836 名前:1 :2013/12/11(水) 21:10:13.44 ID:???
居酒屋『
青い巨星』
ハモン「いらっしゃい」
シャア「やあ、席は空いているかね?」
ハモン「見ての通りよ。どこでもお好きなところに座りなさいな」
シャア「こんな早くに来れば、全ての席から選べるとはな。ではこの席をいただこうか」
ハモン「そう言っていつもの席に座るのね」
シャア「ここが一番落ち着くからな」
シャア「改装したと聞いたが、少し広くなったかな」
ハモン「ええ。厨房を整理して、その分お店を広くしたわ。テーブルの数は変えていないけれど」
シャア「だが、奥に狭さは感じない。むしろ広くて、快適を感じるとは……」
ハモン「シーマちゃんの仕事よ」
シャア「流石だな」
ハモン「ええ。この店は私達が一番良く知っていると思っていたけれど、プロには負けたわ」
シャア「そういえば、ラル殿はどこに?」
ハモン「新しい食材を探しに行く、って言って旅行中だわ」
アーミア「本当は改装中に終わらせるはずだったんですけど、仕入れたいものが見つかりすぎて帰って来れないみたいなんです」
シャア「それは楽しみだ。だが、店は心配だな」
ハモン「アーミアちゃんがいるから不安は無いわ。忙しくても、立派に主人の代わりをやってくれている」
シャア「そうだな。アーミアが来る前は、ラル殿がいない時のハモン殿は本当に大変だった」
ハモン「でも、シャアやアムロの坊や、他にもたくさんのお客さんが手伝ってくれたわ」
シャア「皆手伝おうと店に駆けつけたな。
しかしその暖かさを持った人間が店さえ混雑させるのだ」
ハモン「そんな事もあったわね。でも、1回だけで後は主人のいない時はお客さんが来なくなった」
837 名前:通常の名無しさんの3倍 :2013/12/11(水) 21:11:45.27 ID:???
アーミア「生中です」
シャア「更にできるようになったな」
アーミア「え?」
シャア「泡がさ」
アーミア「あっ、ありがとうございます」
ハモン「これで何度目かしらね、シャアがアーミアの注いだ生を頼むのは」
シャア「覚えていないな。数えるのをいつ止めたのかも忘れた」グビッ
ハモン「でも、アーミアが一番多く注いでいるのはシャアだわ」
アーミア「驚きましたよ。まだ練習を始めたばかりなのに『注いでくれ』って。それも毎回……」
ハモン「アーミアを初めて見て頼むお客は多かったけれど、いつも頼む人はシャアくらいだわ」
シャア「ハマーン達は?」
ハモン「いつも頼むけど、身内は別」
アーミア「でも、おかげで覚えるのも少しは早くなったかなって思います。
お客様が飲むものだし、社長だし……」
シャア「私は若者が育つ姿を見るのが好きなのさ。
学校にザクを格安で納入しているのもそれが理由だ」
ハモン「それに、奨学金もよくやっているわよね?」
シャア「ああ。生まれの不幸で能力を発揮できない様では社会は持たんよ」
アーミア「すごい、色々考えているんですね」
シャア「裏の本音を言えば、全て幼い内からネオジオンに親しませて、将来優秀な人材を入れるための手だがな」
アーミア「それだけ聞くと腹黒く見えます……」
シャア「腹黒いか、私はむしろ赤い方が好きなのだがな……こういう時を赤腹とでも呼ぼうか」
実写シャア「(風呂に入りすぎて茹だってしまったよハハハハハ)」
シャア「いや、止めておこう……今途轍もなく恐ろしいイメージが横切った……」
アーミア・ハモン「「?」」
838 名前:3 :2013/12/11(水) 21:12:56.14 ID:???
837が2です。すまぬ…
シャア「そういえば、最近カミーユ君はどうだ?」
アーミア「元気にやってますよ。この前ハマーン先生に修正されてましたけど」
シャア「ほう、もう少し詳しく聞かせてくれないかね?」
アーミア「詳しく、って言っても……先生に余計な事を言って怒られて、それでまた余計な事を言って、最後には……って感じです。
いつもこうなんですよ」
シャア「そうか。相変わらずで安心した」
アーミア「安心!?
