カミーユ「おまえの脳みそは筋肉でできてるのかって訊いてるんだ!!」
ドモン「なんだとぉ? カミーユ、かかって来い!」
カミーユ「ああ、修正しまくってやるっ!」
ドンガラガッシャーン ガシャガシャパリーン
ロラン「おまえらっ、場所をわきまえろおおおぉぉぉ!!」
シーン……
カミーユ「ロランが」
ドモン「切れた」
ピッ……ピッ……ピッ……ポ~ン♪
《9時になりました。ムルタ・アズラエルの、『時間です』。
本日は月の女王様こと
ディアナ・ソレル様をゲストにお迎えしての1時間。普段訊けないあんなことや
こんなこと、たっぷりとトークしていただきます。ではディアナ様、よろしくお願いします》
《よしなに》
シュウト「はー。いいお湯だった。アル~、シロー兄ちゃんが風呂に来いってさ」
アル「分かった、すぐ行くよ」
シュウト「兄ちゃんたち、なんで黙々と片付けしてんの?
あーなるほど。テレビに女王様が出てる」
《アズラエル「ディアナ様は政治経済のほかに月と地球の友好の架け橋としても大活躍なさっておいでですが、こうご多忙ですと、いい男性との巡り合いも難しいのでは?」
ディアナ「そうでしょうか。たくさんの方々と出会えますし、楽しいですよ?」
アズラエル「これはこれは、お上手ですね。では……」》
ヒイロ「番組開始早々に直撃か。さすがはブルーコスモスの盟主だ」
ロラン「今日もディアナ様はお美しい。でも好きな人がいるとおっしゃられたら、どうしよう……。
ああ、やっぱり見るのが怖い」
カイーユ「オレは、ロランが怖い」
ドモン「意見が合うな。とっとと片付けを終えて、テレビが終わったら、ふたりで謝ろう。
……心の底から」
《ディアナ「ええ、そうですね。恋を抱く感情はありますよ。わたくしも皆様と同じ人間なのですから」
アズラエル「それは、現在進行形で気になるお方、もしくはお付き合いしている男性がいらっしゃると取ってもよろしいので?」》
ロラン「ああ無理だ。見てられない……」
ヒイロ「感情で動くのは正しい。だがここは見届けてこそ男だ。しかしアズラエル、……やるな」
《ディアナ「はい。気になるお方は……あなたです」》
カメラ目線のディアナ様を見て、ロラン卒倒。
ヒイロ「おい、しっかりしろ」
《アズラエル「本当にお上手だ。人類みんなを愛する、とても美しいですね。……では、CMです。」》
その後、月の女王様からロラン宛てに一通のお手紙が届いた。
覗き見しようとしたジュドーが月光蝶の繭に封印され、ロランが卒倒して謝る機会を失ったカミーユとドモンも、巻き添えになった。
ウッソに録画予約してもらっていた番組を何度も見返しながらロランは丁寧にお返事をしたため、その姿を見た刹那も影響を受けて、お手紙を書いた。
マリナ・イスマイール
貴女がこれを読んでいるとき、俺はもう仕事に……。
俺は知りたかった。なぜ、世界はこうも恋なのか。その恋はどこから来ているのか。
なぜ、人には無意識の恋というものがあるのか。
なぜ、その恋に気付こうとしないのか。なぜ、人生すら狂わせる恋があるのか。
なぜ、人は恋し恋されるのか。なぜ、恋で傷つけあうのか。
なのになぜ、人はこうも恋しようとするのか。
俺は求めていた。あなたに会えば、答えてくれると考えた。俺と違う道で、同じものを求める貴女なら。人と人が解り合える道を。その答えを。
俺は、求め続けていたんだ。
ガンダムと共に。
最終更新:2020年01月19日 00:03