568 名前:cinder‐sister :2012/10/16(火) 16:22:59.17 ID:???
――この磁気嵐の中で出航なんて正気じゃないね
『付き合ってくれて感謝する』
――こっちは運び屋だからね。お金さえ払ってくれるなら、なんだってやるさ
『……危なくなったら逃げていい』
――だから、出航する時点で危ないだってば。旧世紀の人間だってやらないよ、こんな事。
   羅針盤が発明される前でも、人間ってやつは星空見上げて海に繰り出したもんさ。それでも充分危険な事さ。
   でもここは360°全部が星の海だ。自分が足を広げて立つ寄る辺も無しに、この海を進もうってのかい?
『ここで足踏みしてたら、火星に補給物資がつくのが遅れる。
 その遅れで失われる時間は、そのまま火星に住んでいる人の命が失われる時間だ』
――男の子だねぇ
『そこは男っていってくれよ。それに、もっと単純な事なのかも知れない』
――ん?
『火星ではアイツが待っている。俺はアイツに失望されたくない』
――男の意地ってやつだね
___________________
                             Z____________________...
『ちゃんと付いてこれているか?!』
――アンタのガイドビーコンは完璧だよ!
   きっちりデブリもぶっ壊して、進路を確保してくれるしね。
   計器のご機嫌が最高にナナメなこの状況で大したもんだ。ニュータイプってやつかね!
『違う……俺はスーパーパイロットだ!!』
――ん? 磁気風とは別の反応? MS…MAか!?
『くっ…距離が掴めない……だが目視した時点で接触を避けることができるか!?
 いや、何!? ……これは……お前はまさか……』
――どうしたんだ、アセムッ!
『逃げろ、グロリア!! シドだ! DG細胞のオマケ付きの野生のシドが現れた!! うわっ!!』
――アセムッ!!


569 名前:cinder‐sister :2012/10/16(火) 16:24:57.46 ID:???
アセム「うっ…はぁっ……」ガバッ
ユノア「あ、目を覚ました!」
アセム「ここは……一体……」
ユノア「看護学校よ」
アセム「看護学校……にしては暗いな」
ユノア「屋根裏部屋だしね」
アセム「………この街並み、地球? いや違う、街並みは旧世紀のそれでも建物自体は真新しい。
    けどそれが単に欧州移民が造ったコロニーだっていうんなら、この街割りは不便にすぎる。
    街割りまで旧世紀のそれを模すというのは不自然なんだ。観光資源か、造った者の偏執がある。
    ……シーブックが昔住んでいたっていう、フロンティアⅣ。ここはフロンティアⅣじゃないか?」
ユノア「当たり。ベイカー221Bは無いけどね」
アセム「フロンティアⅣ……新サイド4……地球と月の間じゃないか!
    くそっ…こんなところで……いや、ここがサイド4なら何かヒイロのツテが無いか?
    いや、何にしたってグロリアがどうなったか、それを調べなきゃ……うっ!」
ユノア「落ち着いて! 三日も寝ていたんだよ!」
アセム「ああ……君が助けてくれたのか? ありがとう……三日!?!」
ユノア「うん、三日。壊れた白いガンダムの中で怪我したまま漂流してたの。
     普通MSって識別とか搭乗者とか分かる筈なのに、そういうの無かったし……」
アセム(火星への補給は正式なルートでは行えない。国交は断絶したままなんだから……
     物資だって問題が起きないよう、正規ルート以外から集めてたんだ……)
ユノア「明かにあやしいよね、貴方って。ホントは警察に突き出さなきゃ駄目だよね」
アセム「匿ってくれたのか?」
ユノア「うん。ま……ちょっと悪いコトしてみたかったんだ。それにイケメンさんだったし。血だらけだったけど」
アセム「感心できないな。……俺が言うのもなんだけど」
ユノア「んー…でもさ、貴方を匿うのは悪いことかも知れないけど
    貴方は悪い人じゃないでしょ? 悪い人はこんな写真、パイロットスーツに入れてないもん。
    男の人と女の人、三人で写ってる写真と……この大勢で写ってるのって?」
アセム「兄弟だよ、俺の兄さんと弟たち、それにキャプテン」
ユノア「うそっ…何人いるのこれぇ~!?」
アセム(コロコロと表情を変える子だな……)フッ
アセム「……アセム。アセム=アスノだ。君は?」
ユノア「え? あ、うん、ユノア。ユノア=アスノ」
アセム「アスノ? 同じ姓だなんて、凄い偶然だな」
ユノア「あ……そ、そうだね」
アセム「俺のガンダムは……」
ユノア「ごめん、流しちゃった……だって屋根裏部屋には入らないし」
アセム(AGEデバイスは手元にある。問題ないといえばないか……)
アセム「それはいいよ。悪いんだけど、どこか通信ができる場所がないかな? コロニー内線じゃないほうで」
___________________
                             Z____________________...
ゼクス『オレンジ色の信号団を5時間前に確認した』
アセム「オレンジ……アステロイドベルトの通過に成功したが、補給物資は万全ではない……か。
     俺が…俺がもっと上手くやれてばっ!!」ガッ
ゼクス『いや、君はよくやってくれた。……フロンティアⅣから出る際の身分証はコチラで用意する。
     今の君では密入国になってしまうからな。ガンダムの方はCBが回収した。今は傷を癒してくれ』
アセム「シドは? アイツはどうなったんたんです?」
ゼクス『どうなったと言われてもな。キミの他に存在を確認した者はいない』
アセム「……俺の他に被害が出てないなら、それはいいこと……ですよね」
ゼクス『その通りだ。いずれプリベンターの方でもあの宙域は調査させる』
アセム「火星に物資を流出してる最中に出くわしたって?」
ゼクス『そこまで正直者ではないさ』

――その頃のゼハートさん
ゼハート「運び屋が女だった。アセムはどこまでモテるんだ!!」ダン!ダン!ダン!
デシル「いや、女だからって手出してるとは限らねーだろ(アレ?なんで俺がフォローしてんだ?)」
ゼハート「アセムのことは全て疑うべきなのだ!!」
デシル「兄より優れた弟なんざいねえが、この弟はあんまりだ……」グスッ…


570 名前:cinder‐sister :2012/10/16(火) 16:26:24.96 ID:???
ライル「旦那、コイツの修理を頼む」
マッドーナ「気楽に言ってくれるな。修理なんてレベルじゃねえだろ、こりゃ」
ライル「そういうなよ。こっちだって漸く回収したんだぜ? ふぁぁ…」
ハロ「スイミンブソク!スイミンブソク!」
トビア「マッドーナさん、ABCマントの補充できてる?」
マッドーナ「ああ、3番格納庫のEコンテナだ。持っていきな」
キンケドゥ「っ!? AGE2! どうしてここに!!」
ライル「おっと、ここで他の客の依頼に関しては干渉しない、広言もしない、そういう約束だろ?」
キンケドゥ「………」
トビア(キンケドゥさん、あれってガンダムですよね……)
キンケドゥ(俺の兄さんのガンダムだ。アセム兄さん……最近家に戻ってないんだ。MSクラブの合宿って話だけど)
トビア(調べますか?)
キンケドゥ(………そうだな)



アセム「学校に潜伏なんてヒイロみたいだな……
    問題は…痛っ…ヒイロほど体が頑丈じゃないってことか」
ストン…
アセム(寝ていると筋肉が落ちる一方だから、少なくとも座っていないと……)
チュンチュン…
アセム(壁、冷たいな……)
ゴーンゴーンゴーン…
アセム(……俺のいく先はここでいいのか? 分からない……
    火星圏との国交は断絶しているまま、緊張状態が続いている。
    和平が成立すればいいとは思う。でも逆になってしまったら……
    俺がみんなを危険にさらしてまでしたことは、火星を助けることになる。
    戦争になったら、火星は弱っていたほうがいい。そのほうが一気に火星を潰して
    戦いを終結で終わらせることができるんだから……
    いや、仮に和平がならなくても戦力が均衡してるならお互い牽制しあったまま戦争にはならないのか?
    だとすれば、たとえ火星の政情がどちらに振り切れようと支援は続ける価値がある……)
アセム「ふぅ……随分と冷たいことを考えてるな、アセム=アスノ。誰に似た?」
アセム(簡単に出る答えじゃないから辛いし苦しいんだ。でも俺が俺であるために失っちゃいけないものがある)
グ~
アセム「とりあえず、今のところは腹ごしらえだな」
アセム(ユノア、俺のこと忘れてるのかな……
    まあ、屋根裏部屋に食事を運ぶのなんてコッソリやらなきゃいけないことだけど。
    校舎が木造の西洋建築だから屋根裏部屋なんてものがついていただけで僥倖ってヤツか?)
グ~…
アセム「……スーパーパイロットは潜入任務もスーパーだって言うし
    俺もスーパーパイロットなら……やってやるしかない!!!」スタッ
___________________
                             Z____________________...
アセム「ま…授業中ならそうそう人に出くわさないか。ええっと……校内の地図は?」
スタスタスタ
アセム(拙い、人が来た!)スッ…
男子生徒A「これ運べばいいんだろ。よっと」ガチャガチャ
女子生徒「ユノア、私達はこっちの包帯が入ってるほう」
ユノア「ちょっと、男子。雑に扱わないでよ! それは医療器具、人の命を預かる医者の相棒なんだよ!」
男子生徒A「あー? うっせぇな。ならお前が持てよ」
ユノア「きゃっ…」ガシャン
男子生徒B「あーあ、アスノが機材壊した」
男子生徒A「非力な女が無理に持つからだぞー」
男子生徒C「医療は体力勝負ですからね。女性には向かないんですよ」
アセム「おい…」ポン
男子生徒B「あ…? アベシッ!!?」
男子生徒A「て、てめぇ……」
アセム「医療は体力勝負なんだろ! 怪我人ぐらいは倒してみろよ!!」
ワーワー


