総評 67点
【★★★★☆】
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シナリオ |
調整 |
操作 |
独自 |
価値 |
キャラ |
やり込み |
グラフィック |
その他 |
評価 |
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ファイナルファンタジーシリーズのお家芸、インターナショナルもとい出戻り版。
とはいえ本作はシステムにおけるオリジナル版との差異が大きく、従来のそれとは少し異なる作品。
誰しもがスターウォーズを彷彿とさせるであろう世界観やムービーの数々は故意のものか。
観るゲーではありつつも、全体的な出来は決して悪くない良作。
しかしストーリーにもシステムにもあと一つ足りない構成が非常に勿体ない。
1:プレイ時間 【★★★★☆】
サブイベントあまり触らず本篇を進める形で一周30時間弱。色々やるなら二倍にも三倍にも。
PS2のRPGらしいプレイ時間ではあるが、大作RPGとしては、否FFとするには少々物足りない。
全てをトータルすれば「らしい」量ではあるのだが、逆にクリア後の要素は重すぎるものになっている。
時間が短くなったのは、追加搭載された4倍速モードによるプレイ時間の圧縮があるのだろう。
2:ストーリー(シナリオ) 【★★★☆☆】
あらすじ:
ダルマスカは、ロザリア・アルケイディアの2大帝国の領土の狭間に位置する小国であり、アルケイディアの半統治下にあった。飛空艇で大空を駆け回る義賊・空賊に憧れる少年ヴァンは、帝国の執政官・ヴェインに一泡吹かせようと、王家の宝を盗みに城へと侵入する。そこから、ヴァンは2つの帝国を巡る数奇な運命に巻き込まれていく――
本作のストーリーには足りないものが二つある。一貫した目的と、主人公の秘密だ。
個々に展開される物語には良いものが多く、特にキャラクター同士の因縁からの過程、そしてその決着にかける流れなどには良質なものが複数差し込まれている。君主と家臣、己の過去、親子、復讐に揺れる心、等々それぞれが自身の生き方と向き合いながら物語は進んでゆき、いずれも格好良く、かつ深く描かれている。○。
心の機微、行動や気持ちの兆候も随所に示されており、話が丁寧に作られていて好印象。
だが、世界情勢や大きく強い敵、果ては人知を超えた存在らにより主人公一向が終始振り回され続け、彼らに一貫した目的意識や目標が見当たらないのは大きな×。これではプレイヤーは心が休まらないし、何より主人公たちに感情移入をしにくくなってしまう。
何が正しいのかわからない苦悩を描くこと自体はよいのだが、終始そのままではいけない。
又、本作の大きな特徴として主人公の見せ場が特にないことが挙げられる。
何故こんな扱いになってしまっているのか、不思議でならない。
主人公を引き立たせる為に別の仲間に「俺が主人公だ」と語らせるのはよくある手法だが、本作ではその語らせたキャラが本当に主人公(話の焦点となるキャラ)になってしまったという、非常に稀なパターンが発生しているのだ。
エンディングで決死の行動を取り死んだのかと思わせながら最後には無事帰ってきてプレイヤーをほっとさせる、という流れすらそのキャラが担っている始末。
目的を見つけられないまま進むのも人生、彼こそリアルな青年である、という意見も見るがそれでもそれは主人公の役割では無い。単なる「普通の人」に物語は訪れないのだ。ラノベのように一般人が突然物語に巻き込まれる
ような展開はあくまで願望欲望を具現化しているに過ぎず、そのキャラでしか成しえないという「必然」が全く感じられない。
その後主人公が選ばれた秘密などが語られて初めて、その必然を感じられ話が盛り上がるのだと管理人は考える。
注意しておきたいのは、管理人は彼のキャラクターに対する批判をしたいのではなく、今回取り上げているのは彼の設定に対する批判であるということ。
今回その「必然」を感じられなかったキャラが主人公及び幼馴染だったということである。残念。
他の部分では突飛な流れや展開の無い非常に丁寧なストーリーメイクがなされているだけに、今回の流れには企画段階で何らかの方向性のぶつかり合いでもあったのだろうかと邪推してしまう。
3:難易度設定・調整 【★★★★☆】
全体的に優しめの設定がなされており、特にレベル上げも必要なく楽しめる設定が成されている。
観るゲーであるので、ストーリー中においては適した設定だろう。やりこみたい人用に強力な隠しボスも用意してある。
ただ、レベル上げがた易く、かつ倍速でプレイできるのに加え、せっかく3人の戦闘参加枠を超えてメンバー全員で自由に交代しながら戦闘できるシステムがあるのだから、その交代を必要とするような、高めの難易度設定でもよかったかもしれない。
4:操作感(プレイ感覚) 【★★★★★】
