ロビーには大きなテーブル。
大きなテーブルに並ぶのはたくさんの食器と料理たち。
取り巻く椅子は、数え切れず。
先ほどの放送が流れてから数分もしない間にポツリポツリと空いた椅子が埋まり始めた。
まず、イチヤ。
さっそうと現れると、テーブルの上のチキンをひょいとひとつまみして、バレない様に
こっそりと口を動かす。
それから、コウ。
あくびをしながら出てくると、口を動かすイチヤを見つけて声を上げる。
「あぁああぁあ!そこのばけもん、何食ってるんすか!まだ全員そろってないっす!」
見つかるわけがないという自信からか、イチヤはいざ見つかるとパニックに陥り骨をのどに詰まらせる。
「ば、ばけもんじゃないよお・・・ポプリだよ・・・」
ゲホゲホとせき込みながらも訂正する。
コウの怒鳴り声に気づいたものが数名走ってやってくる。
「「・・・なに、してんの?」」
4人が一斉に疑問符を並べた。
聞くまでもなく、そのことは解った。
慌てて水を探すイチヤと、それを満足そうに見つめるコウがいたから。
「水ならここにあるよ~」
ひょい、とイチヤの前に伸びた手。
その手に握られていたのはコップ1杯の水。
「あ、ありがとお~。マスターはやさしーね!」
そう言いながらコップに手を伸ばしたが、ミントは渡す様子を見せない。
「何をしたか、正直に吐きなさい。ね?」
どす黒い笑みが見えた。
「あんまりにもチキンがおいしそうだったから食べちゃったんだよお~」
えへへ、と笑うイチヤにコップを渡すと、ミントは困った顔をする。
「人数分しかつくってないから、イチヤにはもうチキン当たらないなあ・・・」
「うぇえぇえ!?」
他の四人はそのやり取りを見てただニヤニヤしているだけ。
すると、奥の方からコツン、コツン、と歩く音。
ヒールを履いた、ユエノだった。
隣には、これまた困り顔のロウが立っていた。
「ちょっと、ロウ。わたくしのエスコートくらいしてくださらない?」
「そ、そんなこと言われてもね・・・。僕はこう言うのに不慣れなんだよ・・・」
困っている、というよりショげているようだった。
相当焦っているのか、階段を降りるのに足がもつれてヅルンと後ろにのめって転んでいるのは、誰が
どう見ても変なピエロである。
「ち、ちょっと!誰かどうにかしなさいよね!」
罪悪感を感じながら、ユエノはテーブルに集まる数名に向かって叫んだ。
それ見たことか、とため息をつきながらそこに向かったのは敦眞。
「お手をどーぞ。」
意外そうな顔をしたかと思うと、フン、と満足そうに鼻を鳴らすとユエノはテーブルの方へ。
「参りましたね・・・」
ははは、と笑いながらロウは後ろ頭を掻いていた。
それから、後を追うようにしてテーブルへつく。
。
ドタドタと走る音。
叫び声
「てるちゃんいくよー!ほらほら!僕の隣に座ってよ!」
弥散に手をひかれて困っているテル。
「え。え。ええ?」
「おや、テルちゃんのお出ましですね」
ふふ、とロウが笑う。
強引に弥散に手をひかれ、強引に椅子に座らされる。
右隣には満足そうな弥散。
左隣には、ロウ。
そのまたロウも満足そうで。
ふいにテルが口を開く。
「・・・一弥さんとリヴォルブさんは?それから、ヴィルさんと・・・ケイさん?」
「おうおう。ここに居るぜ?」
視線が集まったのは、壁掛け時計の下の人。
頭の後ろに手を組んで気だるそうにするヴィル。
「わても混ぜてくれへんの?」
その後ろからひょっこり顔を出したのはケイ。
「ケイ姐さんも、ヴィルさんも早く座ろうよー!」
地面に着かない足をバタつかせながら弥散が呼ぶ。
「こらこら。弥散に決定権はないでしょう」
「だって僕の所属するギルドだもーん」
どうやら弥散が所属した次点でそのギルドは弥散の天下のようだ。
やれやれ、とロウがため息をつくのが聞こえた。
「ほな遠慮なく~♪」
テルたちとは反対側の席に腰を掛ける。
「ふう、お待たせしました・・・」
今度は扉のほうから声が聞こえる。
毎度おなじみ白いヅラ。
「お菓子も集めてきたよー」
大きなことを成し遂げたような笑顔で手を振る黒髪紳士。
リヴォルブと一弥。
「これは・・・僕も食べれるかなあ・・・?」
それと、後ろに一人。
「あとでですよ。獅槻さん」
獅槻と呼ばれた人物は少し項垂れてから顔をあげる。
「じ、じゃあ僕冷蔵庫にもっていきますね!」
「重いから気をつけてくださいね!」
よろける獅槻を見ながらリヴォルブが彼の背中に向かって叫ぶ。
全員が戻り、席に着いたときには時計の針は午後7時を指そうとしていた。
「さて―」
リヴォルブがグラスを高く掲げて一呼吸置く。
そして、大きく声を上げる。
「ようこそ!白銀の序曲へ!・・・ いいえ。おかえりなさい!」
それを合図に沢山のグラスが天に掲げられる。
そして各自が一口一口グラスの中身を飲む。
「それでは手始めに、自己紹介でも。」
半分も残っていないグラスをテーブルに置いてリヴォルブが口を開く。
「まずは、マスターからですよね」
視線をミントに送ると、それに気づいたミントが立ち上がる。