571 名前:cinder‐sister :2012/10/16(火) 16:28:09.82 ID:???
___________________
                             Z____________________...
先生「……で? 大立ち回り演じてアイツらの顔に痣つくりまくったそっちの彼は何者?」
ユノア「あー…えーっと……この人はお兄ちゃん、私のお兄ちゃんなんです!!」アセアセ
アセム「いや、さすがにそれは無理が…」
ユノア「お兄ちゃんは黙っててくれるかなぁ~…」ニコッ
アセム「は、はい」
ユノア「えー、お兄ちゃんといっても実の兄妹ではなくてですねー…」
先生「そりゃアスノ氏に男の子がいたらみんな知ってるだろうしね」
ユノア「遠い親戚といいますか……こう、昔よく遊んで貰ったお兄ちゃんなんですけど……ね?」
アセム「あ、ああ、よくエアグライダーとかしたよな! フロンティアⅣっていえばエアグライダーだし!」
先生「アスノは高所恐怖症じゃ?」
アセム「はへ!?」
ユノア「む、昔お兄ちゃんエアグライダーで大怪我したのみて、そのせいなんです~…ははは!!」
アセム「そ、そうなんだ、悪かった。ホント悪かった!!」
ユノア「そ、そのことがあってお父さんはお兄ちゃんを家に出入り禁止にしたんです!
    だから今お兄ちゃんがフロンティアⅣにいるのは内緒! だから隠してたんです!」
アセム「な、なるほど!!」
先生「なるほど?」
アセム「いや、なんでもありません! いや、先生ユノアは悪くないんです!
    ユノアは俺を助けてくれて……あ、いえ、そのエアグライダーの時なんですけど!
    そ、そう! それが切欠で将来医療関係の仕事につきたいって思ったんだよな?!」
ユノア「え、えぇ~、そうなんです。まったくお兄ちゃんにはいつも困らせられるなぁー」
ユノア(話盛りすぎ!!)ニコニコ
アセム(どっちがだよ!)ニコニコ




キュピーン ―z√
シーブック(誰かが壁を叩いてる気がする……ま、どうでもいっか)
シーブック「でも、フロンティアⅣも久しぶりだな……」テクテク
シーブック(………)


トビア「ルート的に漂流した場合、月の引力に寄せられ可能性が高いですね。
    L1とL2のラグランジュポイント、サイド3かサイド4のいずれかのコロニー郡……」
シーブック「そこから先は虱潰しだな。俺はサイド4の方を回るよ。土地勘もあるし」
トビア「わかりました。MSは?」
シーブック「目立ちすぎるし、コロニーに持ち込むのは手間だ。
      コロニー近くの廃棄資源衛星の中に隠しておいて、コロニーには単身で潜入ってとこだな」
トビア「了解です」
シーブック「悪いな、手伝ってもらって」
トビア「そんなの言っこなしですよ、キンケドゥさん」
シーブック「いや、今回はF91のシーブック=アノーで行くよ。
      ソレスタが絡んでいるなら宇宙海賊が出張ると余計な混乱になりそうだし」



シーブック「げ、ここの洋菓子屋潰れちゃったのか!? リィズが知ったらがっかりするだろうなぁ……
      ……って、移転しただけか。しかも三軒先の3階って、移転する意味あるのかよ、それ」
シーブック(三軒先って市民ホールじゃなかったかな。ん…アイルランド物産展? へー、こんなのやってるんだ。
      ジャガイモパン……これカロッゾパンでも作れるんじゃないか? ヘルシーだし、女性狙いで……)
シーブック「って、いやいや、今はそんなことしてる場合じゃない。でもジャガイモパンか……
      ちょうどお昼時だし、軽食をとっても……って、なんとー!? 物産展明日から!!」トホホ
ヒュオォォォー…
シーブック「ん…?」キュピーン
シーブック(屋上に人影?)
ライル「………」

579 名前:cinder‐sister(代理投下) :2012/10/16(火) 19:15:35.99 ID:???
クリシュナ『フロンティアサイドといえばブッホコンツェルンの影響が強いサイドじゃないですか?』
アフランシ「ん……ブッホは昔連邦と不正取引の噂があったろう?」
クリシュナ『ああ、マフティーと繋がりがあるとかも言われてますよね。
      でもそれってもう随分前の話じゃないですか?』
アフランシ「フロンティアサイドの軍総司令についたアスノ中将がね、不正を嫌う人で。
      アスノ家は政治の方にも影響力があるらしく、ブッホは肩身が狭いらしい」
クリシュナ『だからネオ・ジオン社が進出すると? 流石ですね、アフランシ』
アフランシ「僕は記憶の中の僕の指示に従ってるだけだよ」
クリシュナ『それでも社長のプランを現実にするのはアフランシじゃないですか』
アフランシ「それは僕だけじゃなく、クリシュナやケラン、ジョー、マラドス艦長がいるからさ。
      今だってこうして、手分けしてフロンティアサイドを回っているんだし、僕一人では何もできない」
クリシュナ『そんなことないですよ。そりゃぁ、シャア社長なら一人でやってのけるかも知れないですけど
      でもアフランシはシャアで、シャアじゃないんですから、他の人にはできないことをできます』
アフランシ「禅問答みたいなことを言う……まあいいさ、僕だけフロンティアⅣで仕事ができなかったら
      メッサーに何を言われるかわかったもんじゃないし、社長にも申し訳ない。だから頑張るよ」
クリシュナ『はい! 私もフロンティアⅠで頑張ります!!』
ピッ…
アフランシ「シャア社長なら一人でやってのけるかも……か。記憶の中の僕はそれを内心寂しく思ってるのかも知れないな。
      それを理解してくれる人が少ないのは彼の不幸だ。だけど、やっぱり僕もそれができる
      シャア=アズナブルという人に畏敬を感じざるを得ない。いや、これはただのコンプレックスかな」
アフランシ(………)キュピーン
アフランシ「なんか壁を叩く音が聞こえる。空耳……なのか?」



――オリバーノーツ公園 15:00

ユノア「何見てるの?」
アセム「いや、なんでもないよ」クシャクシャ…ポイッ
ユノア「映画面白かったねー。こう最後に隕石を押し返すところ!」
アセム「俺アレ見るの二回目なんだけど」
ユノア「え…そーだったの? はやく言ってよ、もう」
アセム「だってユノア楽しそうだったし、言い出しづらくて……」ポリポリ
ユノア「あ、駄目駄目、カサブタ掻かない!」
アセム「おっと……あー…駄目だな、俺」

少年「えー…ジャガイモ明日からなの?」
スタッフ「ああ、悪いな坊主。明日からなんだ」
ハロ「デナオセ!デナオセ!」
少年「うー…明日までお腹ガマンできないよ」
スタッフ「あー…そりゃ悪かった」
少年「もういいよ、むこうの公園でホットドック買うから!」

580 名前:cinder‐sister(代理投下) :2012/10/16(火) 19:18:35.50 ID:???
ユノア「右目、傷残っちゃったね」
アセム「ま、仕方ないよ。MSに乗るのは自分で決めたことだし、
    MSに乗るってことは危険と隣り合わせだってことは重々承知……」
ユノア「………」
アセム「自業自得だよな、はは…」
ユノア「その右頬の痣もね」
アセム「たはは…」
ユノア「嘘よ、それは私を助けてくれたときの傷でしょ!」
アセム「いやぁ、アレもやっぱりユノアに迷惑かけたし……」
ユノア「それにしても意外と強くてびっくりしたなぁ。こう、蝶のように舞い、蟻のようにブン投げたー!みたいな」
アセム「女の子がブン投げたとか言うなよ。あと、意外って失礼だなぁ。そんなにヒョロヒョロに見える?」
ユノア「初対面がボロボロだったしねー。それに最後まで無傷で終われば格好よかったのに
    最後に一発もらっちゃうんだもんねー。きっと二枚目になりきれない星の下に生まれてるんだよ」
アセム「手厳しいなぁ……」


少年「このお金じゃチーズホットドック買えないの!?」
店長「普通のホットドックで丁度だよ」
少年「丁度じゃ不味いよ…帰りにネーチャンにタバコ買って帰らないと。
    寝る前にアレを吸わないとネーチャン寝付けないんだ」
店長「って言われてもねー。こっちも商売だし」
少年「あっ…」ドン
若い男「どこ見て歩いてんだよ、ガキ!」
少年「ご、ゴメンなさい。わ、わ、…お、お金が……」カラガラ…ポチャン

アセム「……」

少年「えっと、一枚、二枚、三枚……あ、あれ?」

アセム「はい落ちてたよ」スッ
少年「ふぇ……あ、ありがとう……あれ? でもボクが持ってたの確か四枚…?」
アセム「勘違いじゃないか?」
少年「そうなの…かな……?」
アセム「そうだよ」ワシャワシャ
少年「お兄ちゃん、ありがとう!」ペコッ

アセム「………」
ユノア「アセムお兄ちゃんカッコつけすぎぃ」
アセム「いや、実は昔、アムロ兄さんがやっていたことを真似ただけなんだ」ポリポリ
ユノア「お兄ちゃんのお兄さん、モテそうだね」
アセム「ああ、そりゃもう」
ユノア「……アセムお兄ちゃんには真似して欲しくないかも」ムー…
アセム「えー……そんなに似合わない事だったかなぁ?」
ユノア「そーじゃなくて! ライバルは少ない方がいいし……」ボソッ
アセム「へ?」

581 名前:cinder‐sister(代理投下) :2012/10/16(火) 19:19:32.11 ID:???
ユノア「鈍感……
    でも変なの。あの子、お姉ちゃんがタバコ吸ってるって言ってたけど
    フロンティアⅣは禁煙よ? コロニーの中じゃ空気は貴重なんだから」
アセム「そうなのか」
ユノア「ま、みんなコッソリ吸ってたりするんだろうけどね」
アセム「ユノアも?」
ユノア「わ、私は吸ってなんかいないよ!!
    ……っと、いけない! アルバイトの時間だ!」
アセム「アルバイト?」
ユノア「開業医の往診のお手伝い」
アセム「そっか。ユノアはきっと立派なお医者さんになれるな」
ユノア「……ありがと、お兄ちゃん。あ、そうだ」ゴソゴソ
アセム「ん? 鞄の中探して。何か落としたのか? ……ってうわ! いきなり引っ張るな」
ユノア「ガズRのパイロットは?」
アセム「ニー?」
パシャッ!
アセム「ポラロイドカメラなんて旧世紀がかったもの、よく持ってたな」
ユノア「さっき買ったの。使い捨てだけど。フロンティアⅣには結構あるのよ、そういうアンティーク」
シー…
ユノア「すぐ印刷できるのがよいところよね。はい、お兄ちゃん」
アセム「え、ああ……」
ユノア「私とのツーショット写真もちゃんと持っていてね!」

