79オールアムロVSシャア軍団VS
ガンダム兄弟2021/01/11(月) 21:41:29.45ID:52WdRZ9e0
時刻は少し遡り、AM 06:25
ヨナ「ぐ……うっ……なんてGだ!」
キオ「コー…ホー…クビクビクビクビ…!」
キラ「ほらキオ! 黙ってないと舌噛むよ!」
マイ『聞こえますかヨナ兄さん。もうすぐワームホールを突破して宇宙に出ます』
アルレット『ワームホールを抜けたら8,6秒後にアクシズと最接近するわ。くれぐれも減速を忘れないで」
ヨナ「了、解……!」
日登町上空に出現したワームホールに向け、
MSカタパルト・ヨルムンガンドによって発射されたヨナ・キラ・キオの三人。
目標はワームホールの先にあるアクシズ。
そこに、分裂した最後のアムロとシャアがいるのだ。
キラ「見えた、アクシズだよヨナ兄さん。……ヨナ兄さん?」
ヨナ「…………」
キラ「ちょっと! もしかしてGで気絶しちゃった?」
ヨナ「い、いやいや! さすがに俺も起きてるぞ。すまない、ちょっとボーッとしてた」
キラ「もう、しっかりしてよね。ここがどこの宙域なのかもまだわからないんだし、下手に逸れたら永久に宇宙のもくずだよ」
ヨナ「わかってる。気を付けるよ」
キラ「……なら、別にいいんだけどさ」
発射ポッドであったヨーツンハイム弾頭から出た三人は
アクシズに取りつき、アムロとシャアの行方を捜した。
キラ「……薄々予想はしてたけど、誰もいないね」
ヨナ「ああ。流石のフロンタルも人がいるアクシズを日登町に落とすなんて真似はしなかったか」
キラ「というより、アムロ兄さんとシャアさんを存分に暴れさせるつもりだと思うけど……あ」
ヨナ「どうした?」
キラ「あったよ。νガンダムとサザビーだ」
キラの言う通り、指差した先には赤と白のMSがあった。
ヨナ「妙だな、機体だけか。肝心のアムロ兄さんとシャアさんはどこへ行ったんだ?」
キラ「ああ、それなら……」
そう言ってキラは耳を澄ますようジェスチャーをする。すると……
アムロ『世直しのこと、知らないんだな。革命はいつもインテリが始めるが、夢みたいな目標を持ってやるから、いつも過激なことしかやらない』
シャア『私は世直しなど考えていない!』
80オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2021/01/11(月) 21:42:57.50ID:52WdRZ9e0
ヨナ「これは……アクシズの坑道の奥からアムロ兄さんたちの声?」
キラ「逆シャアごっこの白兵戦のとこ再現してるみたいだね」
ヨナ「MS戦だけじゃ飽き足らずあの二人は……」
キラ「でも、ちょうどいいんじゃない? この隙に二人のMS破壊しておこうよ」
ヨナ「え……?」
キラ「いやだって僕らの目的ってアムロ兄さんとシャアさんを連れ戻すことでしょ? ならMSはない方が断然楽じゃない」
ヨナ「それはそうだけど……」
キラ「あれ? それともアムロ兄さんと戦いたかった?」
キラにそう尋ねられ、ヨナは一瞬言葉に詰まった。
だが、すぐに平静を装い、返事を返す。
ヨナ「……そうだな。キラの言う通りだ。このMSは破壊しよう」
キラ「わかった。じゃあキオ、悪いんだけd」
キオ「クビィィィィィ!!」
キラが呼ぶより早く、キオのAGE-FXは腕のビームサーベルを展開、
二機の頭部はあっという間に切断された。
それでもまだ足りないのか、キオは二機をさらに細切れに切り刻んでいく。
キラ「うん、まあいいとしよう。じゃあヨナ兄さん、次はアムロ兄さんとシャアさんを捕まえよっか」
ヨナ「……そうだな」
どこか残念そうなヨナの様子には触れず、努めて普通に振舞うキラ。
キラ「多分、原作通りの展開ならそろそろ出てくると思うんだよね~……」
その時、キラは背後に現れたわずかなプレッシャーに感じた。
凡人であるヨナはもちろん、バーサーカー状態のキオもまだ気づいていない。
キラはとっさの判断で二人を抱きかかえると、その場から全力で離れた。
彼の勘は正しく、一瞬遅れて三人がいたところに正確無比な攻撃が加えられた。
ヨナ「な、なんだ今のは……オールレンジ攻撃!?」
キラ「オールレンジ攻撃って、まさか!?」
キラはハッとして顔をあげた。
彼らの背後、少し離れたところに立っているのは――たった今破壊したはずの赤と白のMS!
81オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2021/01/11(月) 21:45:09.14ID:52WdRZ9e0
シャア(CCA)「ほう、いい反応だ。今の攻撃を避けるとは。さすがお前のお仲間だな、アムロ」
アムロ(CCA)「馬鹿にするなよシャア。俺はあんなガンダムは知らないし、お前との決着に人の手を借りるつもりもない」
ヨナ「アムロ兄さん! シャアさん!」
キラ「なんでMSに乗ってんの? たった今破壊したばっかりじゃない!? しかも」
しかも二人のMSはまったくの無傷。それどころか戦闘の痕跡すらなく、ロールアウトしたばかりであるかのようにピカピカだ。
これもフロンタルの策略なのか。だが、キラが考えを巡らせるより早く、ガンダムAGE-FXが二機に向かって突貫する!
キオ「クビいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」
シャア(CCA)「まっすぐ私に突撃してきた? やはり貴様の増援か、アムロ!」
アムロ(CCA)「ふざけるな! シャアを倒すのは俺の役目だ!」
苛立ったようにAGE-FXに向けてライフルを構えたνガンダム。
それを阻止すべく、ヨナはナラティブガンダムでνガンダムに体当たりを仕掛ける!
キラ「ヨナ兄さん! キオ!」
ヨナ「キラ! 俺はアムロ兄さんを止める。お前はキオと協力してサザビーを!」
そう言ってナラティブガンダムは絡み合うようにνガンダムとアクシズの奥へ消えていく。
心なしか、通信機から聞こえるヨナの声は弾んで聞こえた。
キラ「まったくもう……露骨に喜んじゃって」
やれやれ、とため息をつくキラ。
キラ「……ま、いい機会だしここでアムロ兄さんと決着つけてよね。シャアさんの方は僕らがきっちり抑えておくからさ」
キラ・ヤマト【ストライクフリーダムガンダム】&キオ・アスノ【ガンダムAGE-FX】
VS
シャア・アズナブル(CCA)【サザビー】
ヨナ・バシュタ【ナラティブガンダムC装備】
VS
アムロ・レイ(CCA)【νガンダム】
開戦――!!
82通常の名無しさんの3倍2021/02/02(火) 17:41:36.35ID:AKrGhGwf0
アル「
今年の恵方は?」
シーブック「南…南東ーっ!」
セレーネ「久しぶりに見たわねこのくだり」
ジュドー「あれ?もう節分だっけか。まだ2月2日じゃんか」
セレーネ「うるう年ってあるでしょ。地球の公転がぴったり365日じゃないから暦の調整が必要だってこと、昔の天文学者も把握してたのね」
シーブック「なるほど」
ジュドー「出た、宇宙の話んときだけはきれいなセレ姉」
セレーネ「久々に輪切っとく?」
ウッソ「もっとも、ここの地球は次から次にコロニーやら隕石やら落とされますから地味に公転周期とかブレてそうですけどねー」
83オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2021/02/14(日) 16:16:49.82ID:T1ddCNra0
AM 06:30 アクシズ:外縁
シャア「次は君の番だ。何者か知らないが、私とアムロの戦いを邪魔するな、ガンダム!」
キラ「さっきから違和感あったけど、僕たちのことを覚えてない? ヅダエールで頭までやられちゃったの!?」
キラは疑問を口にしながらも、それを確かめる余裕はない。
間断なく繰り出される、ファンネルを交えたオールレンジ攻撃をいなすので精一杯だ。
キラ「ウソでしょ? 僕が押されてる? 『あの』シャアさんに!?」
信じられない、とばかりに被りを振る。
キラ「確かに、迷いのないシャアは最強だって昔からよく言うけれど……!」
シャア「迷いが動きに出ているぞ? ハハ、同じガンダムとはいえ、やはりアムロとは比べ物にならないな」
キラ「カッチーン! やめてよね、いくらシャアさんでも僕をザコ扱いするのは!」