シームレスバトルの導入によって3Dゲーでよく足を引っ張るエンカウント時の読み込みなどが無く、ロード時間に関するイライラが一切無いのは非常に良い。冒険を進めるのも経験値を稼ぐのもサクサク進みプレイが楽しい。
難点は、基本的に観るゲーであるにも関わらず、ガンビットシステムによって戦闘さえ観るゲー化してしまうこと。
それでも4倍速モードによってその性質も大きく緩和されているのは良いところか。
兎にも角にも4倍速モードが素晴らしい。全てのRPGに標準装備してほしいくらいだ。
5:独自システム 【★★★★☆】
毎度独自システムだらけのFFらしく、今回も豊富。慣れにくい(使いにくい)ものは特にない。
→ジョブシステム
インターナショナル版になるにあたり追加されたシステム。
最初に選んだジョブによって異なるライセンスボードが与えられ、その後の習得スキルや装備可能アイテムなどが変化する。
オリジナル版が全員共通のライセンスボードで自由度が高すぎキャラ毎の差がほとんど無い状態であったのに対し、本作ではゲーム序盤でジョブを固定したまま変更ができない仕様の為自由度が低くなりすぎてしまった。
最初に選ばなかったジョブの装備や魔法が一切使えないまま、というのはプレイする身としては非常に残念。
また自由にジョブを変えることができてはオリジナル版と同じようになってしまうが、もう少し救いというか、稀少条件をつけての変更が可能だとか、選ばなかったものも使えるような仕組みが欲しかったところ。
→アクティブ・ディメンションバトル
フィールド移動からバトル時のエンカウントで画面が切り替わるという従来のRPGを脱したシステム。
……といっても、アクションRPGに近づいた(アクションRPGと従来のFFを足して2で割ったような)程度の印象。
ただきちんと両者の良いところを受け継いだ気持ちの良いプレイができるものに仕上がっている。
→ガンビットシステム
キャラがとる行動を事前に優先度をつけて全て設定しておけるというシステム。
しっかり設定すれば戦闘に関してプレイヤーは「観てるだけ」で良くなる程の、よくできたシステム。
ただ良くできすぎており、序盤の設定を殆ど弄らなくても終盤までいけてしまうのは△。
もう少し場面によって使い分けたりといった戦略的な要素が加わると良かった。
→召喚獣・ミストナック
FF10に近い、召喚獣自体が戦うシステム。個人的には攻撃だけで……。
又、いわゆる必殺技であるミストナックは時間ばかりがかかって威力が低く、使いでが無い。
いずれもイマイチ好みに合わない仕様であった。
→4倍速モードの搭載
本作においてシステム面での隠れた最大のウリかもしれない。
長距離移動からレベル上げまでが非常にスピーディに行うことができるようになる。
難点は作業感が出てしまうことだが、それを考慮しても十分な利益が得られる。
全てのRPGに標準搭載してほしいくらいである。
6:価値 【★★★★☆】
管理人の購入価格:2980円
オリジナル版かインターナショナル版か、と言われたら間違いなくインターナショナル版だろう。
4倍速モードによるところが大きい。
外国人声優もゲームのイメージに合っている。キャラ毎のイメージはまた別だが^^
できるなら音声に関しては切り替え機能が欲しかった。
7:キャラクター 【★★★☆☆】
企画・設定時点における主人公の扱いがあんまりではあるが、他のキャラは魅力的に・格好良く描かれている。
シリーズ共通キャラであるシドの設定に関しても少し冒険しており面白い。○。
ホモサピエンスと異種族が一つの街に共存する様や空飛ぶ方舟の造形/動きが、完全にスターウォーズなのは一応オマージュのつもりなのだろうか。
8:やりこみ要素 【★★★★☆】
定番の隠しボスは山ほどいるし、他にもサブイベントは豊富。武器や魔法を集めるだけでも結構なやりこみになる。
ただ少々多すぎて全部をやりきろうなどとは到底思えない量なのは個人的に×。
特に、数%でしか手に入らないアイテムの中に最強装備の類が多く盛り込まれているのはプレイヤーのやる気を摩耗させる。
9:グラフィック・アニメ 【★★★★★】
差し込まれるCGムービーはS2の限界に挑むグラフィックと言っても過言ではないだろう。
堂々と観るゲーにしてよいレベルのものだと思えてしまう。何度も見入ってしまった。
ただ、ムービーの出来がなまじ良いだけに、そこから動作させる映像に映った時のギャップも大きくなってしまっている。
戦闘中の敵の繰り出す技の数々も美しいCGで表現されるが、そこは戦闘中の自キャラを同居させるわけにはいかず何もないところに繰り出しているようになっているのは、雰囲気を崩してしまってもいる。難しいところだ。
10:その他 【★★★★★】
行き先、現状の行動目的を常に確認できるのはプレイヤーを配慮した良いシステム。
チョコボに一度しか乗らなかったなぁ。
最終更新:2009年01月22日 00:21