649オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2020/05/03(日) 17:39:36.82ID:h7zd+JUp0
日登町上空

ドモン「うおおおおおお! 待っていろエェルゥスウウウウウウウ!!」
レイン「ちょ、ちょっとドモン! 急いでるのはわかるけど落ち着いて! セカイくんだって乗ってるんだから」
セカイ「俺は全然平気っス! 行ってくださいアニキ!」
レイン「ああもう、師弟揃って体力バカなんだから……!」

 その時、モニターに突然青い髪の少年の姿が映し出される。

セイ?『やあ! やっとバーニングガンダムを起動してくれたんですね!』
セカイ「わ! な、なんだ?」
レイン「通信? いえ、セイくんの人格を模したシステムAIかしら」
セイAI『そうです! このバーニングガンダムは、
    “もしも北米版Gガンダムにおけるバーニングガンダムが、ゴッドガンダムとは別機体だったら”
    をテーマに僕とライゾウ博士が技術の粋を結集して作り上げた機体なんです!!』
セカイ「なんか突然現れてメタいこと言ってるし」
セイAI『じゃあ、早速この機体について説明しますね!』
レイン「あ、こっちの話を全然聞いてくれないこのカンジ、間違いなくセイくんそのものね」
セイAI『すでに起動してわかったと思うけど、
    このバーニングガンダム一番の武器はゴッドガンダムを上回る機動性と機体追従性!
    その分少しパワーは劣るけど、ファイターのポテンシャルを最大限活かせるのが特徴だよ!』
セカイ「確かにこの乗り心地、俺のビルドバーニングガンダムとほぼ一緒だな」
セイAI『そう! 目指したのはシャイニングガンダムの正統進化!!
    ゴッドガンダムが剛力で敵をねじ伏せるMFとすれば、
    バーニングガンダムはまさに柔よく剛を制す機体なんだ!』
セカイ「なんか、こっちが一言いうとその3倍くらいの分量で返してくるなこのAI」
セイAI『その圧倒的スピードで、ゼウスガンダムの放つ雷を全て回避した第26話は、
    北米版Gガンダムにおける名場面の一つだよね!!』
レイン「ええと、そんなシーンあったかしら……?(※注」

※注 ありません。全てセイの妄想です。

セイAI『そしてもう一つ! 大事なことを説明するよ! この機体の真の力【BHモード】について!!』
セカイ「ビ、BHモード? バーニングバーストシステムじゃなくて?」
レイン「多分、字面から想像するに、バーニングガンダムにもハイパーモードみたいな機能があるんじゃないかしら」
セイAI『ちっちっち、違うんだなあ。BHモードこそ、ライゾウ博士が対ELS用に組み上げた切り札!
    他のMFと一線を画すその機能とはk』

 その時、急にセイAIの姿がモニターから消えた。
 ドモンが強制的にプログラムを終了させたのだ。

レイン「ちょ、ちょっといきなり何するのドモン!?」
セカイ「そうだぜアニキ! せっかく説明の途中だったのにさ」
ドモン「ふん……説明など聞かずとも、動かしている間に、この機体については概ね理解した。ゴッドガンダムとの違いもな」

 そう言ってドモンは軽く右腕を動かして見せる。

ドモン「確かにいい機体だ。ライゾウ博士が自慢するのもわかる。これなら今度こそELSを倒せる!!」
レイン「ドモン……」
セカイ「アニキ……」

 その余りにも思いつめた瞳に、レインとセカイは言葉を失ってしまう。
 そんな二人を他所に、バーニングガンダムのカメラは、遂にELSの姿を捉えた。

ドモン「捕まれ二人とも。奇襲を仕掛けるぞ! 超級、覇王……電影弾ンンンンンン!!」

ドモン・カッシュ【バーニングガンダム】VS ELS 
リベンジマッチ開戦――!!

650オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2020/05/04(月) 01:44:31.48ID:pqwmirWE0
日登町中央区

 戦場に降り立ったバーニングガンダムは、唖然とするシローたちを尻目に
 猛然とELSに攻撃を仕掛けていく。

ドモン「うおおお! ゴッドフィールド改めバーニングフィールド・ダアアアアアッシュッッ!!」
ミケル「す、すごい! 一撃でサイコガンダムに擬態したELSを砕いた!?」
ドモン「まだまだぁ! ゴッドスラッシュ改めバーニングスラッシュ、タイフウウウウウウウウウン!!」

 炎をまといながら高速回転するバーニングガンダム。
 その目にも止まらぬ連続攻撃は、MAに擬態したELSを次々と撃破していく。

サンダース「俺たちがあれほど苦戦したELSをたった一機で……」
ヴィダール「しかし、どうして奴はELSに直接攻撃を加えても同化されないんだ?」
タリア「簡単な話よ。彼は同化・吸収されるより早くELSに攻撃を加えている」
ハマーン「これがガンダムファイター。こと近接戦闘においてはまさに規格外だな」

 ドモンの獅子奮迅の戦いぶりに、その場にいた多くの人々は目を離せない。

ミケル「いけますよ……ねえ、これイケますよ! このまま押し切れれば……」
カレン「油断するんじゃない! 奴らはそんな甘い存在じゃないよ。見な!」

 カレンの言う通り、一度砕かれたELSはMAからMSへ再生・変形していく。
 群体生命体たるELSの恐るべき特徴だ。

エレドア「いくらキングオブハートが頑張ってもよ! こう再生されるんじゃキリがねえぞ!」
ドモン「なんの! 再生されるのであれば、再生されないほどに細かく砕けばいいだけのこと! うおおお!」

 ドモンの雄叫びと共に、バーニングガンダムはその全身に炎を纏う!

ドモン「分身殺法改め陽炎殺法! バーニングシャドー!! 俺の怒りを受けろ、エルスめええええええ!!」

 炎がゆらめくと共に、10体ものバーニングガンダムの分身が、MSに分裂したELSに波状攻撃を仕掛ける!
 その恐るべき連撃の前に、さしものELSも成す術なく粉々に打ち砕かれていく!

セカイ「すっげえ……これって俺のアシムレイトと同じ、ううん、それ以上だ!」

 同乗していたセカイは、その光景に素直に感嘆の声をあげた。

レイン「人機一体という意味では、アシムレイトも明鏡止水も似たようなものだからね」
シロー「だがしかし、あれは俺が知っているいつもの明鏡止水の境地ではない。あれではまるで……」
アーミア「うっ……痛っ……!」
刹那「どうしたアーミア・リー。ぐうっ!」
マリナ「大丈夫!? 刹那!」

651オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2020/05/04(月) 01:48:06.90ID:pqwmirWE0
 突然頭を抑えて苦しみだすイノベイター二人。そこへマリナが慌てて駆け寄る。

刹那「大丈夫……俺たちは大丈夫だ。だがELSが……」
アーミア「ELSが……ドモンさんを通じて、また間違ったことを学び始めてる。ああやって……殴りあうのが本当のお祭りだって……!」
カトック「なんだ、ありゃ」
ソーマ「ELSが再変形して……」
レイン「GFになった!?」

 レインが驚くのも無理はない。
 目の前にいるのは、ガンダムマックスターやドラゴンガンダムをはじめとしたシャッフル同盟の機体だからだ。
 それに加え、先ほど吸収されたマスターガンダムやガンダムシュピーゲルもいる。

シロー「それだけじゃない。マンダラガンダムやマーメイドガンダムのような他のMFまで」
レイン「吸収したデータから再現したというの……?!」
ドモン「面白い! わざわざ俺の本業に合わせてくれたというわけか! ならお望み通り……一体残らず叩き潰してやる!!」
シロー「よせドモン! 今のお前は冷静さを欠いてる! 一度俺たちと合流して態勢を……!」
ドモン「うるさい! 俺は師匠とシュバルツの仇を取るんだ! いくぞ、ガンダムファイト、レディー…ゴオオオオオ!!」