___________________
                             Z____________________...
アセム「………」
ライル「よぉ、色男さん」
アセム「アンタ、さっきの……」
ライル「連絡員のロックオン=ストラトスだ。右、いいかい?」
アセム「ん……このメモ、よく屋根裏部屋において置けたな」
ライル「窓空いてたからな。ライフルでぶち込んだ」ストン
アセム「……凄いな」
ライル「二日後15:00に第8ブロックから出航する貨物船、こいつの船員としてコロニーを脱出してもらう。質問は?」
アセム「アンタは?」
ライル「俺は別口でコロニーには正式に入国してんだよ」
アセム「そのルートを俺は使えないのか?」
ライル「アイルランド物産展のスタッフに? アイリッシュ系でもない人間が?
    よし、じゃあとりあえずジャガイモについて原稿用紙20枚分語ってくれ」
アセム「すみませんでした」
ライル「簡単に諦めてんじゃねえ! ジャガイモ馬鹿にしてんのか!」クワッ!
アセム「どうすれば正解なんだ?!」
ライル「つか物産展は明日からだから、お前も参加しろ。客として。先の彼女つれて、お金落とせ」
アセム「えぇー…」
ライル「ジャガイモバイキングはいいぞ。なにせジャガ芋と海賊だからな。THEアイルランドって感じだ」スクッ
アセム「それ和製英語……」

582 名前:cinder‐sister(代理投下) :2012/10/16(火) 19:20:46.02 ID:???
ライル「………ところでまー、ちょっとした雑談なんだが」
ハロ「ロックオン!ロックオン!ハナシナガイ!ハナシナガイ!」
ライル「わーってるよ。あんま俺達が会話してるところ見られても不味いてのは」ペシッ
ハロ「タタイタ!タタイタ!ロックオンニモタタカレタコトナイノニ!!」
ライル「俺は兄さんとは違うっての……」
アセム「?」
ライル「いや、なんでもねえ。つか、さっきの坊主のことさ」
アセム「あの子がどうかしたのか?」
ライル「タバコの話さ。……ここじゃ結構流通してるらしいぜ。裏で」
アセム「規制って強すぎるとそういうことになるよな」
ライル「煙じゃないもんを吸うタバコもな」
アセム「……ッ! そ、それってもしかして……い、いや待てよ、いくら何でも安すぎないか?
    アンタのところのファーストフードを買ったお釣りで買えるなんて」
ライル「市場を新しく作る場合、大安売りをするのは珍しくもねぇ。
    まして常習性があるドラッグなら、最初にタダ同然で嗅がせて依存させちまえば、後で幾らでも元が取れる」
アセム「俺……!」
ライル「お前さんがここに残っても役にたたないぜ?」ポン
アセム「それはそうだけど……」
ライル「一応、コッチにはそういうのを潰すノウハウもある。
    俺が探りを入れて、場合によっては本腰入れるから
    お前は身体治して、それで火星のこと考えてりゃいいさ」スッ…
アセム「自分にできること……か」
ライル「そうそう。どう足掻いたって俺は俺にしか馴れねぇし……
    俺に別の人間を期待されても迷惑ってもんだろ?」
アセム「なんか……大変だな」
ライル「うっせぇ……つか、お前は彼女んこと気にかけろ」
アセム「彼女? ユノアのことか?」
ライル「ありゃ何か抱えてる顔だ。そういう顔を俺はよく知ってる」
ハロ「カガミミロ!カガミミロ!」
ライル「いいか、妹泣かす兄貴は最悪だぞ。弟より優れた兄貴も最悪だけどな!!
……っと、忘れるところだった。これ、貨物船船員の滞在許可証な」ピッ…
アセム「あっ…」スカッ…
ライル「……お前、右目」
アセム「はは…」

584 名前:cinder‐sister(代理投下) :2012/10/16(火) 19:26:27.79 ID:???
社員「若社長自ら積み荷の視察なんて、光栄です!」
アフランシ「若社長はやめてくれないか」
社員「違うんですかい?」
アフランシ「記憶の中の僕が勝手に僕を後継者扱いしているだけだ。それだって扱いだけで、明言はしてないんだから」
社員「はぁ…」
アフランシ(……明言しないのは僕が社長の椅子に興味がないからだ。
       あの人の好意は分かる。好意の形を地位を与えることでしか表現できない不器用さも。
       それでいて僕の気持ちを察して重荷を背負わせまいとしてくれることも、わかるけど
       ……どうにも、誤解されやすい人だな、記憶の中の僕は)
アフランシ「エヴァリーと不自由なく暮らせればそれでいいっていうのも本心だけど
       僕にシャアの跡を継ぐプレッシャーがないかといえば嘘になるな。臆病者なんだ、アフランシ=シャアは」
社員「何か言いました?」
アフランシ「いや、なにも。積み荷はこれで全部かい?」
社員「ええ、あとは税関に通すだけでさぁ」
アフランシ「一応、税関に通す前に中身をチェックしておいてくれないか」
社員「どうせ税関で中身調べられんのに? 二度手間ですぜ」
アフランシ「もし税関で問題が起きたらウチの信用が落ちる。それぐらいは分かって欲しいな。
      いくら社長のシャア=アズナブルが3倍の速さを誇っていたからって、あの人は速さだけを優先してきた訳じゃない」
社員「は、はい!」
___________________
                             Z____________________...
ジャミル「各自解散。明後日までに戻るように」
シンゴ「あーようやく自由時間だ」ガヤガヤ
ロココ「どこいく?」ワイワイ
ナイン「まだ夜には早いな」テクテク

アフランシ「アレは?」
社員「は? ……ああ、輸送船のクルーじゃないですか」
アフランシ「………」
社員「個人営業の連中なんてあんなもんですよ」
アフランシ「第八ブロックだな」
社員「はあ」
アフランシ「停泊している船を調べられるかい?」
社員「えぇ? そりゃ政府の方に掛け合わないと……」
アフランシ「第八ブロックの規格はバルトーク級に合う規格だ。しかしフロンティアⅣに入港する艦はロッキー級までで、
      それ以上の大型艦はウチのような許可を得た大企業に限る筈だろう? どうして第八ブロックに個人輸送船が寄航してるんだ?」
社員「けどまぁ、それぐらいは融通するもんでしょう?」
アフランシ「最近のフロンティアⅣの規則に対する峻厳さをみて、やはり違和感を感じるな」
社員「若社長、確かにアスノ中将が権力握ってフロンティアⅣは風紀がガチガチですがね
   だからってそれを市民が歓迎してるかっていうと別だ。だから“うっかり”規則を忘れる奴が最近特に多いんですよ」
アフランシ「そうか……しかし、厭な予感がするんだ」
社員「若社長はニュータイプですもんねぇ……」
アフランシ「やめてくれ、ニュータイプはエスパーじゃない。いいよ、この件は」
社員「いえ、調べてみますよ」

585 名前:cinder‐sister(代理投下) :2012/10/16(火) 19:27:51.31 ID:???
シーブック「おいアンタ、この写真の男を知らないか?」
つ アセムの写真
若い男「あ? 何、喧嘩売ってんの?」
シーブック「い、いや……ホントに人を訪ねてるだけで」
シーブック(ドモン兄さん式は駄目か、やっぱり……
      でもそれを差し引いてもどうにもここの人たちは沸点がガンタンクの腰並に低いな。
      昔はそんなでもなかったのに。どうしてこんなに荒んでるんだ?)

アセム(やばい……迷った。学校に戻るにはどの道をいけばいいんだ?)テクテク

シーブック(あの屋上にいた男も少し気になるな。サングラスをかけていたし、遠めだったから顔は確認できなかったけど。
      でもあの男が持っていたゴルフバック、重心がおかしかった。中身は別の何かだ……)
シーブック「フロンティアⅣが危ない街になってるなんて……思いたくないけど……」

アセム「げっ…!? あれはシーブック?! なんでこんなところに!!
    まずいまずい、こんなところにいるってバレたら……と、とりあえず路地裏の方へ!!」スッ…
アセム(……ただでさえ迷子なのに、こんな道どんどん突き進んで、こりゃマジで帰れないぞ……)タッタッタ
___________________
                             Z____________________...


598 名前:cinder‐sister :2012/10/17(水) 00:50:50.01 ID:???
代理投下どうもです。別のパソコンからもう一回投下します。ゆっくり投下しますが一時間以上空いたら、規制ったって事で…
野生のデビガンがいるなら野生のシドもいるんじゃないかと、この世界wEXA-DV本体があれば門番シドは幾らでも作れそうだし



___________________
                             Z____________________...
アセム「はぁ…はぁ…病み上がりにはきつい」ダラダラ
熟娼婦「あら坊や、可愛いわね。今夜どう?」
アセム「あ、いや、遠慮します……」ダラダラ
アセム(色町に入ってしまったみたいだ……)
熟娼婦「まだちょっと日が高いもんねぇ……」
アセム「いや、できれば道を教えて欲しいんですけど……」
熟娼婦「あら、初めてかい。大丈夫だよ、優しくしてやるから」
アセム「そーじゃなくて!!」

若娼婦「冗談じゃない! アンタそんなところで何やってるんだ! アンタが地獄送りにした人間を笑いにきたのか!!」

アセム「へ?」
熟娼婦「あー、またあの子かい。最近イライラしっぱなしだねぇ……
    店の外まで声が聞こえるなんて、今度は何が気に障ったのやら。
    お医者様にケチでもつけてんのかねぇ、あのお嬢さん」
アセム「医者?」
熟娼婦「定期健診だよ。アタシらの商売、身体売ってるんだから病気じゃまずいだろ?」
アセム「ああ……」

ガシャーン!!

