総評 65点
【★★★★☆】
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時間 |
シナリオ |
調整 |
操作 |
独自 |
価値 |
キャラ |
やり込み |
グラフィック |
その他 |
評価 |
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5 |
PS2ソフト大神の正当続編。シナリオとしては前作の9ヶ月後として描かれる。
もう大分前からタッチペンにマッチするだろうと言われていた基本システムに、愛くるしすぎてあざとい子犬アマテラス、前作から直接の続編で雰囲気そのままの周辺キャラクターの面々、と面白そうな要素の塊であったのだが、ゲームとして面白かったかと言われるとイマイチな出来。どうも話に入っていけない。
システム周りの方も筆しらべ一辺倒でそれ以外の工夫が見られず非常に残念。
総じてこの素材でこの出来か、と勿体無い気持ちに包まれる作品でした。
どうやら続編に続くようなので、是非次回作はまた据え置き機で見たいところ。
1:プレイ時間 【★★★★☆】
一週目18時間程でクリア。通り道の宝箱や花咲、イベント類は逃さず実施。2週目イベント全スキップにてアイテム全回収まで+5時間。
それなりにボリュームはあるのだが、「マンネリ感」「プレイ感覚の悪さ」によって長い、まだあるのか、と感じてしまう場面も少なからず存在している。×。シナリオにもシステムにももう少し起伏が存在していないと、プレイヤーも次へ進めるワクワク感が不足してしまう。
一応、2週目引き継ぎ・特典あり。追加のボスやダンジョン等は無し。
2:ストーリー(シナリオ) 【★★★☆☆】
あらすじ:
発表時の画像からスサノオの子供が相棒の時代かと思っていたがそんなことはなかった。(あまり公式は見ない)
降りかかる様々な苦難の中で出会いと別れを繰り返し、幾人もの相棒達と絆を深めてゆくことで悪たる存在に立ち向かってゆく、という物語の大筋は良い。本作のメインシステムであり前作との差別化でもある相棒システムにも生きる。◎。しかし、その中身である展開・構成に目をやれば、ストーリーのアラや盛り上げ下手な部分多々あり評価を落としてしまっていると言わざるを得ない。
本来の相棒であるクニヌシが序盤で離れ、別の相棒たちが出てくるのは話の構成として分かる。が、一緒にいた期間もそれほど長くないのにその後ラストまで一切帰ってこないのでは、帰ってきてもそこで盛り上がるほどの絆を描くには不足が過ぎる。他にも、修行に行ったキャラがそれほど強くもならずに帰ってきたり等、後への期待というなのフラグは色々と立てながら、その回収が下手糞すぎて盛り上がらせられずに終わるパターンが繰り返されてしまっている。
ラストの締め方も、次作へ繋げる手法自体は良いのだが、もう少し幸せな形で締めてもよいのではないか。メインキャラとの別れもしめっぽい旅立ちも、本作の雰囲気には決して似つかわしくない。EDで急に色々なキャラが涙を流しまくるのも泣かせる気マンマンすぎて興ざめ。そのせいで各キャラが全く「らしい」動きにみえなかったのも残念でならない。
前作であれだけ盛り上げたのが嘘のようだ。と思ってWikipediaを覗いたらやはり制作陣はほぼ総取っ替えのようだった。今回の結果を生かして次回作は頑張って欲しい。
3:難易度設定・調整 【★★★☆☆】
簡単な難易度。それは良い。この大神というシリーズにはそれが合っているというのは前作のレビューでも書いたとおり。
が、今回「一人前」でプレイしたが、雑魚が全体的に弱すぎる&雑魚の弱点が殆ど見た瞬間に分かってしまうことで作業化してしまっているのは非常に×。本作に高難度は求められてはいないが、もう少し敵によって工夫して戦う感覚が欲しい。今作はどいつもこいつも火や雷なら風、氷なら火、モノ持ってたら手放したときに切る、それいがいならとりあえずまず通常攻撃、みたいな動き方で画一的に対応できてしまう。死ぬこともまず無い。
今回武器の強化は特定の村でしか行えず、後半はそもそも強化しにいくのが非常にしにくくなる。基本的に敵が弱いのでそれでも問題無いのだが、ラスボスだけは異様に堅く、強化無し状態だと結構厳しい闘いになる(回復アイテム使いまくれば問題無いが)。一貫性のないこの調整もなんだか印象が悪い。
4:操作感(プレイ感覚) 【★★★☆☆】
戦闘に関しては一応前作と変わらないレベルで筆調べを生かしながら闘うことが可能。
