「・・・いつまで黙ってるのよ。」
小さなテントの中に窮屈そうに座る人。
そして、少し離れたところで横たわる人。
座って救急箱を抱えたままのユエノは、重症の敦眞に声をかける。
相当不機嫌なのか、口を開く余裕がないのか、敦眞は何も言わない。
分厚いローブを重ねていても、爪はそのローブを破り肌を傷つける。
「悪かったって言ってるじゃない!ちょっと!聞いてらして?!」
何も反応を示さない敦眞にとうとう痺れを切らしたユエノ。
もともと傷はユエノがつけたものだ。
逆ギレとかいうやつ。
敦眞は、うるさいとでも言うようにユエノに背中を向けて寝返りを打つ。
「ち、ちょっと。消毒とかしないとっ・・・」
ユエノが心配そうな顔をする。
救急箱をがさがさとあさると、脱脂綿と消毒液を。
無理やり敦眞の腕をとり、消毒液をしみこませた脱脂綿を当てる。
「痛い痛い痛い痛い!」
敦眞が悲鳴に近い声をあげた。
「し、仕方ないじゃない!わたくしの所為であなたが、なんてことになったら・・・」
言葉を詰まらせる。
が、敦眞はそれどころではない。
「あ、あんた消毒液つけすぎ!傷に沁みんの!」
「なによ。手当てしてもらってるだけありがたいと思いなさいっ」
フンと鼻を鳴らすと手当てを続けた。
テントから響くのは、敦眞の悲鳴。