アセム「……ちょっと不味いんじゃ?」
熟娼婦「様子みてくかい?」
アセム「……様子みるだけですよ」
___________________
                             Z____________________...
若娼婦「アスノ家の女がぁ!!」
オーナー「おい、落ち着け」
若娼婦「離せぇ! なんで私がこんな目にあわなきゃならないんだ!!」ジタバタ
ユノア「………」
アセム(ユノア!?)
若娼婦「アスノのせいでお父様は獄死、お母様は春を売って病死
    私は母子二代で娼婦やりながら弟を食わせてやらなきゃならない!
    オリバーノーツの住宅街で幸せに暮らしてるのは私だったんだ!!
    私の、私をぉ、返せぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
オーナー「誰かそいつを抑えて連れて行け!」
熟娼婦「ほら、アンタ落ち着きなよ」
若娼婦「黙れ! 私はアンタらみたいな売女とは違うんだ!」
熟娼婦「違わないよ、それが現実だ。それにお医者様のお手伝いの子を罵るのだってお門違いじゃないか」
若娼婦「アイツはアスノだ! アスノなんだ! 私から全部奪ったアスノなんだぁぁぁぁ!!」バンッ
熟娼婦「きゃっ」
アセム「大丈夫ですか」ガシ
ユノア(え? お兄ちゃん?)
若娼婦「は、ははは……これ以上どん底なんあるもんか……」ギュッ
オーナー「おい、それを手放せ!」
熟娼婦「は、鋏なんて持ってどうするつもりだい!」
若娼婦「はぁ…はぁ……あはは……」ラリィ…
オーナー「こいつ、目の焦点が合ってないぞ!?」
ユノア「ッ!」
若娼婦「死ね!!」グッ
アセム「やめろ!!」ダッ

ザクッ!

599 名前:cinder‐sister :2012/10/17(水) 01:00:07.16 ID:???
ユノア「お兄ちゃん!? 手がっ!!」
熟娼婦「だ、誰かっ!! 誰か!!」
アセム「痛ぅ……」ダラダラ…
若娼婦「ひっ……あ…あぁ……」ガクガク…






ジャミル「私の積荷に関して、嗅ぎ回っている者がいるだと?」
ライル『ああ。写真まで持ってるらしい』
ジャミル「……実はネオ・ジオン社がフリーデンⅡの検問を行うよう要請しているらしくてな」
ライル『おいマジか』
ジャミル「念のためにMSを持ち込んだのが仇になったな……寄航艦の規定規格を破っただけなら罰金で済むが……」
ライル『どうする?』
ジャミル「今クルーを招集してMSを運び出している最中だ。フロンティアⅣの中にな」
ライル『ポイントEか?』
ジャミル「いや、Cだ」
ライル『了解した。……そっちの回収にもう一回フロンティアⅣに寄らなきゃなぁ』
ジャミル「念を入れすぎたか?」
ライル『いや……まあ、アンタは計画の内容を知らないわけだし、それに文句言わずに最善を尽くしてくれたんだ。
    こっちとしては文句はないし、費用だってこっちで持つさ。それより、だ。今回の検問と……』
ジャミル「積荷……彼を嗅ぎ回っている男が関係しているかどうか、だな」
ライル『でもなぁ……ネオ・ジオン社が出張ってくることには思えねーんだよなぁ……』
ジャミル「ふむ……仮にこれが偶然であっても、偶然にも偶然なりの理由があったりする。
     例えば、何かと間違われていたたり……などだ。聞けばフロンティアⅣに密輸を行う組織があり」
ライル『アンタらはそれに間違われたってか』
ジャミル「深読みのしすぎかも知れん」
ライル『しかしさ、街でアイツを探してる奴がいるってのは問題だ。
    あの坊主は別にこっちの世界でいろいろ手を広げてるって訳じゃない。
    火星のこと専門だ。それをピンポイントで探るってのは……』
ジャミル「もし二つが連動しているなら、むしろ逆かも知れん」
ライル『逆?』
ジャミル「我々は積荷を回収してフロンティアⅣを去るのが目的だが
     向こうは火星から何かをフロンティアⅣに持ち込むのが目的だと思っている……ということだ」
ライル『……なるほど。しかし火星に輸出できるようなもんがあるかね。まあ事情通のピースクラフトの兄さんに聞いてみるか』
ジャミル「あくまで根拠のない想像だ。思い込まないほうがいい」
ライル『了ぉー解。そっちも積荷の運び出しを優先してくれや』
ジャミル「ああ……む? 緊急通信? どうしたシンゴ?」ピッ





600 名前:cinder‐sister :2012/10/17(水) 01:13:29.43 ID:???
――公園

ユノア「私のお父さんは軍人で……結構偉い人でさ。司令だし……大鉈を振るうって言葉が地球圏で一番似合うっていうか……」ホウタイマキマキ
アセム「ユノア?」
ユノア「不正とか許さない!って感じで、そりゃ悪いことしたんだもん、罰は受けるべきだとは思うけど……
     事情があったのかも知れない、間接的に関ってしまっただけかも知れない、それでもお父さんは許さなかった。
     それに処罰された人の家族を守ることを考えてなかった……今日のことは、そういう結果。
     私の家の業にお兄ちゃんを巻き込んじゃった……ごめんね」
アセム「妹のやることに兄貴が巻き込まれるなんて普通のことだぞ? そのまた逆もさ。
     ウチの兄さんなんて赤い人との喧嘩にご近所巻き込んでるし……
     ユノアだって、俺を助けてくれただろ? その時に俺はユノアに謝ったか?
     ありがとうって言ったはずだ。だからユノアもありがとうでいいんだよ」ポムッ
ユノア「あっ…」
アセム「?」
ユノア「本当に……」
アセム「ん?」
ユノア「本当に、私のお兄ちゃんになってよ……アセムお兄ちゃん……」ポロポロ
アセム「ユ、ユノア?」
ユノア「家に帰るとね、お兄ちゃんがいるの。ううん、逆でもいい。
     お兄ちゃんが家に帰ってきた時に、私がお兄ちゃんにおかえりなさいって言うの。
     ……そんな……そんな……家族が欲しいよぉ………」グスッグスッ
アセム「………」
ユノア「お父さん、滅多に家に帰ってこないの」
アセム「それは、ほら、責任ある立場だから……」
ユノア「お母さんが笑うのはお父さんが家に帰ってきたときだけ」
アセム「お母さんだって寂しいんだよ」
ユノア「違うわ。あの人はただお父さんを盲信しているだけ。
     お父さんが子供を欲しがったから、私を生んだのよ! あの人はそういう人!
     でもね、お父さんが欲しかったのはお兄ちゃんみたいな男の人よ。
     私じゃなかった!! 私なんて欲しくなかったのよ!!」
アセム「だ、駄目だよユノア、そんなこと言っちゃ……」
ユノア「だって私言ったの! お父さんの後を継いで軍人になるわって。でもお父さんは許してくれなかった!
     お母さんは何も言わない! いつもそう! お父さんにただ従ってるだけ! 味方してなんかくれない!」
アセム「ユノア!」
ユノア「…ッ」
アセム「俺もパイロットだから分かる。戦うって怖いことだ。危険なことだ。
     ……自分の大切な人には、こんなこと経験して欲しくないって思う」
ユノア「じゃあ私には何が残るの!」
アセム「………」
ユノア「親のやってることを立派なことだと思えたら、誇りに思えたら
     たとえ近くに居てくれなくたって子供はそれを支えにできるよ……
     でも今の私にはそうは思えない! お父さんのやってることは不幸な人をつくるだけ」
アセム「ユノア……君のお父さんは確かに足りない部分があるのかも知れない。
     それは仕方ないんだ。人間なんだから、つかめないものだってある。
     ひょっとしたら間違いだって起こしているかも知れない。
     でも戦ってるんだ、きっと。大切な人を守るために戦うんだ。
     そうじゃなきゃ……戦い続けることなんてできないんだ。
     復讐とか、嫉妬とか、誰かに認められたいとか、そんなことを理由にして戦っていたらさ
     いつか心がポッキリ折れちゃうんだよ。ずっと戦い続けられるのは、守る人がいるときだけだよ。
     君のお父さんが今も戦い続けているなら、それはきっと大切な人がいるからだ。
     ユノアが、いるからなんだよ。だから、許してあげるんだ。それができるのは家族だけなんだよ」
ユノア「わからない! 私には全然わからないよ!」

ドォン!!

アセム「何だッ!?」
ユノア「きゃぁっ!」

___________________
                             Z____________________...

601 名前:通常の名無しさんの3倍 :2012/10/17(水) 01:18:40.46 ID:???
こんなシリアスな場面でも同時刻にゼハートが壁殴ってるかと考えると複雑な想いが込み上げてくる

602 名前:cinder‐sister :2012/10/17(水) 01:25:33.05 ID:???
アフランシ「くっ…嫌な予感ばかり当たる!!」
DG細胞「キシャァァァァ!!」
アフランシ「貨物船にDG細胞が付着したままコロニーに入れたなんて、大失態だ!!」
DG細胞「ギャッスラー」
アフランシ「しかも、僕のガイアギアを取り込まれたなんて、悪夢だよ!!
       バウでどこまでやれるかわからないが……バウナッターにはこういう使い方もある!」トツゲキ!
DG細胞「ギャッスラー!!」
アフランシ「やったか!?」フラグ!
DG細胞「ドッズラー!!」バビユンバビュン!
アフランシ「何!?」
ドォォォン!
アフランシ「くっ…ファンネルを持つMSとの戦闘は初めてじゃないんだ、避けれない筈はない!!」ギュンギュン!!
DGガイアギア「エフッエフッ!!」ズズズ…
アフランシ「愛機がああなる姿は見たくないもんだな……予備のバウナッターを射出! 他の人員は安易に近づくな!
      コロニーの駐留軍にも伝えるんだ! 下手な増援は足手まといだ。取り込まれるし、市街戦なんだからな!」
アフランシ(ガイアギア……大地と宇宙を繋ぐものの名を与えられたマンマシーンが
      地球再生が目的のナノマシンであったDG細胞と結合するのは皮肉といえば皮肉だが……)
DGガイアギア「ドッズラー」バビュン!バビュン!
アフランシ「これだ! このビームライフルの威力!
       DG細胞にしては進化が早すぎる……いや、兵器に過ぎる!!
       基本プログラムが狂った今でもDG細胞の基本理念として
       進化の方向性は適応と、元の機体あるいはパイロットの特性の延長にあるはずだ。
       この進化は本当にガイアギアの進化なのか!?」
DG細胞「ドッズラー!!」バビュビュン!!
アフランシ「しまったっ! コロニーに穴が!!」
___________________
                             Z____________________...
ビュオオオォォォォオォォォォーーーー…
アセム「ユノアァァァァァ!!!!」ガシッ
ユノア「お兄ちゃん」
アセム「くっ…外に吸い出される……ッ!! うわっぁ!!」フワッ…
ユノア「きゃぁぁぁぁぁぁ!!!」ブワァァ
アセム(ガンダムッ! 大切な人を守る力!! お前が救世主だっていうなら、答えろ!!)ギュッ