ストライクフリーダムは身を翻してサザビーから距離を取った。
そして8基のドラグーンを一斉に展開する。
シャア「何っ? このガンダムもオールレンジ攻撃を?!」
キラ「オールレンジ攻撃ができるのは宇宙世紀だけじゃないんだよね、悪いんだけど!」
続けて腰のクスィフィアスを展開、腹部のカリドゥス、二丁のビームライフルと合わせて
13の砲門が、サザビーと、その周囲に浮かぶ6基のファンネルに狙いを定める。
ストライクフリーダムの十八番、ドラグーンフルバーストだ。
キラ「こんな茶番、さっさと終わらせる! いっけえええ!!」
シャア「!」
隙を突いた完璧な一撃。キラ自身、確実に仕留めたと思った。
だが、
シャア「……ちっ、ファンネルを半分もっていかれたか」
キラ「ウソでしょ!!?」
次に目の前に現れたのは、ほとんど無傷のサザビーだった。
攻撃が当たる瞬間、態勢を微妙にズラし、直撃を回避したのだ。
それだけではない、ファンネルを3基撃墜したと言ったが、
ストライクフリーダム自身、反撃でドラグーンを同じ数撃墜されている。
シャア「仕掛けるタイミングもいい。アムロと比べ物にならないという認識は改める必要がありそうだ」
キラ「それはどーも!」
減らず口を叩きながらも、キラは内心戦慄していた。
ほんの数分の交戦、それだけでシャアの実力を思い知った。
抑えておくなんてとんでもない、本気でやらなければ簡単に返り討ちにされる。
84オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2021/02/14(日) 16:17:16.50ID:T1ddCNra0
キラ「(今までと全然違う……これが本気のシャア・アズナブルだっていうの……!)」
そして、懸念はそれだけではない。
???「……ビ、クビィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!」
キラ「この声、マズイ!」
シャア「ち、また来たか」
二人は一斉にある一点を見た。
「チェエエエエエエストォォォォォォォ!!」
猿叫をあげながら一直線に突撃してくるのは……キオのガンダムAGE-FX!
シャア「また君か! さっきやられたくらいでは足りなかったようだな!」
キラ「ああ、もう! あのまま寝ててくれたら楽だったのに!」
二人は同時に愚痴をこぼす。
何を隠そう、この戦闘の開始時にキオは今とまったく同じように突撃をかましたものの、
あっさりとシャアにいなされた挙句、アクシズの岩壁に頭から叩きこまれていたのだ。
キオ「クビ、クビ、クビオイテケエエエエエエエエエエエエエ!!」
シャア「このおぞましきプレッシャー! 乗っているのは物の怪の類か!?」
キラ「うん、実際まあ間違ってはないよね」
と、陰で妖怪首置いてけとも呼ばれる弟の顔を思い浮かべながらキラは肯定した。
シャア「技量自体は大したことがないが、こう何度も迫られては面倒だ。貴様から落とさせてもらう!」
キオ「クビイイイイイイイ!!」
AGE-FXに向かって戦闘を仕掛けるサザビー。
キオは素早く反応すると、ビームサーベルを抜いて逆に斬りかかる!
キラ「仕方ない、ちょっと卑怯だけど、シャアさんがキオに釘付けになってる隙に……うわっ!」
突如飛んできたCファンネルを、ストライクフリーダムは咄嗟に回避した。
キラ「ちょっとキオ! どういうつもり! 僕は味方だってば」
キオ「ガンダム……クビ……フタツ……!」
キラ「このプレッシャー……! フリーダムの首を狙ってる?」
ストライクフリーダムとサザビー、両者を見据え、AGE-FXはじりじりとにじるよる。
その姿は獲物を狙う野生の獣そのものだ。
85オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2021/02/14(日) 16:20:06.81ID:T1ddCNra0
