ゲルトルートが音声センサーで高周波の音波を感知したから僕が様子を見に来た所だ。
「ゾンビだらけで特に何もなさそうだけど・・・。」
「・・・ハルジ、人間の可聴範囲外の周波数で音が出てる。」
テタルティがビットを展開している、こうやって音を振動に変えて観測しているのだ。
「そうか、発信源は特定できるかい?」
「無理、音が周囲に反響してる、それに音源が何個かある。」
「そうか・・・。」
今連れているのはテタルティとデフテラの二人だ。
僕は中庭の噴水の前にたどり着いた。
今のところは特に変わったところはない。
「・・・音が止まった。」
「・・・気のせいだったのか?」
「あ!あそこ!」
デフテラが指差した。
「本当だ・・・共食いしてる。」
向こうの噴水で3人のゾンビがゾンビを食べていた。
「何アレ、体中に口がある。」
「変わった生物だな、多分図鑑にも載っていないだろうね。」
向こうにいたゾンビはこっちを向くと、全身の口を大きく開けた。
「まずい!テタルティ!前方に壁を展開しろ!」
「了解。」
テタルティを繋げ、壁を作る。
壁が構築された数秒後に周りのゾンビが叫び声をあげた。
「な、何だ?」
「人間の可聴範囲を大幅に越えた周波数の音を大音量で流してる、まともに食らったら頭蓋骨が共振して破裂する、ホラ。」
壁の前にいたゾンビがうめき声をあげて破裂した。
「・・・ワーオ。」
デフテラが言葉を失う。
「成程、数人で同時に声を出すことで人間の出せる音量を越えた音が出せる訳か。」
「納得してる場合じゃないでしょ。」
「ああ、行くぞ。」
僕はデフテラを槍の状態にし、テタルティの壁を前に走り出した。
「これなら自慢の声も届くまい!」
僕は1体目のゾンビに槍を突き立てる。
「テタルティ!」
壁をビットの状態に戻すと残り2体のゾンビに突き刺した。
「・・・やったか。」
「そうね。」
「でもこんな個体が出るなんて、一体どうなってるんだ。」
「帰ってゲルトルートに報告しよう。」
最終更新:2011年03月18日 17:38