義経紀


総評 48点

【★★★☆☆】
時間 シナリオ 調整 操作 独自 価値 キャラ やり込み グラフィック その他
評価 3 2 3 3 2 3 4 2 4 3
小畑健氏がキャラデザを手掛けているが、良くも悪くもそのことが最大の売りであり、それしかないゲーム。
もう少しじっくり作れば面白くなっただろうに……。


 1:プレイ時間 【★★★☆☆】
見かけたサブイベントのみこなして一週15時間程度。
システムが自動生成系のダンジョンを繰り返し攻略するタイプのものなので、アクションゲームであるということも加味して適度なプレイ時間だと感じられる。


 2:ストーリー(シナリオ) 【★★☆☆☆】
あらすじ:
200年以上の長きにわたって平安の都、京都はこの世の春を謳歌していた。源氏の頭領、源義朝は平清盛を頭領に仰ぐ平氏に倒れ、「平家にあらずは人にあらず」と言われるほふぉに、都では平氏は武士であると同時に貴族として平安の都を支配していた。
源氏の流れを持つものは一族郎党すべて惨殺されたが、生き残った者もいる。そう、時代を変える義朝の子2人。
一人は遥か遠い伊豆に幽閉され復讐の機会を奪われていた若き頭領・頼朝。そしてもう一人、未来義経となる牛若丸もまた、自らの出生を知らぬまま鞍馬寺へと預けられ、僧となるため日々の修行に勤しんでいたのであった――


源平合戦を軸に、妖怪や鬼・怨霊といった存在が人々を脅かす世界がベースとなっている。
こうした設定はゲーム的には必要なもので、史実を追うことを求めすぎて面白みに欠けるものになってしまっていた義経英雄伝などもある。小畑氏の絵柄も、史実に沿わせるよりは少しファンタジックな世界観の方がマッチしていて○。

が、ゲームの構成として全部で8つのステージ(MAP)を攻略する形になっており、各ステージ間の物語は書物をナレーターが読み上げる形で進んでゆく。このせいでプレイヤーは幾つかの切り出された戦闘のみを続けざまに見せられる形になり、物語性が大きく薄れてしまっている。
せっかく小畑氏の絵柄で生き生きとしたキャラが描かれているというのに、その部分(いわゆる人間的な魅力やキャラの掘り下げ)を補完するパートが圧倒的に不足しているのだ。これを勿体ないと言わずしてなんとするか。
絵柄メインのキャラゲーでありながらキャラ推しが足りていない。

シナリオとしても、世界観の相違はあっても史実を追う形をとっておきながら、ラスボスを倒すとわずかなCGムービーとナレーションの後に即スタッフロールに入り源平合戦後が全く描かれないのでは、どうしても未消化感が拭いきれない構成と言える。

ゲームの方向性に関する検討が少し足りなかったのかもしれない。


 3:難易度設定・調整 【★★★☆☆】
アイテムが使い放題なおかげで「敵に負けてやり直す」場面にはまず出会わない、アクションゲームが苦手な人でもそれほど手こずることなくプレイできる難易度になっている。だがそれがいきすぎ、回避行動の遅さによる使いにくさも手伝って、ボス戦でもタイミングを図ったり攻撃を見切るよりも、回復しながらごり押しするのが一番効果的という状態になってしまっている。
アクションゲームでありながら、テクニックを磨く楽しみが無いのは一つの魅力を捨てているも同然である。


 4:操作感(プレイ感覚) 【★★★☆☆】
全体的にレスポンスは悪くなく、プレイ感覚は良い。
ロックオンが無く連続攻撃が途中で外れていったり、回避行動の使い勝手が悪かったりと修正した方がよさそうな部分は幾つかあるものの、アクションゲームとして及第点は守れている。

問題はメインシステムで、攻略するステージが全て6~7種類程の小マップのつぎはぎでできており、繰り返し感の強いものに仕上がっている点である。サブイベントで訪れる自動生成型のダンジョンがそういった仕様であるのはある種当然でもあるのだが、ストーリー中のダンジョンまでそのような状態ではゲームの最初から最後まで似たようなことをさせられる形になってしまう。これが良くない。
ゲームを開始して数時間プレイすると、すぐ同じことの繰り返しだということに気づかされ、その先のゲーム的な楽しみが大きく減衰してしまう。


 5:独自システム 【★★☆☆☆】
基本的に他で見たことのあるようなシステムばかりで独自システムと呼べるようなものはあまり無い。△。
→仏神・曼荼羅システム
主にサブイベントをこなすことで入手できる仏神とよばれる強化アイテムをキャラクター毎に装備させることで、戦闘を有利にこなすことができる。
クリア後は主にこの仏神をコンプリートすることが主な目的になる。
……独自と呼ぶほどのシステムではないが、一応コンプリートを目指したいという気は湧いてくる。悪くない。
ただ、序盤で取り逃すと取り返しがつかない仕様はイマイチ。


 6:価値 【★★★☆☆】
管理人の購入価格:1280円
中古の値段で購入して妥当というところ。
小畑氏の絵柄が好き or 源平物語(義経)が好き であればプレイして損はないだろう。
それでも定価での購入は無い。


 7:キャラクター 【★★★★☆】
元々義経の物語には魅力的な家臣が多く、小畑氏の生き生きとした絵柄と、豪華な声優陣によりそれぞれが十分に生きている。一人しか連れて歩けないのは残念な点だが、それでも色々なキャラを連れて行きたいと思える。○。
それが売りのゲームなのだから当然といえば当然であるが。
もう少し各キャラのエピソードを増やしてあげられれば……と思わずにはいられない。


 8:やりこみ要素 【★★☆☆☆】
ゲームクリアによってサブイベントが解禁され、それまで入手不可能だった仏神を集められるようになる。
……のだが、そのサブイベントが全て自動生成ダンジョンを最奥まで行ってボスを倒すだけのものであり、そのボスでさえ雑魚敵の色・サイズ違いでしかないのでは、楽しみという点では非常に弱い。
アイテムを集めるだけのやりこみ要素。集めた後のイベントも特にない。×。


 9:グラフィック・アニメ 【★★★★☆】
3DCGによって小畑氏の絵柄を再現している。背景その他を含めてもグラフィックは良い。
時々違和感を感じるのは絵柄ゆえのものだろうか。


10:その他 【★★★☆☆】
絵柄に頼りすぎて、開発が疎かになった典型的な例とも言える。
アクションゲーム、源平合戦、の最低ラインを守ることだけが目的にされており、スタッフの創造性が発揮されなかったのだろう。惜しい作品。




最終更新:2009年01月22日 16:06
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