19魔女と花嫁と稲妻
垢版 | 大砲
2023/02/28(火) 23:37:25.88ID:dKh8Z+T70
スレッタ「事業買収、ですか?」
ミオリネ「そ、ウチがやろうとしてるGUND技術の医療転用。だけど技術的にはまだ全然確立してないでしょ?」
スレッタ「い、一応この前、自動で動く義足の実験はやりましたけど」
ミオリネ「あんなの趣味の範囲よ。ペイル社から技術者は来てくれたけど、このままじゃ事業化には程遠い、まだまだね」
スレッタ「それで事業買収」
ミオリネ「そう。ネオジオン社に、義手と義足を通じてMSを思ったとおりに動かす実験をしてる部署があるのよ。そこを買収したってワケ」
スレッタ「MSを思ったとおりに…あ、それ確かにGUND技術と似てますね!」
ミオリネ「その通り。おまけにもうサイコザクって成果品と、それを生産・運用する設備も出来てるって話だから」
スレッタ「まさにうってつけじゃないですか!」
ミオリネ「まあMSを思ったとおりに動かす技術なら、他に阿頼耶識とかインテンション・オートマチック・システムとかもあったんだけど」
スレッタ「あ、三日月とバナージのガンダムに使ってるヤツだ」
ミオリネ「阿頼耶識は安全性が確保できないし、インテンション・オートマチック・システムはアナハイムの独占技術だからさすがに手が出なかったのよね」
スレッタ「でもネオジオン社は買収できたってことですよね? ネオジオン社もアナハイムと同じくらい大企業なのに」
ミオリネ「ふふん、それは私の交渉スキルのたまものってヤツよ」
スレッタ「すごい! さすがミオリネさん!」
ミオリネ「まあね。おかげで予想の5割の額で買収できたわ」
スレッタ「え、5割って半額ってことですか?」
ミオリネ「そうだけど、それがなに?」
スレッタ「さすがにそれはちょっと安すぎるような…何か騙されてるんじゃ」
ミオリネ「ハア? この私が不良物件掴まされたって言いたいの?! 言っとくけどちゃんと調査したんだからね!
     経営状況に問題なし、問題行動を起こす社員はゼロ、これのどこが騙されてるってのよ」
スレッタ「べべべ、別にミオリネさんのことを疑ってるワケじゃないんですけど、ただ」
ミオリネ「ああ、ちょっと待って。営業に出てたマルタンから電話だわ。はい、もしもし。どうしたの? 契約は取れたの?
     …ハア!? 忙しいからって追い返された!? 話も聞いてもらえずに!? なにやってんのアンタ!」
スレッタ「ひ!」
ミオリネ「相手の迷惑なんて考えてどーすんの! 何の実績もない私たちに出来るのは押して押して押しまくる、攻めの営業しかないでしょうが!
     いい? 営業は殺るか殺られるかなの! 忙しいと言われようがいらないと言われようがとにかく喰らい付いて! 
     話を聞いてもらえるまで帰ってこなくていいから!!
     …まったく、いつまで経っても学生気分が抜けないんだから! で、なんの話ししてたっけ?」
スレッタ「マルタンさん、可哀そう…。うう、わたし営業じゃなくてよかった」
ミオリネ「は? 何言ってんの? 人員を遊ばせとくわけないでしょ。 事業が忙しくなったらアンタにも営業に出てもらうからね?」
スレッタ「ええぇ…!」
ミオリネ「丁度いい。これから買収したリビングデッド課に打ち合わせに行くから、アンタも一緒に来なさい。
     営業とはなにかを実地でみっちりしごいてあげる」
スレッタ「ひいいいい…」(;゚Д゚)ガタガタ

20魔女と花嫁と稲妻
垢版 | 大砲
2023/02/28(火) 23:38:26.05ID:dKh8Z+T70
ネオジオン社 リビングデッド課事業所
スレッタ「ここがリビングデッド課の事業所…思ったより新しい建物ですね」
ミオリネ「というよりプレハブ? 一応設備は揃ってるけど、一昔前の機材を無理やりかき集めてきたって感じね」
スレッタ「でも、職場にラジオでポップスが流れているのはいいですね。株式会社ガンダムのオフィスでもやってほしいなあ…」