キラ「冗談じゃない! せっかく2対1で有利だと思ったのに、こんなの聞いてないよ!」
キラは咄嗟に身を翻し、戦場から逃げ出した。
キオ「クビ!」
シャア「ここまでコケにされて、むざむざ逃がすわけにはいかん!」
続けてAGE-FX、サザビーがその後を追う。
3機はもつれあいながらアクシズの内部へと突入した。
AM 06:36 アクシズ内部:商店街
キラ「二人は……撒いた、かな?」
生き物の気配のないアクシズの商店街。
キラは建物の影に機体を隠しながら、各種レーダーをチェックする。
キラ「しかし、これからどうしようかな。シャアさんがあんなに強いだなんて予想外だよ」
コクピットの中で腕組みしながらキラはじっと考える。
キラ「僕って天才肌で繊細だから、カミーユみたいに技量が近い相手とか、シンみたいな泥臭い戦い方する敵ってニガテなんだよね~」
そこでハア、とため息をついた。
キラ「正直めんどくさいから全部放り出して逃げ出したいけど、ヨナ兄さんにあんなに啖呵きった手前それもバツが悪いし……」
???「なんだい、珍しいじゃないか。アンタがため息つくなんてさ」
キラ「! え? この声って、まさか……」
不意にかけられた聞き覚えのある声。
思索から呼び起こされたキラは、慌ててカメラを確認する。
???「どこ見てるんだい。アンタのコクピットのすぐ前だよ」
キラは急いでコクピットを開放した。すると、そこにいたのは……
ファラ「驚いてるだろう? 私もさ。お互い、妙なところで会うねえ」
86オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2021/02/14(日) 18:45:44.02ID:T1ddCNra0
AM 06:38 アクシズ内部:商店街
ファラ「そうかい。私が日登町を離れてる間にそんなことになってたのかい」
キラが語るこれまでの出来事に、彼女は面白そうに耳を傾けた。
キラ「ところで、ファラ先生はどうしてアクシズに? 確か、今のアクシズは通常と異なる位置にあって、日登町からは確認できないって言われてましたけど」
ファラ「ふふっ、どうしても聞きたいかい?」
キラ「あ、いや。別にそこまでじゃ……」
ファラ「何、大した話じゃないよ。私は教師以外にザンスカール社の外部顧問もやってるんだけれど、そこでドジってしまってね」
キラ「はあ」
ファラ「会社に結構な額の損害を与えたもんで、罰として宇宙漂流刑をくらって、漂っていたところを運よくアクシズに流れ着いたって話さ」
キラ「いや充分大した話じゃないですか! ていうか損害の代償が宇宙漂流刑ってどんだけブラック企業なんですか」
ファラ「そうかい? 社会人としちゃ割とよくある話だけどね。私だって宇宙漂流刑を喰らうのはこれで5度目だし」
キラ「か、価値観が完全に狂ってる……これが社畜の末路なの……?」ガクガクブルブル
ファラ「まあ、アンタもそのうちわかるさ。社会人になったらね。ところで」
その時だった。
キオ「クビィイィイィ!」
シャア「易々とはやらせん!」
突然の衝撃と共に始まった戦闘。無論、キオとシャアのものだ。
ファラ「あれは……キオのガンダム? なんだ、アンタら一緒に来てたのかい」
キラ「え、ええ、まあ」
ビーム・ショット・ライフルを掻い潜り、AGE-FXはサザビーの喉元のビームサーベルを突き立てんとした。
だがそれをシャアはゼロ距離のヤクザキックで迎撃した。
吹き飛ばされるAGE-FX。しかし空中で姿勢を立て直し、再びサザビーに相対する。
ファラ「いい距離だ! さあキオ、Cファンネルで敵の首を刎ね飛ばしてやりな!」
キラ「ちょ、ちょっとファラ先生! 見つかる、見つかるから!」
ファラの檄が届いたのか、ガンダムAGE-FXは背中のCファンネルに手を伸ばした。
だがキオは、それを少しの間不思議そうに見つめたのち――あろうことか、サザビーに向かって投げつけた!