【AGEデバイス】ウィィィィン…

シーブック「アセム兄さん!!」ガシッ
ユノア「白い…MS……」
アセム「F91……シーブック!?」
シーブック「ようやく見つけた。いや、いいタイミングで見つけられた、なのか?
      AGEデバイスの信号が特別でよかったよ。聞きたいことは山ほどだけど……」
アセム「とりあえずは今、なにが起きているのかだ」
アフランシ「プロトタイプのF91? ガンダム兄弟のシーブック=アノーか!」
アセム「シャアさん!?」
シーブック「いや、アフランシさんだ」
アフランシ「すまない、ウチの会社のミスだ。DG細胞がコロニーに侵入した。掃討を手伝ってくれると助かる。
       ビームの発射速度と収束率を自在に調整できるヴェスバーはこの戦場ではありがたい」
シーブック「分かりました。でもまずは兄さん達を降ろさないと……レーダーに反応!?」
アフランシ「アデルタイタス……コロニー駐留軍!? 馬鹿な、出てくるなってあれほど!!」



604 名前:cinder‐sister :2012/10/17(水) 01:41:02.78 ID:???
連邦兵A「このコロニーをやらせはせん! やらせはせんぞ!!」
DGガイアギア「キャシャアァァァーー!!」
連邦兵B「た、隊長! ううわぁあぁーー!!」
連邦兵C「こ、これがファンネル……!?」
連邦兵A「懐にさえ入ればっ……」ガンッ
DGガイアギア「シャア!?」
連邦兵A「踏み込みが足りん!! ぬうぅん!!」ブンッ!
DGガイアギア「ニヤァァァ…」グィイィン!!ウネウネウネェェl!!
連邦兵C「た、隊長ォォ!! ヤツから、ヤツから羽が! 足のような羽根がぁぁ!!」
連邦兵A「馬鹿な…隠し球を持っていただと!? それが機械のすること…うぁっ!!?」
ザシュ!ザシュ!ザシュ!!
連邦兵C「隊長ォォォォォ!!!」

アフランシ「アスノ司令! なぜ軍を出した!!」
アスノ『このコロニーは私達の故郷なのだぞ!? 飛びだそうとする兵士を押さえきれる筈がない』
アフランシ「それを押さえるのが貴方の仕事だろう!」
アスノ『私自身が常々言っていることなのだ。故郷を、家族を守るのだと!!
    その為の力、その為の軍隊なのだ!! そういう軍を私は育ててきたのだ!
このような私では、部下達を押さえる言葉が説得力を持たん!! 皮肉にもな!』ギリッ…
アフランシ「………」
DGガイアギア「ブイニュゥゥゥ!!」ドドドドド!!
アセム「あのMSが使ってるビームはドッズビームライフルと同じものだ!」
シーブック「え……それはどういうこと!?」
アセム「分からない……だが、さっきの背面から生えた触手のような羽根、あれはシドのものに酷似していた……」
シーブック「シド? EXA-DVか!」
アセム「シーブック? なぜシドを、EXA-DVを知っている!?」
シーブック「あっ…」
アフランシ「EXA-DV……グレイブヤードに残されたデータベースの中でも、得に軍事関係のものが封印されたものだったか?」
アセム「そう、公式には今でもグレイブヤードに残されていることになってる……」
シーブック「だが実際はいつの間にか流出し、宇宙を彷徨っていると聞きます。それが人為的なものなのかは不明ということです」
アセム(シーブック、やっぱり知っているのか?)
シーブック(兄さん、兄さんは隠れて何をしていたんだ?)
アフランシ「あのDG細胞はコンテナに付着する前に既にEXA-DVを取り込んでいたということか……」
アフランシ(だからといって、アレを見逃してコロニーに入れた僕の責任がどうなるものではないっ!!)
アセム「シドが相手なら、俺は少なくとも戦闘経験がある!」
シーブック「兄さん!?」
アセム「俺も戦うぞ、シーブック」
ユノア「ッ!」
シーブック「戦うって言ったってMSが……」
ライル『任せな、狙い届けるぜ!!』
アフランシ「ソレスタルビーイング!!」
ライル「っていっても刹那の御下がりのフラッグだけどな!」
アセム「充分だ!」
ライル『そっちに地図を送信する。そこにMSを隠してある』
アフランシ「ふっ…勝手にコロニーにMSを持ち込むなんて、犯罪だぞ?」
ライル『罰は受けるさ、終わった後にな』
アフランシ「そういう事を言う奴が素直に法に従ったところを見たことがないけどね」ヤレヤレ
アセム「シーブックッ!」
シーブック「無茶はしないでくれよ、兄さん。兄さんに何かあったら、ロマリーさんに何て言えばいいんだ!」
アセム「分かってる。生きて帰るまでがスーパーパイロットだ!!」

___________________
                             Z____________________...


605 名前:cinder‐sister :2012/10/17(水) 01:56:45.46 ID:???
ライル「コイツはコロニーガード仕様の改修機だ」
アセム「それは都合がいいな」ピッピッピ
ライル「細かいところが色々改修されてはいるが、一番の特徴は刹那に合わせてGNソードを装備してあるこった。
     水素エンジンとGN粒子のハイブリット動力で、GN粒子はドライブではなくコンデンサ型だ」
アセム「長期戦にするつもりはない」ヴゥゥゥン…
シーブック「兄さんが前衛だな」
アセム「ああ…っと、ユノア!?」
ユノア「お兄ちゃんやめてよ!」グッ…
アセム「離れているんだ、ユノア。ソレスタルビーイングのセーフハウスなら他よりは安全な筈だ」
ユノア「お兄ちゃんが安全じゃないじゃない!
     さっきの戦闘見てなかったの!? 死んじゃうのよ、戦ったら、死んじゃうの!!」
アセム「だけど、戦わなきゃ守れないものだってある」
ライル「………」
シーブック「………」
アセム「だけど……ユノアが戦いを否定することを、俺は否定しない。
     それがユノアの戦いなら、ユノアはそれを信じて戦うべきだ」
ユノア「私は…ッ! 私はただ、お父さんを否定したいだけで……
     お父さんが命を奪う軍人なら、私は命を救う医者になりたい、ただそれだけの当てつけで……!!」
アセム「当てつけで人を助けてなんかいないさ。ユノアに救われた俺が言うんだ、間違いない」トンッ…
ユノア「あっ…」
ガシュゥゥゥゥ…
ライル「立派な兄さんだ」
シーブック「ああ。歳が近いから、ライバルって感じでもあるけどね、俺からしたら」
ライル「俺も一回ぐらい、格好いい兄貴やりたかったんだけどな。そういうの、全部ニール兄さんに獲られた」
シーブック「はは…」

アセム「アセム=アスノ、フラッグ改……行きます!!」
ライル「ロックオン=ストラトス、ケルディムガンダム……出るぜ!」
シーブック「シーブック=アノーはF91で出ます!!」

___________________
                            Z____________________...


DGガイアギア「ギャッスラー!!」
アフランシ「ケルディムがいるなら……こういうのはどうだ!!」バシュ!バシュ!!
アセム(コロニー内でミサイル!?)
ライル「ハロ、シールドビット展開! 瓦礫から街を守れ!!」
ハロ「了解!了解!」ビュン!ビュン!ビュン!ビュン!ビュン!
DGガイアギア「ギ…ギ……」
シーブック「ファンネルは展開する前に薙ぎ払う!! ヴェスバー!!」カッ!
DGガイアギア「ガアァ!!」バビュビュ!!
アフランシ「全ては無理かっ!」
ライル「この数ならっ!! ビット!!」ギュン!ギュン!ギュン!ギュン!
DGガイアギア「ブォォォオオォ!!」
ガッ!ガッ!ガッ!ガッ!!
ライル「ビット四つ全て全滅とか、ドッズライフルもシャレにならないぜ!」
シーブック「しかし……ファンネルだって動いている物体ッ!」
アフランシ「射撃する一瞬は静止せざるを得ない!!」
シーブック「なんとぉーーー!!」ドウゥ!
アフランシ「シュート!!」バッ
DGガイアギア「ギャッスラー!!」
アセム「これで、懐に飛び込む!!」
DGガイアギア「キシュゥアァッ!!」グワン!!
ライル「そのフェザービームサーベルは種が割れてるんだよぉ!! 乱れ撃つぜぇぇぇ!!!」ガガガガ! 
DG細胞「カズノボウリョクッ!!」ブオッ!ブオォッ!
ライル「ちっ、二本だけか!!」
シーブック「いや、アセム兄さんの空間把握能力なら、六刀なら捌ききれる!!」
DGガイアギア「アシュラァ!!」ブン!ブン!ブン!ブン!
アセム「うぉおおおぉおおーーー!!」ザシュッ!!

