総評 56点
【★★★☆☆】
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時間 |
シナリオ |
調整 |
操作 |
独自 |
価値 |
キャラ |
やり込み |
グラフィック |
その他 |
評価 |
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FFシリーズの各主人公とラスボスが勢揃いするお祭りゲー。FFファンならばそれだけで遊ぶ価値あり。
ただし、ゲームとして見るとコンセプトが全くまとまっておらず疑問符の絶えない作品。
対人対戦を想定したバトルアクションだけを見れば十分な作り込みであるが、
全体としては一つ一つのシステムにまとまりがなくバラバラで何をさせたいゲームなのかが見えてこない。
本作がプラチナ殿堂入りというファミ通レビューの評価はワロスとしか。
1:プレイ時間 【★★★★☆】
本編クリアまで約25時間。
レベル上げの時間があったのでアクションが得意ならばもう少し短くなるだろう。
……いや、本作はプレイヤーの技量よりもレベルが大きな影響を与える仕様なのでそうでもないかもしれない。
このゲームはいわゆる「クリアしてからが本番」なゲームであるのでここから各要素を充足していくとやりこみ要素が数多く用意されているので100時間くらいになりそうだ。(予測)
とはいえ基本的にはレベル上げを続けるのが中心になるので作業ゲーの色は強め。
2:ストーリー(シナリオ) 【★★☆☆☆】
あらすじ:
創造と破壊を繰り返し、悠久の時を争い続けてきた秩序を司る神「コスモス」と混沌を司る神「カオス」の戦いは、カオスの勝利で幕を閉じようとしていた。コスモスは、生き残った10名の戦士に世界の希望を託し、クリスタルを見つけ出すように依頼する。コスモスの戦士たちは、立ち塞がるカオスの戦士たちと刃を交えながら10のクリスタルを探し集めていくのだった――
キャラゲーを作り慣れていないな、という印象が最も大きく、物語のレベルは低い。
お祭りゲー、言わば単なる大集合ゲーで、完全なアクション中心のゲームであったなら物語に求めるレベルもある程度は下がろう。「ストーリーには最初から期待してなかったから」という意見もそこかしこで見かける。
だが本作の仕様はそう言うにはあまりにもストーリーモードをプレイヤーに「やらせる」システム設計になっているのだ。
アクション中心であるとはいえ、システム上レベルを上げたりライバルキャラを使用したり召喚獣を入手する為にはストーリーモードのプレイは必要不可欠なゲームである。
にも関わらず、そのストーリーの持つ面白みが薄すぎる以上これを素通りできる点とするのはあんまりである。
それができる人は、よほど自分で動かす部分だけで良いという感覚の持ち主なのだろう。ある意味羨ましい。
ストーリーモードを遊ぶか否かがプレイヤーの意思に委ね対人対戦を中心にするならレベル方式採用は失敗であるし、明らかに対人対戦を中心にゲームが作られているのに本作のように必ず全キャラを数時間ずつ全部で20時間以上も遊ばなければいけない仕様はどう考えてもコンセプトと合致していない。アクションを軸としておきながらもRPG要素も入れたい、コレクション要素も入れたい、カスタマイズもやりたい、あれもやりたいこれもやりたいと、ゲームメイキングに統一感がまるで無い。管理人はこれをセンスが無いと言い換える。
Wikipedia情報ではあるが、本作はスクエニ内部でも過去のFFシリーズをリアルタイムで遊んでいた若手が企画開発の多くを担っていたらしいので、今後の進化に期待だろうか。
さて、ようやくながらストーリーの評価であるが。
前述のとおり物語自体も薄く、かといってクロスオーバーや見せ場も極めて少ない為キャラゲーにもなりきれていない。