ミオリネ「ハ? やるわけないでしょそんな無駄なコト。ったく、大企業の傘下だからってたるんでたみたいね。買収したらこういうとこから直していかないと」
マイ「おやスレッタにミオリネ社長。奇遇ですね」
ミオリネ「げ」
スレッタ「あれマイ兄さん! どうしてここに?」
マイ「僕の所属するヨーツンヘイムとリビングデッド課は同じネオジオン社だからね。ちょくちょく技術協力に行き来してるんだよ。君たちは?」
スレッタ「わたしはミオリネさんの付き添いで」
ミオリネ「私たち、今度リビングデッド課を事業買収することにしたの」
マイ「事業買収…なるほどここを買ったのはスレッタたちだったのか。うん、いいと思う。確かにリユース・P・デバイスのコンセプトはGUNDアームと近いからね」
ミオリネ「今日はそのリユース・P・デバイスの開発責任者と打ち合わせに来たのだけど」
マイ「ああ、それなら。おおい、ダリル!」
ダリル「やあマイさん来てたんですか。うん? そちらの二人は? まだ学生のようだけどヨーツンヘイムのインターンですか?」
スレッタ「あ、あのはじめまして! わたしたち、株式会社ガンダムのスレッタ・マーキュリーと」
ミオリネ「株式会社ガンダムCEOのミオリネ・レンブランよ」
ダリル「株式会社ガンダムってウチの新しい雇い主の…! し、失礼しました!」
ミオリネ「ごほん。今日はリビングデッド課の視察を兼ねて、リユース・P・デバイスの現状についてミッチャム博士にお話を伺いに来たのだけど」
ダリル「カーラですか? カーラならそろそろ学校から帰ってくる時間だけど」
スレッタ「学校?」
カーラ「ただいまー」
ダリル「あ、丁度良かった。帰ってきたみたいです」
カーラ「パパただいま。あ、マイお兄ちゃんも久しぶり!」
マイ「やあカーラ。しばらく会いに来れなくてすまなかったね」
ミオリネ「…あの、あなたが本当にカーラ・ミッチャム博士? リユース・P・デバイスとサイコザク開発者の?」
カーラ「うん、カーラはカーラだけど…お姉ちゃんたちだあれ?」
スレッタ「え、ええとね、お姉ちゃんたちはね」
ミオリネ「(小声)ちょ、ちょっとどういうつもり! あの人どう見ても20歳超えてるわよね? あれはふざけてるの!?」
ダリル「(小声)いや、ふざけているわけじゃないです。真剣ですよカーラは」
マイ「(小声)実は色々あって、カーラ博士は精神が子供に戻ってしまってるんだ」
ミオリネ「(小声)…マジなの?」
ダリル(小声)マジです」
カーラ「それでね、こっちのサイコザクはカーラが作ってね、今はパパがパイロットをやってるんだ~」
スレッタ「へ~! すごいねカーラは!」
ミオリネ「はあ、信じるしかないみたいね。どうりで半額で買収できるはずだわ、肝心の責任者が子供になったら開発どころじゃないものね」
ダリル「いえ、子供なのは心だけで知能や知識は以前通りですから、開発は問題なくできます」
マイ「むしろ精神が子供に戻った分、昔よりも柔軟な発想に磨きがかかったって評価されてるくらいなんですよ」
ミオリネ「え? じゃあなんでネオジオン社はこんなに安くここを手放したの?」
ダリル「それは…その、きっと俺のせいです」
ミオリネ「あなたが? ふうん、なら打ち合わせがてら事情を聞きましょうか。カーラ博士もあなたが一緒の方が安心でしょうし」
ダリル「わかりました」
ミオリネ「ああ、それと打ち合わせ中はラジオも切ってくれる? 集中したいから」
スレッタ「あれ? 音楽が変わった。これって…ジャズ?」
ミオリネ「ハア。あのね、私はラジオを切れって言ったの。チャンネルを変えろとは一言も…」
ダリル「いや違う。俺は確かに電源を切った。これは外から聞こえる音楽だ!」
ショーン「や、やばいぞダリル! ジャズが聞こえたってことは…営業が来た合図だ!!」
ミオリネ「え、営業?」

21魔女と花嫁と稲妻
垢版 | 大砲
2023/02/28(火) 23:39:12.19ID:dKh8Z+T70
イオ「どーもー! おはようございますリビングデッド課のみなさ~ん!! わたくし、毎度おなじみビーハイブ社バイトのイオ・フレミングでーす!!