606 名前:cinder‐sister :2012/10/17(水) 02:07:05.39 ID:???
アフランシ(上手いっ! 動きを捕らえて一閃で二本斬った!)
グウウウゥン!
アセム(ここで反転して回避と攻撃モーションを同時に入れる!!)
ガッ!
アセム(GN粒子でGが軽減されていても……病み上がりにはキツいっ!)ブハッ
ザシュッ!
アセム「三本!」
DGガイアギア「レジスターンス!!」ブン!
アセム(四本目は捌ききれない……ならっ!!)グッ!
アセム「片腕は呉れてやる!! これで、四本!!」
DGガイアギア「バウッ!!」ズンッ!
ライル「あの野郎、テメエとフラッグの腕が爆発するのを利用して距離をとりやがった!!」
アフランシ「まだだ、まだ詰められる!」
アセム「うおぉぉ!!」ブウウウン!!
シーブック「兄さん!」キュピーン!!
DGガイアギア「ニタァ…」ガチャン!
アセム「ミサイルッ!!?」グッ
ドォォォン!!
アフランシ「無事か!?」
アセム「なんとか……右足はやられた」
ライル「……!」
アセム(見えない分、右の反応がどうしても遅れる)
アセム「だけど、もう一度だ! もう一度、飛び込む!!」
DGガイアギア「ファンネルッ!!」バシュッ!!バシュッ!!
ライル「またファンネル?!」
アフランシ「再生したのか!」
シーブック「はぁぁぁぁぁ!!!」ブウウゥィン!!
ライル「こいつは……」
アセム「質量をもった残像!」
DGガイアギア「ギュ?ギ?」
シーブック「フェンネルを引き付けて……上昇ッ!」
アフランシ「そうかっ! 五連メガ粒子砲!!」ドウッ!
ライル「馬鹿ッ! いくら空に向かって撃ってもコロニーじゃ、空の先は地表っ!」
カッ!
アセム「既に空いていた穴にビームを通した!?」
ハロ「ファンネルゲキハ!ファンネルゲキハ!!」
ライル「感心する前に攻撃だっ!」
アセム「ハッ!」
DGガイアギア「ゲェ!」
アセム「リミッター解除ッ!!」ドウッ!
アフランシ(これなら逃げられない!)
シーブック「そこはアセム兄さんの間合いだ!」
DGガイアギア「ブルウゥゥラァァァァァァ!!」ギュン!!
ライル「右からの攻撃ッ!? 最後の二本の腕で……ヤツは、知ってやがる! 戦い方を!!」
シーブック「兄さん!? 反応できない!?!」
DGガイアギア「ギャフッ!」
ライル「だが、コインだ!!」
アセム「人間を、舐めるなぁ!!」ガンッ!
アフランシ「シールドビットを蹴り上げて防いだ!? だが、どうしてそこにシールビットが!?」
ライル「五機射出して四機もどせば、そりゃ一機余るってもんだ!」
シーブック(シールドビットの射出は伏線だったのか!?)
アセム「シド、お前は出し惜しみをした。最初から全ての火力と八本の腕で敵を押しつぶせばよかった。
     でもお前は効率を考えた。それはお前がただの機械じゃない、軍用知識の集合体であるが故に
     戦術を考えたからだ。けど……それじゃあスーパーパイロットには勝てない!!」
シーブック「アセム兄さんの化かし勝ちだ……」
アセム「お前なんかにこれ以上、みんなを傷つけさせはしない。眠っていろ、EXA-DV!!」
ザシュッ!!
DGガイアギア「ギャアァアアァァァァ!!」
アフランシ(ガイアギア……すまない、僕のせいで……)

608 名前:cinder‐sister :2012/10/17(水) 02:20:57.12 ID:???
DGガイアギア「パプゥティマズゥゥ」ガシッ…
アセム「コイツっ!? 離せ!」
アフランシ「まずい、DGガイアギアが爆発するぞ!!」
ライル「悪足掻きを!! アセム、下半身を切り離せ! フラッグはそういう機能がある!!」
ハロ「ブンリ!ブンリ!!」
アセム「くっ…こうか!! ダメだ、動かない!!」ガシ!ガシ!
ハロ「ガッテム!ガッテム!」
ライル「兄貴をやるってんなら、死に別れなんざ冗談でも言わせないぜ……トランザム!!」
ライル(粒子放出をビーム圧縮とセンサーに回す。威力ではなく、針の穴を通すような極小のビームで狙い撃つ。
     やれるか? 俺が兄さんのように……いや、兄さん以上にできる。今の俺なら! 
     アイツを、あのお嬢ちゃんのところに帰してやりたいと思える俺なら、狙い撃てる!!)
バシュッ!
シーブック(コクピットの下スレスレ……!)
アセム(離れはしたがリミッター解除でGN粒子はほぼ空だ。上半身の水素エンジンだけでコイツの爆発から逃げられるか!?)
DGガイアギア「フヌウウニュウウ!!」ワキワキワキ
ライル「あいつ、まだ……」
アフランシ「シーブック、F91最大出力! M.E.P.Eで触手を惑わすんだ」
シーブック「間に合わない!」
アフランシ「MSはね!」
ギュイィン!
アフランシ「バウのフレキシブルバインダーを一極集中。吹き……飛べぇぇぇぇ!!!」
ブワッ!
DGガイアギア「□$△※★!?!!」
ライル「よし! 金属剥離片を頭から被ってレーダーが混乱してやがる」
アセム「今だ! 飛べ! 飛んでくれぇぇ!!」シュババババ!!
アセム(みんなが作ってくれたチャンスなんだ……)
アセム「帰るんだ、あの写真の……」ブシュウゥゥ…
アセム(兄弟の、ゼハートとロマリーの、ユノアの、元に!!)
アセム「1人では出来なかった。でも今ならやれるだろ!! スーパーパイロット!!」
ジャミル「掴まれ!!」ブンッ!!
アセム「ッ!」ガシッ
シーブック「ディバイダー!? GX……ガロード? いやジャミルさんか!!」
ジャミル「飛べ!!」
DGガイアギア「ニンムシッパイ」PPP…

ドォオオオオオオンン!!!

ジャミル「遅れてしまったな。いや、若い者達だけで解決してしまったというべきか……頼もしいものだ」
アフランシ(後ろにいるのはGバウンサー部隊? アスノ司令、精鋭部隊を用意していたのか……)


___________________
                            Z____________________...


611 名前:cinder‐sister :2012/10/17(水) 02:30:20.73 ID:???
ライル「火星産ドラッグ"MARS”……」
アフランシ「え?」
ジャミル「最近地球圏に蔓延しているドラッグだ」
アフランシ「知っている」
ライル「流石はネオ・ジオン社の幹部。事情通だ」
シーブック「火星は貧しいから、そういうのが輸出品になってしまう面がある。改善しなきゃならない部分だけど……」
ジャミル「このフロンティアⅣにも広がりつつあるのだ」
アフランシ「ああ。それも知っている。なにせここのネオ・ジオン社の社員にも常用者がいたからね」
シーブック「え?」
アフランシ「コンテナの内容を確認する社員と、フロンティアⅣの検査官、この二人を抱き込めば持ち込むのは容易い」
ジャミル「アフランシが積み荷の確認を行った時は随分と慌てたようだが、私がいたせいで注意がそれてしまったようだな」
アフランシ「いや、どの道僕の責任さ」
ジャミル「アセム、お前は娼館で一暴れしたそうだな」
シーブック「娼館で一暴れ!? アセム兄さん……」ドキドキ
アセム「シーブック、お前は多分誤解している」
ユノア「お兄ちゃん動かないで! まだ止血終わってないから!」
ジャミル「加害者の少女も、そのドラッグの常用者だったようだ」
アセム「………」
ジャミル「ここの司令は市議会にも強い影響力を持っている厳罰主義者でな。
      その姿勢は確かにああいうドラッグの取り締まりには最適ではあるが、しかし一方で蔓延する土壌を生んでしまっている」
アセム「ジャミルさん、その話は……」
ユノア「お兄ちゃん、動かないで!」
アセム「う、動いてないだろ……?」
ユノア「口が動いてる!」
アセム「え、ええぇ……」
ジャミル「………」
シーブック「続きは?」
ジャミル「……例えばこのサイド4にはニューヤーク市民系の作ったコロニーがあるが、そこは成功者に優しい街だ。
      そしてここは失敗者に厳しい街だと言える。この二つは似ているようで違う。
      成功を掴むまでに何度も挑戦することを許されてないのだ、このコロニーは。
      一度の失敗で次のチャンスを失う、そんな街だ。サイド8に新しいコロニーが出来たとき
      このコロニーの住人はさながら旧世紀のアメリカ開拓時代のように、新天地を求めて移り住んだと聞く。
      だが、今は他のコロニーに移住することもままならない住民が多い。それがこのコロニーの現状だ」
ユノア「………はい、お終い。包帯きつくない?」
アセム「あ、ああ……」
ライル「治療が済んだなら適当にバックレねーとなぁ……俺達不法侵入者だし」
ジャミル「その点では問題ない。我々は地球連邦の特務隊として潜入任務中であったという事になっている」
ライル「マジで? どうやって?」
ジャミル「私にもコネの一つや二つぐらいある」
___________________
                             Z____________________...
シャギア「我々兄弟が元諜報部であること」ジュッジュッ
オルバ「忘れている人が多いよね、兄さん」クルッ!クルッ!
シャギア「ふっ……忘れられてこそ一流の諜報員というものだぞ、オルバ」ジュッジュッ
オルバ「確かにその通りだよ兄さん」クルッ!クルッ!
子供「おっちゃん、たこ焼き一つー」
シャギア「少年よ、私はおっちゃんではない、お兄さんだ」
子供「このたこ焼きデカいなー」
オルバ「火星軍の司令官が殴って造ったたこ焼き形だからね」   ダン!ダン!ダンッ!>
シャギア「資源の有効利用という訳だな」             ゼハートサマ…>
オルバ「ガンダニュウム合金は熱伝導率がいいから美味しいたこ焼きができるしね」
シャギア「しかしアレだな、オルバよ」
オルバ「そうだね、兄さん」
シャギア「ゼハートの壁叩きはNTやイノベイター、Xラウンダーなら感知できるが……」
オルバ「肝心のアセムはオールドタイプだから全く感知してないんだよね」
シャギア「まさに伝わらなくて投げ出した状態」
オルバ「全部壊れてしまえばいいと思っていた状態」
                                       クソォォ!!アセムヘトドケ!ワタシノシット!! >
                                                ダン!ダン!ダンッ!! >


612 名前:cinder‐sister :2012/10/17(水) 02:36:39.60 ID:???
___________________
                             Z____________________...
シーブック「それじゃあ、後はアセム兄さんが何をしてたか、だな」
アセム「げ…いや、それはだな……」アセアセ
ユノア「お兄ちゃんは私とデートしてただけだけど?」ギュッ
シーブック「いや、それは流石に色々辻褄が合わない気が……」
ユノア「恋愛に辻褄なんて存在しないもん!」
ライル「なんだそりゃ?」
アフランシ「はは……シーブック、これは手強いぞ」
シーブック「……腹を括った女の子って手強いんですよね。リィズもそうだ」ポリポリ
ジャミル「……分からなくもない」フッ
シーブック「でもそうだな……アセム兄さん、このことロマリーさんに伝えておくよ?
アセム「んなっ!?」
ユノア「む? 誰? ……写真の人」
アセム「ぶはっ!? 傷が開いたっ!?」
ライル「おー鋭い。もしかしてイノベーダー?」
アセム(まさかXラウンダー?)
アフランシ「ニュータイプだよ、ニュータイプ。女性はみんなね……」ハァ…
ジャミル「それは本当か!?」クワッ
シーブック「ジャミルさん………」
アセム「いや、だからな、シーブック。ユノアは俺の……」
ユノア「愛人だもん」
アセム「そう、愛人……ってぇぇえぇえ!?!!」
ユノア「いいよ、別にお兄ちゃんに他に恋人がいても」
アセム「ユノア、落ち着いて、そう、深呼吸、深呼吸をして…ぶほっ!」
アフランシ「あ、耳血」
ジャミル(もしや彼も元NT……?)
シーブック「うん、分かった。アセム兄さんはアムロ兄さん側の人間だったんだな」
アセム「やめて! アムロ兄さんは尊敬してるけど、それはやめてくれ!!」
シーブック「じゃあカミーユサイド」
アセム「アムロ兄さんより悪化してる! 修羅場的な意味で!!」
ジャミル(むぅ……NT能力を失った私だが、何故か頭に壁を叩く音が聞こえる……)
シーブック「じゃあシン……」
ライル「ところで俺は驚いたぜ。まさかアセムがキンケd…」
シーブック「ちんぽこゆり!!」クワッ!
アセム「おいシーブック! 女の子だっているんだぞ!!」
ライル「そうだぞ、キン…」
シーブック「グゲイナーってゲームチャンプがいてさー」アセアセ
シーブック(なんのつもりだ!!)
ライル(ん? だって俺、アセムの援軍だし?)
シーブック(ぐっ……)
アセム「?」