せっかく様々なキャラが作品の枠を超えて集まっているというのに、一人一人が別々にそれぞれの宿敵を倒しに行ってしまっては本末転倒というか、勿体無いことこの上ない。一体何のために集まったのか。
主人公もライバル(ラスボス)も皆個性の強烈なキャラクターばかりなのだから、それぞれを「らしく」動かすだけでも十分であるのにあえて別々に動かしたのは大きな失敗。
1対1しか実現できなかったシステム上の都合もあろうが。
又、色々な世界から各主人公・ラスボスが集められた、というような設定なのだがそれが本篇におけるどの状態から召喚されたものなのかが最後まで分からないのが非常にすっきりしない。
ラスボスとの面識はお互いにあり関係性の意識はしているのに決着はついていない状態というのがなんともご都合主義的で釈然としない。ならばいっそラスボスとの因縁も最初からやったらよかったのに。
終始自軍は敵に情報を与えてもらいながら進む(敵だけが様々なことを知ったまま話が進む)のも×。
3:難易度設定・調整 【★★★☆☆】
1で述べたとおりレベル上げが必要な場面がちょくちょくある。それだけでも△。
加えて、取得経験値が自分の行動とは違う部分で大きく上下するシステムだからである。
後述するスペシャルデーシステムやチョコボメーターシステムの作用で軽く3倍以上の倍率がかかってくる。
その他の要素もありあり、桁が2つも違ったりするとレベル上げのボルテージも上がらない。
負けた時の再戦やリターンにも別個にペナルティが発生するシステムでもあるので、もう少し易しくて良い。
というよりも、完全に技術よりもレベル差が勝敗を左右する設定がそもそも×。
4:操作感(プレイ感覚) 【★★★☆☆】
用意された敵が結構強く、慣れるまで操作が難しいのも相まって爽快感はあまり大きくない。
敵をガシガシ倒す爽快感よりも、アクションが得意で強敵との戦闘・苦戦・互角の戦いを求める人向け。
そういう意味ではKHの進化形のバトルシステムと謳っているがKHとは全く違った性質をもったシステム。
全体的に、対戦ゲームとしてのクオリティを求めすぎて一人プレイの設定が疎かになったなという印象。
追撃回避やカスタマイズなど対戦における駆け引きなど面白そうな要素が盛り沢山なのだが、そのいずれもがVSCOMにおいては面倒で邪魔なものになってしまっている。CPUの超反応の連発にはやる気も削がれる。
だが前述のとおりレベル方式を採用したゲームである以上一人プレイの繰り返しは必要不可欠であるのだから、このシステム開発の力の入れ方のバランスが取れていない状態もまた残念。
ちなみにロード時間は少々長め。一戦一戦のロードが少し重たい。
データインストールで解消できるが誰もが受けられる恩恵ではない為、これで管理人の評価は上がらない。
5:独自システム 【★★★☆☆】
FFらしく新システムのつぎ込みで慣れるまでが辛いゲーム。そんなところまで徹底しなくても。
→ストーリーボード
ステージは最大5×8のボード上を行動力を消費しながら進み、ゴールまで行くことでクリアとなる。
バランスを取りすぎてプレイヤーの行動方針が立たなくなってしまった典型例。調整不足。
冒険してみたシステムで面白くもあるのだが、一週目は終始行動力が足らずストレスの元。
→バトルシステム
通常攻撃ではお互いのブレイブ(攻撃力)を奪いあいながら攻防し、奪い増やしたブレイブを消費して相手のHPにダメージを与える、パッと見2段構えにライフを削り合う戦闘システム。
まるごと独自システムの塊だが、この点に関しては見た目よりすんなりと慣れる。
が、レベル差(能力差)によりブレイブダメージが出せなかったり、ブレイブ量で数千の差をつけられてしまうと召喚獣に頼らない限りは挽回不可能な状況が生まれるのはなんとかして欲しかった部分。
強敵(最初は回避して然るレベルの敵)の配置が多くそんな状況が割とよく発生するから性質が悪い。