ミンチになっているのにですか?」
シャア「カミーユ君はニュータイプとしての他人への接し方を知らないから修正されてしまうが、
それで萎縮して才能が枯れてしまうのではないかと心配していたのだ」
アーミア「萎縮なんて全然です。一番似合わない言葉ですよ」
シャア「はは、そうだろうな。
ガンダム兄弟、特にカミーユ君には特に眼をかけてきたが、
大人への萎縮や従順など無駄な心配だったな」
アーミア「そういえばアムロさんの親友ですもんね」
シャア「ああ。アムロは恥ずかしがって言わないがな」
アーミア「あのアムロさんが……意外です」
シャア「アムロに限らず、ガンダム兄弟というのはそういう人種らしいな」
アーミア「なるほど……アムロさんが私を避けるのは照れ隠し、と……"φ(・ェ・o)~メモメモ」
ハモン「ひそひそ(アーミアちゃん。シャアの坊やがカミーユ君の事喋りたいみたいだから振ってあげて)」
アーミア「(了解です!)そういえば、さっきカミーユに目を掛けてたって言ってましたけど……」
シャア「カミーユ君は私が育てたのさ」
アーミア「シャアさんが?」
シャア「アムロが仕事が忙しくて、弟を色々な人に預けていた時期があったのさ。
私もやってみるさ、と引き受けたがよく分からなかったから、荷物持ちとして仕事に連れ回した」
アーミア「よく分からないのにそんな事しちゃったんですか!?」
シャア「大人の中で過ごすのも大きな成長のチャンスだと思ってな。よくやってくれたよ
……疲れて意味の分からない事を呟きながら倒れるまで仕事をさせていたのは後悔しているが」
アーミア「でもあれ、本人は『ついやる気が出すぎて止まらなかった』って武勇伝にしてますよ」
シャア「止められなかったのは大人の責任さ」
839 名前:4 :2013/12/11(水) 21:14:16.10 ID:???
アーミア「そうそう、この前シャアさん学校に来てましたよね」
シャア「ザクを納入しているからな、ビデオとレポートだけでは次のザクをどうするかは判断できんよ」
アーミア「ザクって確か、この前ルナ達がすごい文句言いながら運転してましたよ」
シャア「高校生用のザクをか?」
アーミア「よく分からないけど……一番新しいのです」
シャア「あれは初心者用だ!オート動作が強すぎて彼女達が快適に動かせるものではない!
そういう分不相応の操縦をして外で話すから悪評が付いてしまうではないか!」
アーミア「わ、私に言わないで下さいよ……!」
シャア「済まないな。そういう意見が最近出ていると思ったら……やはり過保護が過ぎるな。
次はオートバランサーを弱くするか」
アーミア「えー、でも先生からは好評でしたけどね。
どっち使っても普通の訓練用に乗ったら溺れるから、早く移れる分こっちの方が良いって」
シャア「そうか……悩むな……」
アーミア「シャアさんは弱い方が好みなんですか?」
シャア「私達の世代は初心者用など無かったからな。それでも覚える事は出来た。
勿論ある程度のバックアップは必要だが、授業というだけで安全性を考慮し過ぎるのは疑問だな」
ハモン「昔はね、MSの教習所に行くと手と足だけたくさん置いていたんだよ」
アーミア「何でですか?」
ハモン「皆バランス取ろうとして無茶苦茶な動作を足に掛けるし、手はあちこちにぶつけるからね」
シャア「営業の手土産は手足だったな。いつの間にか無くなったが」
アーミア「そんな時代があったんですね」
シャア「時代、か。つい10年ほど前の話なのだがな」
ハモン「10年って言ってもずいぶん昔だよ。この子の人生の半分以上あるんだから」
シャア「それだけ私も年月を重ねたという事だな」
ハモン「アーミアちゃん。ここで老けたとか老いたとかおっさんになった、って言わないのがポイントなんだよ。
覚えときな」
アーミア「はい」
シャア「待て、それじゃあまるで私がおっさんみたいではないか!?」
ハモン「お兄さん、には少し若さが足りないねえ」
シャア「ええい、まだまだナウでヤングな若者だと思っていたのに……!」
アーミア「??」
840 名前:5(終) :2013/12/11(水) 21:15:38.08 ID:???
シャア「つい喋りすぎたな。人も入り始めてきた」
ハモン「あまり見ない人ばかりでしょう?」
シャア「ああ。私も珍客だな。そろそろ去るとしよう」
アーミア「えー、まだまだ色んな話が聞きたいですよ」
シャア「女子高生にそう言われるとは早く来た甲斐があったというものだ。ではもう少し……」
アーミア「アムロさんの事とかアムロさんの事とかアムロさんの事とか全然聞き足りないのに……」
シャア「その言葉は余計だったな。ハモンさん、会計を」
ハモン「ふふ、分かったわ」
アーミア「あーん」
シャア「それと、今度
シロー君を連れてきても良いかね?」
ハモン「構わないわ。坊やに頼まれたの?それともノリスかしら?」
シャア「アムロだな」
アーミア「連れて来るのにわざわざ言わなくても良いのに」
シャア「先に伝えるというのはそれなりの意図があるという事だ」
ハモン「アーミアちゃんももう少し大人になれば分かるわ」
アーミア「?」
シャア「オールドタイプの修羅場が見れるな」
アーミア「!!
全部分かりました!日にち分かったら教えて下さいね!?絶対シフト入れますから!!」
ハモン「当たり前でしょう?その時間はシローの坊やの相手をしなければいけないのだから」
シャア「ひい、ふう、みい。丁度には10円足りないな」
ハモン「そんな事もあるわ。はい、お釣り」
シャア「これで次の買い物には10円足りないという事はなくなったな」
ハモン「2手先を読む、だったかしら?」
シャア「先に言われては自ら言えんではないか」
ハモン「ふふ、ごめんなさいね」
シャア「構わんさ。では、ご馳走様」
ハモン「今日もありがとう。また来てね」
アーミア「ありがとうございました!またのご来店をお待ちしています!!」
最終更新:2016年02月17日 07:13