215オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2021/07/24(土) 16:48:32.36ID:cB+B8des0
 AM07:50

 ガンダム兄弟は敗北した。

 学校の外縁でデビルトミノ軍団と戦っていたカミーユらは、その圧倒的物量の前に打ちのめされた。
 アルレットたちは地下に潜んでいたフル・フロンタルを地上に引きずり出すも、
 ネオ・ジオングと彼の執念の前に敗北。
 唯一、アクシズ落下を阻止できるはずのユニコーンガンダムを撃破された。
 そして、兄弟の敗北はこの二か所にとどまらない。


 日登町西区
シロー「こいつら、ビーム兵器が効かない!?」
コウ「敵はヘビーメタルだ。全機ビームコート持ちってことか、某ロボゲー風に言うと!」
ガロード「くっそ! サテライトキャノンさえ使えりゃこいつらなんて……いや、アクシズだって撃ち落としてやるのに!」
セレーネ(スターゲイザーで観測中)「学校上空のワームホールが開いた状態で安定した……まさか、アルレット姉さんたちに何かあったっていうの!?」
シーブック「ベラ! マザーバンガードで学校に突撃できないのか!?」
ベラ「無理よ。警察署への進行作戦で一度使ってしまったし、無理をすればオーバーヒートで自爆するわ!」
セイ「打つ手なしってこと……?」
セカイ「糞っ! せっかくデビルガンダム倒してユウマの父ちゃんも助けたっていうのに!」

 デビルオージェと戦いつつ、セカイは悔し気に空を見上げた。
 そこには、もはやここからでもはっきりと見えるアクシズの姿があった。


 アクシズ外縁

ブライト「ラー・カイラムとレウルーラで、アクシズを押すんだよ!」
ナナイ「無茶を言わないでください、ブライト艦長!」
キラ「今計算してみたけど、戦艦2つをぶつけたところでアクシズは止まらないよ。
   むしろ弾みがついて、落下が早まるだけだ」
ギュネイ「ったく、地上の奴らは何やってんだよ! どうしてワームホールを閉じない」
クェス「そうだよ。アタシたちとっくに大佐を助けたっていうのにさ」
チェーン「先ほどまでワームホール周辺で観測されていたサイコフィールドが消えました。おそらくは」
アムロ「やられてしまったか、バナージ……!」

 ブリッジで、アムロは悔し気に唇を噛んだ。
 その視線の先には、それでもアクシズを止めようとする奮闘する弟たちの姿があった。

キオ「νガンダムとサザビーの首、置いてけえええええ!!」

 宇宙を走るCファンネルが、10数機のνガンダムとサザビーの首を刎ねる。

ヨナ「こいつら、アクシズ内部にあったMS! モビルドールだったのか!」
リタ「どいてーっ! わたしたち、アクシズを止めなきゃなんないんだから!!」

 しかし、増援は止むことなく、続々とアクシズから出撃してくる。
 そのすべてが、リタにワームホールを閉じさせまいと妨害を仕掛けてくるのだ。
 一糸乱れぬ波状攻撃の前に、さすがのフェネクスも思うように動けない。

ファラ「なんて周到さ、フル・フロンタルは目的のためにどれだけの保険をかけてたんだい!?」
デュランダル「ナナイくん、すまないが地上のフロスト兄弟に連絡は取れるか?」
ナナイ「それは構いませんが、なにか策が?」
デュランダル「ここまで来れば策と呼べるほどのものはない。ただこうして手をこまねいているわけにもいかない。最悪の結末だけは避けるためにも」
シャア「ああ、そうだ。日登町とともに町の住民たちも消え去る。そんな最悪の結末を許すわけにはいかない。たとえ、どんな犠牲を払っても……」

216オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2021/07/24(土) 16:49:19.20ID:cB+B8des0
 学校:北防衛線

シャギア「そうか、宇宙もそんな有様か」
オルバ「悲惨なのはどこも同じだね、兄さん」
シャギア「そうだな、我々もどうにか鉄華団の連中と合流出来たはいいが」

昭弘「こいつら、次から次へと湧いてきやがる……!」
シノ「見た目はモビルワーカーとそうそう変わんねえくせに、マンガみたいな動きしやがって!」

 デビルプロメウス、デビルガバメントといったウォーカーマシンの大群に包囲される鉄華団。
 それに加え、もともと強襲作戦を得意とする彼らに防衛戦は不向き。徐々に追い詰められていく。
 そして、