加えて緊急回避の性能が低く、回避したのにしきれていない事がよくあるのもよろしくない。
何度も書いてるがバランス調整が必要になったのはレベル差による能力値差が勝敗に直接作用し過ぎているのが原因。
レベルは上げることで新しい技を覚えていく+α程度に留めておくべきだったのかもしれない。
→プレイプラン・スペシャルデー・チョコボメーター
戦闘を繰り返すことでチョコボが進んでゆき、一定量進むと経験値ボーナスが付く。
気にせず冒険をして良いが、突然普段の何倍もの経験値が得られレベルが2~3一気に上がったりして驚く。
スペシャルデーは曜日を一つ指定し、その曜日に限って得られる経験値・ギル・AP等に倍率が得られる。
PSPの内部日付をいじれば自由にスペシャルデーを満喫できてしまうらしいがそれは邪道だろう。
→通信モード
本作品で一番力が入っている(かつ開発の中心だったであろう)と思われる部分。
アドホックモードで用意されたロビーに入り、そこで対戦相手を探し対戦する。
本作にはフレンドカードというものがあり一度同じロビーに入った相手とは無条件でカードを交換する。
そして、このカードを交換した相手とはオフラインでも対戦ができるという代物。管理人はまだ体験した事が無いが、どうやら動きまで本人のプレイを再現するらしい(勿論限界はあるだろうけども)。
そしてオフラインで何度も対戦をしてから再度ロビーで再会するとお互いにポイントやギルの恩恵が得られる。
本気で活用していけば作業CPU戦は一切しなくても良いかもしれない。
すれ違い交換も用意されており、よく配慮されている。……田舎住まいの管理人にはあまり使えない機能だが。
PS3がないとオンライン通信対戦が実現しないのが残念。
6:価値 【★★★☆☆】
管理人の購入価格:4645円
FFファンで大っ好きなキャラがいてとりあえずそのキャラ使えれば満足、という人。
或いは一緒に遊ぶ友人の確保・オンライン環境が整っている等あれば定価でも損はないか。
ただ管理人のようにいろいろな要素が気になってしまう人や作業ゲーが苦手な人、
加えて、タイマンよりも敵をバカスカと気持ち良く倒して行く方が好きな人には向かない。
基本的に遊ぶ人を選ぶゲーム。
とりあえずオンライン環境が第一条件か。
7:キャラクター 【★★★★☆】
開発者自身がFFファン、かつ開発前に1~10を全てプレイしてから作ったというだけあり、ゲーム内のキャラ再現や小ネタの類は万全と言って差し支えない。
難点はストーリー上仕方ないがラスボス達にあまり威厳が感じられない点。
チュートリアルに各作品のサブキャラ達が出演しているのは良いファンサービス。
8:やりこみ要素 【★★★★☆】
クリア後が本番と書いた通り、やりこみ要素の塊。
その一つ一つに達成率表示が用意されており、視覚でどれだけ進めたかが随時確認できるのは○。
収集要素の他にもミッションという名の達成条件群もある為、完了までは遠い道のり。
達成後の追加ご褒美がちゃんとあればあとで評価。
9:グラフィック・アニメ 【★★★★★】
さすがのスクウェア、CG技術は相当なもの。PSPの限界か激しい動きをする部分は全て動作用ポリゴンだが、それでも十分に作り込まれておりクオリティの高さは強く感じられる。
ありがちだがやはりOPが最大の見どころになってしまっている感は否めない。
10:その他 【★★★★★】
音楽が素晴らしい。過去の作品の懐かしい音楽の数々がイメージの崩れないアレンジで次々と流れる。
雑魚敵がメインキャラの劣化コピーという設定であり、つまりは色違いの同じキャラなので対戦相手のバリエーションが少なく、人によっては飽きが早いかもしれない。
参戦キャラクター数に関しては次回作に期待、だろう。
ACEも1作目は画面に仲間を表示することができなかったが2作目から解消された。
最終更新:2009年01月22日 00:50