ファラ「な……!?」
あっけにとられるファラ。当然、サザビーはそれを易々と回避。
続けて投げられた2投目、3投目もライフルで撃ち落とした。
シャア「なにをしたかったかわからんが、今の攻撃は素人以下だな、トゲつきのガンダム!」
そして再び距離を詰め、ビーム・トマホークでAGE-FXに攻撃を仕掛ける。
熾烈な斬撃の前に、AGE-FXはうずくまって耐えることしかできない。
ファラ「あれはどういうことだ! あれに乗っているのは本当にキオなのかい!?」
キラ「こ、興奮しないでくださいよファラ先生! AGE-FXに乗っているのは間違いなくキオです」
ファラ「だったらなんで、あんな無様な戦い方……!」
キラ「それが……ここ数日、事件のごたごたでずっと首を狩れなかったから、そのせいで首狩り欠乏症に……」
ファラ「首狩り欠乏症だって!?」
キラ「戦闘に連れていけば治るかと思ってたけど、僕の勘違いだった。
今のキオは首を狩りたすぎて暴走して、戦闘技術を全て忘れてしまったんです!」
87オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2021/02/14(日) 18:47:19.49ID:T1ddCNra0
キラの言葉に耳を傾けつつも、ファラはじっとガンダムAGE-FXを見ていた。
ファラ「あの目……」
キラ「あの目?」
ファラ「私はいつか、あんな目をしたキオを見たことがある。そうさ、初めて会った時、あの坊やはあんな目をしてたのさ」
言いながらファラは、着ていたパイロットスーツのジッパーを下ろした。
キラ「ちょ、ちょっとファラ先生いきなりなにを」
露わになる胸の谷間に赤くなるキラ。
それに構わず、ファラは谷間に手を突っ込むと、服の中から何かを取り出す。
キラ「それは……鈴?」
ファラ「そうさ。これこそ私とキオを結び付けた、処刑人の鈴だよ!!」
そう言って彼女は手早く額と耳に鈴をつけた。
そしていつも肌身離さず持ち歩いている鞭を手に取ると、地面を激しく叩きつける。
チリン、バチン!
ファラ「何をしている坊や!」
キオ「!?」
シャア「もう一機のガンダム! あんなところにいたか! それに、なんだ今聞こえた音は? 鈴?」
ファラ「いつまでもそんな間の抜けた攻撃に耐えてるんじゃない! ネックスプリングで跳ね起きるんだよ!!」
キオ「!!」
咄嗟にキオはファラの指示に従い、身体をすぼめ、垂直に蹴りを繰り出した。
そしてその勢いのまま起き上がり、バク転をしながら距離を取る。
シャア「なんだと?」
キラ「どういうこと? あの動き、今まで本能のままに暴れまわっていたキオとはまるで別人だ」
ファラ「言ったねキラ。今のキオは蓄積してきた戦闘技術を全て忘れてしまったって」
キラ「は、はい」
ファラ「つまりそれは初めて会った時と同じ。なにもわからない生まれたての赤ん坊に戻っただけなんだ。
だから、白紙になったキオの脳に、もう一度戦闘技術を叩きこめば、あの子は必ず蘇る!」
チリン、バチン!
再び鳴らされる鈴と鞭の音。それにキオは機敏に反応した。
キオ「イエッサ師匠!!」
キラ「僕の声には耳一つ貸さなかったキオが、ファラ先生の鈴を聞いただけであんなに従順に……それだけ二人の間には深い信頼があるのか!?」
シャア「妙なことを……鈴による精神制御か? なら厄介なことになる前に倒す!」
キラ「サザビーのチャージ! まずい、トドメを刺す気だ!」
ファラ「やらせるかい!
チリン、バチン!
キオ「!?」
ファラ「氷だ! 氷になるんだよキオ!」
キオ「こ、こおり……?」
ファラ「そうさ! 人の持つ暖かい感情を捨て去り、冷血冷酷冷徹の氷の精神しかもたない、
冷たい首を狩るだけの機械になるんだ! そうしなければシャアには勝てないよ!」
キオ「氷の……精神!」
88オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2021/02/14(日) 18:49:25.41ID:T1ddCNra0
~~キオの回想~~
ゼハート「お前は力を持った私に嫉妬していたのだろう…本当は俺もお前が羨ましかったんだ…」
アセム「ゼハート……」
キオ「ね、ねえファラ先生、本当にやらなきゃダメ? いくら敵でも、アセム兄さんの友達の首を目の前で狩るなんて……」
ファラ「甘いよキオ! アンタはヤツの喪男の人生に同情しているのだろうけど、
ヤツはそんなアンタの優しさも関係なしにこれからも壁を叩くだろう! そして多くの近隣住民が迷惑する!」
キオ「そ、それは……」
ファラ「やるんだキオ! 暖かい感情は捨て去れ! 氷の精神で首を狩るんだ!!」
~~回想終わり~~
キオ「そうだ、僕はあのとき……」
/ 首首首首 \
/ 首首首首首首 ヽ
|首首首首首首首 |
| 首首首首首首首|
/ 首首首首首首|
(_ 首首首首 ノ
`つ /
( |
 ̄ ̄)____亅←キオの脳内
キオ「僕は……!」
/ 氷の精神 \
/ 首首+首首首 ヽ
|首首勝利首首首 |
| 首首||首首首首|
/ 残虐ファイト|
(_ 首首首首 ノ