 待ち構えるELSファイター軍団。その一団に向けてドモンが一歩を踏み出した。その時だった。

「……モン。ドモンよ」
ドモン「!?」

 気づけばドモンはコックピットを離れ、どこか森の中に立っていた。

ドモン「ここは……ギアナ? 間違いない! かつて修業したギアナの地だ!」
「ドモン……ドモンよ」
ドモン「ということは、俺を呼ぶこの声は……!」

 ドモンは声の方へ向けて駆け出した。
 すると急に森が切れ、目の前の崖には、布を柱にして立つ一人の侠の姿があった。
 世界広しといえども、ドモン以外にこんな芸当ができるのは、たった一人しかいない。

ドモン「お、お師匠! あなたは、東方不敗マスターアジア!」
東方不敗「そうだ。よく儂の声に応え、ここに来たな」
ドモン「ああ、師匠! お懐かしゅうございます!!」

 久方の再会に感涙し、ドモンは迷わずその場で五体投地した。

東方不敗「ウム。……時にドモンよ。なぜ儂が貴様をここに呼んだか。その理由がわかるか?」
ドモン「はい! 師匠は俺がいつまでもELSを倒せないのでお怒りなのでしょう! ですがご安心ください、もうすぐ俺があなたの仇を……」
東方不敗「はっはっは。そうかそうか、貴様がワシの仇をうってくれるのか」
ドモン「はい! 必ずやELSどもの屍をあなたの墓前に供えて……」
東方不敗「そうかそうか。あっはっは……」

652オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2020/05/04(月) 01:49:24.81ID:pqwmirWE0

                                                      __
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               { l |l '。]____ノ  /   __]一'´         \    r‐一'   ___  ト、____ノ 〈/ノ,ノ
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653オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2020/05/04(月) 02:02:35.00ID:pqwmirWE0
ドモン「な、なにっ!?」

 罵倒と共に繰り出された東方不敗の拳。
 その突然の攻撃に、ドモンは何もできないまま数メートルも吹っ飛ばされる!

ドモン「い、いきなり何をする! 俺は、アンタやシュバルツのためにかたき討ちを……」
東方不敗「かたき討ちだとお! 誰がそんなことを頼んだ! 勝手に思い込むでないわこの馬鹿弟子め!!」
ドモン「何だと!?」
東方不敗「今の頭に血が上った貴様では、バーニングガンダムの真の力など到底引き出せん! それこそ、あのセカイとかいう小童の足元にも及ばんわ!!」
ドモン「お、おれが……セカイの足元にも及ばないだって……!」
東方不敗「頭を冷やしてよ~く思い出すのだな。ワシやシュバルツが貴様に何を託したか。ライゾウ・カッシュが何を想い、バーニングガンダムを作ったか……」
ドモン「ま、待ってくれ! どういうことだ! バーニングガンダムが作られた意味とは何なんだ! 教えてくれ、師匠! ししょ~~~~~!!」

ドモン「し、師匠!」

 ドモンは自分の声ではっとして辺りを見回した。
 ここは先ほどと変わらずバーニングガンダムのコクピット。ギアナではない。

セカイ「どうしたんだよアニキ。なんか一瞬意識が飛んで見えたけど」
ドモン「一瞬、だと……? 今のは、白昼夢だったとでもいうのか?」
シロー「何をボンヤリしているドモン! まだ戦闘は続いているんだぞ!」
ドモン「そうだ! ELSは!」

 ドモンが顔をあげると、そこにはガンダムマックスターに擬態したELSが肉薄していた。
 バーニングガンダムは打ち込んできた右ストレートを紙一重で回避。返す刀で手刀を叩きこむ。

