580マリナ、ネコを飼う2023/01/18(水) 01:11:48.48ID:uClEndry0
マリナ「ふう、すっかり遅くなってしまったわ。早く帰って夕飯の支度を……あら?」
???『……ゃ~』
マリナ「声? 路地裏から?」
???『にゃ~』
マリナ「まあ、ネコちゃん。どうしたのこんな夜更けに。一人なの?」
???『にゃ~……(胸に書かれた「拾ってください」の文字)を指す』
マリナ「かわいそうに。あなた、捨てられてしまったのね。……いいわ、いらっしゃい」
あくる日の
喫茶M&S
メイリン「それでその捨て猫拾ったんですかマリナさん」
マリナ「ええ。ダメもとで大家さんにお願いしたら特別に許していただいてね。アパートで一緒に暮らしてるの」
ルナマリア「ええ~! いいな~ネコちゃん! ねえ今度ここに連れてきてくださいよ」
マリナ「もちろんいいわよ。あの子も誰かに遊んでもらった方が楽しいでしょうし……くしゅん!」
メイリン「あら、風邪ですか?」
ネーナ「最近寒くなってきたし、マリナのアパート壁も薄くて隙間風も入ってくるしね~」
ルナマリア「気を付けてくださいよ~。マリナさんはM&Sの大黒柱なんですから」
マリナ「そうね、気をつけなくちゃ。確か押し入れに
湯たんぽがあったから探さないと」
刹那「湯たんぽか……」
その夜 マリナのアパート前
刹那「刹那・F・セイエイ、GN湯たんぽのミッションへ出撃する!」
フリット「ちょっと待ったー! マリナさんは僕がAGEシステムで設計した、この対ヴェイガン殲滅用高級羽毛布団であったまってもらうんです!」
刹那「フリット!
マリナ・イスマイールは戦争兵器による安眠を望まない!」
フリット「刹那兄さんこそわかってください! 人はヴェイガンの脅威が無くなってこそ安心して眠れるんです!」
呂布「ふん! こんな寒さなど、我が熱き魂で吹き飛ばしてくれる! 待っていろ貂蝉!!」
シャア「いい加減にしろ貴様ら! 揃いも揃って私の母たるマリナさんをイヤらしい目で見るんじゃない!」
刹那「いやらしいのはお前だ
シャア・アズナブル! マリナ・イスマイールはお前の母ではない!」
フリット「そうです! マリナさんは僕のお母さんですよ!」
呂布「貴様の母でもあるまい小僧!」
シャア「ええい、こんなところで小競り合いをするつもりはない! 一刻も早く、マリナさんは私の暖かいマンションへ連れ帰る!」
刹那「GN湯たんぽが
ガンダムだ!」
フリット「ガンダムとは救世主、つまり僕です! 僕がマリナさんを救うんだ!!」
呂布「魂イイィィ!」
押し合いへし合いながらマリナの部屋へなだれ込む4人。
そんなこととは露知らず、マリナはスウスウと平和そうに寝息を立てている。
刹那「刹那・F・セイエイ、布団の中へ突入する!」
集団から一歩抜け出し、マリナの眠る布団へ手を伸ばした刹那。
だが、ふとんをめくった時、マリナの隣に丸まっていたのは……
エラン「?」
4人「「「「え?」」」」
「「「「うわああああアアアアアア!!!!」」」」
581マリナ、ネコを飼う2023/01/18(水) 01:13:39.94ID:uClEndry0
シーリン「やっぱり! うるさいと思ったらまたアンタたちだったのね!」
フリット「た、た、た大変ですよシーリンさん! ままま、マリナさんのふとんに知らない美少年が……!!」
エラン「…………」
シーリン「美少年って……一体だれのことを言ってるの?」
マリナ「うう、ん? ……あら、騒がしいと思ったらどうしたのみんな。こんな時間に私の部屋を訪れて」
呂布「説明しろ貂蝉! どうして俺以外の侠がお前の寝具に潜り込んでいる!」
マリナ「侠って……ああ、この子のこと? 可愛いでしょう?」
エラン「ゴロゴロ」
呂布「俺の前で頭を撫でてイチャイチャするなアアアアアア!!」
キャスバル「う、ウソだよね母さん! 母さんが僕を見捨てて若い男に走るはずが……!」
刹那「(返事が無い。ただのメタルのようだ)」
ジジット「ふが……ふが……」
シーリン「ちょっとは落ち着きなさいあんたたち! 動揺しすぎて幼児退行起こしたりメタル化したりおじいさんになったりしてるじゃないの!」
呂布「ならば説明しろ! こいつは一体誰だ!」
エラン「…………」
シャア「そ、そうだ! せめて納得いく説明をしてもらおう。私たちを出し抜いてマリナさんと同棲しているこの彼の正体は……」
シーリン「彼って……だからネコじゃない」
フリット「……は?」
刹那「ね、ネコだと?」
マリナ「ああ、そうか。だからみんなこの子を見に来たのね、今日喫茶店で話したから」
合点がいったようにマリナは大きく頷くと、傍らにいる美少年の肩を抱く。