しかし、前作に存在していたダッシュが無くなったのは非常に痛い変更である。
DSの表示容量の問題があるのは分かるのだが、広大なステージを4足歩行ならではのダッシュで感じるあの疾走感こそが大神という作品の魅力の中でも重要なファクターだったのは確か。それが、ぶつ切りで狭苦しいステージにダッシュ機能の削除と、正反対の方向に進んでしまったのは非常に残念。プレイ感覚としては大きなマイナスだ。また今回少し相棒を使わせすぎる仕様により、ことあるごとに相棒を降ろして筆しらべで先に相棒を移動させ、その後チビテラスをそこに引っ張るという動作が挟まってしまい、ステージ進行のテンポも悪くなっている。×。
ムービーパートが非常に多く、かつストーリーの盛り上がりが弱く眠くなってしまうのも悲しい事実。
5:独自システム 【★★★☆☆】
→相棒システム
様々な能力を持つ仲間達を載せて闘う事が出来る、と書いただけだと色々と面白そうなことができそうだが、実際は水や炎をその相棒から引けるくらいで、あとは微妙な通常攻撃の追加攻撃をしてくれるのみ。寧ろ「特定の相棒を利用しないと通れない場所」が多く、行動の制限をする為のシステムと化してしまっているのは非常に勿体無い。
もう少しハッキリと差別化し、終盤なんかは寧ろ誰かお気に入りの奴を選んで乗せていける位の方が面白いだろうと管理人は思うのだが。
→筆しらべ
タッチペンでまさに筆、な感覚になった。やりやすいし、ゾリゾリと墨を置いてゆく感触も非常に良好。
前作にはなかった筆技も追加されていて○。なのだが、十二支+猫だった分神(筆しらべを司る神々たち)たちが多少入れ替わり鯨なんかが追加されているのは、何か別の統一理由があるのだろうか? なんだか逆に統一感が無くなっただけになってしまっている気がしてならない。
→武器強化
前述の通り、必要なのか不要なのかバランス調整がイマイチ。
→薬師村
冒険中に出会った新天地を求める人や動物たちをスカウトすることで発展してゆく村。少女の心臓病イベントはよかったが、それ以外にはそれほど面白味のあるイベントもなくあまり必要性を感じられない。寧ろ追加技や武器強化がこの町でしかできないことでゲームの自由度を奪ってしまっているように感じられてしまう。
6:価値 【★★★☆☆】
購入価格:4050円
一作目から直接繋がっている物語かつ、今後の作品展開に繋がる一本のようなので、シリーズとして興味のある方はプレイ推奨。
あとは、無類の犬好きの人とか笑
システム・ゲーム性としてはイマイチの作品だったので、初見プレイ推奨はあまりできない。
また、1作目のネタバレというか紹介が随所に入るので、一作目が気になっていたりそのうちそちらも遊ぼうと思っている人には注意が必要。
7:キャラクター 【★★★★☆】
主人公チビテラスの可愛らしさは、犬嫌いでなければガチ。動きの一つ一つまであざといぜカプコン、だがそれがいい。
各分神も、今回は一作目の分神の子供達が力を貸してくれる設定なのでいずれもいちいち愛くるしい。
しかし今回敵方がカエルや魚などなんとも魅力のないボスばかりで、倒したときのカタルシスは非常に低い。加えてラスボスは今回もなんともいえないデザインである。×。一作目で有名所を大体使ってしまったとは言え、素直に妖怪にしとこうぜ。
ところで、作中で巫女の相棒がいるのだが、その子が途中で腋巫女服を手に入れ、あまつさえ終盤では空を飛ぶ程度の能力を手に入れるのは……制作陣、貴様狙ったな!?
8:やりこみ要素 【★★☆☆☆】
クリア後は一部持ち越しありで二週目だが特有の攻略対象があるわけではなく、あくまでアイテム収集くらいしかやることはない。
やり込み要素としてはイマイチ。2週目への引き継ぎがあればよいというものでもない。
9:グラフィック・アニメ 【★★★☆☆】
動物たちの愛くるしい動きに関しては今回も100点満点なのだが、やはりDSでは少々荷が重かったというのが正直なところ。
妖怪により淀んだ世界が大神降ろしで美しく清らかに変化する様がなんとも美しかった一作目だが、今作ではそこが再現できていたとは到底思えない。DSの小さな画面ゆえ、という部分もあるだろう。また、アニメ調の映像ではあるのだがそれでもCGの粗も目立ってしまっている。
前述の広大なステージ感も含めて、やはり据え置き機で制作するべき、と管理人は感じる。
10:その他 【★★★★★】
しばらくチビテラスに慣れた目でアマテラスやシラヌイを見たら非常に格好良く見える。
なんにせよ次回作が楽しみな一本ではある。
最終更新:2010年10月28日 17:27