ドモン「ええい、悩むな! 悩んでいるヒマなどない! 俺は、ELSを倒さなくちゃいけないんだ! 師匠のためにも!!」
刹那「それは違うぞドモン兄さん」
ドモン「なにっ!?」
刹那「東方不敗は、『ELSを倒せ』など一度も口にしなかった。彼がドモン兄さんに託したのはただ一言『ELSを止めろ』だ」
ドモン「ELSを……止めろ?」
刹那「東方不敗もシュバルツ・ブルーダーも、暴走するELSを止めるべく戦っていた。そこにはELSへの憎しみなど、1ミリも存在しない!」
シロー「そうだ! 確かに俺も聞いた。むしろ東方先生が怒ったのは、ELSを倒そうとしたお前にだ、ドモン!」
ドモン「なん、だと……!」

 刹那とシロー、そして先ほど見た白昼夢の東方不敗の言葉に、ドモンは打ちのめされた。

ドモン「(俺は間違っていたのか? 確かに、師匠は一言もELSを倒せとはいわなかった。だが! それでは! この俺の怒りと悲しみはどこにやればいい!!)」

 その時、不意にドモンは足元で動く小さな生命体に目が留まった。

654オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2020/05/04(月) 02:04:48.72ID:pqwmirWE0
 ドモン「あれは……さっき倒したマックスターの破片。もう再生したのか」

 ELSが活動できる最小単位は人一人分ほど。
 つまり、あれをもう一度粉々に砕けば、ELSはもはや再生できない。
 激情のまま、ドモンはバーニングガンダムでその小さなELSを踏み潰そうとした。
 その時だった。

ドモン「これは、この姿は……!」

 そこでドモンが見たのは、幼い子供に擬態したELSの姿だった。
 彼らは浴衣を着て、手にはわたあめと水風船をもっている。
 その様子は、どこかもっと幼いころのアルとシュウトの姿を思い起こさせる。

レイン「どうしたの、ドモン。また固まって。……え、どうしてこんなところに子供が? まさかあれもELSなの?」
ドモン「……違う」
レイン「え?」
ドモン「違う。間違っているぞお前たち!」
レイン「え? え?」

 そう言うとドモンは突然、コクピットから地面に向かって飛び降りる!

レイン「ええっ!? ちょっと、ドモン! 今戦闘中!?」

 そしてそのまま、レインの言葉にも耳を貸すことなく、ドモンは子供の姿をしたELSに向けてまっすぐに走り出す!

ドモン「お前たち!」
子ELS「?」

 突然現れたドモンに、ELSは不思議そうに小首を傾げる。
 そんなあどけないELSに、ドモンは拳を振り上げて……すぐに下ろした。
 そして彼らの前に膝を突くと、その胸元に手を伸ばす。

ドモン「お前たち。間違っているぞ。浴衣はな、右じゃなく左の襟が上にくるんだ。それに帯の締め方もゆるゆるじゃないか」

 そういいながらテキパキとELSの浴衣の着付けを直していく。

ドモン「さあ、できた」

 綺麗に整った浴衣を見て子供の姿をしたELSは、パアッと笑顔になった。
 そうしてドモンに一礼すると、楽しそうにその場を去っていく。
 ドモンはその後姿を、じっと見つめていた。

656オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2020/05/04(月) 05:23:42.43ID:pqwmirWE0
レイン「ちょっとドモン! いい加減にして! 緊急システムでなんとか逃げ出したけど、戦闘中にコクピットから出ていくなんてどういう……」

 何も言わずコクピットに戻ってきたドモンに対し、レインはいつものように小言を言おうとする。だが……

ドモン「すまなかった」
レイン「え?」
ドモン「本当にすまなかった。俺は……なっちゃいなかった。全然なっちゃいなかったんだ」

 突然反省の言葉を口にするドモンに、レインは面食らってしまう。

ドモン「シロー兄さんに刹那、それにほかのみんなも聞いてくれ。さっきまでの俺は、師匠とシュバルツを殺したELSへの憎しみで、目が曇っていた。
    でも、ようやくわかった。なぜ師匠がELSを倒そうとした俺を怒ったのか。なぜELSを倒すのでなく止めなきゃならないのか、その理由が」
レイン「ELSを、止めなくちゃならない理由……?」
                        ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  
ドモン「ようやくわかった。ELSはただ、祭りを楽しんでいるだけなんだ」