   今日も元気に営業に参りました~!!」
ショーン「ま、まにあってま~す!!」
イオ「またまた~! そうおっしゃらずにお話だけでも聞いてくださいよ~。今日ご紹介したい品は…当社の新商品、6連装ロケットランチャーでございま~す!」
フィッシャー「だから間に合ってるって言ってんだろボケが!」
イオ「あ~! さては威力を疑ってますね? ならば実演販売でその威力をお確かめくださ~い!!」
ビリー「ああクソ! やっぱり今日も撃ってきやがった!!」
ミオリネ「ちょ、な、なによあのガンダム!? いきなり攻撃を仕掛けてきたんだけど」
ダリル「あれは近所のビーハイブ社に所属するガンダムです。こうして2、3日に一回強引に営業を仕掛けてくるんで困ってるんですよ」
                         バ カ
ミオリネ「いやどこの世界に実演販売で実弾撃ってくる営業がいるのよ!」
マイ「あ、この声にこのジャズ、やっぱり来たのはイオだったか」
スレッタ「紹介しますねミオリネさん。あのガンダムに乗ってる人、わたしのお兄さんです」
ミオリネ「しかもアレに乗ってんのアンタの兄弟!?」
イオ「ど~ですか、建物を一瞬でぶっ壊すこの威力! 今ならさらに、このロケットランチャーもプレゼント!」
フィッシャー「くっそ、あの野郎のべつ幕無しに撃ってきやがって!」
カーラ「うう~せっかくみんなで立て直した新しいオフィスがボロボロだよ~」
                     おうせん
ダリル「心配するなカーラ! あいつとは俺が商 談する! ダリル・ローレンツ、サイコザク出るぞ!」
イオ「へ、来やがったな義足野郎! 今日こそはぶっ殺…もとい契約させてやるぜ!!」
ダリル「させるか! せっかく新しい雇い主も見つかったんだ。カーラもリビングデッド課のみんなも、俺が守る!」
マイ「あ、見てくださいミオリネ社長。あの赤いザクがリユース・P・デバイス装備高機動型ザク、通称サイコザクですよ」
スレッタ「わ~すごい運動性能! ホントに思いのまま動かしてるって感じですね!」
ミオリネ「ちょっとアンタたち! MS同士の戦闘が始まってるってのになにボーっと見物してんの!?」
マイ「いやあ、この町じゃMS戦は正直もう慣れっこというか。特にあの二人は日登町でも一、二を争うほどよく殺し合ってますし」
スレッタ「それに被弾したからって、たかがミンチになるだけじゃないですかミオリネさん」
ミオリネ「いや、ミンチになんて絶対なりたくないからね普通の人間は!?
     そうだ、あのガンダムのパイロットが兄弟なら、アンタたちが説得したら引いてくれるんじゃないの?」
スレッタ「う~ん、それはどうでしょうか」
マイ「多分イオの性格だと、僕たちがここにいると知ったら逆に狙い撃ちしてくると思うんですよね」
ミオリネ「なんで!? 兄弟なんでしょ!?」
マイ「まあ兄弟ですけど、それ以前に僕らはここの部外者ですから。僕たちが狙われればサイコザクは立場上庇わなきゃならない。
   そこで出来た隙を狙ってくるでしょうねイオなら」
スレッタ「あ、それわたしも思った! ダリルさんっていい人そうだもんね!」
マイ「なので、無駄にミンチになりたくなければ隠れて観測しているのをオススメしますね僕は」
ミオリネ「もうやだ…この町のヤツらミンチに慣れ過ぎてみんな倫理観おかしい…!」
イオ「契約しないなら死ねダリル・ローレンツ!!」
ダリル「契約取れずに死ぬのはお前だイオ・フレミングうぅ!!」
スレッタ「すごい…あの二人、MSで戦いながら営業トークしてる…!
