851 :アムロがデート!? 1/7:2015/10/19(月) 23:12:38.87 ID:H5++AasG0
メモ帳整理を兼ねて(ry
過去ネタです。気に入らない設定があったらパラレルでお願いします。


これは十一年くらい前のお話…

キョウジ「アムロさんがデート?
セレーネ「そうなのよ。カイ先輩とハヤト先輩に聞いたんだけどさ」
キョウジ「…別に、アムロさんくらいの年齢なら普通のことじゃないのか?」
セレーネ「そのお相手がさ、なんと! あのマリア先輩なのよ」
キョウジ「マリア…マリア・ピァ・アーモニア生徒会長か?」
マリアはその徳の高さと年齢からは想像もつかない母性のおかげで、一部生徒の間でマリア様などと呼ばれ慕われている。
どんな頼まれごとでも真摯に対応し、人当りが良く何をされてもポジティブにとらえる彼女の性格は生徒会長に適していたと言える。
セレーネ「そうそう。あのマリア様が、うちの兄さんみたいなロクデナシと」
キョウジ「身内とはいえ自分の兄をロクデナシ呼ばわりはどうかと思うが」
セレーネ「ちょっと前まで元カノが亡くなってへタレてたのに。いくらなんでも切り替え早すぎると思わない?」
キョウジ「いつまでも昔の女にすがってるよりはよほど良いと思うけどな」
セレーネ「まーね」


某所
???「ぶぇっくしょい!赤い彗星」
????「変なクシャミですな」

セレーネ「というわけで、アムロ兄さんを監視しようと思うの」
キョウジ「俺と君の二人でか?」
セレーネ「当たり前でしょ」
キョウジ「監視というのは、具体的にどうやって…」
セレーネ「尾行に決まってるじゃない。何よその顔。嫌なの?」
キョウジ「そういうわけじゃないが…せめて変装してほしいな」
セレーネ「なんで?」
キョウジ「君と俺が二人で出かけるとなると、必ず勘違いする連中が出てくるから」
セレーネ「大丈夫でしょ」
キョウジ「大丈夫じゃないから言っているんだ…」


852 :アムロがデート!? 2/7:2015/10/19(月) 23:15:05.73 ID:H5++AasG0
  •  ・ ・

ちょっと前のこと。

モンシア『キョウジィ! お前またセレーネさんと話してやがったな!?』
ムウ『抜け駆けはよくないよなあ、キョウちゃん』
キョウジ『待て落ち着け。俺と彼女はそういう関係じゃ』
グレコ『問答など不要。お前は俺の女神と話をしていた。それだけで十分だ』
キョウジ「グレコまで…! アデル、助けてくれ!」
アデル「こうなったら無理です。諦めてください」
キョウジ『く、こうなったら逃げるしか――』
ナイジェル『残念だが先輩、あんたに逃げ場はないよ』
キョウジ『ナイジェル、君もか!?』
ナイジェル『俺はあんまり興味ないんだが――物騒な女の子たちが騒ぎ出してるものでね』
『あいつ、私のお姉さまと話を…』
『許せない…』
『あいつさえいなくなれば…』
『あいつの耳と舌をちぎりとって…』
キョウジ『』
ナイジェル『頑張って逃げてくれよ、先輩』
キョウジ『ぬわああああああ!』

  •  ・ ・

キョウジ「…頼むよ。俺の命が危うい」
セレーネ「それじゃ、あんたが変装すればいいんじゃないの?」
キョウジ「だめだ。休みの日にお前が男と一緒にいるだけでも余計な噂が立つ」
セレーネ「しょうがないわね…わかったわよ。変装すりゃいいんでしょ」
キョウジ「こちらから頼んでおいてなんだが…あてはあるのか?」
セレーネ「近所のおばさんのところに行って、色々借りてくるわよ。ちょっと行ってくるわ」