 そして再びELSの一団を見た。
 MFに擬態したELSの集団は、ドモン達を襲うことなく自分たちでお互いを殴りあっている。

アリー「なにしてんだ、ありゃあ」
ドモン「ELSがあんなことをしているのは俺のせいだ。俺が問答無用で殴りかかったせいで、ELSは戦闘も祭りの一つだと思い込んでしまったんだ」
アーミア「そうです! 勘違いしてる人も多いけど、ELSに他の生物への敵意はありません! ただ同化と吸収、そして真似することが彼らのコミュニケーションなんです!」
刹那「だから、対話によって俺たち人類とELSはわかりあえる。誤解を解くことが出来るんだ」
ドモン「そうだ! だから師匠はELSを倒すのではなく止めようとしたんだ。あんな風に、ただ暴れるのではなく、もっとみんなで楽しむのが本当の祭りなんだって」

 そして、唇を強く噛み締める。

ドモン「その師匠の本当の思いもわからず! 俺は、俺という男は……っ!」
セカイ「でもさ! まだ遅くないぜアニキ! だってアニキは自分でそれに気づいたんじゃないか!」
ドモン「セカイ。お前に一つ聞きたいことがある。お前の次元覇王流、その極意とは何だ?」
セカイ「え? そんなの決まってるじゃん。“わからないことがあったら拳で聞け。自分の想いを拳に載せろ”だよ!」
ドモン「そうか……そうだったな」

 そう言いながらドモンは目を閉じた。

ドモン「できるかな、俺にも。お前のように、想いを拳に載せてELSに届けることが」
セカイ「あったりまえだろ! だってアンタ、俺の師匠なんだからさ!!」
刹那「そうだ! ドモン兄さんならばELSとも分かり合うことが出来る! なぜならドモン兄さんはガンダム・ザ・ガンダム。ガンダムの中のガンダムだからだ!!」
シロー「後ろは俺たちに任せろ! お前はお前の想いをELSにぶつけてこい!!」
ドモン「セカイ、刹那、シロー兄さん……!」

657オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2020/05/04(月) 05:27:37.76ID:pqwmirWE0
 感極まったドモンは空に向けて叫んだ。
 その衝撃はすさまじく、周囲の空気をビリビリと震わせる。

ドモン「聞けっ! ELS!!」
ELS「(`・ω・)?」
ドモン「今から俺がお前たちに! 本当の祭りというものを教えてやる!」
ELS「(`・ω・´)!!」
ドモン「キングオブハートの特別授業だ。聞きたい奴から……かかってこい!!」
ELS「\( ゚∀゚)マツリダワッショ----ーーイ!!」

 ドモンの挑発を受けて、シャッフル同盟の機体に擬態した4機のELSが一斉にバーニングガンダムに襲い掛かる!
 しかしドモンは動かない。自然な構えのまま、意識を一点に集中する。

ドモン「思い出せ。真の明鏡止水とは、強く荒れ狂う波ではなく、静まり返った水面の如き心の在り様だったはず……!」
マリーダ「なんだ、あの機体に何が起こっている?」
マリア「機体を覆っていた燃え盛る炎が……」
ソーマ「太陽のような山吹色の光に変わっていく!」
ドモン「見えた! 水の一滴!!」

 次の瞬間、バーニングガンダムと4機のELSは交錯した。
 だが、誰もが予想していた激しい激突は無かった。
 ただ静かに、シャッフル同盟を模したELSは崩れ去り、そのまま動かなくなる。

レイン「な、なにが起こったの? 衝撃もなかったし、バーニングガンダムは一切動いてないように見えたけど」
セカイ「違うよ、レインの姉ちゃん。交錯した一瞬、アニキは確かに拳を繰り出した。ただ、それがあまりにも速く、静かだったからわからないだけなんだ」
レイン「ちょ、ちょっとセカイくん!? なんで泣いてるの?!」
セカイ「嬉しいんだよ! 久しぶりに見れた。これがアニキの、ううん、師匠の明鏡止水の境地……!」

