「アミロペクチン第一章-10話~国境~」
先生のお腹でぬくぬくしていた私はいつの間にか寝ていたらしい。
もう外が明るい。そしてかなり寒い。フレシュはまだ熟睡中である。
私は寒さをこらえ、テントの外に出てみた。霧が立ち込めている。
木の根に用を足した後、先生を探してみた。
霧でよく見えないが岩の向こうに人影が見える。
「先生?」
「おお、お前か。どうした、どうした。」
「先生、私はエシスシルでうまくいっていけるのでしょうか。しかも一人で・・・。」
「大丈夫じゃ。米への熱い思いをもっていれば生きていける。」
「エシスシルで一人で米粉パンを広めるのですよ・・・。」
「大丈夫、大丈夫。米粉パンを広めるという夢があるのじゃろう。
米をつかなければ餅は出来ない。何事も始めなければ終わらないのじゃ。」
「ぬぁぁぁ!」テントの中から声が聞こえた。フレシュが寒さに震えているのであろう。
我々は焚き火をし、簡単に朝食を済ませた後、再び出発した。
一日の間にこれほどまで進んだのかと驚いたが、
もともとサトゥール村は標高が高いため、その分早く着くのだ。
とうとう雪が見えてきた。空気も薄い。
「おい、そろそろ馬に乗らないか。」
「何を言っているんです先生、こんな急勾配では馬では登れませんよ。」
という案配で馬には乗れない。
「なんですかね、アレ。」
「ん?あれは・・・関所ではないか!」
「とうとうスターライトなんですね!」
北の大陸の南部の国々、フルス・スターライト・ノルニア・スプンタティア・エシスシルは
ノーデン友好協力条約というものを結んでおり、国々の出入りが自由なのである。
我々は関所を越えた。わずか二日で着けるとは、意外とスターライトと近かったのである。
次回はスターライトの地図と共に宿を探そう。
ではSehen wir uns wieder.
用語集
- Sehen wir uns wieder.・・・ドイツ語で「また会いましょう。」
最終更新:2011年02月12日 21:56