853 :アムロがデート!? 3/7:2015/10/19(月) 23:19:43.13 ID:H5++AasG0
セレーネ「ごめんくださーい」
ベルを鳴らすと、一人娘のクリスが出迎えた。
クリス「はーい。あ、セレーネお姉ちゃん。どうしたの?」
セレーネ「んー、ちょっとおばさんに用事があるんだけど…いる?」
クリス「いるよ。ママ、セレーネお姉ちゃんが用があるんだって!」
クリス母「こんにちは、セレーネちゃん。私に用事なんですって?」
セレーネ「おばさん、お古の服とか持ってない?」
クリス母「え?」
セレーネ「男の人と出かけるのに、ちょっと必要なんだけど…」
クリス母「まあ、まあ、まあ、まあ! そう、そういうこと! わかったわ、おばさん張り切っちゃうからね!」
セレーネ「そ、そう?」
クリス母「セレーネちゃんが男の人とねえ! あの人に伝えたらなんて言うかしら!」
セレーネ「あ、あの、話がちょっとおかしな方向に向かっt」
クリス母「いいのいいの! さ、二階に上がってちょうだい。彼氏をメロメロにするような素敵な美人にしてあげるわ!」
セレーネ「ちょま、そういうことじゃなくてアッー!」
思い込みにより強化されたオバチャンパワーに抗うことも許されず。
セレーネは一時間近く、マッケンジー邸で着せ替え人形となることを余儀なくされた。
それからしばらくして、カッシュ家にやってきたセレーネの姿を見て仰天した。
キョウジ「セレーネ…その名状しがたい恰好はなんだ?」
セレーネ「兄さんの仮装衣装を組み合わせて完成した、名付けてタキシード鎧道着軍人スタイル
     そして昭和的太眉に野球帽。これならバレないわ」
キョウジ「…そのファッション、おばさんが選んでくれたのか?」
セレーネ「おばさんの話はやめて。考えてみりゃ、バレなきゃいいんだもの。服借りる必要もなかったわ」
キョウジ「別の意味で目立つだろ」
セレーネ「じゃあどうすりゃいいのよ! おばさんったら勘違いしてやたらと着飾らせようとしてくるしさ!
     あれじゃあ余計に目立っちゃうじゃないの!」
キョウジ「もう無難にカツラとサングラスと化粧でどうにかしよう…」
結局、こういう無難な結果に落ち着くこととなった。

854 :アムロがデート!? 4/7:2015/10/19(月) 23:21:44.81 ID:H5++AasG0
「づらじゃない、ざらだ!」
「急にどうしたんだ、この子は」
「意味の解らないことを叫びたくなる年頃なんですよ」
「レノアは賢いな」
「賢い女は嫌いですか?」
「私はどんなレノアでも愛せる自信があるよ」
「パトリックゥゥゥゥゥ!」
「レノアァァァァァァ!」
偶然そこを通りかかった親子が何やら騒いでいたが、セレーネ達にはどうでもよかった。


ジャマイカン「当日!」

キョウジ「なんだ、ドモンとキラくんも連れてきたのか」
ドモン「こんにちは、キョウジ兄さん!」
キラ「こんにちは…」
セレーネ「シローに、せめて二人は連れて行ってくれって頼まれたのよ」
キョウジ「…君が弟の頼みを聞くとは珍しい」
セレーネ「私をなんだと思ってんのよ、あんたは」
キョウジ「ストレス発散を兼ねて弟や近所のいじめっ子を虐げる光景を飽きるほど見てきているからな」
セレーネ「あのシローに泣いて頼まれりゃ受けるしかないでしょ」
キョウジ「その優しさをなぜ普段も発揮できないのか…」
セレーネ「学校じゃ良い子やってなきゃいけないからストレスたまるのよ」
キョウジ「夢のためか?」
セレーネ「当然よ。コネだって大事な狭き門、ちょっとでも点数稼ぎしないといけないもの」
キョウジ「あまり根を詰め過ぎるなよ」
セレーネ「お互い様でしょ。あんただって似たようなことしてるの知ってるんだからね」
キョウジ「俺は自分のことに集中しているだけだ」
キョウジ「それにしても、キラは静かだな」
セレーネ「元々大人しい子だもの。玩具も与えてるし」
キラ「………」カタカタ
キョウジ「何をいじってるんだ?」
セレーネ「キラ用に作った、プログラミングとシミュレートに特化した小型端末よ
     プログラムの作成、確認、実行、保存に必要な最低限のデータだけ入れてあるわ」


855 :アムロがデート!? 5/7:2015/10/19(月) 23:24:23.46 ID:H5++AasG0
キョウジ「この年でプログラミングか」
セレーネ「この子、呑み込みが早いのよね。遊びの代わりに教えたんだけど、すぐにマスターしちゃって」
キョウジ(性格までセレーネに似てくれるなよ、キラ…)
セレーネ「…あんた、なんか今物凄く失礼なこと考えなかった?」
キョウジ「そんなことはないぞ、うん」
セレーネ「ドモン、キラのこと頼んだわよ。姉さんたちは大事なことをしなくちゃいけないから」
ドモン「え?」
セレーネ「いいわね」
ドモン「は、はい…」
ドモンとキラを連れて、キョウジとセレーネは行動を開始した。