 驚いているのはセカイだけではない。それは拳を放ったドモン自身もそうだった。

ドモン「なんだ、今のは。攻撃の瞬間、バーニングガンダムを通じて確かに俺はELSとわかりあうことができた。まるで、刹那の00ガンダムのように!」
セイAI『そう! それこそまさにバーニングガンダムの真の力、【BHモード】の発動なんです!」
ドモン「これがBHモードだと? ゴッドガンダムのハイパーモードとは全然違うじゃないか!」
『それは当然よお!!』

 セイに続き、バーニングガンダムのモニターに髭面の壮年男性の顔がドアップで映し出される。

セカイ「うわ! 誰だこのオッサン!!?」
レイン「あの人がライゾウ博士よ。まさか、このバーニングガンダムにも彼の人格AIが搭載されてるとは思わなかったけど」
ライゾウAI『ふっふっふ! ようやく【BHモード】を発動させたようだなドモン! 遅いぞこの未熟者め!』
ドモン「教えてくれライゾウ博士! BHモードとはなんだ? ハイパーモードのような、単に戦闘力をアップさせるシステムではないのか?!」
ライゾウAI『まったく違うわバカめ! よいか! ゴッドガンダムが暴走したアルティメットガンダムに対するカウンターなら、バーニングガンダムはやってきた異星体に対するカウンター!』
ドモン「それは以前にも聞いた!」

658オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2020/05/04(月) 05:38:20.64ID:pqwmirWE0
ライゾウAI『焦るでないわ。ここからが肝心よ。同じカウンターシステムでもそのアプローチは全く異なる! 
      ゴッドガンダムが神の如き圧倒的な力で悪魔を制する機体であるならば、バーニングガンダムは燃え盛る心で対話を行う機体。
      イオリア・シュヘンベルクのガンダムとは、同じような思想で作られた機体というわけよ』
ドモン「つまり、このバーニングガンダムは00ガンダムのように、初めから対話を目的とした機体だと?」

 ドモンの言葉に、ライゾウ博士は大きく頷く。

セイAI『もっとも、その方法は全然違いますけどね』
ライゾウAI『そう! イオリアが目指したものが相互理解による対話だとすれば、
      このバーニングガンダムが目指すのは拳による対話。それこそバーニングガンダムの【BHモード】! すなわち……」

          B        H
ライゾウAI『【ぶつかることで 深く結びつく友情モード】よおォォッッ!!』
レイン・セカイ「「ぶつかることで深く結びつく友情モード!?」
ドモン「傷ついたことは無駄じゃなかったということかああああああああ!!」

シロー「バーニングガンダムにそんな秘密が隠されていたなんて……」
刹那「それでこそガンダム・ザ・ガンダム。まさにTrust You Foreverだ」

ライゾウAI『行けっドモン・カッシュ! キングオブハートよ! BHモードを発動させた今、お前に敵はいない。全てが友だ!』
セイAI『僕たちの役目はここまで。あとは皆さん次第です!』
レイン「ドモン!」
セカイ「ドモンのアニキ!」
ドモン「よし、行くぞ二人とも! 俺は拳で、ELSと対話するっ!!」

チボデー「おいおい、お前ひとりでいきがるなよドモン」
サイ・サイシー「そうそう、オイラたちを忘れてもらっちゃ困るってね」
ジョルジュ「リベンジしたいのは我々も同じです」
アルゴ「……ウム」
セカイ「この声、シャッフル同盟のみなさんだ!」
ドモン「みんな! 戻ってきてくれたのk……なんだその機体はあぁぁぁッッッ!!?」