`つ /
( |
 ̄ ̄)___亅←キオの脳内
キオ「氷の精神、インプット完了!」
シャア「なにっ!?」
サザビーのチャージを、AGE-FXは冷静に受け流した。
その無駄のない機械のような動きに、シャアは目を見張る。
シャア「また動きが変わった……だと?」
キオ「首を狩る、そのためには……」
AGE-FXがまた背中のCファンネルに手を伸ばした。
再び投げつけようとしたその手を、鈴と鞭の音が制止する。
ファラ「違う! Cファンネルは投げつけるのではない! Xラウンダー能力で操るんだ!」
キオ「そうだ。いけ、僕のCファンネル!」
シャア「ぐうっ! このガンダムもオールレンジ攻撃を使うのか!?」
キラ「すごい……あっという間に形勢逆転した……!」
89オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2021/02/14(日) 18:50:11.23ID:T1ddCNra0
頭上で行われるキオとシャアの戦いを、キラは呆気にとられつつ見ていた。
キオの潜在能力はわかっているつもりだった。
フリットのXラウンダー能力とアセムの戦闘技量を受け継いだキオ。
まだ幼いとはいえ、その潜在能力は兄弟内でもズバ抜けている。
ファラ「そこに私直伝の氷の精神を受け継いだんだ。今の坊やはまさしく、一点の曇りもないファイティング首狩りコンピュータだよ!」
キラ「ファイティング首狩りコンピュータ!?」
シャア「ぐはあっ!!」
キオ「は、はは、ははははは」
キラ「キオが笑っている……あれは!」
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キラ「キオが首狩りを確信した時だけ見せる、伝説のキオスマイル!」
キオ「ハハハハ、楽しいなあ! もっと! もっと僕を楽しませてよ! ねえ!」
縦横無尽に暴れまわるAGE-FXのCファンネル。
もともとキラとの戦闘でファンネルの半数を失っていたサザビーでは対応しきれず、
じわじわと装甲を削られていく。
91オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2021/02/14(日) 18:54:13.92ID:T1ddCNra0
シャア「コクピットを狙う訳ではないこの戦い方……このパイロット、私を嬲り殺すつもりか!」
ファラ「やめなキオ! 私はそこまでやれとは言っていない! さっさと首を狩りな!」
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レ'∧::ヽ __ /:::::::/ \\__:]
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 ̄ ̄] l ∧:::::::::::::::::; ' / |←キオ
ファラ「あいつ……私の話も聞いてない!」
キラ「ちょっとキオ! いい加減にしてよね! さっさとシャアさん倒してヨナ兄さんのところに戻らないと」
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|::l |::::. /:::::ヽ\:::::::::|「ンン~? 誰かと思ったらさっきシャアさんにやられたヘタレのキラ兄ちゃんか」
レ'∧::ヽ __ /:::::::/ \\__:]
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キラ「なっ……!」
92オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2021/02/14(日) 18:55:13.30ID:T1ddCNra0
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|::l |::::. /:::::ヽ\:::::::::|「やめてよね。僕はさっき手も足も出ないでやられちゃったスパコー(笑)の兄ちゃんの代わりに戦ってあげてるんだから」
レ'∧::ヽ __ /:::::::/ \\__:]
└'/∧:::: ̄::::::: ̄::::::::/│ `ーr'
. r‐ / ∧::::::::::::::::::::::::/ j |
 ̄ ̄] l ∧:::::::::::::::::; ' / |←キオ
::::::::::::| | ̄ ̄\ ̄ ̄ ̄ /
ファラ「まずいね、いくら戦闘技術を叩きこむためとはいえ、少しやり過ぎちまったかい」
キラ「キオ……」
キラやファラの声にも耳を貸さず、一方的に攻撃を続けるキオ。
あたかも子猫が小動物を殺すときのような、無邪気な残酷さでシャアを追い詰めていく。
キオ「ほら、腕だ! 脚だ! バックパックだ!」
シャア「ぐああああああ!」
キオ「あ~あ、大分壊れちゃったな。つまんないの。じゃ、そろそろ首を狩ろうかな」
バチバチを火花をあげるサザビーに無警戒に近づくキオ。だが
シャア「あまり……」
キオ「ん?
