「アミロペクチン第二章-34話 ~北の風~」


 リリーさんがリムへ帰ってから2週間後。夏真っ盛りの葉月第一週目である。
昨週、私はベルツベーカリーから帰ってきて部屋で安らかな眠りに着いていた。
確か…午后八ツ刻の頃だったと思う。
              ◆
 ドンドン。誰かがドアを叩いている。
安らかな眠りを邪魔された私は少々怒りを覚えながらドアを開いた。
「おい、これ見ろよ」
「なんだ、シュルツか。俺は忙しいんだ、後にしてくれ」
「忙しいって、寝てるだけだろ。それよりホラ」
そしてシュルツはこれを見せた。
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 これは週刊WorldWeek葉月第一週号である。読んでいただけたであろうか。
このように千載一遇の大チャンスがもうすぐやってくるのだ。
え?読めない?冗談はやめてほしい。え?冗談じゃない?
 すまない。君たちはパウダー王国民であった。
ノーデン語が読めないのは当たり前だ。
 では簡単に説明しよう。
現在、北の国ヴァルでは冷夏が続いているらしい。
ご存知の通りヴァルは麦生産世界一である。そのため外国に輸出している。
何処の国か。それは地質、気候上、麦が作りにくい我々ノーデン人の国である。
そしてヴァルから輸入できなくなれば飢饉を起こすやもしれない。
 そこで米である。米は現在、需要に比べて少々余剰に生産している。
この小麦危機によって米を見直してくれるかもしれないのだ。
そしてパンの味を忘れられない彼らは米粉パンを買うに違いない。
考えるだけでワクワクする。これで薔薇色の人生へまっしぐらである!
              ◆
 そして葉月第二週目になった今日、またシュルツがドアを叩いている。



用語
  • 午后八ツ刻…午後八時。


  • そんなに人生上手くいったら苦労しないよ、全く。 -- アドルフ・ガーランド (2011-03-25 18:49:32)
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最終更新:2011年03月25日 18:49
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