アスノ「失礼、ジャミル艦長は此方にいると聞いたのだが……」スタスタ


613 名前:cinder‐sister :2012/10/17(水) 02:44:41.52 ID:???
ジャミル「アスノ司令」
アスノ「遅れてすまない。今後の事について相談したいのだ……ユノア、何故ここにいる?」
ユノア「………」
アスノ「何故ここにいると聞いているんだ」
ユノア「死んだわ」
アスノ「む?」
ユノア「お父さんの部下の人、死んだわね」
アセム「ユノアッ!」
ジャミル(お父さん……だと?)
アスノ「……そうだな。彼らの死は私の責任だ」
フレデリック「司令は彼らを止めようとしたのです、お嬢さん」
ユノア「でも戦争になったらお父さんは部下の人に死ねっていうのが仕事じゃない!」
フレデリック「お嬢さんは誤解をしていらっしゃる。軍人の仕事は……」
アスノ「いや、いい。それも一つの事実だ。……ユノア、ちゃんと家に帰るのだぞ。母さんも心配している」
ユノア「戦死した軍人の遺族には年金が払われる……だけど、それだけじゃない!!
     家族が死んで、哀しいままで! 生活が上手くいかなくて……ボロボロになった人、私沢山知ってる!!」
アセム「ユノア…」
シーブック「そこまでだ。そこまでにしておこう」
ライル「そうか? いっそ全部言ってしまったらどうだい?」ヒラヒラ
アセム「……よし」
アフランシ「ん?」
アセム「えっと……アスノ司令?」
アスノ「なんだ?」
アセム「ユノア、留学させませんか? ウチのコロニーに」
アスノ「何を言っている」
アセム「父親なら、ユノアの将来の夢が何か知っているでしょ?」
アスノ「それは……今通ってる学校をみれば医療関係だと想像はつく」
アセム「フロンティアⅣよりウチのコロニーの方が医療学校が進んでますから」
アフランシ(記憶の中の僕とアムロさんが喧嘩したり、いろいろ戦いが起こる場所だから、ね……)
アスノ「いや、しかし……」
アセム「親は子供の夢、応援するものでしょ?」







アセム「……今から転入とかできるかな?」ダラダラ
アフランシ「あれ、思いつきで言ったんだろう?」
アセム「そりゃぁ……」
ジャミル「半分大人とはいえ、もう半分は子供だ。無理に親元から引き離すのは彼女の為にはどうかと思うが」
アセム「でも、あの二人は少し距離をおいた方がいいかなって」
アフランシ「今でも充分距離があるんじゃないのかい?」
アセム「まあ正直、ユノアは言い過ぎだと思ったんだけど……
     でもユノアのお父さんに反感を持った自分も確かにいたんだ」
アフランシ「将来の参考にしたいな」
アセム「そのセリフ言われるとなんか凹むなぁ……俺とアフランシさんって歳そう変わらないのに」
ジャミル「私が18、19の時より君達は充分立派だ」
アフランシ「年上の褒め殺しほど心苦しいものはないんだけどな」
アセム「……ユノアの父親がユノアのこと、大事に思ってるのは間違いないと思う」
アフランシ「そう、かな? 僕は、彼女の疑問や怒りにちゃんと向き合うのが親だと思うけど」
アセム「うん。そう思う。そう思えるアフランシさんって実は結構凄いことだと思うんだ」
アフランシ「そうかな? 普通だと思うけど」
ジャミル(……そうか。この男は幸福な家庭で育ったのだ。父親代わりの男は確かにこの男を健やかに育てた。
     シャア=アズナブルは時々それが眩しく、愛しいのだろうな……)
アセム「俺はNTとかXラウンダーじゃないけど、ユノアが俺のコロニーで一人暮らししたら
    あのお父さんは凄く心配すると思うよ。毎日メールを送るぐらいね」
アフランシ「一人娘ってそんなものだな」
ジャミル「……それぐらい分かり易いほうが、彼女にとってもいいと言うことか」

614 名前:cinder‐sister :2012/10/17(水) 02:55:57.33 ID:???
アセム「自分が思ってるほど周りの人間って器用に生きてないんだ。
    上手くやれない自分も、上手くやれない他人も、許していかなきゃ……
    それで、その上で、別の誰かがいるから自分を高められるのも事実なんだって」
アフランシ「実感がある話しだ。分かってるんだ、完璧じゃないけど、完璧な人がいるって。
      その人と、自分は違うし、自分には自分の意地もある。僕は僕として大地に立ってると思ってる。
     それでもやっぱり、あの人に感じるプレッシャーやコンプレックスを僕は忘れられない」
アセム「俺達いい友達になれそうだ」
アフランシ「間違って傷の舐めあいにならないよう、気をつけなきゃな」
アセム「その時は俺を殴ってくれよ」シェイク
アフランシ「お互いに」ハンド
アセム「ロックオンにお礼を言わないと。
ロックオンに言われて、ようやくユノアの事もっと深く見るようにしたんだ。
兄貴失格だよな。シーブックにも迷惑かけたしさ」
ジャミル「その前にしっかり傷を治すことだ」
アセム「返す言葉もありません……あ、でもジャミルさん。傷が治ったら特訓に付き合ってくれませんか?」
ジャミル「特訓?」
アセム「対ファンネルの……今回戦ったDGシドは、俺が会ったシドとは違う。
    本体から切り離されたものが増殖したものだと思う……
    だから本体への借りをいつでも返せるように、そして今日みたいなことが合ったとき
    もし仲間がいなくても大切な人を守れるだけの力が欲しいから……ファンネルぐらいは落とせるようになりたい」
アフランシ(……借り、か)
ジャミル「ファンネルも安くなったな……いいだろう。特訓は厳しいぞ」
アセム「ガロードより早く習得できるよう、頑張ります」

___________________
                             Z____________________...

ユノア「お兄ちゃんと一緒のコロニーか……」テクテク
ユノア(むふふ……いっそお兄ちゃんと同棲とか……あ、でもお兄ちゃんは大家族なんだっけ。
    じゃあ逆に私の家に連れ込んで……既成事実、そう既成事実さええれば……睡眠薬は学校で手に入るし……)

< 「そっか。妹さんの為にこっちの世界に……」

ユノア「あ、お兄ちゃんの弟さんと、芋の人(アセム談)」スッ…

シーブック「でもリィズは俺が思ってるよりずっと逞しかったよ。
       あ、心がって意味だぞ? 見た目は可愛らしい女の子だから」
ライル「へいへい、シスコンはこれだから……まあウチの妹の方が可愛いけどな」
シーブック「……妹さんがいた?」
ライル「テロに遭って一家離散しちまったけどな」プシュッ
シーブック「それで裏に入った……」
ライル「半分は」
シーブック「半分?」
ライル「俺はアンタみたいな優等生とは違うのさ。
    ま、なんていうか当てつけっていうか、反骨心って言えばそれなりに格好いいけどよ……」ゴクゴク

ユノア(当てつけ……)

ライル「妹の他に双子の兄さんが居てさ、兄さんはなんでもできた。
    顔も、声も、血も一緒でも、俺と兄さんはデキが違ったのさ。
    ……正直、テロで家族が離ればなれになったとき、ホッとしたもんさ。
    自己嫌悪とセットだったけどな」

616 名前:cinder‐sister :2012/10/17(水) 03:31:14.85 ID:???
シーブック「………」
ライル「ま、デキが悪いって言っても兄さんと比べてってことで、俺もそこそこ優秀なんだぜ?
    学校の成績もよくて、匿名で支援をしてくれる人のお陰で、ま、そこらの連中でも知ってるような大学出て
    商社に勤めてた訳さ。んで、その頃には裏ですっかり反政府組織やってたんけどな」
シーブック「どうして?」
ライル「……もしかしたら、普通に成功しただけじゃ兄さんに勝てない気がしたのかもな。
    エリート商社マンとテロ屋、二足の草鞋を履きこなすなんてスーパーマンだろ?
    スーパーマンでようやく、兄さんに勝てると思った」
シーブック「お兄さんが居たら、怒ったろうな」
ライル「ああ、実際ソレスタルビーイングで兄さんと再会したとき、ブン殴られたよ。
     こんなことさせる為にお前を助けてきたわけないって……」
シーブック「え?」
ライル「匿名の支援者って……兄さんだったのさ」
シーブック「………」
ライル「勝てないなぁって思ったよ……
     ああ、嬉しくて、笑えてきたぜ、そん時は。
     それでこそ俺の大好きなニール兄さんだと思った。そりゃ俺は勝てない訳さ。
     俺が俺の為に必死になってる時に、兄さんは家族の為に必死になってたんだから」
シーブック「そんなもんだよな、家族って」
ライル「だな」

ユノア(………)










