つ会議室。
集まる数は三十人ほどであろうか?
さまざまな年代の者たちが寛いだ調子で腰をかけている。
ミン「店長、いったい何が始まるんです?」
セルゲイ「いや、私も良くは知らん。
ピーリス君と、古い馴染みに頼まれただけなんだが…」
ミン「あちらの連中は、ソレスタル・ビーイングのスタッフですね…」
セルゲイ「その様だ。 …始まるようだな」
モレノ『えー、本日は突然の召集にお集まりいただき、ありがとう』
巨大なスクリーンを背に、壇上に上がったのは白衣姿の初老の男である。
白衣の下のシャツや、エッジの尖ったサングラスなど、
歳の割りには若々しいいでたちである。
モレノ『自分はC.B.ネオ日本支部、医療総括のJB・モレノだ。
今日は、この都市で観測されたある現象の解明にご協力いただきたく、
この場を用意した』
セルゲイ「ある現象?」
ミン「何のことでしょうか…」
モレノ『えー、解明と言っても、本日の実験は本格調査の予備試験であり、
皆の健康などには一切影響が無いと、医師の立場から保障する』
ニール「一体何を始めるつもりなんだ? モレノ先生」
アレルヤ「さあ…ティエリアは何か聞いてる?」
ティエリア「いや、ヴェーダにも計画内容はアップされていない」
ライル「俺としては、女の子の姿が見当たらないのがすっげー気になるんだが」
ニール「お前…お兄ちゃんは悲しいぞ?」
ライル「気にならないのか兄さん!(キリッ」
ニール「…なるけどな」
刹那「…」
モレノ『それでは始めよう』
818 名前:プロジェクトV 前編2/4 :2012/02/14(火) 07:26:46.34 ID:???
モレノの合図とともに会議室のドアが開き、
粛々とワゴンを押す女性陣が現れる。
スメラギ「やっほー(はぁと」
どんがらがっしゃん!
スメラギ「ちょ、どうしたのよ!」
ニール「どうしたもこうしたも無いだろ!」
ラッセ「おいおい、その格好…」
スメラギ「似合う?」
先頭に立つ
スメラギ・李・ノリエガは、肩も露な黒いミニのワンピースに、
白いフリルをあしらったエプロン&カチューシャ――
ティエリア「メイド服と言ったか? …あまり機能的には見えないが」クイクイ
ライル「れ、冷静だな、ティエリア」
イアン「なんと言うか…」
アレルヤ「痛々しいです…」
スメラギ「ぬぁあんですってえ!?」
クリス「だから止めとこうって言ったのに…」
ライル「やるならアニューだろ…」
アニュー「ええっ! む、無理よ!
――――――――――えっとその、二人きりで、なら…ね?」ゴニョゴニョ
ライル「おっし!」
ニール「はいはい、ごちそうさん」
ソーマ「回してください」
言いつつ、紙コップをテーブルに並べてゆくソーマ。
こちらはごく普通のロングパンツとトレーナーに、シンプルなエプロン姿である。
ミン「ピーリスはあんな格好はしないのか?」
ソーマ「は? …した方がよろしかったでしょうか?」
ミン「その方が喜ぶ奴が居るんじゃないかと思ったんだが――」
アレルヤ「―――」ジーー…
セルゲイ「やらんでよろしい」ゴホン!
ソーマ「は」
819 名前:プロジェクトV 前編3/4 :2012/02/14(火) 07:27:55.16 ID:???
フェルト「はい、刹那」
刹那「ん」
差し出されたマグカップに、ポットから茶褐色の液体を注ぐフェルト。
こちらもいつものツナギ姿である。
刹那「これは?」
フェルト「ホットチョコ。 はい、ロックオン」
ニール「おう。 …俺、甘いの苦手なんだが」
フェルト「知ってる」
アニュー「大丈夫ですよ。 これ―」
ラッセ「ぐへっ! なんだこれ!」
モレノ『あー、ご注意を。 今配っているものには砂糖が入ってない。
純粋にココアパウダーをお湯とミルクで溶いただけのものなので、
そのまま飲むのはオススメしかねる』
ラッセ「そう言うことは先に言ってくれ、先生!」
ラッセ同様、早々に口を付けた者たちからブーイングが上がる。
リヒティ「あの、ひょっとしてこれ…」
クリス「そ。 バレンタインだからねー。
便乗させてもらったの」
リヒティ「あ、やっぱりっすか…」ガクリ
イアン「おいおい、こんな十把一絡げで…」
クリス「いーじゃないですか、どうせ義理なんだし」
リヒティ「ぐはっ!」
ライル「うわぁ…」
ニール「(リヒティ…強くイキロ!)」
ラッセ「………」ポンポン
820 名前:プロジェクトV 前編4/4 :2012/02/14(火) 07:28:55.07 ID:???
アレルヤ「フェルト、僕にも…」
フェルト「あ、ゴメンナサイ、ぽっとガアイチャッタ」
アレルヤ「え?」
クリス「アー、アタシノモダー」
スメラギ「タイヘン、アタラシイノヲトッテコナイト」
パタパタと、汐が引くように引き上げる女性陣。
アレルヤ「え? ええ!?」
周り中からチョコの芳香が漂う中、一人空のマグカップを抱えて立ち尽くすアレルヤ。
アレルヤ「これは、いぢめ?」
ハレルヤ『お前何やったんだよ』
アレルヤ「知らないよ! やったとしたらハレルヤじゃないの!?」
ニール「落ち着けアレルヤ。 俺のを――――やる訳にはいかんな」
ライル「なんだそりゃ?」
などとさざめく一同の前に、ずい、とポットが差し出される。
アレルヤ「え?」
ソーマ「…………」
アレルヤ「マ」
ソーマ「ソーマだ!
ソーマ・ピーリス!」
熱々のホットチョコが満たされたポットを突きつけるソーマ。
顔面に向けられれば、立派な凶器である。
アレルヤ「りょ、了解…」
ソーマ「じっ、実験のためだからな! それだけだ!
他意は無いから誤解しないように!」
アレルヤ「うん、解ったよマ」
ソーマ「――」ギロリ
アレルヤ「解ったよ、ソーマ・ピーリス」
ソーマ「よ、よし」
アレルヤ「………」
緊張の為か、小さく震えるポットにひやひやしつつも、
無事、マグカップにホットチョコが注がれる。
アレルヤ「ありがとう」
ソーマ「だから、実験の為だと!」
アレルヤ「うん。 でも、ありがとう」ニッコリ
ソーマ「!」(////)
ライル「やるね」ピュゥ
ニール「そうだな」ニヤニヤ
セルゲイ「むう」
ミン「…」ニヤニヤ
最終更新:2015年06月02日 06:58