セレーネ「いたわ。あそこよ…」
やってきたのは、最近できた大型ショッピングモール「ア・バオア・クー」だった。
キョウジ「いつも通りの格好だな、アムロさん」
セレーネ「デートならもっと洒落た格好すりゃいいのに。そんなんだからマ(るで)ダ(めな)オ(にいさん)なのよ」
キョウジ「さっきから、アムロさんに対して辛辣すぎやしないか…」

アムロ「――。―――」
マリア「――! ―――、―――」


セレーネ「…こっからじゃ、何言ってるかわかんないわね」
キョウジ「あの二人は勘が鋭い。これ以上近づいたら見つかる可能性があるぞ」
セレーネ「兄さんの勘が鋭いのは知ってるけど、先輩も鋭いわけ?」
キョウジ「ああ。ムウが後ろから抱きつこうとして近づいたら、前を向いたままいきなり話しかけられたって話だ」
セレーネ「マリア先輩も凄いけど、ムウもムウよね…マリューも苦労するわ」

ドモン「ねえ…」
セレーネ「なによ、ドモン」
ドモン「…なんでこんなことしてるの?」
セレーネ「知的好奇心からよ。ついてきたいって言ったのあんたでしょ?」
ドモン「そうだけど…悪いことなんじゃないかな、これ」
キョウジ「たぶん、悪いことではないさ。…良いことでもないけどな」
ドモン「うーん…」

858 :アムロがデート!? 6/7:2015/10/20(火) 05:45:23.62 ID:u5eQSmho0
それでは投下再開。なんだか予定よりコマ数が増えそうです

セレーネ「あ、動くみたいよ」
キョウジ「よし」
二人に見つからないように距離を取りながら移動すると、二人はある店の前で足を止めた。
キョウジ「ここは…宝石店か?」
セレーネ「兄さんてば、いきなり指輪でも贈るつもりかしら。
     でも兄さんあんまりお金ないわよね…ひょっとして宝石強盗?」
キョウジ「君は自分の兄をなんだと思ってるんだ」
セレーネ「出来の悪い不良」
キョウジ「不良の範疇を超えているぞ、それは…」


マリア「――。――、――」
アムロ「――…――。――、――」

セレーネ「なんか難しい顔してるわね、兄さん」
キョウジ「そうだな…」
セレーネ「警備が予想より厳重だったのかしら」
キョウジ「宝石強盗から離れろ」

マリア「――」
アムロ「――」
マリア「――、――」

セレーネ「あ、移動するみたい」
キョウジ「行こう」


次にやってきたのは小物店だった。なかなか洒落た品が置いてあると校内でも評判の店だ。
キョウジ「それにしても…アムロさんはあまり楽しんでいる感じではないな」
マリアが取った品を見ては眉間にしわを寄せて何やら考え込んだ素振りなど見せている。
正直、デートを満喫しているような雰囲気ではなかった。
セレーネ「そうね…デート初日から破局かしら。兄さんのダメ伝説がまた一つ増えるわね」
キョウジ「だからどうしてそういう発想ばかりするのか…」
しかし、キョウジも疑問に感じてはいた。デートにしてはなんというか、雰囲気がおかしい。
何か別の目的で来ているような――そこまで考え、あることを思い出した。


859 :アムロがデート!? 7/7:2015/10/20(火) 05:54:40.15 ID:u5eQSmho0
キョウジ「あ――」
セレーネ「どうしたの、キョウジ」
ドモン「ねえ、セレーネ姉さん」
セレーネ「今ちょっと手が離せないから後にして」
ドモン「で、でも…」
セレーネ「あーもううるさいわね! 後にしてって言ってるでしょ!」
あくまで食い下がるドモンに、セレーネがつい声を荒げてしまった。
弱気なドモンが泣かなかったのは奇跡と言っていいかもしれない。
キョウジ「…おい、気付かれたぞ」
セレーネ「げっ!? て、撤退するわよ!」
キョウジの言葉に、ドモンの手を引いて慌ててその場を離れるセレーネ。
本当は気付かれてなどいなかったのだが、それを知るのはキョウジ一人であった。
ドモン「あの、キョウジ兄ちゃ」
キョウジ「悪いがドモン、今はこの場を離れるのが先だ」
ドモン「うー…」