アフランシ「今回の件は僕のミスだ」
シャア『気にするな。私はそうは思っていない』
アフランシ「特別扱いはやめてくれ」
シャア『客観的に見てそうだというだけだよ。積み荷のチェックがあったお陰で
     市街でDGシドが暴れずにすんだ……と考えてみたらどうかね?』
アフランシ「本来はもっと早く見つけられたものさ。それに積み荷のチェックも思いつきだ」
シャア『アフランシはNT能力だけなら私よりずっと上かも知れないな』
アフランシ「NTの力がそんなに便利なものか」
シャア『……私はそう思いたいな。NTは私の父の提唱した理想だ』
アフランシ「僕は貴方のお父上の理想は体現できない。それに……僕にはお父上より貴方の方が大きな人物に思える」
シャア『買いかぶられたものだ……』
アフランシ「そう言われると気が楽にならないかい?」
シャア『さぁ? しかし、どうにも嬉しいな。他ならぬアフランシにそう言われるのは』
アフランシ「100パーセントおべっかで言ったわけではないが……でもそうだな、気持ちよくなったのなら、その分見返りが欲しいな」
シャア『珍しいこともあるものだ。君にそういう欲があるとは』
アフランシ「あるさ、人並みに」
シャア『その人並みが私は羨ましい……ふっ、アフランシ誘導したな?』
アフランシ「わかるいかい?」
シャア『もう一人の私なのだろう? やけにしおらしいと思ったら』
アフランシ「演技ではないよ。実際凹んでいるんだ」
シャア『だから説得力がある。で、どうしたいのだ? 記憶の外の私』
アフランシ「僕のちっぽけな男の意地を分かってくれるかい?」
シャア『ふっ……アムロと張り合う為に自社の不利益になることをやった男に、意地への理解を求めるのか?』
アフランシ「あの噂は本当だったのか? やれやれ、尊敬して損したな」
シャア『やってみろアフランシ。お前は私と違って尻拭いをしてやる大人がいる』

617 名前:cinder‐sister :2012/10/17(水) 03:42:55.05 ID:???
アフランシ「……甘え、だな」
シャア『そうだ。だが後ろめたく感じる必要はない。これは私自身のエゴなのさ。
     お前には私のできなかったことを全てやってもらいたいのだ。そういう自分を見てみたいのだよ』
アフランシ「それはそれは、プレッシャーに押しつぶされそうだよ、記憶の中の僕」
シャア『ふっ…』
アフランシ「はは……」
シャア『……DGシドを潰す、か。それは意地だな』
アフランシ「僕のミスで犠牲がでた。愛機の仇を討ちたい。それになにより、あんなものが宇宙に漂ってるなんて、冗談じゃない。
       僕にも守るべき人がいる。みんなと、エヴァリーと住む世界に、あんな獣がいては困る」
シャア『ガイアギアの修理はまだ時間がかかるだろう』
アフランシ「アセム=アスノの怪我が治るのとどちらがはやいかな?」
シャア『アムロの弟と競争か……ふむ、俄然応援する気になった』
アフランシ「大人気ない」
シャア『サザビーだな』
アフランシ「は?」
シャア『送ろう。使うといい』
アフランシ「それは流石に乗りこなす自信がない。というか保護者同伴の競争なんて、みっともない」
シャア『私は本気さ。まあ、使わないなら使わないでいい。しかしサザビーはよい機体だぞ?
     何より、赤い。私が君に唯一不満がある点があるとすれば、愛機が白いことぐらいだからな。
     これを機会に赤いMSに乗ってみるといい。乗らず嫌いはよくないぞ』
アフランシ「別に嫌っちゃいないけど……今回だってバウに乗ったし」
シャア『なん…だと……?』
アフランシ「ちょっと過去見ないほど動揺してるんだが、記憶の中の僕?」
シャア『アフランシの初赤がバウ? なぜにバウ? グレミー坊やのMS?』
アフランシ「なぜと言われても、たまたまそこにあったからで、それ以上でもそれ以下でもないよ」
シャア『ふ、ふむ、だ、だ、だがバウは赤というより橙じゃないかね?
     やはり赤というと鱈子のようなシャアピンクか、ジョニーよりも紅色のサザビーレッドだろう?
     それに乗らない限り、赤いMSに乗ったとはいえないと思わないかね?』
アフランシ「面倒くさい人だな、貴方は」
シャア『ええい、褒め言葉とし受け取っておく!!』
アフランシ「……同じ不器用でも、こうも違うものだ」
シャア『ん?』
アフランシ「こまった父さんだ、と言ったのさ。じゃあな、記憶の中の僕」
シャア『………』
プツッ…
___________________
                             Z____________________...

シャア「ビーム輝くフラッシュバックに~♪」シュバババ
ナナイ「しゃ、社長……」
シャア「ふ…丁度良いところにきた。書類は全て決済してある。持っていってくれ、ナナイ」
ナナイ「は、はあ……今日の社長は通常の三倍の速度で仕事をなされてますね」
シャア「冗談はよせ。私は普段通りだ。……ヤツの影~♪」シャア!シャア!シャア!
ギュネイ(社長、機嫌良すぎて気持ち悪いんだが……)
クェス(アムロに勝ったとかそんなことじゃない?)
ナナイ(いや、あれは妹さんから連絡があったレベルだぞ)
コマンビー(妹との会話がアムロ氏に勝利する事より難易度高いとはマスターも不憫な……)
シャア「もしもしガルマか? いや特に用はないがね。お子さんはまだなのかなと思ってね!!」
ギュネイ(今日三回目だぜ、あの電話……)
クェス(他に電話する人いないんだよ、察しなよ!)
ナナイ(社長ェ……)
コマンビー(大丈夫です、マスターの友達ならまだアムロ氏がいます……)







618 名前:cinder‐sister :2012/10/17(水) 03:54:27.00 ID:???
―― 一ヵ月後

ユノア「えっと、こんどこのコロニーに引っ越してきたユノア=アスノです。
     近くの医療学校の寮に暮らしています。よろしくお願いします。
     あ、これフロンティアⅣのお菓子です。お父さんが持っていけって……」ペコ
ロラン「あ、どうもご丁寧に……」ペコ
ガロード「っていうかアセム兄さんとどういう関係?」ワラ
ジュドー「シーブック兄さんからも存在は聞いてたけど、関係性までは濁されるんだよねー」ワラ
シーブック(そりゃどこから話していいものか困るし……)
ユノア「アセムお兄ちゃんとの関係ですか? 愛 人 で す ! ! 」ドヤッ
アセム「ブーーーー!!」
アムロ「」
シーブック(それ続いていたんだ……)
シュウト「ねえ兄ちゃん、アイジンって何?」キョトン
ガロード「アセム兄……ロマリーさんがいるのに……」
カミーユ「そうか……ようこそ、アセム兄さん」グ! b
シン「愛人にお兄ちゃんって呼ばせるなんてあんたは一体なんなんだーーー!!」
ヒイロ「シン兄さんが言うな」
ユノア(うわぁ…ホントに大家族)
シロー「よし、取り調べ室は確保した。アセム、ゆっくり話し合おうか?」
アセム「ガンダムッ!!」パチン
ガロード「げぇ、馬小屋からAGE2が!!」
ウッソ「折角つくった馬小屋がぁぁぁぁぁ!!」
シュウト「あ、アレ造ったのウッソ兄ちゃんだったんだ」
ガラッ
劉備「俺の的廬もあの馬小屋に住んでるぞ!」
ガラッ
アセム「ウルフ隊長、俺、なります……(逃げ足も)スーパーパイロットに!!」
ユノア「きゃーお兄ちゃんに連れ去られるー駆け落ちしちゃうー(棒)」
                                                    ダン!ダン!ダンッ!>
アセム「一緒に生き延びような……ガンダム、発進します!!」ビューン
シロー「まてぇ、キンケドゥ!!じゃなくてアセムーーー!!」
シーブック(これ、誤解解くの俺の役割なんだろうな……)

___________________
                             Z____________________...


619 名前:cinder‐sister :2012/10/17(水) 04:00:59.14 ID:???
アセム「……って、ユノアはMS嫌いじゃないか?」
ユノア「え?」
アセム「戦争の道具だし」
ユノア「当てつけだって言ったじゃない。私、最初は軍人になろうとしてたのよ?」
アセム「そっか」
ユノア「……MSだってホントはちょっと乗ってみたかったりして」
アセム「流石に操縦はさせないぞ?」
ユノア「うん。……これで、未練無しで医者になるって決心できたかも」
アセム「ああ、ユノアには白衣が似合ってるよ」
ユノア「うん。なるよ私、お兄ちゃんが守った人と同じぐらいみんなを救うお医者さんに」
アセム「流石は俺の自慢の妹だよ」ナデナデ
< キミノナカノ エイユウガ ~♪
ユノア「……えい!」ブチッ
アセム「おいおい、いいのか電話切って」
ユノア「だってお父さんからだもん。毎日のように電話してくるのよ!」
アセム「心配なんだろ?」
ユノア「そーみたい。びっくり」
アセム「ああ、びっくりだな(棒)」
ユノア「ねえ、お兄ちゃんは怖くない?」
アセム「え?」
ユノア「お兄ちゃんを看病していたとき、お兄ちゃんうなされていた。
     夢の中でMSに乗っていて、うなされていたんだよ?」
アセム「それでも俺はMSに乗って戦うよ。大切な人を守る為に。
     それを理想とか、信念とか、夢とか、ま、どう呼んでもいいけど
     人はそれを幻なんていうかも知れないけど、それでもいい。
     追い続けるつもりだ。塵になっても、灰になっても、後悔しないし
     必ずみんなのところに帰る。それが俺の中のスーパーパイロットだからさ」
ユノア「そっか。お兄ちゃんはこのガンダムと同じ真っ白になっても、必ず帰ってくるんだね」
アセム「今は白くないぞ」
ユノア「え?」
アセム「外、見てみろよ」
ユノア「あ……夕日? でもコロニーの中なのに?」
アセム「偏光フィルターを通して夕日の色を再現しているんだ。これはこれで綺麗だろ?」
ユノア「うん!」
アセム「ユノアが来たら見せようと思ってたんだ。このAGE2を染めるぐらい真っ赤な夕日を」
ユノア「……お兄ちゃん、目の傷残っちゃったね」ツゥー…
アセム「視力は戻ったし、いいよ」
ユノア「そだね。私も、お兄ちゃんの身体に私との絆が刻まれているみたいで、ちょっと嬉しいかも」ヤンデレェ…
アセム「あ、そう……」ドンビキ
ユノア「それに、二人でみたこの夕日も……ずっと心に刻むよ」
アセム「今度は地球の夕日もみせてやるよ……卒業したらな?」
ユノア「それってプロポーズ?」
アセム「ユノアが学校の勉強をサボらないようにするための餌」
ユノア「ひどーい」
アセム「ははっ…」










おわり                           ダン!ダン!ダンッ! >

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2015年11月10日 17:21