マリナ「この子が最近拾った私の飼い猫。可愛いでしょう?」
エラン「にゃあ」
フリット「にゃあって……」
4人「「「「えええええええええええ!!??」」」」
次の日 喫茶M&S
ネーナ「え~~! この子が昨日言ってたネコなんだ~!」
ルナマリア「カワイイ~~! 連れて帰りた~い!」
メイリン「ちょっとお姉ちゃん! 独り占めしないで私にもだっこさせてよ!」
マリナ「うふふ、順番ね順番。この子がびっくりしちゃうから」
エラン「(無表情)」
ルナマリア「クールなとこも氷の君って感じでカワイ~!」
フリット「こんなの絶対おかしいよ……」
呂布「どう見てもただの人間のガキにしか見えん……」
シャア「それも猫耳と肉球手袋と肉球スリッパを履いただけのな」
刹那「この世界は歪んでいる……!」
582マリナ、ネコを飼う2023/01/18(水) 01:18:01.60ID:uClEndry0
メイリン「そういえばこの子って名前
あるんですか?」
マリナ「名前……そう言えば考えてなかったわね」
エラン「(チョンチョン)」
シーリン「あら、何か欲しがってるわ」
マリナ「紙とペン? これが欲しいの?」
エラン「(サラサラ)」
メイリン「わ、すごい! この子自分でペン握って文字書いてる!」
ルナマリア「ひょっとして天才猫!?」
シーリン「何か書いたわね。ええと、4号? どういう意味かしら」
マリナ「あ、ひょっとして、これってあなたのお名前?」
エラン4号「(コクコク)」
ネーナ「へ~、あんた4号っていうんだ」
シーリン「でも、名前があったってことは、やっぱりどこかで飼われてたってことよね」
ルナマリア「ひどいよね~4号ちゃん。こんなカワイイ子、一体どこの誰が捨てたんだろうね~」
その頃、ペイル家では
ベルメリア「ただいま帰りました」
エラン(本物)「おっせーよ! で、見つかったのかよ4号は!?」
ベルメリア「いいえ、近所の方に聞いて回ったのですけれど、誰も見ていないようで」
エラン5号「やっぱり遠くの方まで逃げちゃったんじゃない?
日登町とか」
エラン(本物)「ったく、どうして逃げ出したんだよ4号のヤツは!」
ベルメリア「それはあなたが『失敗作は殺処分だ~!』とか言って、あの子にビームライフルを突きつけたからじゃありませんか?』
エラン5号「うわ~ドン引き~」
エラン(本物)「ちょ、ちょっとふざけただけだろ! ていうかどうすんだよ! 明日は中間テストだぞ! あいつがいなきゃ俺が受けるハメになるじゃねーか!」
ベルメリア「それはまあ、ご自分でなんとかしていただければと」
エラン(本物)「ざけんなよ! 勉強なんてアイツに任せっきりで全然してないっつーの! そうだお前!」
エラン5号「ぼく?」
エラン(本物)「お前明日学校いってテスト受けろ! 4号の代わりに!」
エラン5号「別にいいけど、多分赤点だよ思うよ。ぼく、専門はナンパの替え玉だから」
エラン(本物)「そうだったーorz」
ベルメリア「はあ、4号は元気かしら。ちゃんとご飯は食べてる? さみしい思いをしてないといいけど」
再び喫茶M&S
ルイス「はーい4号ちゃんおやつでちゅよ~」
エラン4号「(モグモグ)」
ルー「ちょっとちょっと、次は私の番だって!」
メイリン「すごーい、4号目当てにどんどん女性のお客さん入ってきますね」
ルナマリア「久しぶりの満員御礼ってカンジ?」
シーリン「いっそ猫喫茶としてリニューアルするのもありかもね、こうなってくると」
ネーナ「もっとも、こっちが盛り上がってる代わりにあっちはすごい空気になってるけどね」
フリット「イライラ」
呂布「イライラ」
シャア「イライラ」
刹那「イライラ」
カテジナ「ほっときなさいよ。どうせ、大好きなマリナさんが猫に取られて嫉妬してるだけでしょ」
ある日マリナ・イスマイールのもとへ転がり込んだ捨て猫ことエラン4号。
その正体が本物の猫なのか、それとも猫になりすましただけの強化人士なのかは誰も知らない……。
刹那「4号……お前こそが世界の歪みだ……!」
呂布「すっかり貂蝉に取り入りおって……!」
シャア「私だってマリナ母さんにナデナデされたいのに……!」
フリット「いつか絶対化けの皮を剥いでやるからな!」
マリナ「さて、そろそろお店も閉まるし私たちも帰りましょうか。今日のごはんはお肉? それともお魚? どっちがいいかしら」
エラン4号「……どちらかといえば魚?」
フリット「ていうか普通に喋れるの!!?」
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最終更新:2023年05月29日 12:26