シャア「調子に乗らないことだ、ガンダム!」
キオ「え……」
顔をあげたサザビー。その腹部では、拡散メガ粒子砲が既にチャージを終えていた。
シャアはただ一方的にやられていたのではない。
虎視眈々と、反撃の機会を伺っていたのだ。
93オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2021/02/14(日) 18:56:13.79ID:T1ddCNra0
ファラ「まずい! いくらガンダムでもあの近距離でモロに喰らっちゃ……避けるんだキオーーーー!!」
キオ「そ、そんなこと言われたって」
シャア「もう遅い! 好き勝手やってくれたが、これで一機、落とした!」
キオは撃墜される恐怖で思わず目を瞑った。
「キオーーーーーーーー!!」
そんな彼の耳に、自分を呼ぶ誰かの声が聞こえた。
続いてやってくる衝撃。だが妙だ。いつまで経っても、身体をミンチにするほどのダメージがこない。
キオが恐る恐る目を開けた。
するとそこには
キラ「ぐ、うううう……」
キオ「キ、キラ兄ちゃん……?」
シャア「なんだと……? ビームが発射される直前、私と彼の間に割って入ったというのか、ガンダム!」
キラ「ぐはっ……あっ……。あ~~キツ、セーフティーシャッターが無かったら即ミンチだったよ」
ビームの直撃を受け、ボロボロになったストライクフリーダム。
そのコクピットでキラはいつものようにぼやいた。
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|::l |::::. /:::::ヽ\:::::::::|「キラ兄ちゃん……どうして、僕をかばって……」
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ファラ「それが兄弟に対する優しさと思いやりだよ」
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|::l |::::. /:::::ヽ\:::::::::|「オモイヤリ……ヤサシサ……」
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95オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2021/02/14(日) 18:59:21.28ID:T1ddCNra0
ファラ「そう、それが私がアンタに唯一教えてやれなかった、愛情というヤツだよ、坊や」
キオ「アイ……ジョウ……」
/ オモイヤリ\
/ 首ヤサシサ首 ヽ
|首首+首首首首 |
| 首アイジョウ首|
/ 首首||首首 |
(_ 兄弟の絆!ノ
`つ /
( |
 ̄ ̄)____亅←キオの脳内
キオ「兄弟の絆、インプット完了!!」
キオ「あれ? ここ、どこ? え、どうしたのキラ兄ちゃん!? そんなボロボロになって!?」
キラ「キオ……まったく遅いよ、元に戻るのがさ」
キオ「え? え? 僕、なんかしたの?」
ファラ「二人とも! 気を抜くんじゃない! シャア・アズナブルはまだ終わってないよ!」
ファラの檄をうけ、とっさに振り返る二人。
だがそこにシャアの姿は無い。ただ空のコクピットと、乗り捨てられたサザビーがあるだけだ」
キラ「いない……? シャアさんはどこだ?」
シャア「やれやれ、兄弟の絆か。私にとっても久しく忘れてた感情だ」
その時、商店街の奥にある扉が開いた。
奥にある格納庫から現れたのは赤い異形のMS、ナイチンゲール。
シャア「だが、おかげでこの機体を取りに行く時間が出来た。感謝しなければいけないな、君たちにも、この機体を用意してくれた誰かにも」
キオ「見てキラ兄ちゃん! ナイチンゲールの後ろの格納庫!」
キラ「あれは……なるほど、アムロ兄さんたちが一昼夜無補給で戦い続けられた理由はこれか」
格納庫の中にあったのは、無傷のνガンダムとサザビーがそれぞれ1ダースほど。
おそらくはフル・フロンタルが用意したのだ。
アムロとシャアをここで釘付けにし、なおかつ万全の状態でガンダム兄弟とぶつけるために!
キオ「大丈夫? まだやれるキラ兄ちゃん? もしキツかったら僕だけで……」
キラ「やめてよね! 弟の癖に僕を気遣うのは。もうちょっとカッコつけさせてよ。僕だって、お兄ちゃんなんだからさ」
シャア「ふっ、ならば二人で来たまえガンダム兄弟。今度こそ、決着をつける!」
キラ・ヤマト【ストライクフリーダムガンダム】&キオ・アスノ【ガンダムAGE-FX】
VS
シャア・アズナブル(CCA)【ナイチンゲール】
リベンジマッチ開戦――!
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最終更新:2023年05月09日 12:27