クロノスは、ゾアロードが頂点となり結成された世界規模の結社である。元は
アルカンフェルの命令により、
バルカスがほぼ主導でクロノスの組織運営している状況にある。
クロノスでは、アルカンフェルの威光もあり、基本的にはバルカスを立てているが、心の底からその意志に従っているゾアロードは少ない。それも当然で、バルカスは古株というのと、バルカスに選ばれたというだけの組織特有の空気を読むだけに過ぎず、ゾアロードとしては同列であり、人選の意味では偶然?選ばれたバルカスよりは優秀であるという自負もある。よってわざわざバルカスに心酔して従う理由はない。そのような理由から、クロノスは現在分裂状態にある。
クロノス設立当初
クロノスが設立されたのは400年前とされており、このときはすでにバルカスはゾアロードになっていた。バルカスは調製技術などをアリゾナの制御球から学び取り、それをクロノスの支配基盤とした。これはクロノスという組織ではもっとも重要であり、現在としても超越的な科学水準にあるクロノスの科学力は、400年前では余計に神懸かり的に見えたことと思われる。
組織作りでは、信望よりもいかにして支配するかに念頭が置かれた。そのことで実験などに対する一切の倫理観は無くなっている。
組織の規模はまだ小さく、裏組織としてしか暗躍できなかったが、権力構造は今と変わらず揺るぎないものだった。ではなぜ設立当初に世界を支配できなかったのかであるが、それにはいくつか理由があったと思われる。
クロノスの計画
クロノス=アルカンフェルの計画は宇宙に進出し
降臨者に対する復讐?を果たすことである。そのために必要な人員を揃える必要があった(数億人程度の
ゾアノイド)。そこでクロノスとしては、地球の人口が増えるまで待つことになった。だがそれなら、クロノスが当初から表舞台に立ち、主導的に人間を支配しつつ人口を増やしても良かったように思われる。なぜなら、人口が増えれば増えるほど、戦時に抵抗力が強くなり、人口が少なかった時期に比べればリスクはかなり高くなる。
それが出来なかった理由は、まずアルカンフェルの不治の休眠病が頻発かつ長期化したこと。バルカスが主導的役割になったのもこのせいで、いかにバルカスでも独自の判断で全ての事を成すのは無理があった。一説には、アルカンフェルの休眠がゾアロード選出の遅れも引き起こした可能性がある。
クロノスの路線変更
クロノス組織はアルカンフェル中心であったが、それでもまだ余裕があった。もし、最初から表社会でクロノスが君臨していたら、頂点のアルカンフェルが休眠したとたん、現在のような内乱が起き安くなる。表社会で君臨するのも、安定的にその力が発揮されてこそでもある。
クロノスはアルカンフェル中心で動いており、それは休眠状態でもある意味同様だった。クロノスはアルカンフェル不在でも何とかその組織運営を安定化すべく路線を変更した。それは、裏社会で暗躍したまま地球を牛耳ることである。直接的に表社会で君臨よりも手間がかかるが、やり方によっては良い面もなくはない。
まず、人口増加計画は実行せず自然増加に任せた。そのことで、バルカスはゾアノイドの研究と、さらなる
ゾアロードの選出に注力することができる。人口増加に時間はかかるが、逆にそれは時間を作れたことになり、より慎重に計画性をもってより優秀な人材を捜すこともできた。そして、アルカンフェルの休眠状態の治療にも時間を割くことが可能になった。
また、表社会で君臨する場合、組織運営には膨大な労力が必要となり、裏社会を牛耳るだけならそれに忙殺される
こともない。
Xデーに向けての準備
人口が増えたら、それだけ戦う相手が増える。それはクロノスにとっても大変なことである。表社会より戦力規模が落ちる場合にはそれなりの手を打つ必要がある。
まず、権力機構の中枢を牛耳るの、あるいは把握する行動を起こした。それは時代によっては王そのものだったり、その側近だったりと、とにかく権力の上を部分的に支配し、クロノスの不利になることを封殺する程度の力は得た。
ある程度の権力があれば、クロノスという組織が何をやっているかを隠すことも容易になる。ゾアノイドのことも当然隠され、Xデーの時の戦略で優位に立つことができる。
しかし、クロノスが悠長に構えている間に、表社会ではあまり歓迎できない出来事が起きた。それが科学力上昇に伴う軍事的破壊力の極端な向上である。これはさすがにクロノスにはマイナスであるはずだった。その場合、クロノスの権力である程度科学力向上を抑えると予想されたが、その様子は歴史上あまり見られなかった。
時に宗教的な支配により科学の向上が抑えられもしたが、逆にそれは人間力の低下を招き、必要な人口増加も望めないことを知ったのか、逆に科学を小出しにしてきたのかもしれない。
勘のいい人間なら、少しの情報でもそこから重要な発見・想像力に繋げることができ、降臨者から進化上与えられた屈強な精神と理知に沿う理想的な状態となり、結果的に人口増加へと繋がった。
クロノスは表には決してでない組織であったため、人間が切り開いた文明は、それが独自のものと考えることもできた。人間の向上心により自分が最も頭が良いと思えるプライドにも繋がりやすく、隙もできる。クロノスがそこまで意図したかはわからないが、どんなに表社会の教育水準が高まっても、まだ大きく開きがあるクロノスと表社会の科学力の差さえあれば十分圧することが可能とクロノスは踏んでいた。
クロノスの組織運営
クロノス組織では、エリート育成と恐怖による支配の使い分けが行われた。エリートには監査官と呼ばれる未調製の人員がおり、かなり優秀な人間を集め(おおよそ募集であろうが、拉致した可能性もある)、功名心をうまく利用し、組織運営のために尽力させた。
彼らが裏切らないのは、裏切った場合には恐ろしいことになることや、金銭・地位面で相当優遇されるなど、優秀であるがゆえに従うしかないと思いこんだかもしれない。それでも中には裏切った人間もいただろうが、ことごとく誅殺されたことからも、裏切ることは極端に厳しい行為でもあった。今のところ未調製で裏切り生き残っているクロノス組織員は
ヴァルキュリアぐらいしかいない。
未調製の人員支配では、科学者などにウィルスを植え込ませ、その特殊な抗体はクロノスにしか作れないという縛りを与えた。科学者でも監査官のように功名心や裏切りを許さない姿勢により縛ることはできただろうが、監査官と違いその知識が漏洩してしまうと、その科学者を始末しただけでは足りず、技術の漏洩封じに相当な労力を要することになる。そのリスクヘッジをするためのウィルス注入であり、一定期間内に抗体を得なければウィルスは爆発的に増え命がなくなることは相当の恐怖でもあった。しかし、それをものともせず抗った山村教授などもおり、完全とはいかない場合もある(山村教授の場合は、
超存在の情報を得た事情もあった)。
最終更新:2011年07月15日 17:29