実況がいよいよ決勝戦だと言う事を叫び、俺は服の裾を気にしながら闘技場の真ん中に立った。

決勝戦は「ゾンビ百人組手」らしい。

用は100体のゾンビをどんな方法を使ってもいいから倒せばいいらしい。

どんな方法を使ってでも。

「さあ、心の準備の方はOKか?今伝説が打ち立てられようとしている!」

俺は銃を構え、犬笛をポケットから取り出した。

「実況!本当に「どんな手段を使っても」倒せばいいんだろ?」

実況は答える代わりに手で丸印を作った。

「よし、ならばこちらも全力で「ショー」を盛り上げるとするか。」

「3!2!1!」

実況がカウントダウンを始めた。

「レディ・・・・ゴー!」

天井が開いて上からゾンビが落ちてくる。

どうやら数で圧倒するつもりらしい。

ならばこちらも「数」を増やそうではないか。

「カモン!出番だ!」

犬笛を吹き、アーサーを呼び出した。

赤と黒の入り混じった魔法陣からアーサーが飛び出してくる。

「出番?」

アーサーは拳銃を両手に持つと俺の後ろに立った。

「これで4丁拳銃ね。」

「威力ならそれ以上だけどな。」

引き金を引くたびにゾンビがただの肉片に変わってゆく。

硝煙と薬莢が周囲にばら撒かれ、銃声と歓声で包まれる。

やはり俺にはこれが一番楽しい。

「間違って私に当てないでよ?」

アーサーはそう言うとドスを懐から取り出してゾンビの群れに飛び込んだ。

次々と斬り倒されてゆくゾンビを後目に俺も銃を撃つ。

残り1匹、だが落ちてこない。

やっと落ちてきたのはゴウリキ1体だった、

アーサーが下敷きになったような気がするのだが問題ないだろう、猟犬の隊長ともあろうものが簡単にゴウリキ程度のゾンビに押しつぶされるような事はないだろう。

思った通りアーサーはゴウリキの足元から這い出てきた。

「はあ・・・死ぬかと思った。」

「寿命以外で死なないだろ、お前。」

「そう?で、このデカブツどうするの?」

「安心しろ、一発で「沈めて」やる」

俺はフェンスを使って飛び上がった。

「全てを打ち砕く黄金の鉄槌・・・喰らえ!Δ(デルタ)・ハンマー!!」

魔力を三角錐の形に展開し、自分ごと目標物に叩き込む。

槌というよりは槍に近いのだが、そこは突っ込んではいけないと言われた。

ゴウリキの胴体に風穴が開き、ゴウリキは地面に倒れた。

「さて、賞金貰ってさっさと帰るぞ。」

「でも良かったの?私を呼んで。」

「いいんだよ、「どんな手段を使ってもいい」んだからな。」

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最終更新:2011年04月16日 10:23