     相手の迷惑を考えず押して押して押しまくる、殺るか殺られるかの戦い…ハッ! これがミオリネさんが言ってた攻めの営業!?」
ミオリネ「絶対違うからね!?」

22魔女と花嫁と稲妻
垢版 | 大砲
2023/02/28(火) 23:40:22.06ID:dKh8Z+T70
そして数時間後
イオ(FAガンダム半壊)「では、今日はこの辺りで失礼いたしますね。命拾いしたなクソ野郎!」
ダリル(サイコザク半壊)「ええ、またお待ちしておりますね。今度こそ殺してやるからなブタ野郎!」
マイ「…どうやらFAガンダムは帰ったみたいだね。もう隠れてなくてもいいようだよスレッタ」
スレッタ「良かった。なんとかミンチにならずにやり過ごせましたねミオリネさん!」
ミオリネ「ええ、よかったよかったって…言う訳ないでしょバカなのアンタは!」
スレッタ「ひい!?」
ミオリネ「よ~やくわかったわ、ここが半額で買えた理由! さっきみたいに営業と称してMSが襲撃を仕掛けてくるからなのね」
ダリル「ええ、そうです。あいつが襲ってくる度俺が応戦してるんですが、何分みんなを守るので精一杯で…」
カーラ「いっつも建物や設備が無茶苦茶に壊されちゃうんだよね」
ダリル「その度にネオジオン社にかけあって修繕費を出してもらっていたんですが、先日、これ以上の費用は出せないと遂に言われてしまって…」
ミオリネ「そりゃそうでしょうね、こんな戦闘が2、3日に一回のペースで続いてたら」
ダリル「でも株式会社ガンダムがウチを買い取ってくれると聞いて安心しました! これでみんな、路頭に迷わずに済みます!」
ミオリネ「いや、何か期待してるようだけど普通にムリだから。こんなド級の地雷物件買える訳ないでしょ。
     ったく騙しやがってあのロリコンシスコンマザコンのコンプレックス三重苦! すぐに電話して契約の破棄を…!」
マイ「ええっ!? まさかミオリネ社長、買収を取りやめるおつもりですか!?」
ショーン「勘弁してくれよ、ここを追い出されたら俺たち、行く当てなんてねえよ!」
フィッシャー「この年で再就職ってキツすぎるよな…」
デンバー「こんなに長いことリビングデッド課に尽くしてきたのに…」
カーラ「ねえパパ! リビングデッド課無くなっちゃうの!? カーラ、みんなと離れ離れなんてイヤだよ!」
ミオリネ「うっ、こ、これはビジネスなんだから…そんな湿っぽい目で見られたって流されたりは…」
スレッタ「だ、大丈夫ですよ皆さん! ミオリネさんはこう見えて、すっごいやり手の経営者なんです!
     株式会社ガンダムだって一瞬で経営プランを組み立てて、いろんな社長さんから投資を集めたんですよ!」
ミオリネ「いや、待ってスレッタそれとこれとは話は別だし出資金だってクソ親父のおかげで何とか集まっただけだし」
スレッタ「わたしはこれまでたっくさんミオリネさんに助けてもらいました。
     だからきっと、リビングデッド課のことも『任せろォい』って言って助けてくれますよ! ね、そうですよね、ミオリネさん!」
ミオリネ「い、いやだからちょっと待っ」
スレッタ(期待に満ちたキラキラした目で)「『ま』?」
ミオリネ「ま、ま、ま、任せろォい…!」
カーラ「やったーーー!!」
スレッタ「よかった、これからは一緒に働く仲間ですね。よろしくお願いします皆さん!」                                                 
ダリル「ああ、よろしく頼むよスレッタ。それにミオリネ社長! 俺たち、これから精一杯働きますね!
                                しゅうげき 
    とりあえず、明日はビーハイブ社にこっちから 営 業 を仕掛けるぞ!」
フィッシャー「おお!」
ショーン「ぶっ壊されたリビングデッド課のオフィスの恨みだ! ビーハイブ社も廃墟にしてやる!」
スレッタ「あの、良かったら私も営業にご一緒させてください! 皆さんの攻めの営業、私も学びたいんです!」
ミオリネ「いや、営業なんてかけなくていいから! かけるにしてもせめてMSを使わない平和な営業にして! お願いだから!」
スレッタ「え? でもミオリネさん営業は殺るか殺られるかだってさっき…」
ミオリネ「あれは比喩だから! 本当に営業で殺し合いをしろなんて一言も言ってないから!!」
ビリー「そうは言うけどミオリネ社長。こっちはあいつの営業のせいで何人もの社員がミンチになってるんだぜ?」
ショーン「そうだ! ならこっちも営業を仕掛けて、向こうの社員をミンチにしなきゃ気が済まねえよ!」
ミオリネ「だから止めなさいって言ってるでしょ!
     営業されたからって営業して、営業したから営業されて…それで最後は本当に平和になるの!?」
マイ「なんだかどっかで聞いたことあるようなセリフですねそれ」


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最終更新:2025年04月08日 16:09