  •  ・ ・


キョウジ「…それで、何か言いたそうだったが。どうしたんだ、ドモン」
ドモン「あの…さっきから、キラがいないんだ」
セレーネ、キョウジ「「え?」」

キョウジ「本当だ、いないぞ!」
セレーネ「ドモン! なんで早く言わないのよ!」
ドモン「言おうとしたけど黙ってろって言ったのは姉さんじゃないかー!」
セレーネ「急いで探さなきゃ…! キョウジ、そっちお願い!」
キョウジ「わかった!」
その後キラは同級生のフレイに追い回されて泣いているところを発見、保護された。
しかしアムロとマリアの姿は完全に見失ってしまったため、四人はそのまま帰途につくことになった。


860 :アムロがデート!? 8/7:2015/10/20(火) 05:56:40.31 ID:u5eQSmho0
アムロ「ほら」
数日後。アムロから手渡されたのは、一冊の学術書だった。セレーネがかねてより欲しいと思っていたものだ。
だが値段は相当なもので、アルバイトを掛け持ちする余裕などないセレーネではどうしても手が出なかった。
セレーネ「え。どうしたの、これ?」
アムロ「どうしたのって、誕生日プレゼントだよ。前から欲しいって言ってたろ」
セレーネ「誕生日って…」
言われて、セレーネは今日が自分の誕生日だったことを思い出した。
いつも家を出て宇宙のあちこちを飛び回っている両親だが、家には最低限の生活費しか入れない。ゆえにガンダム家は貧乏だ。
どうにかやりくりしたお金で誕生日パーティくらいは開くものの、誕生日プレゼントが贈られることはまれだ。
それだって幼い弟たちが優先され、アムロに次ぐ年長者であるセレーネがもらえたことはほとんどなかった。
セレーネ「な、なんでいきなり?」
アムロ「小さい弟たちにかまけて、お前には昔から全然かまってやれてなかったからな。
    今更かもしれないが、誕生日プレゼントの一つくらい贈らせてくれ」
セレーネ「………」
アムロ「フラウやマリアにも意見を聞いたんだが…やっぱりお前はアクセサリーみたいな洒落たものより
    こういう学術書のほうが好みだろ」
セレーネ「は、ははは…」
そういうことか。あんなきれいな人と、妹の誕生日プレゼントを買いに行ったわけだ。
――こんなんで結婚できるのかしら、兄さんは。
アムロ「おい、何笑ってるんだよ」
セレーネ「何でもないわ。あ、いいこと考えた」
こんなへタレ兄さんより先に結婚するのもなんだか悪い。兄さんが結婚してから自分の相手を探すことにしよう。
アムロ「なんだよ」
セレーネ「何でもないってば。決めちゃったからね」
アムロ「おい、だからなんだって…」
セレーネ「いいんだってば! さっそく読んでくる!」
アムロ「…まったく」
苦笑しながら、ぽりぽりと頬をかく。喜んでくれたのなら、まあいいか。
バナージ「お兄ちゃん、ジュドーとフリットがまたケンカしてる!」
アムロ「またか。仕方ないな、今行くよ」
今はみんなに毎年あげるというわけにはいかないが、こいつらも立派になったら誕生日プレゼントを買ってやろうか。
そう思いながら、アムロは弟の喧嘩の仲裁に向かった。

861 :アムロがデート!? おまけ:2015/10/20(火) 06:04:25.51 ID:u5eQSmho0
後日。

アムロ「キョウジくん、ちょっといいかな」
キョウジ「なんでしょうか、アムロさん」
アムロ「先日、君とセレーネが出かけたという話を聞いたんだが…本当かい?」
キョウジ「(バレた!?)…そ、そんな話、誰から聞いたんですか」
アムロ「ソランだ」
キョウジ「あの子か…」
アムロ「あいつが俺に対して嘘をつくことはありえないが、勘違いということもある。で、どうなんだ?」
キョウジ「出かけましたよ。ドモンとキラを連れて」
アムロ「そうか、そうか。…キョウジくん」
キョウジ「な、何か?」
アムロ「仮に、仮にだ。君が妹と交際しているとしよう。まあ、それくらいは許す。僕も経験したことだ。ただし」
キョウジ「ただし?」
アムロ「君が妹に対し、何らかの破廉恥な行為に及んだとしたら…わかってるね?」
キョウジ「は、はい…」
アムロ「理解が早い友人を持ててうれしいよ。じゃあ、僕はこれで」
キョウジ(背後に白い悪魔が見えた…アムロさん恐るべし、だな)

  •  ・ ・

アムロ「あの時あんなこと言わなければちょっとは違った展開になったんだろうか…」
ロラン「何考えてるか知りませんけど、セレーネ姉さん絡みのことだったら変化はないと思いますよ」
アムロ「………orz」

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最終更新:2016年05月14日 08:28