「アミロペクチン第二章-25話 ~田植えの季節~」


 皐月上旬、田植えの季節である。
私は今、フリュアの“ベルツベーカリー”というパン屋にて米粉パンを焼いている。
どういう経緯を経てこのようなことをしているのかじっくり説明しよう。
              ◆
 エシスシルに入国した私はその後も数泊しながらシャーダラ街道を進んでいった。
途中で惜しくもエンルガ郊外の牧場へティアナを預けた。
しかしこれはカピカトル様の命令である。
そして、手配してくれた家があるフリュアへ向かった。
 フリュアに到着した私は家を探した。
そこは木造3階建てアパートメントであった。しかし新築のようである。
そして私の部屋となる201号室へ入った。
 その後も数人、どんどんとこのアパートメントに入居してきた。
新築であるからなのであろう。そして数日後、入居者全員の招集があった。
その招集にて分かったことだがこの米粉パンを広める活動は
サトゥールだけで行うわけではなかったようだ。
どうやらフルスのコメタリア運動の団体が共同で行っているらしい。
そして「パン屋で米粉パンを作り、販売する」ということになり、
私はフリュア西部、ウェシスピリン川と南リム街道に挟まれた場所にある
“ベルツベーカリー”へ行くことになったのだ。
              ◆
 「おい、何分焼くんだっけ」
「25分だ、25分。ちゃんと覚えておかねば」
何分焼くのか私に聞いた男はアルベルト・フォン・シュルツである。
彼は私と共に“ベルツベーカリー”に勤めることになった、
フルス東部のフート・レプーカ出身のコメタリア主義者である。
同じ年であり、部屋が隣同士であって、
同じアンデット・フィフスファンだということもあり我々は意気投合した。
今では共に酒場へ行ったりしている。
彼のことは後々書きたくなくても書かなければいけなくなるであろう。


用語
  • コメタリア主義者・・・コメタリアン、米食主義者のこと。


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最終更新:2011年03月12日 18:47