ハッシュ「抜かれた!」
デュオ「飛行型がそっち行ったぞ、大将!」
オルガ「ユージン、対空砲火しっかりやれ! 全員衝撃に備え……ぐあっ!」
メリビット「きゃああ!」

 デビルドラン数機の自爆特攻によって揺れるイサリビのブリッジ。

オルガ「ユージン! 状況は! 状況を知らせろ!!」
ユージン「今のでエンジンをやられた! まずいぞ、このままだと沈む!」
ビスケット「どうする、オルガ!」

オルガ「ちっ……」ギリギリと唇を噛み締める。「全員、艦を降りる準備をしろ。撤退戦に切り替える」
ユージン「徹底戦って、いいのかよ」
オルガ「いいも悪いもねえ。ここで死んだらそれこそ無駄死にだろうが。おやっさん、俺のMSを……」

 艦長席から立ち上がり、振り返ったオルガ。その彼の目に飛び込んできたのは、黒ずくめの女の姿だった。

死神「あらその顔……とうとうあなたにも私が『視え』ちゃった?」
オルガ「…………!」

 オルガに向かって怪しく微笑みかける死神。だが彼は、あえて彼女を無視するように脇を通り過ぎた。

オルガ「見えねえよ。俺には何も見えねえ! おやっさん、俺の獅電を用意しろ。撤退戦の殿は俺がやる!」
死神「止まるつもりはないってことね。ふふ、だからあなた達が好きなのよ」

 徐々に高度を落としていくイサリビ、そこから次々と脱出していくモビルワーカー。
 最後に白い角付のMSが出て、戦艦は地上に沈んだ。

オルガ「MS隊はモビルワーカーの進路を確保しろ! 全員踏み潰されんなよ、とくにビスケット!」
ビスケット「わ、わかった!」
オルガ「諦めねえぞ俺は……こんなところで、くたばってたまるか」
オルバ「どうやら鉄華団は逃げ出すことを決めたらしいね」
シャギア「賢明な判断だ。ここはまだ我々が死ぬステージではないからな。加勢するぞ」
オルバ「了解兄さん。……というわけで僕たちでは君の期待に応えられそうにないよデュランダル。東防衛線はどうだい」

217オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2021/07/24(土) 19:57:22.42ID:cB+B8des0
 学校:東防衛線

ロックオン「どうしたライル! さっきから外しまくってるぞ!」
ライル「そうは言うがよ兄さん。こいつらポンポンワープしまくって……!」

 バイタルジャンプを繰り返すデビルグランチャー軍団に苦戦するソレスタルビーイング。

ティエリア「点でダメなら面で制圧すればいい!」

 プトレマイオスの甲板に立つラファエルガンダムはGNビッグキャノンを展開、
 迫りくるデビルトミノ軍団に向かって大出力のビームを放った。だが

カトル「ダメです! ビーム兵器は効果が薄い、ほとんど数を減らせてません!」
ハレルヤ「こいつらどっちもバリア持ちかよ! 俺たちにゃ相性最悪な相手だなあオイ!?」
アレルヤ「こんなとき、刹那がいてくれれば……!」

 小虫のように襲ってくるオーラマシンの大群、そのオーラバリアに苦戦するアレルヤは思わず弱音を漏らした。

スメラギ「有利な相手を選ぶよう学習したのね、デビルトミノ軍団は。くうっ!」
フェルト「GNフィールド、突破されました!」
クリス「デビルオーラバトラー、来ます。……なにこれ、大きい!」
リヒティ「なんだあの赤いヤツ……デカすぎる! ホントにオーラバトラーっすか!?」

 先陣を切ってやってきたのは、ハイパー化したレプラカーン。
 デビルレプラカーンは剣先にオーラを纏い、プトレマイオスに容赦なく斬りかかる!

アニュー「きゃ!」
ミレイナ「ハ、ハイパーオーラ斬りですううう!」
イアン「ヤバいぞ! 今ので格納庫に穴が開いた! このままじゃ小っこいのがドンドン入ってくる!」
スメラギ「イアン、モレノ先生を連れてブリッジに来て今すぐ!」
ラッセ「逃げねえのかスメラギさん」
スメラギ「逃げてどうするの! 思い出しなさい、私たちの後ろに誰がいるのかを!」
フェルト「私たちの」
ミレイナ「後ろにですか」
スメラギ「私たちの後ろにはアル君がいるのよ! 半ズボン姿のアル君が!」
アニュー「あっ……」
スメラギ「私たちは逃げないし、必ず生きて帰る。生きて……アル君に膝枕で頭ナデナデしてもらうんだからーー!!」
リヒティ「スメラギさん、またアル中を発症して……」
ラッセ「まあ士気が高いのはいいことだがよ」
フェルト「せめて、近距離戦が得意な南防衛線のシャッフル同盟と合流できれば……」

218オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2021/07/24(土) 19:57:50.52ID:cB+B8des0
 学校:南防衛線

チボデー「Shit! 当たらねえ!」
ジョルジュ「『時間停止』に『透明化』、オーバーマンがこれほど厄介とは!」
サイ・サイシー「オイラたちにとって天敵みたいな相手だねこりゃ」
アルゴ「苦戦の理由はそれだけではない」

 そういってアルゴはちらりと後ろを見た。

ヴィダール「マクギリイィィィィィス!!」

 デビルトミノ軍団にわき目もふらず、ガンダムヴィダールはガンダムバエルに襲い掛かった。

ヴィダール「久しぶりだなマクギリス。まさかこんなところで会えるとは!」
マクギリス「失礼、どなただろうか。申し訳ないが君とは初対面だと思うが」

 マクギリスの言葉に、ヴィダールは激昂して仮面を外した。

ガエリオ「よく見ろマクギリス。この顔を、忘れたとは言わさんぞ!」
マクギリス「おや、ガエリオじゃないか。久しぶりだな。君がアルミリアのパンツを盗んだ時以来か」
ガエリオ「それを貴様が謀ったんだろうがあああアアアアアア!!(怒)」

 烈火のように怒り狂いながらバエルに襲い掛かるガンダムヴィダール。
 その踵落としをバエルは軽々と回避する。

チボデー「何をやってんだアイツらは!」
アルゴ「どうやら因縁の相手のようだな。それがたまたま出会ってしまったか」
サイ・サイシー「だからって今ここでケンカを始めることないだろ!」
妹蘭「どうやら戦士の決闘のようだな。ならばその立ち合い、私がやらせてもらう!」
五飛「頼むから煽らないでくれ……」
ジョルジュ「アクシズ落下まであと10分足らず。中央の落下阻止作戦はどうなっているのでしょうか」

219オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2021/07/24(土) 19:59:33.13ID:cB+B8des0
 日登町:学校

リリ「ええ、そちらはわかりました。それで、使われていない裏山のシェルターの状況は」
ハロ長官「リリ君……」
リリ「長官! ご無事でしたのね」
ハロ長官「ああ。寸でのところでマスターアジアとドモンくんに助けられた。おかげで生き恥を晒すだけで済んだよ」
リリ「それでも生きて帰っていらしただけ、幸いですわ」

 ドモンたちに両脇から支えられながら立つハロ長官
 ボロボロになった彼の胸に、リリは額を押し付けた。

ハロ長官「それで、各戦線の様子は?」
リリ「よくありません。まず、西戦線のガンダム兄弟との連絡が途絶えました」
ドモン「なんだと!?」
東方不敗「落ち着けドモン」
ハロ長官「そうか……あそこはもっとも敵の攻撃が集中していたからな」
リリ「他にも北の鉄華団は戦艦を落とされ、こちらに向かって撤退中。東のソレスタルビーイングはまだ持ちこたえていますが」
ハロ長官「時間の問題ということか。南は?」
リリ「まだ戦闘中です。ですが、一部の機体が同士討ちを始めたとかで……」
ドモン「何をやってるんだ……!」
東方不敗「こうも戦闘が長引けば、心を乱すものも現れるということだ」
リリ「そして、ネオ・ジオングですが……」
ハロ長官「見ていた。ガンダム兄弟は――敗北したな」
リリ「ええ、一時は撃墜寸前まで追い詰めましたが、我々をアクシズの破片から守るために」
ドモン「…………」
リリ「その後ネオ・ジオングは動いていません。こちらに攻撃を仕掛ける様子もないようです」
東方不敗「それはそうだろう。ユニコーンガンダムを倒した今、ヤツの目論見はほとんど達成されたのだからな」
ハロ長官「そして、我々の運命もな」

 そういって長官は上空のアクシズを見上げた。

ハロ長官「町の外から、連絡はあったか?」
リリ「いいえ、残念ながら」
ハロ長官「そうか。やはり間に合わなかったか……」
リリ「今、私たちを守ってくれているサイコジムのバリアーは、アクシズの落下にも耐えられるのでしょうか」
ハロ長官「それはわからない。だが」

 長官は悲し気に首を振った。

ハロ長官「そんな神様の奇跡に頼らなければならないようでは、どのみち我々は滅ぶしかないのかもしれないな」

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最終更新:2023年05月15日 13:10