 振り返ったドモンは、驚きで目を丸くする。
 そこには、彼の知らないシャッフル同盟のガンダムが立っていた。

ドモン「マックスター……じゃねえ!?」
チボデー「ガンダムマックスリボルバー!!」
ドモン「ガンダムローズ……じゃねえ!?」
ジョルジュ「ガンダムヴェルサイユ!!」
ドモン「ドラゴンガンダム……じゃねえ!?」
サイ・サイシー「ガンダムダブルドラゴン!!」
ドモン「ボルトガンダム……じゃねえ!?」
アルゴ「ガンダムボルトクラッシュ!!」

659オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2020/05/04(月) 05:43:40.22ID:pqwmirWE0
ドモン「一体何なんだそのガンダムは!?
ジョルジュ「これは私たちの祖国が、次のガンダムファイトに向けて極秘開発していた機体です」
サイ・サイシー「それを取りに戻ってたってワケ」
アルゴ「俺たちのガンダムはみな、ELSに侵食されて使い物にならなくなっていたからな」
チボデー「とはいえ全員同じ行動を取ってるたあ、HAHA、やっぱり俺たち仲間だぜい!」
アレンビー「ちょっと! アタシも忘れないでよね!」
ドモン「なっ……アレンビー! お前の機体まで新しくなってるじゃないか!」
アレンビー「そ! 高機動ノーベルガンダム。人呼んでスーパーノーベルガンダムよ!」
ジョルジュ「とはいえ驚いているのはこちらもです!」
サイ・サイシー「アニキもちゃっかり新型に乗り換えちゃってさ。見てたよ今の戦い!」
チボデー「いいパンチだったぜ。それに、お前も俺たちと同じ結論にたどり着いたようだしな」
ドモン「と、いうことはお前たちも……?」
アルゴ「ああ。ELSと対話するために来た」
サイ・サイシー「アニキのお師さんに怒られてさ、オイラたちも考えたんだよね。自分たちに何が足りなかったのかって」
ジョルジュ「かなり回り道の上、時間もかかってしまいましたけどね」

 そう言ってシャッフル同盟の面々は照れくさそうに笑った。

シロー「シャッフル同盟! 話の途中悪いがELSが再び動き出した!」

 シローの言う通り、いつのまにかELSのMA軍団は分裂し、大地を埋め尽くすほどのMF軍団に変わっている。

ELS「\( ゚∀゚)マツリダマツリダ!!」
ELS「( ゚∀゚ )ケンカマツリダワッショイワッショイ!!」

サイ・サイシー「どうもELSも待ちきれないみたいだね」
マリナ「みなさん! 私たちが張った結界も限界が近いです!」
シロー「後ろは俺たちが引き受ける! 思う存分対話してくれ!」
刹那「ELSの中枢はあの巨大MAユグドラシルだ! あそこにたどり着いて対話ができれば、この戦いは終わる!」
アーミア「あとは、みなさんに全てを託します!」

 声援をうけ、ドモンたち新生シャッフル同盟はELSに向けて並んで立った。
 そして、静かにELSのMF軍団と睨み合う。

ドモン「これがELSとの最終決戦だ! いくぞみんな! ガンダムファイトォッ!」
チボデー・サイシー・ジョルジュ・アルゴ・アレンビー「「「「「レディィィィィッ!」」」」」
ドモン・チボデー・サイシー・ジョルジュ・アルゴ・アレンビー「「「「「「ゴォォォォッ!!」」」」」」


ストーカー「みなさんお待ちかねぇ!
      ドモン達GFとELSの戦いは遂に最終局面を迎えるのです!
      バーニングガンダムの拳はELSに届き、再び和解することはできるのでしょうか!
      果たして日登町の運命やいかに!
      次回、オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟 VSELS編 最終回
      『バーニングガンダム大勝利! 希望の未来へレディ・ゴーッ!!』」

エレドア「え、何このオッサンいきなり戦場に現れて勝手に次回予告してんの?」
ミケル「ホント誰なんでしょうね……しかも思いっきりネタバレしてますし」


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最終更新:2023年03月29日 09:51